【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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ー任務表ー
【パリス学園の美女を救え】

美女名鑑の女を一通り犯したお兄ちゃんはほかの女を見繕っている
そろそろ動かないとまずいんじゃないかなぁ
かなみさんがいろいろやってるみたいだしまぁいいか
名門パリス学園のゼス校に出撃だ


53.エールちゃんとゼス崩壊(前)

「おらあっ!」ぶぅん!

「甘いわぁっ!」「おっと!」がきぃん!

 気合と共に殴りかかったパットンさんの拳をランスお兄ちゃんはあっさりと見切り、すれ違いざまに胴に斬り付けるが、パットンさんはわずかに身を捻って胸鎧で受けた。

「おうりゃあっ!」ぶおんっ!「ちっ!」

パットンさんは防御のために身を捻った勢いで後ろ回し蹴りを繰り出し、背後に回ったお兄ちゃんを牽制。お兄ちゃんは追撃できず、飛びのいていったん距離を取る。

「はっはぁ!やるなあ隊長!まだまだ行くぜ!」

「ふん、暑苦しいデカブツめ…まあいい!俺様の華麗な剣技を見せてくれるわ!」

 がきがきがきぃん!と二人は剣と拳で激しくぶつかり合う。

「はらはら…」

「シィルさん、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

 なんで二人がこんなことをしているかというと、パットンさんがお兄ちゃんを誘ったからだ。

 てっきり断るかと思ったのだが、ご飯を食べた後で腹ごなしをしたかったのか、お兄ちゃんは承諾し…

 こうして目の前でレベルの高い模擬戦闘が繰り広げられ、あたしは心配そうなシィルさんと一緒にそれを眺めているというわけだ。

「お兄ちゃんもパットンさんも多少手加減してるし」 

 良く見てみれば二人はインパクトの瞬間手を少し緩めたり、微妙に急所を外した攻撃をしてるんだよね。さっきのお兄ちゃんの胴薙ぎもいつもよりちょっと遅くてパットンさんの防御が間に合った。本気だったら脇腹に浅く傷くらいは入っていただろう。

「でも、危ないです…せめて木剣を使うとか…」

「あたし達がいる、ってのもあるんじゃない?」

 ヒーリング要員が控えているのに加えて、おそらく、だけれども。二人で並んで先陣を切るようになってしばらく経つし、お互いに『こいつはこの程度じゃくたばらないだろ』という感覚…ようは信用があるんだろうな。

 …ちょっとうらやましくもある…かなぁ。

 あたしが少ししんみりしているうちに、二人の戦いは佳境を迎えていた。

「どりゃあ!」「ふん…ぬあっ!」がきっ!「ぐっ…なんだと!?」

 隙を作ったパットンさんの首元、鎖骨のあたりにお兄ちゃんが剣を叩きこんだが、なんとパットンさんは食い込んだ剣を筋肉と鎧で挟み込んで止めた!マジか!?

「もらったぁ!」ぶんっ「ぬ…とうっ!」ぐいっ「んなっ!?」

 パットンさんの反撃の拳が振るわれるが…お兄ちゃんは食い込んだ剣を支点に体を持ち上げ、飛び上がってかわした!

「空中反転ランスキーック!」げしっ「ぶげっ!」

 回転落下の勢いを込めたブーツを顔面に食らい、パットンさんは転倒した。

「あー…いてて…」「ふん、俺様の勝ちだな」ちゃきっ「…ああ、参った」

 身を起こした喉元に剣が突き付けられ、パットンさんは両手を挙げた。

「お疲れ様でした、ランス様」「お疲れー。すごかったね」

 模擬戦を終えた二人にあたし達は歩み寄った。

「タオルとお水です、どうぞ」

「おう」ふきふき

「パットンさん、首のところヒーリングするから屈んでよ」

「あー。これくらい大丈夫さ。ほれ」「うわ」

 見てみると、多少あざになってはいるが血も出ていない。手加減されてたとはいえ真剣をまともにぶち込まれてこれって…どういう肉体してるんだろ。

「いやー…しかし隊長、あんた強いな」

「そうだろう。がはははははは、俺様に勝とうなど100年早いわ!」

「あー。そうだな…世の中には強い奴がいっぱいだ…俺もまだまだだなー…へへへ…」

「何を笑っとるんだ、気持ち悪い…」

 負けたというのになんだかうれしそうなパットンさんに、お兄ちゃんは台詞の割にはまんざらでもなさそうな顔で鼻を鳴らしたのだった。

 

