結構好きな魔法なので使いました
ヒーリング9。
ヒーリングというのは肉体を活性化して、傷や体力を回復する魔法だが、この活性化作用を限界を超えて高めていくことで肉体を一時的に強化し、回復しながら戦うことができる。
神官戦士の切り札になりえる魔法……なのだが。
回復しすぎて知能が一時的に低下する、魔力消耗が激しい、などのリスクがある。
危険な魔法だけど、あたしは魔法はヒーリングくらいしか使えない分さんざん使い倒してきた。経験値には自信があったし、これまでにも何度かこっそり練習していた。
そんなわけで実践投入してみたのだが……
「しゃああああああああああ!」迫るゾンビを片手の袈裟斬りで断ち割り、もう片手で首を飛ばす。
まさに絶好調だ。動きもどんどん冴えてくる。使える……あたしは確信した。
「あは、ははは……ははははははは!」動きの鈍いゾンビなんてもう巻き藁と変わらない。唐竹で真っ二つ、胴を力任せに叩き切る。四肢を斬り飛ばして蹴り砕く。だんだん楽しくなってきて、あたしは踊るようにゾンビを狩り続けた。
(……あれ、ここはどこで、あたしは何をしてんだっけ?)
疑問が浮かぶが、まぁいいや。気分は最高だ。
気が付くと周りに立っているゾンビはほとんどいなかった。物音がして、あたりを見回すと、ちょっと離れたところから緑の服のゾンビが向かってきている!
「
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ネカイと一発やった俺様は、うぞうぞ動いているゾンビをバラバラにしてネカイを解放してやった。
「ふぃー。まさか処女とは思わなかったが、なかなか良かった。苦労した甲斐があったな。がはははは」
「うう……高くついたわ……」
ちょっと内股で涙目のネカイはぷるぷるしている。
「さーて、リングも集まったしそろそろ金に替えにいくか……おっと」
離れたところから、先程と同じような轟音。見れば建物が崩れている。
「危ない町だなあ。そのうち建物も全部潰れるかもしれんな……ん?」
「ランスー!」
崩れた建物の方向からなんか石ころを持ったマリアが走ってくる。
「どうした、そんなに急いで」
「この鉱石をエールちゃんと取りに行ったら建物が崩れてきて! エールちゃんが向こうに取り残されちゃったの! ゾンビもいっぱい湧いてて……」
「なんだと!? いつもいつも手間のかかる奴だ!」
急いでそっちに向かった。崩れた瓦礫の向こうからは戦闘の音が聞こえる。エールの奴が戦っとるようだな。
瓦礫は今にもさらに崩れそうで、これを登るのはちょっと無理そうだ。
「スー、ヒトリデナラ、登レル」「危ないからよしときなさい」
「どっかから回りこむしかないか……」どこかに回り道はないか左右を見回す。
「ランス! こっちから行けるわ!」ネカイが近くの路地から手を振っていた。
「詳しいのか?」「ゾンビ相手に逃げ回るには必要だからね!」
ネカイについて行き、狭い路地裏を走り、無事な建物を通り抜けると、そこは瓦礫の向こうだった。
「おいエール……! ってなんじゃこりゃ……」
通りには実にスプラッタな光景が広がっていた。バラバラになったゾンビの肉片や四肢が散乱している。
「きゃははははははははははは! うふふふふふふ! ちょりゃ──────ー!」
そして、エールの奴がめちゃめちゃに暴れ、残ったゾンビを文字通り粉砕していた。
「……すごい、エールちゃん。あんなに強いなんて……」「いや、あんなパワーはなかったはずだが……」
話し声に気が付いたのか、エールの奴がこちらを向いた。目が赤く光って……どっかで見たような?
「まったく、人騒がせな真似をしおって……」説教でもするかとエールの方に数歩近づくと、奴は剣を抜いたままこちらに走ってくる。
「なっ? おい!」「ランス様! あれ、ヒーリング9です! マリスさんがリーザス城で使っていた……!」シィルが叫ぶ。それで思い出した。あの暴走するやつか!
「ちにぇ──────────────────ー!」
何か言う前に、呂律の回らんエールの奴が襲い掛かってきた!
