【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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土壇場前におつかいイベントみたいな感じであちこち回る羽目になるのはなかなか描写が難しいです


61.エールちゃんは走り回る

 崩落がやんだあと、あたしたちは酒場を出てバレスさんたちと合流した。メナドとかなみさんは友達らしく、お兄ちゃんがメナドの言うかっこいい彼氏だと聞いて頭を抱えていた。

 まぁ、明らかにお兄ちゃんの事誤解してるんだけど、なんとなくお兄ちゃんに引っ掛かってた方がましな気がするんだよね……めちゃめちゃちょろすぎて心配になるし……

 

 んで、指揮官を失ったヘルマン軍はとっとと逃げてしまったそうな。

 まあみんながみんなトーマの部下みたいに最後の一兵まで……って感じにはならないよね。捨てゴマ同然に使われたばっかだし。

 サウスの守備はメナドたち都市守備隊が請け負ってくれるそうだ。

 ボロボロなのに頑張るなあ……

 というわけでヘルマン軍の拠点はとうとう首都リーザスのみになったのだった! 

 なんかメガネのイケメンが率いる白軍も参加するらしいしもうあたしたちに敵はない! 

 攻めやすいノースから回って青軍と合流! 首都リーザスを攻撃だ! 

 勝った! エールちゃんの冒険第1章完! 

 

 というわけにはいかなかった。

「う──ー……つかれたよー……もうヒーリング無理ぃ……」

「エールちゃん、……もうちょっとでノースに着きますから……」

「……神よ……これは試練なのですね……」

 解放軍はリーザスの西から襲いかかったのだが、いきなり大量の岩石が飛んできてボッコボコにされてしまったのだ。

 あたしとセルさん、シィルさんの三人は大量のけが人にヒーリングをかけまくった結果、へとへとになりうし車の荷台でへばっていた。

 

「こらジジイ! 負けてしまったではないか!」

「うむむ……面目次第もございませぬ……あれほどの兵器を備えているとは……しかしこれはチャンスですぞ! カタパルトなどの兵器は移設に時間がかかりまする!」

「なるほど! つまり別方向から……サウスから攻めればあれはないわけだな! よし! すぐに出撃だ!」

「ははっ!」

 今度こそ勝った! 第1章完! 

 

 やっぱりそういうわけにはいかなかった。

「……あーうー……」

「……ひん……ひん……」

「……神よ……」

 解放軍はリーザスの南から襲いかかったのだが、いきなり大量の岩石が飛んできてボッコボコにされてしまったのだ。

 あたしとセルさん、シィルさんの三人は以下略。

 へとへとを通り越して口から魂を吐きながらへばりにへばっている。

 

「……おいジジイ……!」

「め、面目次第も……」

「お前の面目なんぞもうとっくに在庫切れとるわ! 腹を切れ腹を!」

 

 どうにか様子を見てきたかなみさんが言うには、どうもヘルマン軍が運用しているのはカタパルトではなくてコンタートルというモンスターの群れらしい。モンスターなので自分で動くから展開もすぐに終わるというわけだ。

 優秀な魔物使いがいるみたいだ……まいったなあ……

「切れんなら俺が介錯を……」

「ランス~! ヘルマン軍から使者が来てるわ!」

「あん? 使者だと?」

 お兄ちゃんの左手が剣から離れ、あたしたちはほっと一息をついた。

 

「……降伏勧告だぁ──────ー?」

 使者が持ってきた手紙の内容は、パットンとか言うヘルマンの皇子からのえらそ────ーな文章で降伏を勧める文章だった。

「うーむ……合戦の前に儀礼的な降伏勧告をするケースは時おりありますが……これは……?」

「何考えてんのかしら? ほとんどの兵士を失って首都に追い込まれた状況で……」

「うーん、指揮官がアホとか……?」

「皇子だろ? 流石に部下とかいるんじゃないか?」

「でもさんざん倒したし……」

「ふむ……ふむふむふむ……なるほどな。ふむ……」

 あ、なんかお兄ちゃんが悪巧みしてる……

「よし! 俺様にいい考えがある! ……エサは何がいいか……そうだな。ゴールデンハニーがいいか。どっかにいなかったか?」

「ゴールデンハニーって……悪魔回廊にいたやつ?」

「そうそれだ! おいバレス! お前らは適当に準備しとけ! 俺様たちは悪魔回廊にいくぞ!」

「「「「えー?」」」」

 

