【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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原作ではけっこーな被害を受けていた赤軍ですが、神官が随伴してくれたことで大分被害を押さえられてます。


46.エールちゃんは悪口を言う

「はぁ!」「ぐっ……」何人目かの小隊長と思しき騎士がレイラさんに喉を貫かれて倒れた。

「ふぅっ……」「ひぃ……ひぃ……」

 レイラさんが少し深く息をつく。あたしはわりかしへとへとだ。

「お二人とも。疲れてはいませんか」

 リックさんが少し足を止めて問う。

「問題ないわよ、まだまだ……!」「ち、ちょっちきついかも……」

 こ、このへんは流石にマジで鍛えてる軍人と体力の差が出ちゃうな……

「……そうですか。エール殿は少し後ろに。魔法は少し温存しましょう」

 言いながら赤い光が空を裂く。飛んできたボウガンの矢を叩き落としたのだ。

 振られたバイロードが目にもとまらぬ速さで翻り、ヘルマン騎士の兜が首ごと宙を舞う。

「ば、化け物か……」

 はえー……本当にやばい。そこのヘルマン兵くんには同意かな……ん? 

『……ントラキノ……フタロシアニン……インジゴイド……』

 聞いたことがある力ある言葉。収束する魔力。視界の隅を青い光が掠めた。やばっ……

「魔法! 来ま……」「二人とも! 伏せて!」ほぼ同時にリックさんが叫ぶ。

 とっさに身を伏せたあたしたちの頭上を青い光線が貫いた。

「お……あ、が……」「か、体が……」後ろにいて光線を浴びた兵士の体が水晶になっていく! この魔法は……? まさか!? 

「ちっ……外した!」「そこ……お前か!」レイラさんが声の出所を指さすと、そこには青い丸出し女! 使徒のサファイアだ! 

「やっぱり! 地上灯台に居た丸出し使徒!」「っ……! ということは……」あたしの指摘に、レイラさんがサファイアをにらみつける。

 サファイアは悠然と視線を返し「ファインドアウト。見つけましたよ、レイラ」

「そう。あなたが私を洗脳していた魔人の……」

「ああ、そこの子からヒアリングしてましたか。そう。私が魔人アイゼル様の使徒、サファイア」サファイアの青い目がレイラを軽くにらんだ。

「レイラ、貴方……図々しくもアイゼル様の寵愛を受けておきながら、敵に戻って、しかも生きながらえているなんて……」

「……」レイラさんは黙って聞いている。

「けど、エネミーになってくれてよかった。これで遠慮なく……クラッシュできます」

「悪いけど、覚えてないわ。あなたの事も、その、女の意志を奪って操り人形にする……最低な魔人の事も!」

「お、まえっ……アイゼル様を……何と言った!」サファイアの目が血走り、手に魔力が籠る。が。

「その名前、自分にも覚えがあります」

 赤い光が一閃し、サファイアはギリギリ飛びのいた。

「女であろうと……洗脳能力者は危険すぎます。ここで討ちます」

「そうね。もう二度と操られるのはごめんだわ」

「あたしも丸出し衣装を着せられるのは嫌! お嫁に行けなくなっちゃうよ」

 バイロードが、細剣が、双剣が構えられる。

「アイゼル様の、ため……スタチューになって、クラッシュなさい!」

 

「藍色破壊光線!」「のわー!」いきなりぶっ放された石化魔法をバラバラに飛びのいて避ける。せっかくかっこよく決めたのに! 

「ラァァァァァ!」赤い軌跡がサファイアに襲い掛かるが、使徒は人間離れした動きでそれをかわして距離をとる。

「疾っ!」レイラさんが間合いをつめて細剣を突き込むが、魔法バリアに防がれた。さらに下がったサファイアの口が笑みの形にゆがんだ。あ、この位置……二人をまとめて狙える角度! 

「まとめてストーンになりなさい……『藍色……」どうにかしないと、えー……そうだ! 

「やーい! アイゼルの変態! 倒錯趣味! ださださマントのかっこつけ顔だけ魔人──っ!」あたしはとっさに罵詈雑言を浴びせた! 

「……ワァーッツ!? 貴様ぁ!」サファイアの血走った目がこちらに向く! 

「殺す! 『藍色破壊光線』!」すごい出力の光線がこっちにぶっぱなされた! 

「ひえーっ! 変態魔人の露出使徒が変な魔法を撃ってくるよー! きっとえちえち魔法だー! きゃー!」目をつけていた岩陰に飛び込みながらもおちょくる。

「あああ! エスケープするな! アントラキノン……!」

「こっちがお留守よ!」完全にこちらを見ていたサファイアに側面からレイラさんが突っ込む! 細剣が霞み、キキキキィンと金属音が何度も響く! 

 魔法バリアで弾かれるが……破れた! 

