【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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ー任務表ー
【ナガールモールの救援】

氷軍が駐在する北部の大都市ナガールモールとは連絡が途絶えていたが
なんだかんだまだ陥落していなかったようだ
魔軍を追っ払って連絡を取れるようにしよう


61.エールちゃんはまたチョップする

「で、アリオスさん?あの後何を…」

「えー…あー…その…そうだ!今は追撃しないと!ごめんねエールちゃん!」しゅたたたた

「あっ」

 という感じにアリオスさんはものすごい勢いで明後日の方向に突っ走っていってしまった。

「なんだアイツは…」

「さぁ…」

「皆さんは勇者殿…いやアリオス殿とお知り合いなのですかな?」どぎゅっどぎゅっ

 背中を見送るしかないあたし達に、特徴的な足音を立てて宇垣さんが寄ってきた。

「ええ、まぁ…」

「彼は義勇兵の中心として活躍してくれているのですよ…おっと、それより先に用を済ませねばなりませんな。通信機は…」

「ああ、あっちのうし車に積んでありますよ。」

「では、ご案内いたそう」どぎゅっどぎゅっ

「うむ、行くぞ」

 特徴的な足音の宇垣さんに連れられて、あたし達は街の中に足を踏み入れたのだった。

 

 ナガールモールには前にも来たことがあるが、一級市民街と二級市民街がきっちり分けられた典型的なゼスの街だった街並みはすっかり変わっていた。

 あちこちに武器や物資が積み上げられていて、街の境目の門は開け放たれている。門の近くを行き来するのはほとんどが軍人か義勇兵だが…

「見て、一級市民と二級市民が普通に歩いてる」

 マリアさんが言った通り、兵士達に混じって老若男女、一級二級問わず市民が働いているのがちらほら見えた。

 別にいがみ合っている様子もない。魔軍襲来という非常時ではあるとしてもこんな雰囲気になっているとは驚きだなぁ。

「ずいぶん雰囲気がいいわね。ガンジー王もいないのにこんなふうになっているなんて…」

「ええ、喜ばしい事です。いろいろな幸運がありましてな。何から話したものか…」

「そんなことはどうでもいい。それよりウスピラちゃんはどこだ?」

 目じりを下げて語りだそうとした宇垣さんをお兄ちゃんが遮った。

「ウスピラ将軍でしたら城壁の方におられるかと思いますが…」

「うむ、城壁だな!早速行くぞ!恩に着せて一発やるのだ!」

「あ、ランス様…待ってください…」

 お兄ちゃんとシィルさんは城壁の方に行ってしまった。

「…彼が隊長だったのでは?」

「一応そうなんだが…とりあえず通信機の説明書とかガンジー王の手紙は副隊長のボクが預かっている。これだ」

「むぅ…分かり申した。では、長官のところに向かいながら話すとましょう」

 宇垣さんは特徴的な足音で歩きながら説明し始めた…

 

=======================================================

 二級市民の暴動が続くナガールモールの長官邸で、内務長官グラダブス、軍務長官ポピーが喚いていた。

「ええーい!魔軍が攻めてきているというのに…忌々しい二級市民どもめ!」

「奴らを殺せ!皆殺しにしろ!」

「どうだ!全員追い出してしまえ!」

 二人は魔軍襲来の報を受けて完全にヒステリーを起こしている。

「そんな…二級市民と言っても大半はおとなしくしているのですよ!?軍にも多くの二級市民が…」

「うるさい!もっと早くこうしておくべきだったのだ!」

「くっ…」

 両長官に対して反論するウスピラに対し、口角から泡を吹きながら怒鳴るポピー。グラダブスはそれを一瞥し、もう一つの椅子に黙って座る黄色縦ロールの男性、情報長官ソエマセに水を向ける。

