御伽学園戦闘病   作:はんペソ。

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第十四話

御伽学園戦闘病

第十四話「急襲」

 

薫は廊下の途中で足を止めた、流が何故暴走したのかを考えているのだ。すると前方から薫に話しかけてくる人物がいる。

 

「薫先生少し退いてもらえませんか?」

 

それは美久に車椅子を押されている香奈美だった。薫は丁度良いと流の鳥霊の訓練の件を頼んでみる、香奈美は私でも良いならと承諾してくれた。約束をこじつけた薫は明日の朝能力館に来てくれと言って保健室へ向かった。

薫が保健室に着くと室内はどんよりとしていて正にお通夜状態だ、そんな事は気にせず三人を連れて能力館へと向かう。

 

「さーてやるか!まずは三体一でやろう」

 

四人全員が戦闘体制に入る、薫の「来い!」と言う声に合わせ素戔嗚と水葉が薫に近づく、素戔嗚が腹を殴ろうとして水葉が顔に蹴りを入れようと足を上げる。

 

「前もやったよなこれ」

 

そう言った薫は拳に力を入れている素戔嗚の顎に足上げを決めてそのまま流れる様にを水葉に蹴りをくらわせた。素戔嗚は後ろに、水葉は横に吹っ飛んだ。薫が足を下げた瞬間その二人がいた場所からラックが飛び出る、蹴りを入れるために足を薫の顔の高さまで上げた。薫は動じず冷静にラックの足と同じ高さに足を振り上げた。足と足が音を立ててぶつかり合う。

そのまま三秒ほど睨みあって二人とも後ろに下がった。ラックはそのまま薫に突っ込む、薫は屈んで足払いをした。ラックはそれを読んでいたのか跳び上がり(かかと)落としの体制に入った。薫はガードをしない、そしてラックの踵が顔の寸前まで来たところで片手でラックの足を掴み投げた。ラックはすぐに立ち上がり体制を整えようとした瞬間、薫に両肩を掴まれ固定されながら腹に膝蹴りをくらった。

ラックは痛がりながらその場に倒れ込む、薫は勝負ありだなと言って、てばたきをしてからアドバイスを与える

 

「まぁ戦略としては悪く無いが二人以上大怪我を負うのが前提になってしまう、それじゃ勝てないぞ」

 

そう言いながらラックに手をかざし回復術をかける、その後水葉に回復術をかけ次に素戔嗚に回復術をかけた。傷が治ったらすぐに次の事をやると言うと水葉は明らかにテンションが下がった。

 

「次はあのカカシを三人で“協力”して攻撃しろ」

 

ラックと素戔嗚はそんな事で良いのかと気が楽になった、だが水葉は更にガックリとする。ラックが何故嫌がっているか聞くと「やってみればわかる」とだけいってカカシに近寄った。三人でカカシを囲む様にして戦闘体制に入った。

 

「始め!」

 

三人で一気にカカシを攻撃しようとする。水葉は腹を殴り、素戔嗚は腹を蹴り、ラックは頭に回し蹴りをかまそうとした。最初は水葉が腹を殴った、するとカカシは反り水葉の向かいにいたラックにぶつかった。そして反って動いてしまったカカシの腹に蹴りを入れようとしていた素戔嗚は反動で返ってきたカカシに足を取られ足が九十度以上開き倒れた。素戔嗚は転げ回る

 

「股関節がああああ!」

 

水葉と薫は冷たい目で素戔嗚を見ている、ラックがこんなの聞いてないぞと薫に詰め寄るが薫は「敵が動かないわけないだろ」と煽り混じりに言った。ラックはぐうの音も出ない様子で少し苛立っている

 

「これをやった理由は協力して動けるかを見るためにやったん…だがお前ら酷いな、協調性と言うものが全く感じ取れない」

 

三人全員が「お前に言われたくねぇよ」と言う目で薫を睨みつけた。そして薫はこれを五時間ぶっ続けでやると宣言した。文句を垂れる三人を無視して訓練を始めるよう命ずる。

三人は言われた通り五時間ぶっ続けでカカシを攻撃し続けた。だが一回も上手くいかずにすれ違いが起こり怪我をしては薫に回復されすぐの再開する、今日はそれだけの日だった。薫が帰って良いぞと言うと三人は逃げる様に能力館を出て行った。一人になった薫は今日の事を細かく表に書いた

