【二章完】ちょっと早めのエールちゃんの冒険   作:砂嵐36

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ヘルマンに突っ込むことになってから筆のノリがいいです

鬼畜王とランス9でヘルマンの都市名が違うところがあるんですが
雰囲気でやっていきます
地図に載らない町もあるでしょう


16.エールちゃんは賞金をもらう

というわけで山賊連中に囲まれてしまった!のだが。

 

「電磁結界!」「「「ぎゃあああああ!!!」」」

「えい、やあ、とりゃー!」

「がっ!くっ!ぐうっ!?」

「かこぐー!たぁーっ」

「がはあああ!…ち、畜生…ソウル…ぐふっ」

「うわーっ!シームの親分がやられた!」

「逃げろー!バウンドの兄貴に報告だ!」

 

という感じで片付いた。

あたしが剣を捨てるふりして魔法をぶちこみ、その隙に斬り込んだ健太郎くんが親分らしき髭もじゃをズバーッ。

そしたら残りの手下はさっさと逃げてしまったのだ。

なんか魔物と変わんないなこの辺…

「健太郎くん、エールちゃん、大丈夫?」

「あ、あなた達強いのね…」

うし車の荷台からは美樹ちゃんとソルニアが顔を出している。

「まーね。ふふん」

ドヤ顔で剣を鞘に納めるくらいはしてもいいだろう。

「多分あれだよねー。親切な商人のふりして客を乗せて女の子をさらったり金目のものを奪ったり…」

「健太郎が目をつけられたのは私のせいでしょうね」

日光さんとうんうんと頷き合う。まあ刀の姿だから頷いてるかは分かんないけどね。

「徒歩で戻るのは面倒だから、このうし車を使おうか。」

「エールちゃん運転できるの?」「一応ね。」

というわけでうし車で来た道を戻ることにした。土地勘はないけど街道に出ればどうにかなるだろう。

「えーとまだ街道は見えないかな…ん?」

しばらくうし車を走らせていると、二人組の女の子が通せんぼしていた。

「そこのうし車!止まりなさい!もうネタはあがってんのよ!」

「大人しく捕まりなさい!」

ブレザーの制服姿で短剣を構えたのと、もじゃもじゃボブの女戦士がそれぞれ叫ぶ。

これはあれだな。近所の町の冒険者かなにかがさっきの山賊を退治に来たんだな。

「あー。その山賊連中ならあたしたちが倒したよ。このうし車はぶんどったの」

「そんな嘘通じないわよ!ここは通さないから!」

んべーと舌を出す制服。めんどくさいことになってきたな…

「どうしたの?」「なにか聞き覚えのある声がするなあ…」

奥から美樹ちゃんと健太郎くんが出てきた。

「エールちゃん、誰か居るの…って…あ!」

「なに、仲間…?ってあ!あの時の!?」

「えっ?健太郎くん!?」

驚いて戸惑う女の子二人。

「知り合いなの?健太郎くん?」

「あ…うん…はい…」

 

制服のとおせんぼの子は森村ひろこ、もじゃもじゃボブの女戦士はライトというらしく、この世界に来たばかりの健太郎くんが美樹ちゃんを助け出す前に関わったのだそうだ。

「なるほどねー。山賊はもう退治しちゃったんだ。」

「健太郎くんがいうならそうなんでしょうね…私、健太郎くんの事はよく知っているもの。」

「…健太郎くん?どういうことかな?」

「あ、アハハハハ…その…」

ライトさんがちょっと馴れ馴れしく健太郎くんに絡み、美樹ちゃんが微妙な笑顔を浮かべ、健太郎くんは大分困っている。

まー男の子が異世界に転生…転生じゃないか。転移してそれで剣の才能もあったらまあね。大体想像はつく。

「あ、そこを右に曲がったら街道に出るよー」

「はーい」

ひろこちゃんの案内でうし車を運転する。その間にいろいろ話を聞いてみた。

なんでもひろこちゃんはお母さんの薬代のために盗賊をしていたのだが、健太郎くんからもらった…巻き上げた?宝石でお母さんを医者に見せることができて盗賊から足を洗ったのだそうだ。