「さて、腹もこなれたことだし今日は何をするかなぁ。美女名鑑の女はある程度やったし…おい、シィル。どこか女がいそうなところを知らんか?」

「えっ?えーと…そうですねぇ…パリス学園ゼス校とか…?」

「おお、リーザスにもあったあの名門校か。美人の女子生徒がたくさん居そうだ…よし!暴徒に襲われる前に保護するぞ!出撃だ!」

「出撃の効果音は?」

「飽きたしもういいや。要らん」

 というわけであたし達は首都のパリス学園にやってきた。

「へー。ここががっこー…かろ、初めて見た」

「うむ、えりすぐりの美女がたんまりいるという素晴らしい場所だ。」

「学校ってそういう場所だったかなぁ?あたしも行ったことないけどさ」

「そういう場所なのだ。さて、暴徒が来る前に俺様が助けてやるとするか…」

「がっこうの門っていつもああなの?」

「へ?」

 カロリアちゃんが指さした先、学園の校門はものの見事にぶっ壊されていて、ボコボコになった警備のおっさんが倒れてうめいている。

「おいおい!もう暴徒が来ているのか!急ぐぞ!」

 あたし達は校内に足を踏み入れたのだが…

「おお、あんたらもこれからお楽しみか?」

「いやぁ、クーデター万歳だぜ!普段なら視界にも入れられないお嬢様たちを犯し放題やり放題!」

「違う違う、これはおごり高ぶった魔法使いへのお仕置きなんだろ」

「ああ、ペンタゴンの連中が言ってたな」

 廊下を歩いていた棒切れを持った男二人組がゲラゲラ笑いながらワンパターンなことをしゃべりつつ練り歩いていた。

 どう見ても暴徒です。本当にありがとうございました。

「ぐぬぬぬぬ…貴様ら俺様より先に女生徒を…」

 爆発寸前のお兄ちゃんを前に、二人の暴徒は上機嫌で続けた。

「あれ?あんた魔法使いの女を何人も連れてんだな。それ奴隷?魔法使いの奴隷?」

「そうだ、文句あるか?」

 あたしたちをじろじろ眺めた暴徒が漏らした言葉にお兄ちゃんは胸を張って返事した。いや、シィルさん以外は奴隷じゃないけどね。めんどくさいから黙っておこう。

「そうだ、俺たちも一人くらい奴隷にしようぜ」

「いや、もっとたくさん奴隷にしよう。これまでのお返しに毎日こきつかって…」

「お前らムカつく、殺す」

「「えっ?」」

 暴徒たちは死んだ。

「えーい!ここにいる奴は皆殺しだ!女の子たちは保護!こんなことが許されると思っているのか!」

「あんたがいつもやってることでしょうが」

「俺様はいいのだ!俺様以外は許さん!正義が許さんのだーー!行くぞ!!!!」

 自分のことはものすごい勢いで棚にダンクシュートして、お兄ちゃんは校舎に突っ込んでいく。あたし達も仕方なく後に続いたのだった。

 

「あら?確かアイスフレームの…貴方たちも混ざりに来たの?」

 教室の前に立っていたそこそこ美人のペンタゴン兵士がこちらを見とがめて声をかけてきた。

「あん?混ざりに?何のことだ」

「ふふふ…見てよこれ」

「なっ…なんじゃこりゃー!」

 女兵士が示した教室の中では、女子生徒を汚らしい暴徒が叩くは犯すわいたぶるわで、まぁタグが面倒になり胸糞が悪くなる光景が広がっていた。

「ふふふ…好きに犯しちゃっていいわよ。別に痛め付けても、妊娠させちゃってもオーケー」

「んななななな…お前…」ギリギリ

「いい気味じゃない?偉そうにしてた魔法使い共があんなに…これからはこちらの番…痛っ!」

 お兄ちゃんが台詞の途中で女兵士の顔をぺちんと軽く張った。

「何するのよ!」

「やかましい!そんなんじゃ魔法使いとそうじゃない奴がひっくり返っただけだろうが!何の意味もないわ!」

「くっ…何よ!魔法使いの味方なんかして!覚えてなさい!」

 怒った女兵士はお兄ちゃんは怒鳴り返され、どこかに逃げて行った。

「…そこそこ可愛いからこれくらいにしてやるが…ったく。これはもう俺様が全世界を統一して、魔法使いだろうがそうじゃなかろうが可愛い女の子はすべて俺様のものにするしかないな…」

「ある意味平等ではあるね」

「アホなこと言ってないで早く止めましょ」

 スケールのでかい妄言を漏らすお兄ちゃんをなだめて、あたし達は教室に足を踏み入れた。

「ぐへへへへ、次はどの子を…」

「死ねーー!」ざくーっ

 教室に乗り込みざま、お兄ちゃんはその辺の暴徒をぶった斬った!

