【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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39.エールちゃんは手伝う

 エレベーターでハイパービルの198階までぎゅーんと一気に来た。心なしか空気も薄いような気もする。

 階段で199階に上がると、そこはだだっ広い広間になっている。

 セルさんはあたりを見回して、頷いた。

「……ここがいいでしょう。迎え撃つ準備をします」

「ふむ、何を仕掛けるつもりだ?」

「魔封印結界を使います」

 お兄ちゃんに尋ねられて答えるセルさん。

「あ、魔封印結界……そうだ、そんな名前だった」

「エールさん? 戻ったら神魔法についてちゃんとお勉強しましょうね?」

 うわっ藪へびさんだった。

 魔封印結界は、4つの触媒を頂点としたひし形の中心に魔なるものをとらえて滅する神魔法で、魔人に対抗できる数少ない手段の一つだ。

「ああ、それで聖武具を……あれ? 剣盾鎧で3つしかないんじゃ?」

「エールさん、忘れましたか? 触媒は一つは術者本人で代用できます」

「あっ……あー……でもたしかあれ、術者にもだいぶ負荷がかかるやり方だから推奨しないって……」

「む、それはいかんぞ。まだ俺様が手を出してないのに。セルさん、何か他の手はないのか」

「……ほかに聖なるものの心当たりがありませんので。オレリィ大聖堂の聖遺物は大きいので持ち出せませんし……」

「むむむ……おい、エール。お前も信者だろ。なんか持っとらんのか」

「え~……急に言われても……」

 お兄ちゃんに無茶振りされたあたしは鞄とと服をごそごそ漁るが何も見つからない。仕方ないので胸元から聖印を引っ張り出した。

「そうだなぁ……AL教関連って言ったらこの聖印くらいしか……へ?」

 取り出した聖印はキラキラと光り輝いて神聖なオーラが出まくっている。

「「うおっまぶしっ」」あたしとお兄ちゃんは目を押さえた。

「エ、エールさん!? それはいったい?」セルさんも血相を変えている。

「え? ジフテリアのおみやげ屋さんで40Gで買ったものですけど……さっきまではこんな風には……ん?」

 あたしはその光とオーラに見覚えがあった。さっきあったことを思い出す。

 

 ほわんほわんほわん(回想の音)

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『うおおおおおお! エールスリーパーホールド!』ぐいぐい

 エールの服の襟から聖印がこぼれて金髪の女性の顎あたりにかかる

 首をぐいぐい絞められて神々しい金髪お姉さんの口が少し開く

 ぽたっとなんか垂れる

『……まぁいいや! なんだこの試練! エール式プルマ・ブランカー!』

 エールは気にせず次の締め技に移行した……

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 ほわんほわんほわん(回想終わりの音)

 

「あっ」

「な、何か心当たりが……?」

「その、神様っぽい女の人の……涙的なアレがしみ込んだ……みたいな……?」

「まぁ! いずこかの女神の涙が!? それは一級の聖遺物ですよ!」

 うん。まぁそういう事にしとこう。調べたことはないが成分的には似たようなもののはずだ。たぶん。

 あたしたちは早速聖武具とアレつき聖印を所定の位置に置いた。

 セルさんが陣のそばに伏せる。あたしも補助のために付き添った。

「じゃ、お兄ちゃん。この真ん中に魔人をどうにかおびき寄せてね」

「任せておけ、お前らこそしくじるんじゃないぞ」

 

 お兄ちゃんは200階に登っていった。ほどなくして何かが破壊される音や走り回る音がし始める。

 物音は200階のあちこちを移動し……階段を下りて、お兄ちゃんが走ってきた。けど真後ろにはもう魔人サテラが! 

「いい加減にしろ! 追いついたぞ。さぁ武具はどこだ!」

(魔人がお兄ちゃんの前に回り込んだ! 速い! けど……)

 そこはまさに陣の中心だった。

「それはな……すぐにわかる!」お兄ちゃんが飛びのいた! 今だ! 

