【どさくさに紛れて色々】
マナバッテリーをぶっ壊した途端ペンタゴンの連中はどっかに行ってしまった
都市部は今どったんばったん大騒ぎらしい
国内が混乱している今のうちにいろいろやってしまおう
「らららーちゅーりっぷちゅーりっぷ、ちゅちゅちゅーりっぷー。つよくなれつよくなーれ、わ・た・しのちゅーりっぷー」がさごそ
「楽しそうで何よりだねー」
「うむ、後ろ頭をしばきたくなってくる」
「ランス様、やめましょうよ…」
ここはノクタン鉱山の奥深く、鉱石倉庫の一角だ。
マリアさんが調子っぱずれの歌を楽しそうに歌いながらヒララ鉱石を漁っていて、大きなリボンでくくられた青い髪と作業服のおしりが機嫌よさそうに揺れており、残りのみんなはそれをぼんやりと眺めている。
「ふぁぁ…」
平和な光景についついあくびが漏れてしまった。
「んん…」ふらふら
「あれ…リズナさんどしたの?体調悪そうだね。ヒーリングしよっか?」
「あ…ええ…大丈夫です…大丈夫ですから…」
「行っちゃった…どうしたんだろ」
「えーと…あっ!あったー!これならいけるわー!これさえあればあーんなこともこーんなことも…うふふふふふふ!」
「はぁ…やれやれ。見つかったならもう用はないだろ。こんな辛気臭いところ、とっとと出るぞ」
鉱石にほおずりして小躍りするマリアさんを眺めながら、お兄ちゃんはため息をついたのだった。
この間までゼスの重要拠点に殴り込んでガンジー王の目の前でマナバッテリーをぶっ壊していたあたし達がどうしてこんなにのんびりしているのかと言うと。
まずガンジー王はお兄ちゃんを一発ぶん殴って、あたし達を捕えるでもなくどっかに行ってしまったし、ペンタゴンの連中は作戦成功の報を聞くなり、あたし達に挨拶もなしにあっという間にアジトからいなくなってしまったからだ。
「用済み…と言う事でしょうね。最初から我々を仲間などとは思っていなかったのでしょう」と、ウルザさんはうなだれたのだが
「ま、どーせそんなことだろうと思っていたわ」とお兄ちゃんは涼しい顔。
マナバッテリーが止まったせいでマジノラインの稼働魔力が足りなくなり、魔法使いのほとんどが魔力供給にかかりきりになった。
その結果、全国各都市で暴動が発生して大混乱に陥っているらしく、ウルザさんが各地の動向について探る間、あたし達はしばらく暇になったのだった。
というわけであたし達は、警備が手薄になったノクタン鉱山に潜り込んで鉱石を漁ったり、
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「お兄ちゃん、何持ってるの?」
「む、なんでもないからあっちに行け。しっしっ」
「ランス様ー。こかとりすのお肉ですが、シチューと三段焼きとどちらになさいますか?」
「えっ!?こかとりすのシチュー!?三段焼き!?食べたい食べたい!」
「ちっ…こら、シィル!おかげで見つかってしまったではないか!」
「え、あ…すみません…」
「行っとくがお前にはやらんぞ。俺様が全部食べるのだ」
「いいじゃん!あたしにも分けてよー!分けてくれないと…」
「くれないと?」
「ダダをこねるよ!ちょうだいちょうだいちょうだいちょうだいー!」じたばた
「ええい!わかったから騒ぐんじゃない!…ちっとだけだぞ…おい、シィル。これ以上ほかの奴が集まってくる前にとっとと作ってしまえ」
「はーい。両方作りますね」
…
「はいどうぞ、シチューと三段焼きです」
「いただきまーす」
「ずずー…うむ、80点だ」
「はひはひ…ずずず…うまうま…」
「三段焼きは…しっぽの焦げたところがかりかりしてて美味い。95点だ」
「こっちの腿のところもやわらかくておいしいよ」
「あ、エールちゃん、そこはちょっと私も食べたいです…」
「うん、半分こしようか」
「しっぽのところは全部俺様のだぞ。おかわりだ!」
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お兄ちゃんがどっかから持ってきたこかとりすの肉を料理して食べたり、
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「えーっと、ハニワの里入り口…ここかな?」
「ぷちハニーの景勝からの温泉招待の手紙にあった場所か…このハーモニカを吹けばいいんだな」
「ランス様、吹けるのですか?」
「当たり前だ、貸してみろ。それ」ふーっふーっぶーっ!