「よろしいですな?ソエマセ長官…」

「…私は反対です」

「「「は?」」」

「というか、魔軍が攻めてきているというのに二級市民を追い出し、兵力を無駄に捨てるなど…正気ですか」

 思わぬ言葉に固まる3人に対して冷静に言葉を紡ぐソエマセ。

「じょ…城壁から魔法を放っていれば済むだろう!魔法使い以外不要だ!」

「ナガールモールの城壁は既に古くなっている!しばらくは耐えられるだろうがいずれは突破されてしまう!防衛のためには歩兵が!肉盾どもが必要だ!」

「貴様、魔法使いの誇りはないのか!」

「誇りとかそういう問題ではないのがわからんのか!」

「…ぐっ…ええい、もういい!」

 議論が罵り合いと化して平行線で終わり、ポピーがウスピラに指を突き付ける。

「ウスピラ将軍!命令だ!さっさと二級市民どもを外に追い出せ!」

「くっ……………了解…しました…」

「ウスピラ将軍!?何を…」がたん

 表情を歪ませながらも返事をしたウスピラに、ソエマセは驚きのあまり黄色縦ロールを揺らして立ち上がった。

「ははははははは!その娘は借金のカタに禁呪で服従させておるのだ!将軍になる前からワシの操り人形よ!」

「わたしも軍務の合間にいろいろと楽しませてもらったものだよ、はははは!」

 グラダブスとポピーが嘲笑しながら告げた事実に、ソエマセの顔色が変わる。

「な、なんと…ゼスの将軍がそんなことに…兄上は知っていたのか…?いや、やめろ!そんなことをしたら我々も殺されるとなぜわからんのだ!」

「ソエマセ長官、言っておくが我々に手を出せばその時点でウスピラに攻撃させる!せいぜいイヤミでも言っていろ!はははははは!」

「ぐっ…このバカ共が…」

 ソエマセが力なく顔を伏せたその瞬間。

「待ってもらおうか!」

 ばーん!と長官室のドアが開き、誰かがどぎゅっどぎゅっと特徴的な足音を立てながら足を踏み入れてきた!

「だ、誰だ貴様は…いや、その顔、そのヒゲは!」

「「「宇垣長官!?」」」

「ど、どうしたのだその体は…」

「いろいろあったのだ!」

「いろいろあった、で済むか!」

「それより話は聞いたぞ!二級市民をすべて追い出すなど…馬鹿なことはやめよ!」

「…ふん!魔法使いの高貴さを理解せんガンジー派の貴様らしいな!」

「しかしもうすでに命令は下した!邪魔するのなら…ウスピラ!やってしまえ!」

「…は、はい…」

「ふ…ふははははは!」

 ポピーの命令が下され、絶望的な表情で杖を構えるウスピラの前で宇垣は高らかに笑った。

「何がおかしい!」

「ふ…やるのはワシではない!今だ!」「応!」

 声と共に宇垣の後ろから飛び出したのは、ソエマセと瓜二つのピンク髪縦ロールジジイ!

「なっ…ツエマセ!?何故ここに!?」

「話は後だ!兄者、あれをやるぞ!」「むっ…分かった!」

 黄色縦ロールソエマセと、ピンク縦ロールツエマセはポピーとグラダブスを囲むように立った!

「何をするつもりだ貴様ら!」「我々に手を出すとウスピラが黙っておらんぞ!」

「ポピー、貴様は先ほど『せいぜいイヤミでも言っていろ』と言ったな!ならば、思う存分言わせてもらおう!」

「末弟シエマセには才及ばずとも、日々山田四天王の胃を犠牲に磨き上げた、我らのイヤミを受けるがいい!」

 

「食らえ!『罵詈雑言・二重奏』(ツイン・イヤミック・シンフォニー)!!!!」

 

 描写すると胃が消滅するレベルのイヤミの嵐がAMSRでポピーとグラダブスに直撃する!!!!