 

「いやーありゃ酷いな、特にラックと素戔嗚。水葉は何回もやってるから仕組みを理解してるのもあってマシだったが…ラックは加入して二ヶ月と言えど野宿生活で沢山戦ったはずだろうに…とりあえず俺も帰るか」

 

薫も立ち上がり能力館を出て行った。空っぽになった能力館に一人の人影が現れる。

 

「いや〜あんなことしても無意味なのにな〜…とりあえず俺もやってみよ」

 

突然現れたTISの原はさっきまで三人が使っていたカカシを蹴った。するとカカシは大きな音を立てながら根本から折れた。原は「あちゃ〜」と言って後片付けをどうしようか考えていると誰かが走ってこちらに向かってきている音が聞こえたので急いで窓から飛び出し何処かに逃げて行った。原が逃げた直後薫が帰ってくる

 

「おい!誰かいるのか!」

 

辺りを見回してみたが誰もいなかった。だがカカシが壊れているのを見るやいなや直ぐに報告しなくてはいけないと思い職員室へ全速力で走り出した。

 

 

[ラック視点]

 

「あ、そうだ。基地に行く前に少し流の家に行って良いか?」

 

「別にいいぞ、我は先に行っている」

 

二人は一度別れて素戔嗚はそのまま基地に、ラックは流の様子を見るため礁蔽の部屋があるマンションへと向かった。数分して礁蔽のマンションに着いたラックはエレベーターに乗るのがめんどくさかったので身体強化を発動して五回へジャンプした。そして105号室のチャイムを鳴らす、だが返事がなかった為ドアノブに手をかけると鍵がかかっていないかった。

嫌な予感がするがとりあえず入ってみようとドアを開ける、するとラックに気付いた誰かが窓から飛び降りて逃げていくのが見えた。

 

「誰だ!」

 

急いで窓から下を見てみたが既に姿を消していた。流に何かあったのか見てみると流は普通に寝ている、なら礁蔽かと思いコールドスリープ装置を見てみたが特に異変はなかった。

何も異変がなかったとは言え流を一人で置いておくのは危険だと判断したラックは流を抱き抱え礁蔽の部屋を出た。

 

 

[素戔嗚視点]

 

「にしてもラックと戦い方が合わないなぁ…水葉は合わせてくれているがラックと我は両方が出しゃばるせいで協力と言うものが出来ないな…戦い方を見直す必要は…ないか」

 

ぶつぶつと独り言を呟きながら基地の前まで着いた素戔嗚はいつものパスワードを唱え現れたエレベーターに乗り込んだ。基地内には誰もいない、素戔嗚が誰かいないかと聞いても返事は返ってこない。

まだ学園かなと思いソファに座るとタイミング良くエレベーターが開く、そちらを見ると蒿里とニア、そして薫がいた。

 

「おかえ…り?何故薫がいるんだ?」

 

「話があるラックはいるか?」

 

まだいないと言うとラックが来るまで待つと言って素戔嗚の隣に座った。特に話すこともなかったので沈黙が続く、基地内は妙な空気が漂っている。

約五分が経った、エレベーターが開く。エレベーターには流を抱えているラックがいた。

 

「薫?」

 

「話がある。というかなんで流を連れてきたんだ?」

 

「後で話す、先にそっちの話だ」

 

ラックが流を降ろしてからソファに座った所で薫が話し出す

 

「お前らが帰った後能力館には誰もいなかった筈だ、だが誰もいないはずの能力館で今日お前らが使ったカカシが根本からポッキリ折れていた。そいつは相当な力の持ち主だ」

 

「TISのやつか?」

 

「十中八九そうだろうな、だから安全を確認しに来たのと警戒しておいてくれと言いにきただけだ。それで何故流を連れてきたんだ?」

 

「俺が流の様子を見ようと礁蔽の部屋に行ったら部屋に入った瞬間ベランダから誰かが飛び降りるのを見た。だから誰かが流を狙っていると思い連れてきた。薫の話を聞く限りTISの奴が来てたと考えるべきだろうな」