「ぎゃーーーー!」

「なんだこいつ!」「治安隊か!?」「ぶっ殺せー!」

 しかし教室内は暴徒でいっぱいだ!ワーッと一気に押し寄せてくる!

「ちっ…数が多い…」

「え、えいやー!斧ブーメラン!」ぶーん「ぎゃっ」「痛い!」

 ロッキーさんが斧を投げつけ、暴徒の足は止まったが…明らかに力が入っていない。

「なんだロッキー、その気合の抜けた斧ブーメランは!」

「だ、だどもこの人たちもこんなことがなければ普通に暮らしていた人たちで…」

 下を向いてぼそぼそ漏らすロッキーさん。気持ちはわかるけど…

「そんなことを言っている場合か! うーむ…よし、これを持て」

 お兄ちゃんは荷物から変な紙切れを取り出した。

「なにそれ…マンハンター証明書?」

「うむ、これで立派な人殺しになれるぞ。ほい」

 お兄ちゃんは迷わずマンハンター証明書をロッキーさんの懐に突っ込んだ。

「あっ…」

 

 

「ロッキートマホーク・ブゥゥゥゥメラン!」ぎゅるるるるる!

「「「うぎゃあああああああああ!!」」」

「な、なんだお前は!」

「私の名はロッキー…ロッキー・バンク!これから貴様らに地獄を見せる男だ!」

「何言ってるんだお前!」「急に前髪が長くなりやがって!」

「やかましい!死ね!目だ!耳だ!鼻っ!」ずばずばぶしゃー!

「「「ぎゃあああああああああ!!」」」

「この程度のことで死ぬのなら、ここで死なせてやった方が親切だ!」

「だから何を言ってるんだお前!」

 

 

「すごいことになってるね」

「手足やら首やらがポンポン飛んで…うわー」

「がははははは、こっちは楽でいいがな。さて、次の教室に…ん?」

 証明書を受け取った瞬間、にょきにょきと前髪が伸びて宇宙電波(ゲッター線)に導かれたような顔で次々を暴徒を殺し始めたロッキーさん。それをほっといて教室を出ようとしたお兄ちゃんがぴたりと足を止めた。

「どしたの?」

「女の匂い…それもまだ男に汚されてない女の匂いがする…」くんくん

「え?この血まみれアレまみれの教室で!?」

 どういう嗅覚をしてるんだろうか。

「むむ…むむむ…こっちか…いや、こっち…そこだーーーー!」がちゃん!

「いやーーーーー!」

「うわ、ほんとに居た」

 お兄ちゃんが開けた掃除ロッカーの中には、恐怖におびえる年少の女子学生が一人隠れていた。

「うーむ、ちと小さいか…」

「いやーーーー!やめてーーーー!助けてお姉ちゃーん!」

「おい、こら、落ち着かんか。俺様は暴徒ではない。君たちを助けに来たのだ」

「へ…?助けに…?」

 じたばた暴れるどうやら射程圏外らしい女の子をどうにか落ち着かせるお兄ちゃん。

「うむ、俺様が安全な場所に連れて行ってやる。君の名は?」

「あ、はい…私、マナって言います!あの…じゃあ!お姉ちゃんを…カナお姉ちゃんを助けてください!」

 マナというらしい女の子は、目に涙を貯めながら訴えてくる。

「ほほう?お姉さんがいるのか。歳は?美人か?どんな子だ?」

「えーっと…私の三つうえで…美人って言われます。いつも優しくて…でもさっき、私にここに隠れていなさい、って言って…自分は暴徒を引き付けるために奥の教室に…」

 美人の姉、と聞いたお兄ちゃんは即座に立ち上がった!

「それはいかん!急がねば暴徒に頂かれてしまうかもしれん…急がねば!次の教室に行くぞ!」

「ふっ、リーダー風が気持ちいいぜ…」

「何言ってんのロッキーさん。行くよ」

 

「…なんだこりゃあ」

 何人かマナちゃんのところに残して奥の教室に向かったあたし達は、目の前の光景に絶句していた。

「キィェエエエエエエエエエエエ!このおクソ暴徒共が!皆殺しにして差し上げますわあああ!」ずばずばざしゅっ!