で、冒険者になってどこかの村から出てきたライトさんと組んで仕事をしているのだそう。

それで、商人に化けて人をさらう山賊を退治する依頼を受けてやってきたということらしい。

「いつかお礼をとは思ってたけどこんなに早く再会するとはねー。さらわれた女の子…美樹ちゃんって言うんだ。助けられて良かったねぇ」

「ほんとほんと。あ、干しプリン食べる?」「たべるー。」

「私にもちょうだい。」

あたしが取り出した干しプリンの袋にソルニアが手を伸ばしてきた。

「(もぐもぐ)アレ、多分なにもなかったわね。」

「(むしゃむしゃ)へー。そういうの分かるの?」

「(くっちゃくちゃ)実際そーみたいよ?いろいろ迫ったけどダメだったって言ってたし」

「(もむもむ)へー。すごーい。」

「(ぶちぶち)ふふん、女の勘よ。」

どっちかというと毒婦の勘じゃなかろうか?

あたしたち三人がのんきに話している後ろでは修羅場が続いている。

「この人と何があったの健太郎くん!」

「い、いや別になにも…」

「なにもなかったなんてひどいじゃない?あんなに激しく一緒に(経験値稼ぎ)シたのに…」

「健太郎くん!」「健太郎くん?」

「ひえーっ!!」

 

まあ何だかんだあったがうし車は無事にゴーラクに着いた。

健太郎くんはちょっと焦げてるがあとでヒーリングすればいいだろう。

「それじゃあね健太郎くん」「エールもまたねー!」

「ああうん…」「じゃーねー。」

二人は証拠品のうし車と一緒に去っていった。

乗せられていた他の客達もぞろぞろと去っていく。

「助けてくれてありがと。私もいい男探しがんばるわ…あーあ。どっかのスケベな王様のハーレムにでも入れればいいのに」

ソルニアも去っていった。

スケベな王様のハーレムねえ…お兄ちゃんが王様になったら…まあ作るだろうなあ。

あたしも入れられたりして…と思ったが、シィルさんが悲しむだろうし入れてくれないかな。

まあ応援はしないけど強く生きてほしい。

 

あたし達はとりあえず腹ごしらえしようと食堂に入った。

「…ちうちう」

なんかちょっと目が赤い美樹ちゃんは残り少ないヒラミレモンを吸っている。

「…まずいですね、少しヒラミレモンが足りなくなるかもしれません…ペースをあげなくては」

「もぐもぐ…ウォークランドまでは大分遠いからなぁ」

イカゾワスをもぐもぐかじる健太郎くんの腰で日光さんがうなる。

「はふはふ…確かに。ていうか徒歩でへルマンを横断するのは無茶だね。寒いし遠いし」

ドラク雑炊をはふはふ食べながら相づちを打つあたし。

ヘルマン料理でも煮込み系は結構イケる確率が高い気がする。

「うーん?となるとやっぱりうし車かなあ?」

「うしさんもいいけど、空飛ぶ要塞とか歩く町とかないかな?」

「美樹ちゃん、それは無理だよ…」

「失礼、あなた方が山賊を退治した冒険者達か?」

あたしたちがガヤガヤ話していると警備隊の格好の女の人が声をかけてきた。

「そうですけど…お姉さんは?」

「私はルーベラン。警備隊の隊長をしている。」

「えっ、僕たち悪いことなんてなにも…」

「そういうわけではない。君たちが倒した山賊…名前をシーム・レスと言うのだが、賞金がかかっていてな。」

「へー!」「健太郎くんすごーい。」

確かに健太郎くんと5秒くらいは渡り合っていたのでちょっとは強いのかもね。

「任務の報告に来た森村とライトがやつを倒したのは君たちだ、というのでな。些少ではあるが…」

ルーベランさんは小さな袋を机に置いた。ちゃらりと軽い音がする。

「わー!ありがとうございます!」

そんな大金でもなさそうだけどもらっといて損はないしね。手を伸ばそうとすると、ルーベランさんに制された。

「と、その前に少し話があってだな…君たち、うし車は要らないか?」

 