 

「危なかったな。とりあえず俺は帰るから何かあったらポチを出せ、そうすればすぐに駆けつける」

 

そう言った瞬間薫の表情が変わった。そしてその異変にはそこにいる全員が気付く、蒿里はニアと流を連れて紫苑の部屋に入って行った。

 

「いるな、外に」

 

「エレベーターで行くのは危ない、莉子を呼ぶ」

 

薫がスマホを出してメールを打っている、打ち終わってスマホをしまった瞬間莉子が現れた。

 

「俺らを外に出してくれ、そしたら危ないからすぐに寮に戻れ」

 

莉子は頷き自分に掴まるように促す、三人が莉子に触れたのを確認してから能力を発動する。すると四人は基地の正面にテレポートされた、莉子はもうテレポートし姿を消していた。

正面には赤髪ロングの男が立っている。薫が誰か聞くとその男は自己紹介をする

 

「知らないんですね。私は[エンストロー・クアーリー]、TISの重要幹部の一員です」

 

ラックが何の用か聞くとクアーリーは「偵察です」と言った。素戔嗚が刀に手をかけると戦闘する気は無いと言う、だが話しているクアーリーの背後から首元に手を突き立てる者がいた。

 

「動くな」

 

兆波(チョウナミ)ですか。あなたの能力は苦手なので逃げるとしましょう」

 

そう言って逃げ出そうとしたクアーリーに薫は殴りかかった。クアーリーは冷静に懐から玩具の銃を薫に向け「そっちがその気ならやりますよ」と言ってその銃の引き金を引いた。するとおもちゃの銃から青いオーラを纏った弾丸の様な物が発射された。

その弾丸は薫に向かって勢いよく進む、薫はまさか本当に発射されるとは思わず避ける体勢に入ることができない。薫に弾丸が当たったと思った時、一人の男の拳が弾丸を跳ね返した。

 

「あぶねぇ!間に合った!」

 

(ケン)が異変を嗅ぎつけて飛んで来たのだ。流石に負けてしまうと思ったクアーリーは逃げようとする、だが拳がいる所には必ずと言って良い程もう一人の生徒会役員がいるのだ。

 

「逃すわけないでしょ。私の能力は威圧、動けないでしょう?」

 

そこにいるのは拳の姉、真澄だ。真澄の能力は『威圧』、相手に恐怖を与え動けなくさせる。威圧をくらい動きが止まったクアーリーにラックと薫が殴りかかる、すると二人の拳を片手で受け止める男が現れた

 

「何してるんですかクアーリー」

 

前戦いを起こすと伝えに来たTISの重要幹部の男、原だ。真澄の威圧は効かない様で堂々と動いている、クアーリーは原が来ると正気を取り戻した。

今の状況は中央にクアーリーと原、皆で二人を囲んでいる状況だ。原が逃げるぞと言った瞬間二人は一番弱い真澄に向かって走り出した。

 

「やべ!姉ちゃん!」

 

原が真澄を殴ろうとしたが兆波(チョウナミ)が真澄を抱え地面を蹴り上げて攻撃を避けた。その隙に原とクアーリーは逃げて行った。

(ケン)は追いかけようとしたが薫が今は能力が分からないから危ないと言って制止した、拳は舌打ちをして渋々追うのを諦めた。今日はエスケープチームも全員寮の空き部屋に泊まれと言われたので素戔嗚はニアと蒿里、流を連れてくる為一度基地の中に戻って行った。

 

「あの赤髪の能力はなんなんだ…おもちゃの銃から弾が出たぞ。しかも霊力がこもっていた」

 

「俺は理事長に報告してくるので兆波先生は生徒達を寮に案内してください」

 

薫は学園の方へ走って行った。

基地から流を抱えた素戔嗚、蒿里、ニアが出てきたので寮に行く事を説明してから兆波が先頭で寮に向かって歩き始めた。急襲にあって混乱している状況で襲撃まで残り二日となった。

 

 

駕砕 真澄(ガクダ マスミ)

能力/念能力

威圧で相手に恐怖心を与え異常行動を取らせる。

強さ/サポート系のため不明

 

第十四話「急襲」

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