「「ぐわああああああああ!胃が!鬱だ死のう!!」」ちーん。ポピーとグラダブスは首を吊った。

「ウーム…聞きしに勝るイヤミだ…わしはもう胃がないから効かなかったが…」

「…い、いったい何が…」

「ごほん!」

 死んだポピーを見て唖然とするウスピラ(宇垣に耳をふさがれて無事だった)の前に立ち、ソエマセは咳払いした。

「見ての通り、軍務長官ポピー殿は不慮の事故により死亡してしまった。仕方がないので指揮権は情報長官たる私が引き継ぐ。いいな?」

「は、はい…」

「そして命令しよう。二級市民共を壁の外に追い出す司令は直ちに撤回だ。逆に義勇兵を募り、魔軍と戦わせるように!」

 その命令に、ウスピラは戸惑いながらも頷いたのだった…

=======================================================

 

「と、いうことがありましてな」

「いや、ありましてな、で済まないでしょ」

「そう言われましてもな…まぁ、とにかくうまく行ったわけです」

 何が何だかわからないが、ともかく二級市民の壁の外への追い出しというアホすぎる暴挙は中止となったらしい。

「その後、近くの町や村の民も戦えるものは魔軍と戦うことを条件に迎え入れましてな…その中にアリオス殿もいたのですよ。なんでも故郷の村がこの近くだとか…そして、『こんな俺でも力になれるのなら』と義勇軍に加わってくれましたが、流石は元勇者。素晴らしい活躍で、正規軍と共に魔軍を食い止めてくれております。」

「へぇー………」そっかー。アリオスさんの故郷はこの辺と。ふーん。あとでカイズに手紙を書かないとね。

「それにしても、あんまり混乱は起きていないのね」

「たしかにそうですねぇ…脱出集団でも結構揉め事は多いのですが…」

 かなみさんとリズナさんがあたりを見回す。確かに二級市民と一級市民が混じっているのに剣呑な雰囲気は全くない。別にべたべた仲良くしているわけではないが、お互いにすべきことをやっている感じだ。

「ああ、確かに一級市民、二級市民双方から不満は出たのですが…ある人物のおかげでどうにか収まっています」

「ある人物?」

「ああ、噂をすれば。そこの女性ですよ。イーディス殿ー!」

 宇垣さんが呼びかけると、市民達と立ち話をしていた黒いドレスに身を包んだクールな美人が振り向いてこちらを見た。

「…ああ、宇垣長官。魔軍は撃退できたそうで…お疲れ様です。…この方たちは?」

「ああ、王からの使いでな。通信機を持ってきてくれた上、魔軍を追い払うのにも力添えいただいたのだ」

「それはそれは…ありがとうございます…。…イーディスです…よしなに。」

 市民達に手をあげ、こちらにやってきたイーディスさんは軽く頭を下げる。

「彼女が一級市民と二級市民の間を取り持ってくれたのですよ。揉め事が起こるたびにうまく調整してくれて…彼女がいなければこれほどうまく協力は出来なかったでしょう」

「いえいえ…私の力など些細なことです…お役に立てているなら何よりですが…」 

 イーディスさんは微笑を浮かべてこちらを見ているが…目は笑っていないし、発言に独特の間があってなんだか油断ならない感じはする。でも、そうやって調整役を引き受けてくれるなら立派な人なんだろうな。

「くそー、ウスピラちゃんめ!せっかく助けてやったのに門前払いとは!」

「仕方ないですよランス様…ウスピラさんすごく忙しそうだったじゃないですか…」

 そうこうしているうちにお兄ちゃん達が戻ってきた。

「お兄ちゃんおかえりー。ダメだったの?」

「うむ、今は無理そうだった。しかしせっかくここまで来たのだ、じっくりと…む?おお、なかなかいい女!」

「…?貴方は…?」

「俺様はランス!こいつらの頭だ!君は?」

「イーディスと申します…まぁ、貴方がこの方たちの…?ありがとうございます…」

「うむうむ、礼と言ってはなんだが少し話でもせんか?そのあとはがっつりしっぽりと…」

 手をワキワキとさせるお兄ちゃんに、イーディスさんは目をぱちくりとさせた。

「…かまいませんが…仕事はよろしいのですか…?」

「がはははは、つまらん使いなんぞこいつらで十分だ」

「………そうですか。では、少しだけ……」

「おお、そうか!ではあっちで…ぐふふふふふ…」

「…それでは失礼しますね…」

 お兄ちゃんに肩を抱かれたイーディスさんはこちらに軽く頭を下げ、そのまま二人で歩いていく。

「はえー…お兄ちゃんのナンパが成功するの珍しいねぇ…」

「物好きな人もいるもんねぇ…」

 あたしとかなみさんと一緒に唖然としてその背中を見送った。

「はぁ…あいつは…まぁいい、我々は仕事をしよう。通信機を据え付けて手紙を渡すぞ」

 サーナキアさんが呆れながら言って、あたし達は移動を再開したのだった。

 

