御伽学園戦闘病   作:はんペソ。

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第十九話

御伽学園戦闘病

第十九話「決着、開始」

 

「『自分が死に至る攻撃を無効化する』だ」

 

「めんどくさい能力だね」

 

「よく言われますよ」

 

「でもさ、身体強化じゃないって事はその物理攻撃は全部自分で覚えたって事?」

 

「そうですよ、あなたと同じです」

 

「へ〜…誰に教えてもらったの」

 

「秘密です」

 

「まぁいいや、今黒狐の圧のせいで動けるの私と光輝とあんたしかいないけど光輝は休憩中だし…タイマンする?」

 

「俺が負けたとしてもあなたは大分大きい怪我を負いますよ、それでもいいんですか?」

 

「別にこっちにはカルムがいるし、早く来なよ」

 

「分かりましたよ!」

 

そう言った直後原は水葉に近づく、だが水葉は体が痺れている上に身体強化を持っていない人間など敵ではない。近づいてくる原の顔面を蹴った、原は少し狼狽えたがすぐに正気を取り戻し水葉の肩を掴んで頭突きをした。水葉はデコが切れて血が出てきている。

 

「私の体力あげるから、やって黒狐」

 

黒狐は頷き鼓膜が張り裂けそうな咆哮をした後原に向かって全力タックルをした、当然衝撃は凄まじい物で原は数十メートル先に吹っ飛ぶ、沈黙が生じ皆、原を凝視して固まっている。勝ったのか?と思ったがそんな甘くはない、原は立ち上がった。

 

「いや〜もう起きるのですらキツくなってきましたね〜」

 

すると地下の方から大きな鉄の音が鳴った、それを聞いた原はゆっくりと口角を上げにんまりと笑った。水葉は地下のエスケープチームが危ないと思いすぐに決着をつけるよう焦りながら黒狐に命じる

黒狐は颯爽と原の頭を噛みちぎった、と思ったのも束の間原の頭は千切れてなどいないし怪我もしていない。原は近づいて来た黒狐の牙を一本折った。黒狐は悲痛な声で鳴き今度は原にのしかかった、だが原はのしかかってきた黒狐に向かって本気で殴り吹っ飛ばした。大きい物体が砂に衝突したのでその場は砂が舞い全員何が起こっているのか分からなかった。

数秒間全員が止まっていた、その中で一人だけ敵の場所を当てる。原は砂埃が舞う中吹っ飛んだ。水葉は敵の位置を完全に予想で当てたのだ

 

「何故当てられた?」

 

「その能力は霊力消費が結構激しいでしょ、だって今のあんた私の1/10程度しか霊力ないもん。分かりやすすぎ。まぁいいやるよ黒狐」

 

水葉は黒狐と同時タイミングで動き左右で原を挟む形になるよう走り出した、原は黒狐を無視して水葉の方を向き体勢を整えた。水葉は原に殴りかかり、黒狐は噛み砕こうと口を大きく開けた。だが原は黒狐の方を見向きもせず殴りかかろうとしてくる水葉の攻撃を避ける、ただ黒狐の噛みは避けれなかった。体が粉々になったように見えた筈だが原は無傷何事もなかったかのように立っている。

 

「あなたの攻撃を避けてればなんとかなるでしょう?」

 

「そうだね、じゃあ体力と霊力の無駄だ。還って来て黒狐」

 

指示に従って黒狐は水葉の体内に還っていった。黒狐が場から消えたことで今まで動けなかったメンバーも動けるようになる、光輝も呼吸が安定してきて多少は動ける様になった。

 

「やっとまともに動けるようになった」

 

「でも右足も右手も折れてるんだから来ない方が…」

 

「物理ならいくらでも回復できる!俺が決めなきゃいけねぇんだ!」

 

光輝はいつの間にやら距離を詰め原の腹部を殴っていた、原は光輝の威勢に気分が高まり薄笑いを浮かべながらカウンターの蹴りを顔面にくらわせた。水葉は右足で蹴っていて隙だらけの原の左足を足払いで掬った。

砂の上といえど痛いものは痛いのだ、原は尻もちをつく。そんな隙だらけの原を逃さず光輝が蹴る、原はもろに蹴りをくらい横方向に転がった。受け身を取ることが出来ず痛みに悶え数秒動くことが出来ない。

原は波が来るギリギリのところまで吹っ飛ばされた、だが先程とは違いさっきまでなら既に立ち上がっている筈だが一向に立つ様子が無い。

水葉はゆっくりゆっくりと近づいていく、もう手が届くかと言った所で原はゆっくりと立ち上がった。

 

「もう限界でしょ。痛い思いしたく無いなら降参するんだね」

 

原は息切れを起こしながら答える

 

