敗北エッチシーンが大変悲惨なのでみんな引こう!
「うわーーーっ!モンスターだー!」「きゃーーー!」「逃げろー!」
城門の方から聞こえるのは悲鳴、何かが壊れる音、叫び声、そして何か金属質のものがぶつかり合う音…戦闘の音だ!
「モンスター?どうしてこんな街中で…ちょっと通してください!」
あたしは逃げ惑う人たちの合間を縫って城門の方に向かった。
「ぼうぼう」「ぶひーっ」「ぐおーっ」
人混みの先では、うっぴーやぶたバンバラ、オッズとかのモンスターが暴れている。
健太郎さんの店と、その回りの建物数件が景気よく燃えていて、都市守備隊や町の人たちが何人か負傷して転がっていた。
「リトルプリンセスを捕らえろ!」
モンスターたちを率いているのはなんか青い顔した人間型のモンスターだ。でかい剣をぶら下げてて結構強そうだな…
(リトルプリンセス…?誰?美樹ちゃんかな?)
「ぶおおおお!」「やっ、どうーっ!」
ぶたバンバラが叫びながら槍を振り回してくるのを、健太郎さんが手にした刀で弾き…次の瞬間には刀を横薙ぎに振りきっていた。
掛け声は気が抜けてるけど…太刀筋は鋭い。
「ぶ、ひーっ!?」「くそーっ、まさかここまで襲われるなんて。美樹ちゃん、平気?」
倒れるぶたバンバラに構わず、美樹ちゃんに声をかける健太郎さん。
「あたしは大丈夫よ。でもお店が…」
「美樹、今はそれよりこの事態を切り抜けるのが先です。」
悲しそうにうつむく美樹さんに日光さんが声をかけた…姿が見えないけど…どこにいるんだろ?
「とりゃーーー!」「ぼおーっ!?うっぴぃ(断末魔)」
あたしも駆け寄り様に剣を抜いて火を吐きまくるうっぴーを切り捨てる。
「エールちゃん!?」
「助けに来たよ!日光さんは…?」
「私はここです」
健太郎さんの刀が喋った!?
「へ?日光さん刀に変身できるの!?」
「…そのようなものです」
そんな人も居るんだ。世界は広いなぁ…
まぁ、剣になっちゃった人間もいるし、ヘンダーソンみたいな感じかな?
「エールちゃん、ありがとう。実は…えーっと…」
「詳しい話はあと。狙われてるのは美樹ちゃんなのね?あたしが後ろで守って援護するから、健太郎さんは敵の頭を」
健太郎さんを遮ってこっちから提案する。
「…ありがとう!行こう日光さん!」
「はい、お願いしますね」
「健太郎くん、気をつけてね」
美樹ちゃんに軽く笑って頷いて、健太郎さんはモンスター達に突っ込んだ!
「てやー。めーん、こてー、どうー、かたー…肩?えーっと……まあ今はいいか!つきー!」
「ごあああ!」「うっぴぃ(断末魔)」「あいやー!」
気の抜けた声を漏らしながら次々に敵を切り捨てる健太郎さん。
て言うかなんだあれ…攻撃するところを宣言しながら打ち込んでる?
そんなアホみたいな戦いかたで、どうも攻撃の型もいくつかしかないように見えるが…太刀行きの早さはすさまじい。
手向かうモンスターたちは見え見えの攻撃をかわし切れなかったり防御ごと叩き切られたりして屍の山を築いていく。
はえー…こんなタイプの戦士もいるんだなぁ…日光さんもすごい切れ味だ。カオスと張るかもしれない。
おっと。こっちにも健太郎さんを避けてオッズが腕を伸ばして突っ込んできた。
「うがーーー!」「きゃっ!」「…美樹ちゃん、下がっててね!」
あたしは一歩前に踏み出し、オッズに向けて剣を突き出した。
オッズが鬱陶しそうに剣を払いのけ…その勢いを殺さずに踏み込みながら体を回転。二刀を一気に振り抜く!