 その後、あたし達は話に出てきた長官(前に成敗したノエマセにそっくりでびっくりした)にガンジー王の手紙を渡し、おおむね異論はない。今後の協力などの詳細については通信で、という回答の手紙を貰って、通信機を下ろして説明書の通りに据え付けた。

 正直目を輝かせたマリアさんが変な改造しようとするのを止める方が大変だったが、ともかく据え付けは無事に済み、さーてこの後どうしよう、アリオスさんはそろそろ戻ってくるかなぁ…等と思っていたところに。

「おう、戻ったぞ」

「あ、おかえりなさい。ランス様」

 お兄ちゃんが戻ってきた…のはいいけど、なんだか神妙な顔をしているな。

「どうしたのお兄ちゃん。何かあった?」

「うむ、帰るぞ」

「えっ?ウスピラさんは?」

「今はそんなことをしている場合ではないのだ。いいから帰るぞ」

 至極もっともではあるけどどう考えてもおかしいことを言ってお兄ちゃんはさっさと行ってしまう。

「ランス様の様子がおかしいです。どうかしたんでしょうか…」

「どうでもいいわ。何か変なものでも拾い食いしたんじゃない」

「いや流石にそんなことは…ありえなくもないかなぁ…?」

 あたし達も不思議がりつつも着いて行くしかない。アリオスさんといろいろ話がしたかったんだけどなぁ…

「む、もう帰られるのですか!お気をつけて!これからもゼスの為頑張りましょうぞ!」

 手を振る宇垣さんに見送られ、うし車に乗り込んでナガールモールの門から出発した。しばらく走ったが、うし車の中でもお兄ちゃんの様子は変わらず、ずっと神妙な顔でおとなしくしている。どう考えても変だ。

「あの、ランス様。あの女の人と何かあったのですか?」

「…む?いや、なんでもないぞ。少し話をしただけだ…」ぽん

「へ?」

 声を掛けられたお兄ちゃんがシィルさんの方を見て、ぽわぽわ頭に手を乗せて、

「今までさんざん叩いて済まなかったな、シィル」

 信じられないことを口にした。

「…へ?」「…は?」「はああああああああああ?!」

「ラ、ランス様…?」

「うむ、これからはお前をもっと大事にするぞ」

 驚きの声を上げるあたし達に構わず、お兄ちゃんはシィルさんの頭を撫で、シィルさんは涙ぐんで固まっている。

「ど、どうしたのかしら…」

「まさか偽物…?」

「いや、それはないだろ…流石に…」

「きっとシィル様の真心が通じたんだす…」

 あたし達が見守る前で、お兄ちゃんはシィルさんの頭から手を放して口を開いた。

「うむ、まったく魔法使い様の頭をたたくなど…俺様はなんと畏れ多いことをしていたのだろうか。魔法使い様は魔法という偉大なる力を操る素晴らしい方々だというのに…」

「「「「「「…」」」」」」

 どう見ても洗脳されています。本当にありがとうございました。

「これからはシィル…いや、シィル様と呼んだ方が良いのかもな?どう思う?」

「や、やめてくださいランス様ぁ!正気に戻ってください!」

 ショックを受けたシィルさんがお兄ちゃんの肩を掴んでガクガクゆする。

「ダメだ、完全に洗脳されてるぞ」

「イーディスさんの仕業かしら…?」

「イラーピュでもリーザス城でもそういえば洗脳されてたね…」

「どうにか正気に戻すんだ!」

「何を言っとる、俺様は魔法使い様を敬うという人間の常道に…」

「もうダメだこれ!」

「叩いたら治らないかな?」

「よーし!斜め45度エールチョップ!」

「わー!何をする!やめろー!」どたんばたん

 