「いやだね…俺は生まれた時からお前らとは違う苦痛を強いられたんだ。俺は数年前にTISに加入した…俺は死んだ妹のためにやらなきゃいけない事がある…TISのルールは何個もあるがその中の一つ『自分の正義は貫く』。TISは集団だがやっている事は個人で別だ、だが俺ら全員は三獄の方を慕っているそれだけは共通だ。三獄の方達は絶対に成し遂げてくれる…今は計画の第一歩だ!ここで負けたら顔を向けられない…だから俺はお前らを殺す!」

 

「じゃあ私も本気で行く」

 

水葉と光輝は同時に原を蹴った。急な攻撃に原はなすすべもなく倒れた、水葉と光輝は倒れ込んだ原に追撃で蹴っている。その光景はただのイジメだ。だが強い者が弱い者を痛ぶるのは世の鉄則、変えることが出来ない自然の摂理なのだ。

原が完全の動かなくなった。

 

「強かったぁ…」

 

「あぁ…そんでこいつをどうしようか」

 

「そいつをここまで連れてこい」

 

水葉は香奈美の指示通り原を後衛まで持って行った。香奈美は軽く原の状態を観察した、結果ただ気絶しているだけど判明する。

死んではないと安堵すると同時に地下に行かなくては行けないと水葉は全速力で北方向に走り出した、だが光輝がそれを止めようとする。

 

「おい!ちょっと待て!まだ怪我が!」

 

「大丈夫だから、先生達がくるまでお姉ちゃん達を守ってて!」

 

そう言った水葉は既に豆粒のように見えるほど遠くに行っていた。

とりあえず動ける人で応急処置をする事になる。応急処置を施すために怪我人を全員後衛に集め終わったその時、唐突に砂埃が舞う、そしてとんでもない圧でその場にいた全員は動けなくなった。

誰かが空から落下して来たのだ、数秒して砂埃が落ち着く。そこにいる全員が硬直し、絶句し、震えた、その降りてきた人物は青髪で十二歳ほどの外見、そして耳には輪っかのピアスを着けている、そして不気味なほど気持ちの悪い笑顔

 

佐須魔だ

 

香奈美が逃げるよう声を震わせながらしじをだすが誰も動く事が出来ない。そんな絶望しているメンバーをよそに佐須魔は口を開く。

 

「やっほ〜いや〜原が負けたちゃったか〜」

 

「早く…逃げろ」

 

「とりあえず返してもらうね」

 

佐須魔が右手の人差し指を原に向けて立て、クイっと自分側に向けた。すると原は浮遊して佐須魔の方へゆっくりと飛んで行った。生徒会メンバーは原を回収するほどの余裕などない、全員息をするのが、立っているのがやっとだ。

 

「さ〜て原が負けたならこいつに任せるか〜」

 

「早く…逃げろ!」

 

「死なないでね…」

 

声にならない声を香奈美にかけ唯一動けた美久は力を振り絞り元来た道をゆっくりと走り出した。

 

『降霊術・唱・猫神』

 

佐須魔がそう唱えると今までの霊とは比べ物にならない程の大きさ、霊圧を持った霊が出てきた。その霊は猫と言うべきではない、ライオンだ。

 

「じゃよろしく」

 

それだけ言って佐須魔は原を抱え謎のポータルの中に入っていった、メンバーは佐須魔がいなくなったことで大分余裕が出来た。香奈美は自分を囮にしてメンバーは逃げろと命令した、光輝達は会長の無事を祈りながら負傷者と数名を連れて逃げようとした瞬間猫神は前方にいた香奈美を無視して逃げようとしていたメンバーを鉤爪で切り裂く。光輝は元々限界だったためそのまま倒れ込んだ。蓮は当たりどころが悪く左腕の一部が鉤爪に持って行かれた、真澄は傷があるが大丈夫そうだ、だが気を失ってしまった。

 

「みんな!」

 

残っているのは車椅子で自ら攻撃ができない上に持ち霊もいない香奈美だけだ。ライオンはゆっくりと振り向き香奈美をロックオンした、猫神は牙を剥きながらゆっくりゆっくり香奈美に近づいて行く。香奈美は怖がることもしなかったただ自分は死ぬのだろう、とだけ思い全てを諦めていた。

目の前まで猫神が来て殺意を剥き出しにしながら大きく口を開けた瞬間、絶望しかなかった香奈美の中に一筋の希望が垣間見えた。なんと猫神は吹っ飛んだのだ。

 

「すまん遅れた。だがよくやった、後は俺と翔子に任せろ」

 

香奈美の目の前には傷だらけの最強の男、[華方 薫]が立っていた。

 

 

浜北 美久(ハマキタ ミク)

能力/降霊術

狐の半霊を召喚して戦う

強さ/生徒会中間

 

第十九話「決着、開始」

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