【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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立ち絵はあったし心の目でみてください


62.エールちゃんは服を脱ぐ

 ゴールデンハニーの口にマリアさんを放り込むと、ゴールデンハニーは大喜びして実際おとなしくなったので、早速台車にのせてサウスの町まで運んできた。

 ゴールデンハニーは見た目の割に軽いのか、割りと簡単に持ち運べたが……

「で、ランス。このゴールデンハニーはどうやって使うの?」

「おう。えー……あいつがいいか。おい! リック!」

「お呼びでしょうか」

「おう。お前にはやってもらうことがある……というわけで! 俺様のランス・ザ・ゴールデン作戦を説明する!」

 

「……というわけだ! わかったか!」

「……つまり、あのゴールデンハニーの中にあたしたちが入って、リックさんがあれを手土産に降伏するふりをして城門の中に入れさせる、夜に出ていって内側から門を開いて一気に攻め落とす、と……」

「まあそういうことだ」

「うまく行くかなあ……」

「あんな手紙を送ってくる皇子はアホだし、実際に使者を出したということは城内の連中はそのアホの命令を無視できない状態だ。

 アホ一人騙せばいいのだから簡単だ。必ずうまく行く。がははは!」

 うーん……心配だなあ……

 

 結論から言えば皇子はお兄ちゃんの読み通りアホだった。

 リックさんの降伏はあっさり受け入れられ、ゴールデンハニーの中に入り込んだあたしたちは、ゴールデンハニーごと防壁の中に入り込むことが出来た。

 のはいいのだが……

「せ、せまいー……」

「ちょ、ちょっとだけそっち詰めてくれ……」

「無理……こっちも限界……」

「す、すみません……」

「きゃっ! だれよお尻触ったの!」

「がははは、いい尻だ」むにむに

「なにこれ? なんか盛り上がってきてる」ぐいっ

「ぐわっ! こら! 俺様のハイパー兵器を乱暴に扱うんじゃない!」

「ちょん切っちゃっていいわよエール」

「ハイパー兵器? 剣は抜けないから噛みきらないとだめかな……」

「ぎゃー! やめろ! ギザ歯女!」

「み、皆さん……静かにしないと見つかりますよう……」

 いかに巨大なゴールデンハニーの中とは言え、何十人も入り込めば流石にぎゅうぎゅうだ。

『はははは! バカ皇子のあんな作戦でもうまく行くもんだなあ!』

『ヘルマンばんざーい!』『酒もっと持ってこい!』

 夜はとっぷりと更けて、外からは勝ち誇ったヘルマン兵が騒いでいる。

「そろそろいいな……お前ら、準備しろ」

「……」

 さっさとこの寿司詰め状態から脱したかったあたしたちは、お兄ちゃんの号令に答えて頷いた。

「よし! 作戦開始!」

 

「うぃーひっく……お? なんだあお前ら? もう酒なんて……」

「うるさい死ね」

 酔っ払ったヘルマン兵が一刀で切り捨てられ、ゴールデンハニーから出てきた皆が手筈通りに別れて駆けていく。

 地下道から侵入してリア王女を助けるお兄ちゃんたちのチーム。

 メンバーはお兄ちゃん、シィルさん、かなみさん、フェリス。それにあたしだ。リーザス聖剣が必要だしね。

 門を攻め落として開けるチームはマリアさんが率いる。

 

「かなみ! 地下道があるパリス学園はどっちだ!」

「えーとここはこのへんだから……こっち! ついてきて!」

 暗い町中をかなみさんについて走っていく。

 たぶん町並みはきれいなんだろうけど急いでるし暗くて良くわからないな。

 学園の敷地に入り、鉄の蓋を持ち上げるとその向こうは下水道だった。うげー……

「またここに来ることになるとはな」

「ヒカリさんの事件のとき以来ですね」

 お兄ちゃんたちは前に通ったことがあるそうだ。そのうち話を聞かせてほしいな……

 

 下水道は思ったよりは汚くなかったが、その分さかなモンスターやハニーがうろついていて、掻き分けながら進んでいく。

「ちょりゃ!」「炎の矢!」あたしが切り裂いたさかながシィルさんの魔法をくらって丸焼けになった。

 ちょっといい匂いだけど下水道のなんて食べたくない。

 お兄ちゃんが道を塞ぐハニーを蹴り砕くと、その向こうに梯子が見えた。

「おっ、あれだな!」「ええ、あそこから牢獄の近くに出れるわ!」

 梯子を登った先はどこかの地下通路だった。石造りでそんなに荒れてない。

 かなみさんが先導して走り出すのに続く。なんかあちこちでヘルマン兵が爆死したり石像になってたりするが気にせず進むと、先から悲鳴のような声が聞こえてきた。

「……やめて! それだけはやめてー!」「キャハハハ! やめるわけ……」「やめんかー!」扉を蹴り開けてお兄ちゃんが突入した。

「ダーリン! 来てくれたのね!」「きゃあ!? 誰よあなた! 誰か! 誰かー!」「がはははは! もう誰も来んわ!」

 かなみさんとシィルさんは続けて飛び込んだが、あたしは入り口で止まった。

 外から誰か来ないか見張る必要があるし、中に入るとタグとか面倒だからね。

 