 

「「天にまします我らが神よ。四方より、聖具と共に、捧げ奉ります」」

 セルさんが朗々と聖句を唱え始める。あたしも渡されたアンチョコを頼りに、声を合わせて祈りを捧げる。

 4つの触媒を起点に四角い領域が発生、真ん中に魔人サテラを捉えた! 

「ふん。罠だったか……魔人のサテラにそんなものが……えっ、あ あああ!?」

 電磁波と稲光に包まれ、悲鳴を上げるサテラ。確実にダメージが入っているようだ! いける! 

 

「「呪われし魂に安らぎを

 邪なる息吹に浄めの祈りを

 魔なる者よ。呪われし者よ。邪なる者よ。

 祝福の雷霆に導かれ、とこしえの眠りを。

 彼の者に、哀れみを。魔封印結界!!」」

 

 完成直前。何かがそばをすり抜けた。衝撃音。見れば細身の方のガーディアンが陣の中心に移動していて、魔人は結界の外で痛みに悶えている。

「イ、イシス……? あ……ああ……」サテラが伸ばした手の向こうで、魔封印結界が完成し、ガーディアンはボロボロに朽ちて消えていく。

「シーザーに加えて……イシスまで……よくも……お前たち、許さ……ひゃあっ!?」

 怒りと痛みに震えるサテラが立ち上がろうとしたところでお兄ちゃんが襲い掛かった。

「がーはははは! こうなっては魔人もただの女の子だな! たっぷり可愛がってやるわ!」

「な、触るな! サテラはお前なんか……ひゃあん!」

 うん。いつものスーパー非道タイムがおっぱじまっている。

「な、なななな……」

「セルさん。見ないほうがいいよ」あたしはセルさんの目をふさいだ。

 描写すると面倒だからね。タグとか。

 一通りいじり倒し、くてっとしたサテラをいよいよ……というところで198階の階段から轟音が響く。

 見ると1階でスクラップになったはずのガーディアンがボロボロの状態で立っていた! 

「げっ! まだ動くのあれ!?」

「サテラサマ!」「ぬおおおっ!」お兄ちゃんの方に突っ込んできたのをズボン脱いだままとっさにかわすお兄ちゃん! 良い子は見ちゃいけないハイパーな何かがぶるんぶるんと揺れている! 

 ガーディアンはサテラをひっつかむとビルの壁を突き破り、飛び降りていった。

 ばっちり見てしまった悪い子なあたしは壁のそばまで寄って確かめたが、すでにガーディアンの姿は見えなくなっていた。

「ダメだ、もう追えないよ」

「チッ、やり損ねたか。まぁいい、俺様の奴隷は取り戻せたからよしとするか」お兄ちゃんがズボンを履きなおして言う。

「よかったー。シィルちゃんも無事だったのね」とマリアさん。

「おお、あいつめ、水が溜まっていく水槽に閉じ込められていてな。もうほとんど水に……あっ」

 お兄ちゃんは一瞬顔を青くしてぴゅーっと200階に走っていき……

 しばらくした後くてっとしたシィルさんと一緒に戻ってきたのだった。

 




ヌヌハラさんのエールへの反応について考えてました
いわゆる壁を越えるタイプのキャラで、女ランスの写真や魔人の情報などどうやって調べたかわからんことも知っています。
どこまでが限界なのか、正体がなんなのかは謎が多いですが、あくまで調べがつくことまでしか知らないという前提で考えますので、エールちゃんの正体についてはわからんとします。

彼女がランスの過去について調べていないはずがなく、キースギルド所属後の仕事履歴とかは漁っていると思いますが、それ以前はランスが言わなければわからんことなので調査は出来てないはず

そこにドーン!実妹登場!名字判明!と来たので狂喜乱舞でいろいろ調べるんじゃないかと思います。

ただ、エールちゃんがヌヌハラさんと接触するのは恐らく無理なので、何か触れるなら番外編になりますかねー。日記とかレポート形式でなんとか…
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