「ちっ、ぬっ、がっ、ぬおおおおおおおお!」
飛び上がっての振り下ろしをとっさに抜いた剣で弾き、次々に繰り出される両手の剣を必死に防ぐ。
一つ一つの斬撃がかなり重くて速い! 手が軽く痺れてきやがる。
「炎の矢!」シィルの放った魔法がエールに直撃した。
「シィルちゃん!?」マリアが叫ぶ。
「ヒーリング9は治癒能力もブーストしますからちょっとくらい大丈夫です! それより、速く止めないと命に係わるんです!」
言葉の通り、エールの傷は見る見るうちに癒えていく。
「なるほどね、ならちょっと無茶するわよ」「うう……ごめんねー……」志津香とマリアもそれぞれ構える。
「スー、ヤル……えーる、助ケル……」スーも斧の刃を返した。
「いっけえええ!」チューリップから打ち出される砲弾をエールは横に飛びのいて躱した。
「しゃああああああああ!」そのまま方向を変えて切りかかってくる横合いから、スーが斧で殴りかかった。ガギギギギィンと素早く数合打ち合い、エールの大振りを斧で受け、その勢いで飛び離れる。
「効イテナイ……」エールは何発か殴打を食らったようだが、まるで意に介していない。
「……我慢してよね……ファイヤーレーザー!」志津香の魔法をエールは躱そうとしたが、魔法から逃げられるわけもなく、曲がったレーザーがエールに直撃する。
体勢を崩したところに俺様は一気に切りかかった。
「ふんが────!」力任せの横薙ぎで、剣を一本弾き飛ばす。反撃で切り払ってきたのをしゃがんで避ける。
「ラーンス……」しゃがんだまま剣を振り上げると、エールはびくっと震えて頭上を防御した。「……コサーック!」その軸足をすぱーんと俺様の長い足が払う!
転倒したエールのもう一本の剣を弾き飛ばし、俺様は妹を抑え込んだ。
「こら! おとなしくせんか! 乳揉むぞ!」「はなちぇ──────────ー!」じたばた
ダメだ、ちっとも収まらん。ぶん殴って気絶させるしかないか……と思った瞬間。
「はい、ちょっと失礼♪」
しゅるん、と暴れる首に細い腕が周り、きゅっと締め付けたかと思うとこてん、とエールは昏倒した。
「ネカイか。いつの間にかいないと思ったら……」
「ま、助けてもらったし。これくらいはね?」
エールの目を確かめてみるが、例の赤い光はもうない。
「お疲れ様です、ランス様……」シィルが水を差しだしてくる。受け取って飲みながら顎をしゃくってエールを示した。
「はい、治療ですね。いたいのいたいのとんでけー……」
「……はぁ、普通ならお礼にセックスでも要求するところだが、コイツ相手じゃそうもいかん。本当に面倒くさいもんだ」
気晴らしにネカイの乳でも揉むか、と振り返ると、もうそこには誰もおらず、求人票が一枚落ちていたのだった。
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と、いうようなことがあったらしく。
あたしは帰りのうし車のなかで全身筋肉痛で寝込んでいた。
「あう~~~~~~~あちこちが……っていうか全身が痛い……」
「ふん、当然の報いだ。しばらくおとなしくしとれ」
「大丈夫ですかエールちゃん? 湿布張ります?」「うう……お願いします……」シィルさんは優しいなぁ……あいたたた……
うし車の隅ではセルさんも膝を抱えている。
「……ゾンビ浄化にかまけて友人の危機を見過ごすとは……私は……」
「全くしょうがない連中だ。俺様がいなかったらどうなっていたことか。せいぜい感謝するんだな! がはははははは!」
お兄ちゃんのやかましい声を響かせながら、うし車は街道を走っていったのだった。
ランス6で難易度低下のパッチが配布されてて、入れてみたら踏破マップが踏んだところだけでなく回り8マスをカバーするようになり、冒険功績が全て2倍、さらに経験値も増加しててすごく遊びやすくなってました
これでペンタゴン基地の落とし穴を全部踏むとかしないで済むし、ボスマスに踏み込まないと100%にならないダンジョンのマップもよく見られます。
めちゃめちゃ楽しくてあっという間に一周遊んでしまいました