 中でまあお仕置きをおっぱじめたあと、スッキリした顔で出てきたお兄ちゃんに続いてシィルさんとかなみさん、それから豪勢なドレスの黒髪の美少女と神官服の女性が出てきた。

「お兄ちゃん、その方が王女様?」

「おう、俺様の女で王女のリアとその保護者のマリスだ」

「え? お兄ちゃん? 貴女、ダーリンとはどういう関係?」

 うわっちょっと怖い……ていうか拷問されてたはずなのに割りと元気に見えるな……

「エール・クリアっていいます。兄がお世話になってます」あたしは頭を軽く下げた。

「えー!? ダーリンに妹なんていたの!?」

「えーいやかましい! それよりとっととカオスの力とやらを手に入れに行くぞ! マリス、どっちだ」

「では、いったんリア様の居室に向かいましょう」

 地下道を抜けて階段を上がって廊下に出た。

 城内からは戦いの音が聞こえてくる。ランス・ザ・ゴールデン作戦はマジでうまく行ってるようだ。

 

 マリスさんにリア様の部屋に案内された。

「うわっ……」「この人形……ランス様?」

 部屋のあちこちにお兄ちゃんの人形がおいてある。どれもこれも本物よりちょっとイケメンだな……ていうかちょっと怖い……

「えへへー。いいでしょ」

「肖像権の侵害だ! 金をとるぞ!」

「良かったですね、リア様。お金を払えばいくらでも作っていいそうです」

 お金持ちは怖いなあ……

 

 リアさんとマリスさん、わりかし無事に見えたけどけっこう効いてたようで、別室で少し休んでから出発することになった。

 居室から別の地下通路に入り、進んでいくとなんか客間みたいな部屋があった。

 特になにか目立つものはないんだけど……

「で、ここでどうするんだ」

「まずはランス様、お召し物をお脱ぎになってください」

「なんだ? セックスでもするのか」

「やーんダーリン大胆!」この人大丈夫なんかな……

「いえ、鎧です。聖武具をここで身に付ける必要があるのです」

「なるほどな……おい、シィル手伝え」

「あ、ダーリンのお着替えはお嫁さんの私がやるから!」

「きゃっ……」

 シィルさんをリア様が押し退けて、マリスさんと二人でお兄ちゃんに鎧を着せた。

「盾も持って……あれ? ダーリン。剣は?」

「お、そうだエール。剣を寄越せ」「はーい」

 あたしは腰からリーザス聖剣を外して渡した。

「それはリーザスの秘宝でダーリン以外に使うのを許した覚えはないんだけど?」リア様の目こわっ。

「俺様が許したからいいんだ。なにか文句があるか?」

「もう、しょうがないわねダーリン! 特別に許しちゃう!」

 いいんか……ギャップがすごい……

「で、次は……」

「王女にキスして愛を誓うの」

「はぁ? ホントか?」「……本当です」

 マリスさんが一瞬間を空けて答えた。

「まあそういうことなら……」「んー♥️」

 お兄ちゃんとリア様は熱烈なキスを始めた……っていうか舌を入れ出したようわー……

「うう……」シィルさんが複雑な目で見つめる中、ふたりはようやく口を離した。

「んーダーリンもう一回……」「えーいしつこい! 次はどうするんだ」

「はーい……。ぽちっとな」

 いつのまにか出てきていた壁のスイッチを押すと、部屋がゴンゴンと揺れ始めた。

「これ……部屋ごと動いてるの?」

「ええ。地下の封印の間に繋がる唯一の通路です」

 へぇーすごい仕掛けだなぁ。ほどなく振動は止まった。

 

「着いたな。封印の間ってのはどっちだ」

「こちらです」マリスさんがドアを開くと、その先から光が溢れ出した。

「うおっまぶしっ」

「なにこれ? なんにもみえない……てか熱っ!」

 光を浴びた服の袖がやたら熱くなってる。

「この先は不浄を持ち込むことは出来ません。お召し物を全て脱いで進む必要があります」

「えっ……えー!?」あたしも!? 皆の前で!? 

「着たり脱いだり面倒なことをさせおって……」お兄ちゃんはすぱーんと鎧と服を脱いだ。

 リア様もキャーキャーいいながらマリスさんにドレスを脱がしてもらっている。

「ひんひん……恥ずかしいです……」「悪いけど、我慢して……」

 シィルさんとかなみさんもしぶしぶ服を脱いでいる。いちいち描写はしないけど! 

「何をやっとるエール。お前もとっとと脱げ」

「そうよ。早くしなさい」

「う、ううー……こっちみないでよお兄ちゃん!」

「がははは、そんなこと気にしとる場合か」

 うううううう。

 あたしは仕方なく服をするすると脱いでいく。顔が真っ赤になっているのがわかる。

「へぇー。まだまだお子ちゃまだけど肌はきれいね」

「それなりに鍛えてもいるようですね」

「もうちょっと肉を付けんと抱き心地が良くないぞ」

 ぐっ……こいつら……好き勝手言ってくれる……

 とにもかくにも服は脱いだ。あたし一人じゃないなら平気! 大丈夫! とにかくそう思い込んだ。

 全裸に剣だけ持ってるのはなかなか辛いけど! 

「よし、それじゃあ行くか!」

 なにとは言わないがぶらぶらさせてるお兄ちゃんに続いてあたしたちは光に踏み込んでいった。

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