「AL…魔法剣!」「ガッ…」胴を深くえぐられたオッズが自らの血溜まりに突っ伏す。
ちゃきっ、と残りの雑魚共に向けて剣を構えて見せれば、それだけで連中は突っ込んでくるのをためらって足を止めた。
これなら魔法で牽制も必要ないか…
「エ、エールちゃん強いんだね…」「まぁね。これくらいは…」
後ろで驚きの声を漏らす美樹ちゃんに目を向けずに答え、健太郎さんの方を確かめた。
「たぁー!とー!こてー!ぬわっ、なにくそ、負けないぞ。ええい、めんー!」
「ふんっ!がっ…くっ!このガキ!変な剣を使いやが…!がぁっ?」
健太郎さんと敵の頭っぽい青でか魔物が斬り合っている。あの魔物もちょっと強そうに見えるけど普通に押してるな…
「やあっ!かこぐー。たあっあー」「ぎゃああああ!」
最後は妙な掛け声とともに叩き斬った。うーん。健太郎さん、明らかにあたしより強い。
隊長がやられたと同時にモンスターたちは浮足立ち、あっという間に門から逃げてしまった。
「ふぅー。どうにかなった…」「お疲れ様です、健太郎。」
健太郎さんが刀をぬぐって鞘に戻すと同時にそばに日光さんが現れた。
「はえー。どういう仕組みなんだろ…」
日光さんと健太郎さんがこちらに戻ってくる。
「美樹も無事ですね。エールのおかげかと」
「うん、ありがとーエールちゃん!」「ありがとー!」
カップルから口々にお礼を言われてちょっとたじろぐ。
「いや、そんなにお礼を言われるほどのことじゃ…それよりも…」あたしはぐるりとあたりを見回した。
道には壊れた屋台やモンスターの死体、けが人が転がり、周辺の建物のいくつかは燃え上がっている。
戦闘が収まったと見た市民たちが怪我人を介抱したり消火を始めたりしていて…
そして、健太郎さんたちの店、『かぶとむし』はまさに今、燃え崩れようとしていた。
「大変なことになっちゃったね…」
「そうだね…」「そうね…」「そうですね…」
あたし達はひとしきり頭を抱えたのだった。
このまま都市守備隊にいろいろ聞かれても面倒なので、とりあえずその場を後にして、落ち着ける場所、ということで奈美さんの宿屋まで連れて帰ってきた。
奈美さんはススや血で汚れている健太郎さんたちを見ても何も言わないでいてくれたので、とりあえず交代でシャワーを浴びたり身ぎれいにしてから、襲われた理由について聞いてみる。
健太郎さんたちは作戦タイム!と叫んでしばらくこしょこしょ話したあと、ゆっくりと話し始めた。
「…と、いうわけなんだ」
「はえー…へぇー」
なんでも、美樹ちゃんは何か特別な力を秘めていて、それを目当てに変なおじさん(センターマンに似てるらしい。誰?)にさらわれてしまった。
健太郎くん(さんづけで読んでいたら美樹ちゃんにくんづけでと言われた)はそれを追って来て、まぁ色々冒険して日光さんと出会った。
そして変なおじさんやレモンバームクーヘンとかオギンギン?とかいう悪い人をやっつけて美樹ちゃんを助け出し、そのまま追手から逃げて旅をしているのだそうだ。
「魔人を撃退したっていうリーザスなら安全だと思ったんだけど…まさかこんなところまで…」
「健太郎くん。元気を出して。ほら、お茶がおいしいよ」
「うん、そうだね。あー…お茶がおいしいー」「おいしいー…」
二人はなんかくつろぎ始めた。のんきと言うか図太いというか…
まぁ、リーザスって意外と物騒だからね。街中でも夜は賊も出るし幽霊屋敷やらゾンビ墓地もあるし。
「あっ、そうだ。ヒラミレモン吸わないと。」
美樹ちゃんが鞄から果物を取り出して、二つに割ってちうちうと吸い始めた。
「うう…すっぱい…ちうちう…」正直あんまりおいしそうではない。
「あんまり好きそうじゃないけどなんで吸ってるの?」
「これ、お薬なの」「お薬?」「…先ほど言った特別な力を抑えるのに必要なのです」日光さんが代わりに答えてくれた。へぇー。
「じゃあなくなったら大変だね」
「そうなんだよ、だからたくさん買い込んで…あーっ!」健太郎くんが大声を出した。
「お店に保管してたヒラミレモン…みんな燃えちゃった…」「あっ…」「そうでしたね…」
二人は頭を抱える。
「あーそーか…この時期はヒラミレモンあんまり出回らないもんね。産地に行けばあるだろうけど。ヘルマンのサーレン山だっけ?」
「うう…サーレン山かあ…うーん…うう…」
なんでか頭を抱える健太郎くん。
「どうしたの健太郎くん?」
「い、いやなんでもないよ…ほら、サーレン山はすごく寒いから…」
「健太郎くん、元気出して。手袋とマフラーがあれば平気だよ。」
なんかわたわたする健太郎くんを美樹ちゃんが慰める。これ普通逆じゃないかな…
「…ありがとう美樹ちゃん。でも、これじゃあいつもとの世界に戻れるか…あっ。」
「え?もとの世界?」「あ…」
どうやら健太郎くんが口を滑らせたらしい。
ため息をついて日光さんが答える。
「…話がややこしくなるので伏せていたのですが、この二人はこことは異なる世界から連れて来られたのです。旅をしているのは…追手から逃げるということもありますが、帰る方法を探すことも目的の一つです」
「そっかー異世界…。大変だよね。あたしも行ったことあるけど簡単には帰れないし…」
「「「え?」」」
あたしの相槌に、三人は驚きの声を漏らしたのだった。
大戦国ランスMODが公開されました。
楽しみでもあり、そしてアリスソフトがおそらく鬼畜王リメイクを作ってはいない、作る予定もないということでもあり…
とりあえずエールちゃん使ってきまーす。やっぱり茶エールちゃんですよね。
この時健太郎は40レベルくらいを想定してます。
戦国のときは25レベルくらいでしたが、こういう魔物の襲撃を何度も撃退していたのでJAPANはむしろ安全だったというイメージです。
まぁリトルプリンセスの時期にうまいことやって一度レベル100になってますし
率先して人間同士の戦争に参加するタイプでもなさそうですし…
魔王であるということはとりあえず伏せることにしています。
というわけで次回はミカン買いに行きます