ルーベランさんの話は、賞金の代わりに山賊が使っていたうし車を受け取らないか、というものだった。

あれはもとは商人が使っていたのを奪ったようだが、もとの持ち主は死んでいて、売ろうにも縁起が悪くて買い手がおらず、処分ももったいないということで始末に困っていたのだという。

あたし達は一も二もなく賛成して賞金のかわりにうし車をもらった。

 

氷雪地帯に近づくと寒いので、北西のシベリアやババロフスクではなく南西のヤンクーツクを目指すことにした。

うし車にはあたし達三人と一本しか乗っていないので足取りは軽い。

結構なスピードで街道を突っ走っていると、ヤンクーツクへの途中にある大きな遺跡にたどり着いた。

「あっ、あれが有名な古代の遺跡?」

「…ええ、そうです。」

古代の遺跡は古すぎていつの時代のものかさっぱり分からん遺跡群だ。

地表の遺跡部分には冒険者向けの店や土産物屋があり、警備隊も駐留していてちょっとした町みたいになっている。

「古代?いつからあるんだろ?」

「少なくとも千年前…私が生まれた頃には既に古くて由来がわからない遺跡でしたね…」

心なしか暗い声で日光さんが美樹ちゃんに答える。そんなに古いのか…というか日光さんそんなに生きてるのか…

 

せっかくなのであたし達は遺跡で休憩することにした。うしをその辺につないで水とエサをやると、みゃーみゃー鳴いて喜んでいる。

「うう…トイレあるかな…」「あ、あっちじゃないかな?」

美樹ちゃんと健太郎くんはどっかに走っていった。

あたしもその辺の露店でピロシキを買い、かじりながらぶらついていると、大きな迷宮の入り口にたどり着いた。

「ここがマルグリッド迷宮かー…」

浅いところでは手頃な、奥に行けば手強いモンスターとお宝が待ち受ける冒険の名所だ。

冒険者なら一度はここで冒険したいものらしい。

ちなみに深すぎて最奥までたどり着いた人は居ないそうだ。

「うーん。せっかく来たんだし、記念にちょっとだけ入ってみようかな…」

ほんのちょっと…気分だけね。浅いところはもう枯れてて何も出ないって話だし。

あたしはこっそり迷宮の一階に足を踏み入れたのだった。




下記、独自設定の妄想です。

森村ひろこ
16/32
シーフ1 とおせんぼ2
リトルヴァンパイアに出てきたとおせんぼの子。
健太郎くんにもらった宝石を元手に盗賊から足を洗って冒険者になった。
アメフトのオフェンスラインやサッカーのゴールキーパーが得意。


ライト・サイド
19/36
剣0 右2
リトルヴァンパイアの画面の右にずーっと表示されていた謎の女の子。わりかしナイスバディ。
もとはただの村娘で、ルドラサウムにやってきたばかりの健太郎くんと出会い、行動を共にして誘惑してからかっていた。
その時に稼いだ経験値を生かして冒険者になった。
右に出ることにかけては右に出るものがいない。


ソルニア・ボッシュ
1/12
家事0
一般家庭の出身。
年の離れたカチューシャという姉が居るが、ソルニアがまだ物心着かないころに「こんなシケた暮らしは嫌」と家を飛び出ていったらしい。
彼女は姉のことは記憶にないが、同じ年頃に同じ台詞を叫んで同じように家を飛び出た。
この後、あちこちうろついているうちに黒死病に感染、潜伏期間のうちにゼスへと渡り、そこで検疫に引っ掛かり隔離される。
そこで発病するがゼスの若い男の医者の献身的な治療を受けて生還。その医者にアタックしてゴールインした。
カミーラダークの時も迷ったが何だかんだ逃げずに旦那に尽くした。


シーム・レス
24/45
斧1 盗賊1
ゴーラクの北の洞窟を根城にしていたレス盗賊団の頭。
息子(バウンド)と娘(ソウル)がいる。
見た目は雑魚だがそこそこ強く、何度も冒険者を返り討ちにしていて賞金もかかっていた。
もし一行に会ってなければいつか自由都市のキースギルドまで依頼が行くほどに悪名が轟いていたかもしれない。

バウンドとソウルはシームの死後、盗賊団を解散し、足を洗って傭兵をやりつつ放浪の旅に出た。
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