「このっ……レイラっ……」「貰った!」その瞬間、赤い光が何度も鋭角に翻った。

「あっ、ぐ、あああっ……!」サファイアの体のあちこちに傷が刻まれ、血を流して倒れこむ。

「ここまでよ!」レイラさんの細剣がサファイアにトドメを……

 その瞬間。あたしはうなじが総毛だつような……そんな感覚を覚えた。

「危ない!!!!!!」理由もなく叫んで、そこを飛びのく! 

 次の瞬間。「……『黄色破壊光線』!」あたしの立っていた場所を黄色い光が貫いた! 

「くっ!」レイラさんはギリギリで転がってその光線を避ける。

「うわあっ! な、なんだこれ……あ、あ!! ……俺の手が! 体が! 腐る! あ”あ”あ”ああ……」光線が直撃したヘルマン兵士が鎧ごとぐずぐずに腐って溶けていく! 

「う、うわぁ……」「なんて魔法……」死んでも食らいたくない。まぁ食らうと死ぬんだけど……

「あらあらサファイア……人間相手に負けちゃうなんて……なっさけなぁい……それも二回も……ぷぷぷ……」

 腐食魔法が飛んできた方向を見れば、黄色い服を着たやはり丸出しロリが笑い転げていた。あれも使徒か……やっぱ変態なのでは……

「くっ……トパーズ……何しに……」サファイアが憎々しげに漏らす。黄色丸出し娘はトパーズというらしい。

「アイゼル様のご命令よ。ガーネットと3人で……『アレ』をやりなさい、って。だからぁ、仕方なく! あたしが! 助けに来てあげたの!」

 あざ笑うトパーズに、「むざむざと逃がすと思うか」リックさんが剣を突き付ける。

「くすくす……流石にそんなこと思っちゃいないわぁ……だから、ね……」ごごごご、と地響きがし始め……岸壁が崩れだす! 

「い、岩が! 腐って……崩れるぞ!」「うわあああ!」「ひゃ──!」

 あたしたちは走り回って必死に逃げた。解放軍、ヘルマン、どちらの兵士も関係なく、何人か下敷きになる。

 土煙が晴れたころには、青色の使徒は姿を消していた。

「くふふふふ……」高台の上にトパーズだけ立っている。「それじゃあお暇するけど……その前に」口から笑みを消してギロりとこちらを睨んだ。

「そこの、アイゼル様の悪口をいった小娘。名前は?」

「フランチェスカです。(きっぱり」

 後で復讐とかしてくるやつじゃん。あたしは適当に名乗った。

「そう、覚えておくわ……じゃあね」トバーズは去っていった。

 

「……逃がしてしまいましたか」リックさんが使徒が去った方向を見る。

「はぁー……死ぬかと思った」あたしはその辺の岩に座り込んだ。

「ありがとう、エールちゃん。助けられちゃったわね……」レイラさんに対して片手を上げて応える。

 一歩間違えれば二人そろってコーのゾンビみたいになってた……こんな美女と美少女が若い身空でそんな死に方したら世界の損失だよ……お兄ちゃんも悲しむし……

「使徒は逃がしましたが、片方には深手を負わせて、だいぶ深くまで食い込めました。作戦は成功と言って良いかと……む」

 リックさんが言ったと同時に、3発目の照明弾が撃ち上がった。細道を進むレンジャー隊への合図だ。

「お兄ちゃんもそう判断したみたい」

「となれば、ここで待機して次の動きに備えるべきね……はぁ……冷やしたぐびぐびちゃんが恋しい……」

 どうやら、あたしたちはちゃんと仕事をこなせたようだ。レイラさんも一仕事終えた、とばかりに岩に腰を下ろす。

 座り込んで服を良く見てみると、返り血やら土ぼこりやらで結構汚れている。みっともないから上からなんか着ようかな……

「エール殿の治癒魔法のおかげで被害も少なく済みました。お礼申し上げます。

 ……これから追撃の準備をいたしますが……お二人は如何されますか?」

 リックさんが赤兵の皆さんを率いてこちらに尋ねてくる。マジか赤軍……パネぇ……

 あたしとレイラさんは顔を見合わせ、

「いいけど……」「ちょっとだけ休ませてもらえませんか……」

 口々に言ったのだった。




もともと黄色担当なのにオパール(白っぽい宝石)って名前だったけど、03でトパーズと名前を間違えられ(結果的には正解)、単独の戦闘シーンがなかったために黄色破壊光線の効果も不明、
性格も暗くておっぱいもない上に出番もなくて影も薄い
トパーズちゃんに愛の手を!というわけでちょっと出しました。

織音設定で腐食光線だそうです。怖いですね。

お気に入りが200を越えました。やったぜ!

妄想ネタはいつでも募集してますので、感想に書き込んでもらえれば気が向いたら書きます。
今書いてるのは
・11if.エールちゃんは怒られなかった
・番外編 エールちゃんは昇竜山を登る
とかですね。本編と並行して書いてるので、発表がいつになるかは不明ですが、気長に待って頂けるとありがたいです
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