 というわけでなんでかわからんけどあたしたちは悪魔回廊にやってきた。

 一度通った道をずんずんと進んでいく。

「それで、ゴールデンハニーをどうするのよ」

「ふっふっふ、俺様に任せておけ」

 GOD様のブロマイドはなんか脇に片付けられていたので踏まずに済み、なんかリターンデーモンも粗方いなかったのであっさりゴールデンハニーの居場所にたどり着いた。

『は──────ーに──ーほ──────ー』

 でかくて間延びした声でどしーんどしーんとゆっくり動きながらうろうろしている。

「よし! ではやるぞー! ものどもかかれー!」

 お兄ちゃんの号令であたしたちはゴールデンハニーに襲いかかった。

 

「ランスアターック!」

『あ────い────や────ー!』

 ばきーんと音を立ててゴールデンハニーは砕け散った。

 アホみたいな体力とやたら広範囲のハニーフラッシュを放ってくる強敵だったが動きが鈍すぎた。後ろに回ってお尻(?)を叩き続けることで楽に退治できたのだ。

 辺りには金色に輝くハニーの破片がいっぱいだ。

「わーキラキラ……」「でもこの状態じゃ価値はないわよ。ハニー造幣局にGOLDに加工してもらわないと」

 そういうものらしい。

「で、お兄ちゃん。この金色のフニフニした破片でなんかするの?」

「しまったな……つい勢いで倒してしまった。生け捕りにしたかったのだが……」

「はぁ? 生け捕り? 無茶よこんなでかいモンスターを生け捕りなんて……」

「うーむ、元誘拐犯がいうと説得力が……もがもが!」

 お兄ちゃんはかなみさんに口を塞がれていた。

「それはいわない約束でしょうが!」

 まぁ、忍者なんてやってると色々あるんだろね。

 

 ハニーの生態に詳しい人に聞いてみよう、ということでティティ湖にやってきた。美しくて大きな湖だが今は湖の真ん中にでかいハニワの像が建っている。

 ハニワ教の神殿だそうだ。世も末だ……

 お兄ちゃんが信者のコリンという女の子と何やら話していたが、切り上げて戻ってきた。

「コリンも黄金はにわブッダ……じゃない。ゴールデンハニーの捕まえ方は知らんが、ノースにいるらしい教祖ならなにか知ってるかもだそうだ」

「えー? 今度はノース?」

「文句をいうな! さっさと行くぞ!」

 

 ということでノースにやってきた。今回走り回ってばっかだな……

「ここでハニワと言えば……」

「やはりこの変なビルになるのかな……」

 前はあたしだけ入らなかった入り口にハニワマークのある変なビルだ。

 中にいる変な連中を叩いてしばいてぼてくりまわして進んでいく。

 良く見ると三人しかいなくてコスチュームやポーズを変えて使い回してるだけだけどまあどうでもいいや。

 バントの構えをしている変なヤツをべしーんとはたいて階段を登ると、そこには窓際でコロッケを食べているハニワさんがいた。

「おい、そこのハニワ。おまえハニワ教の教祖とかいうヤツを知らんか」

「え? ティティ湖の? それ私だけど……」

 マジか。これがか……確かに浮世離れしてタッチが違うような……

「なら話が早い。ゴールデンハニーの従わせ方を教えろ」

「ゴールデンハニー? なら私と同じくめがねっこが好きだから、めがねっこを口に放り込めばいうことを聞くよ」

「めがねっこ……」「めがねっこねぇ……」

 あたしたちはマリアさんを見た。

「えっ……えーっ!?」

「がはは、良かったなマリア。そのメガネがまた役に立ちそうだぞ」

「うれしくなーい!」

「さて、用は済んだ。とっとと行くぞ!」

 お兄ちゃんがさっさと部屋から出ていった。あたしも行こうとすると、

「ああ、キミキミ。ちょっといい?」ハニワさんに呼び止められた。

「え? 何ですかハニワさん」

 ハニワさんはあたしの顔をじっと見てから、ゆっくりと尋ねた。

「……キミ、今、楽しんでるかい?」

「……はい! とっても!」あたしはなにも考えず、素直に答えた。

「……そうか。なら私も頑張った甲斐があったよ!」ハニワさんはうれしそうに笑った。

 

「ところでキミ、めがねかけない?」

「かけないです」

「そんなあ……」

 ハニワはしょぼくれた。

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