「全然音が出ないね」
「ええい!欠陥品め!」
「あー…壊してはダメですよランス様…」
「アベルトさんなら吹けるんじゃないです?」
「あ、ダメなんです。僕吹けません」
「前にスカして笛を吹いとったじゃないか、似たようなもんだろ」
「いやぁ、実は父さんが死ぬ前に笛はいいがハーモニカは絶対に吹いてくれるなと言い残して…」
「ダニエルはまだ生きとるじゃないか」
「あっはっはっは、ですから死ぬ前ですよ」
「つまらんことを言うんじゃない。まぁいい、シィル、お前吹け」
「はい…あう…唾で中までべちょべちょ…」
「…」(やっぱりな、という顔のアベルト)
「なんだ?俺様の唾が汚いというのか?」
「うう…じゃあ吹きますね…」ぷーぷーぷぴー
ぐらぐらぐらっ ごぉーっ
「うわ、地面が持ち上がってく」
「きゃっ…」
「おっと、ふらふらするんじゃない」
「着いたね…ここがハニワの里かー」
「右を見ても左を見てもハニワだらけだな」
「空中に浮いてる…ハニーはこんなところに住んで平気なのかなぁ」
「なんか安全装置とかあるんじゃないかしら?」
「あいやーっ…」ぱりーん
「今一匹落ちたわね」
「どうします?景勝さんのところに行く前に散策でも…」
「どうせはに飯の屋台くらいしかあるまい。とっとと行くぞ」
「リズナー。元気にしてたか」
「景勝ー!」ひしっ
「うむうむ、息災で何より」
「景勝も相変わらずね」
「リズナはまた騙されていないかひやひやしていたぞ」
「うう…それは…けどランスさん達に助けられて…」
「むぅ…それでこのケダモノと一緒にいる訳か」
「ぷちハニーにケダモノ呼ばわりされるのは心外だ」
「まぁいい、リズナを救ってくれていることは確かだ。せっかくだし温泉に入っていくといい」
「おお、そうだ。温泉だ、温泉。どこにあるのだ」
「家の屋上に湧いたんだよ。空中露天風呂だぞ。ゆっくり入っていけ」
「空中都市に温泉が…?しかも屋上に…?お湯はどこから…?」
「あんまり難しい事考えない方が良いよ。よのなかにはふしぎなことがあるものです」
「そうだね…」
「よーし温泉に入るぞー!男どもはあと!先に女の子たちと俺様だー!」すぽぽぽーん
「あんたと混浴なんてまっぴらよ。後からでいいわ」
「…私もそうする…」
「なんだとー!えーい!誰か俺様と入りやがれー!」
「もー…お兄ちゃんはしょうがないなー…」ぬぎぬぎ
「お前は後だ!」げしっ
「えーっ!?」
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ハニワの里にある、ぷちハニーの景勝の家で温泉に入ったり、
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どたんばたーん
「なんの音だ?」
「パットンさんのコテージからだよ!」
「なんだなんだどうしたんだ」
「あー。すまん。そっとやったつもりだったんだが、結構響いたか」
「うわー、女の人が倒れてる…パットンさんがやったの?うわー…」
「そんな目で見ねぇでくれよ嬢ちゃん、そういう趣味はない…刺客なんだよ、ヘルマンからの」
「へ?刺客?女がか?」
「ああ、ヘルマンには闇の翼って国家直属の暗殺組織があってな…女アサシンも結構いるんだ。特にこういう、他国に侵入する刺客はたいてい女でな…」
「へぇー。手裏剣と身代わりの術とか使いそう」
「ほーう…女アサシンねぇ…ふむ。おい、この女、いらないな?」
「へ?要る、要らないで言うなら要らんが…」
「では!俺様がいただきだー!」がばーっ
「いーやー!こ、こんな人前で…」
「がはははは!いい具合だー!」すぱんすぱーん
「…ここ俺の部屋なんだが…それも嬢ちゃんの前で…」
「じゃあお前らが外に出とれ!がははははは!」
「タグが面倒になるし、外に出てよっか…」
「そうさせてもらうか…」
「相変わらずめちゃめちゃな男だなぁ…」
「すみませんうちの兄が…」
「苦労するな嬢ちゃんも…しかし、ここもかぎつけられたか…嬢ちゃん、隊長に世話になったと伝えてくれ」
「え?なんでです?」
「まだ世直しの途中だけど、俺は出ていくことにするよ。こんなのがしょっちゅう来たら迷惑だろ?」
「あーそっかぁ…」
がちゃ「かまわん、ここにいろ」
「へ?もう終わったのか…っていうか、いいのかい?」
「うむ、お前がいる限りあのようなイイ女がどんどん来るという事だろう」