 その後、うし車の中でなんやかんやすったもんだした結果、どうにかお兄ちゃんは正気に戻った。

 イーディスさんと普通に楽しく喋っていたらいつの間にかそんな感じになっていたそうだ。正直めっちゃ怖いな…

「うーむ、危険な女だ。一発やるにしても何か手を考えんとな…」

「ランス様…もう近寄るのやめたほうが…」

「ええい、うるさい!」ぽかり

「きゃん!…えへへ…」

 叩かれたシィルさんは嬉しそうにしている。はいはいごちそうさま。

「でも、本当にやめといた方がいいと思うよ?お兄ちゃんああいうのに弱いっぽいし…」

「男はそう簡単にあきらめてはいかんのだ」

 まぁ色々あったけど、何はともあれ任務は成功だ。

 アリオスさんと話せなかったのは残念だけど、まぁ居場所はわかったし。また機会はあるよね。

 あたし達はゼス脱出集団への帰路に就いたのだった。




読んでいただきありがとうございます。

アリオスは史実よりも早く心が折れた結果、再建中の故郷に戻るのも早くなり、史実では間に合わなかったゼス崩壊の現場に居合わせることができました。
故郷の人々を連れてナガールモールまで避難し、そのまま義勇軍の一員として戦っています。
思わぬ再会もあったそうですが、それはまた別の機会に。


以下、妄想です。

罵詈雑言・二重奏

ランスが時折使う『罵詈雑言』スキルの強化版にして合体技。
強烈なイヤミを同時に両耳から流し込むことで
聞いた相手の心を折って自殺させる究極の罵詈雑言である。

単体でも100tzkのストレスを持つイヤミが相乗効果でパワーアップし、
その累計ストレスは10000tzkに達するとも言われる。
(1tzk=千鶴子の胃に1個穴をあける程度のストレス)

イヤミを言うには相手のことをある程度理解していなければいけないので、
初見の相手に浴びせることはできない。
末弟のシエマセはそれを単独で可能にするイヤミの天才、イヤミLv3持ちだったが、危険視されAL教に封印されてしまった。



イーディス・ノーベル
Lv24/41

話術Lv2 魔法Lv1 物書きLv1 詩Lv1

ナガールモール在住の貴族のお嬢様。黒いドレス姿のけっこうな美人。
天才的な話術の才能を持つが、ネルソンと違ってそれを十分に制御して利用し人生を楽しんでいる。
ランスに対しては好みではなかったので適当に言いくるめて説得し、魔法使い至上主義を軽めに植え付けて追い返した。

ゼスの貴族の例にもれず、非魔法使いは相応に見下している。
というか自分以外のすべてを見下しているある意味平等主義者で、自分が魔法使いなので非魔法使いを見下しているだけ。
ただし、今はそれどころではない状況であることくらいはわきまえている。
史実ではナガールモールが二級市民を追い出し始めた時点であーこりゃ持たないわ、と私財をかき集めてとっとと脱出、サバサバに逃げ込んで生存したが、
今回は割と粘っているので、引っ越しも面倒だし多少手伝おう、負けそうだったら逃げようと考えている。
なお両親はクーデターの時点でとっとと逃げだして、父親はJAPANで説得法師と名乗ってブラブラしている。

魔法使いとしてもそれなりだが、魔法のように魔力を制御するために呪文という言葉を使うのではなく、
言葉そのものに魔力を持たせられないかと考えている。
『言霊』と名付けたその理論を実現するために研究しているが、うまく行ってはいない。

実は彼女の理論は世界の仕組み的には正解で、
発動しないのは単純に魂の格が不足していてアクセス権がないため。
3級神か魔王程度の格があれば自由に扱うことができる。当然彼女は知らない。

詩にも通じていて、『ビュートン』というペンネームでいくつか著作を出している。
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