「うわああああ!!」「なんだこの女!」「囲んで取り押さえ…」「遅い!」ずばん!「ぎゃあああ!」

 女子生徒が一人、手にした剣を振り回して暴徒やペンタゴン兵相手に大立ち回りを演じていたのだ。

「よくわからんが…結構強いなあの子」

「ありゃペンタゴン兵士の剣だな。てーことは奪ったのか」

「うわっ、こっち見た」

 見ている間に暴徒や兵士をあらかた斬り殺した女の子の目がこちらを向いた。

「おい、待て。俺様達は…」

「新手の暴徒ですのねえええええ!わたくしの剣の錆におなりなさい!キェエエエエ!」

「がー!話を聞け!」ギィン!「むうっ!」

 振り回した剣を弾き返され、女の子は飛びのいて距離を取った!

「…やりますのね貴方!その辺の有象無象とは違う…数多の修羅場を潜った戦士!ハッキリわかりますわ!ええ!」

 ギラギラと目を血走らせて、女の子は嬉しそうにまくしたてる!…ん?なんかこの子さっきの子に似てるような…

「だから俺様達は助けに…」

「問答は無粋でございましてよ!チェリャアアア!」

「だー!話を聞け!」キィンキンガキィン!

 素早く踏み込んできた女の子とお兄ちゃんは剣を交える!

「ねぇ!貴方マナちゃんの姉さんじゃないの?」「え?」

 名前を出した途端、女の子はぴたりと動きを止めた。

「はい…わたくしはマナの姉ですが…なぜ妹の名を?」

「やっと止まったか…俺様達はな、マナちゃんに言われて君を助けに来たのだ」

「まぁ…そうでしたの。それは大変失礼を…わたくし、カナ・ブッタギルと申しますわ」

 正気に戻った女の子は血まみれの服のまま優雅に一礼して名乗った。まじまじと見てみれば結構な美人だ。これは…

「ふむ、ならばカナちゃんとやら。お礼に一発…」

「はい? 私にできることでしたら何なりと」

 予想通りにお兄ちゃんが手をワキワキさせながら進み出た瞬間。

「ランスさーん、ちょっと…」

 マナちゃんのところに残っていたアベルトさんが駆け寄ってきた。

「なんだアベルト!これからいいところなのだ、後に…」

「それが、屋上に魔物が出たそうで…」

「なんだと!?」

 予想外の事態に、流石にお兄ちゃんの手も止まったのだった。

 

 

 

 

「後半にー続く」

「本当に何言ってんのロッキーさん…ほら、コレ取って」

「はっ…おらはいったい何を…」




読んでいただきありがとうございます。

よろしければ、評価感想など頂けるとありがたいです。

アイテム『マンハンター証明書』
持たせると攻撃に人属性特攻が付く。
これを持っている人は危険人物。

以下、妄想です。

カナ・ブッタギル
LV34/66

剣Lv1 盗賊Lv1 魔法Lv0

パリス学園ゼス校に通う貴族のお嬢様。
特に悪辣でもないふつーの貴族のふつーの娘さん。
魔法は下手だが家柄も加味すれば問題なく卒業できるレベルで、
卒業後はすぐに見合いして結婚の予定だった。

が、実は少しやらされた護身用武器術の授業ですっかり剣の魅力に取りつかれ、家族に内緒で夜な夜な手作りの木剣を振り回したり、その辺の迷宮でモンスターをこっそり叩き斬ったりと魔法そっちのけで剣の訓練に明け暮れていた。
ゼス崩壊の際、学園に暴徒がなだれ込んできたときは怯えつつもとうとう人が斬れるかもとちょっとワクワクしていた。

学園から妹と脱出した後は両親と合流、そのまま首都脱出集団に加わり義勇兵として剣を振るってカミーラダークを戦い抜いた。
その後屋敷がなくなってすっかり没落したブッタギル家を一人で支えるべく冒険者となって名を挙げる。第二次魔人戦争の際は魔人討伐隊にも選抜された。

男のタイプは自分より強い戦士さん。
「ランスさんって今思えばやけに強かったですわね、あの時抱いてもらっておけばよかったですわ」
等と思っていて、のちに禁欲モルルンにかかっていたランスと再会した時にちょうどレベル35以上だったのでこれ幸いとモルルンした。

元ネタはR10の精鋭探しで出てくるゼス所属Lv66女戦士。
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