悪魔回廊からカンラに戻ったあたし達は、ロゼが泊まっている宿屋に向かった。一階が酒場、二階が客室になっているよくあるタイプの宿だ。
「おい、親父。ここにロゼって女が泊まっているだろう。どの部屋だ?」
ランスお兄ちゃんがなんとなく疲れた感じのおっさん店主に尋ねると、おっさん店主は億劫そうにこちらを向いた。
「あー。あの女か……二階の一番奥の部屋だけど……」
店主はあたしを見て続ける。
「お嬢ちゃんくらいの子には毒だから近寄らせない方がいいと思うなあ……」
「もしかして……」「あー……」
なんとなく察する。
「知ってるのか。まあ毎日毎日飽きもせず……お代はもらってるけど、掃除が大変なんだよ。追い出すにしても怪物を連れてて怖いし……さくばんはおたのしみでしたね、なんて言えるレベルじゃないんだ……」
はぁ、とため息をついて下を向く店主。
「ふーむ……」
お兄ちゃんは腕を組んで何やら空中を見て視線を上下に動かしている。
何をしてるんだろ、まるで選択肢でも選んでるような……
「よし、エール。お前は下で待っとれ」
「えー……?」
まああたしもそういうことに興味がないわけではないけど。あれは毒というのもわかる。
ふむ。……ちょっとおねだりでもしてみようかな……
「いいけど、あたしピンクウニューン飲みたいな」
期待を込めて、笑顔で手を突き出す。
「……まぁよかろう。おい、シィル」
「わかりました。はい、エールちゃん」シィルさんががま口からお金を出してくれた。
「やったー。ありがとー」
お兄ちゃん達は二階へ登っていった。
えへへへへ、なんかうれしいなぁ……あ、ちょっと多めにくれてる。お茶菓子も頼んじゃおっと。
「あ、おじさーん。ピンクウニューンとぷかまく餅ください」「あいよー」
あたしが待っている間、上からは色々声やら物音やらがしていたが気にしないことにした。
世の中には詳しく描写すると面倒になることもあるのだ。例えばタグとか。
運ばれてきたピンクウニューンをちびちび飲みながらぷかまく餅をもちもちかじっていると、疲れた様子のお兄ちゃん達が降りてきた。
「んぐんぐ……どうだった?」
「どうもこうもないわ!」ばくばくごくん
「あー! あたしのぷかまく餅!」お兄ちゃんは最後のを一口で食べてしまった。
「やかましい! だいたい考えたらお前、自分の金持っとるだろ!」
「てへっ☆」舌を出して片目を閉じ、頭をこつんとやって見せる。
「てへっ☆じゃなーい!」
「にょ~~~!?」お兄ちゃんに頬をつかまれてオクトマンみたいな顔になる。
「まったく、犯せもしないのにこんな……やっぱり妹なんてのはロクなもんじゃないな……」
「ふう。それでなにがあったの?」
「それがね……」
かなみさんの言うことには、なんでもロゼは悪魔を下僕にしていて、その悪魔とまぁそれはものすごいプレイをおっぱじめ、挙句に気絶したらしい。
悪魔を下僕にするのも相当だが、それにしてもやることがそれって何を考えているのかな……ナニのことかな……
思考が下品になってきたのでぶんぶんと頭を振って吹き飛ばした。
「それで、今ダウンしちゃった彼女を悪魔がお風呂に入れてるのよ」
「じゃあまだ話は聞けてないのね」
「もうそろそろお風呂上がるんじゃない? 行ってみましょ」
四人で二階の部屋に戻ると、ロゼが風呂上がりのうし乳をぐびぐびとやっていた。隣には毛むくじゃらの悪魔が控えていて、ロゼの髪の毛を乾かしたり汗を拭いたりとこき使われている。
悪魔の名前はダ・ゲイルと言うんだそうだ。
「ぷはー。で、ランスさん。何かご用で?」
「うむ、悪魔回廊に行ったが女悪魔が番をしてて通れなかったぞ。どういうわけだ」
「……変ですねぇ。私が行ったときには居ませんでしたが……」
その時はやっぱりトイレにでも行っていたのかもしれないな。
「悪魔のことは悪魔に聞きましょ。ダ・ゲイル、なにかいい方法ない?」
「へい、ランスさん。その悪魔は階級はいくつでしただか?」
「たしか9階級に落とされたとか言っとったな」
「なら、おらが協力すればどうにかなりそうだ。おらは8階級だすからな」
悪魔は上の等級の悪魔には逆らえないらしい。
しかし外見に似合わず腰の低い悪魔だ。ロゼにこき使われて下っ端根性が染み付いてしまったのかもしれないな。
厚かましく謝礼を要求するロゼにこの間拾った倍油を見せたところ、それでいいと言うので渡した。よくわからないがたぶんロクでもないモノなんだろう。
「んじゃランスさん、失礼するだ」
「うわっ」
ダ・ゲイルが黒いもやと化してお兄ちゃんの鼻に入っていく。
「平気ですか? ランス様」
『大丈夫だすよ、ちょっと体の中に入れてもらってるだけだす』
「うわぁ……お兄ちゃんからなんか悪魔の気配がする……斬っていい?」
ついつい剣に手をかけてちゃきちゃき言わせてしまう。
「いいわけあるか! お前はなんか悪魔にはやたら厳しいな……」
「そりゃAL教徒ですから」
「ともかく、これで俺様はあーくまのちーから、みーにーつ……」
「わーわーっ!」あたしは慌てて叫んだ。
「うおっ? なんだ急に!?」
「色々あるの!」世の中には描写すると面倒なことになることもあるのだ。歌詞とか。
「じゃれ会うのはそれくらいにして、これであの門番の悪魔をどうにか出来るわけでしょ? 早く行きましょ」
あたしたちは四人と一匹は宿を出て、再度悪魔回廊へと向かったのだった。
ちなみにランス君がエールちゃんを待たせないで二階につれていくと色々あってゲームオーバーです。
エールちゃんがダ・ゲイルの言葉を内容を真に受けて助けるために切りかかったら、これはプレイだといわれた挙げ句『都庁』が抜けた拍子に、顔に『カルーピス聖歌隊』を浴びてしまい
RD『びっくりしてついやっちゃった。ごめんね』
みたいな感じです。