「あー…」
「これからもどんどん狙われるように目立ってくれていいぞ」
「やっぱり、そういう事か…わかったよ…せいぜい目立つさ」
「…オラオラ!かかってこいやー…うーむ、これだけだと弱いか…?」
「もっと身振りを加えてみたらどうだ?」
「なるほど…この際、尻でも叩いてみるか」
「パットンさんとサーナキアさん、何してんの?」
「攻撃を引き付ける練習だって」
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ヘルマンの刺客を撃退して、パットンさんが挑発の練習を始めたり…
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「そわそわ…」
「カロリアちゃん、大丈夫かなぁ…?」
「大丈夫だ、とは言ってたけど…」
「ドルハンののこともあるしね…」
「4匹で一人前、って話だけど、カロリアちゃん小さいから…」
『くっ…あっ…あううう…』
「どうした!カロリア!」
『今、ムシを入れてるの…ちょっと痛いけど…平気だから…』
「ちっとも大丈夫そうじゃないじゃないか」
「カロリアちゃん!ここ開けて!ヒーリングするから…!」
『今そういうことすると…ムシが体になじまないから…ほんと…大丈夫…あっ…ううっ…!っ…く、んっ…んぅぅぅっ…!』
「カロリア…?」
がちゃ
「ふぅ…うまくいった…今日からかろが、君のおうちだよ。よろしくね」
「おう、火ぃふくぜ。ぼうぼう」
「…それが新しいムシか?」
「うん。ファイヤーバグ。名前は…火の子にする。かろ、これで一人前のムシ使いだから…もっとみんなの役に立てるね」
「うむ…しかし、これ以上ムシを足したりするのは絶対ダメだぞ」
「えー…」
「えーじゃないが。ここは破壊しとくぞ」
「それはダメ!ここはムシ使いの大事な場所なの!もうかろは足さないからー!」
「むむむ…」
「破壊はひどいから、封印にしとこうよ。ムシ使いがまた増えるかもしれないし」
「ちっ…そうするか」
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カロリアちゃんのムシ追加儀式を手伝ったりした。
そうこうしているうちに、数日が過ぎ、あたし達は会議室に呼び出された。
「…つまり、ゼス中の大都市では暴動が発生しまくっているが、軍は魔力供給義務のせいで動けず、大混乱に陥っていると」
「ええ…それになぜか私の情報網も反応が鈍くて…ペンタゴンは首都ラグナロックアークで活動しているようなのですが、状況はつかめていません。そこで、グリーン隊には、首都に向かい…ネルソンと接触。クーデター作戦の状況を確認してきてください」
ウルザさんは、そうあたし達に命じたのだった。
お読みいただきありがとうございます。
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つらつらと現状を書いてみます。
ゼスの各都市は大混乱に陥っていますが、まだマジノラインは辛うじて稼働中。
国内の治安はめちゃめちゃですが重要拠点はまだ陥落はしていません。すべての二級市民が暴動を起こしたわけでもありませんしね。田舎の農村なんかはまだのんびりしています。
ただしエールちゃん視点では知る由もありませんが、マジノラインの向こうで、オーロラから情報を入手しているカミーラ配下の魔軍がひそかに集結を完了済み。
マジノラインが停止した瞬間、一気に侵攻に出るでしょう。
なんでもケイブリスが寄騎としてこんなのを付けてるそうです。
エーデルガルド
Lv35/102
軍師Lv2 政治Lv1 神魔法Lv1
元マエリータ隊所属。指揮官型女の子モンスター、バトルノートの突然変異種ドレッドノート。
高い作戦能力と指揮能力を持つ。神魔法を使えることには気づいていない。
幼いころに仲間から排斥され死にかけていたところを魔物大将軍ストロガノフに拾われて育った。
彼には強い恩義を感じており、ストロガノフが力を失い失踪した時に自分を頼ってくれなかったことを残念に思っている。
その後マエリータ隊は解散し、仲間とも離れ離れになってしまったためにケイブリスに接近した。
ゼス侵攻作戦を成功させて魔軍内での地位を得て、ストロガノフを探すことが現在の目標。
余談だが、小さい頃はエールと呼ばれていた。