御伽学園戦闘病   作:はんペソ。

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第五十四話

御伽学園戦闘病

第五十四話「う」

 

明らかに雰囲気が変わった躑躅を見た紫苑は炎の件もあり出来るだけ早く決着をつけるべきだという事を悟った。

ただ霊力は半分を切ったし自分も炎が着いている限りずっと戦う事は無理だ。リアトリスを出しながら戦うならば持って五分、だが現在未知数な躑躅の攻撃を含めると良くて三分悪くて二分程度だろう。そう考えると止まっている暇は無いと思い、速攻で決着をつける動きをする事にした。

 

「リアトリス!流れで行くぞ!」

 

リアトリスは頷き紫苑の背中に貼り付いた。炎に回していた霊力を全てリアトリスに流してから走り出す、躑躅は逃げずに見えない相棒メルシーに話しかける。

 

「僕はどんな事が出来るかも分からない、だけど何が起こったかなら理解できる。だから思う存分暴れてくれ、僕が合わせる。そして僕も暴れるから僕にも合わせてくれ」

 

メルシーは移動する、移動先は勿論紫苑の背中だ。ただそこには先客がいる。移動したメルシーはリアトリスに攻撃しようと爪を突き立てる。だがリアトリスは顔を向けるだけで避けようとも反撃してこようともしなかった。

メルシーが爪で引っ掻いた瞬間リアトリスは紫苑の中に還って行く。となると引っ掻き攻撃は紫苑の背中に命中する事となる。紫苑は少し痛がりながらも半笑いで少し説教をする。そしてメルシーが背後にいるにも関わらず足を止めない。

躑躅は一度還ってくる様に命じたが既に魔の手が襲いかかって来ていた。躑躅が霊を見えない事とメルシーが誰かの背中にしか移動できない事を利用して躑躅の正面に立っている。

ただ躑躅は霊力が含まれる攻撃を受けないので大丈夫だと思っていたが考えが甘い、紫苑は急に足を止め指示を出す。

 

「やれ」

 

そう言って飛び出してきたリアトリスに向かって手を伸ばす。その瞬間リアトリスの服から炎が出て来た。どうやら紫苑の背中についている炎を一部体に納めていたらしい。

躑躅は咄嗟の攻撃に避ける事が出来ず炎に巻かれた。

 

「炎に霊力込めてリアトリスに持たせた。熱かっただろう。だけど霊力を全部俺に戻せば急に炎が出て来た様に見えるだろう?大丈夫だ、あの女が治してくれるらしいからな」

 

返答の声はない。おかしいと思って躑躅がいる方向を見てみる。目を細め凝視すると分かる、躑躅は痛がるどころか堂々と立っているのだ。その横には顔をしかめ苦しんでいるメルシーがいた。

どうやらメルシーが炎に霊力を流し躑躅にダメージが行っていないようだ。躑躅もそれに気付いたのかすぐに炎から逃げる、続いてメルシーも炎から脱出する。

 

「おいおいマジかよ、そこまでするか?普通」

 

メルシーは目を合わせず躑躅の無事を確認してからリアトリスの後ろに移動する。だが30m以上離れているにも関わらず紫苑が駆けつけ霊力が含まれている蹴りをくらわせた。

そして雑な蹴りをして少し体勢が崩れたので整えようと顔を上げた。すると躑躅の姿がない事に気付く、ただ気付くのが遅かった。躑躅は七輪を紫苑の頭にぶつけた。鈍い音がして紫苑はふらつく。だがすぐに力を戻し、振り向きながら聞く。

 

「頭蓋骨をゆっくりハンマーで割られた事はあるか?」

 

「…え?」

 

恐らくその声は殴打されても立っている異常性と質問の意味が分からないという二つの意味を孕んでいるのだろう。

 

「ねぇよな?そんなのある奴の方がおかしい、だが俺はある。ちっさい時だが少しづつ時間をかけてハンマーで頭蓋骨を割られるんだ。あれは痛かったなぁ、小さい頃だったからってのもあるかもしれねえけどよ、生きて来た中で一番痛かった…あの痛みに比べればこんなの全然痛くねえんだよな」

 

油断している躑躅に回し蹴りが飛んでくる。躑躅は吹っ飛んで太い木にぶつかった。すぐに立ちあがろうとするが紫苑が追撃を入れようと距離を詰める。だが主を守る為メルシーが紫苑の背後に移動した。そして引っ掻こうとするがリアトリスが紫苑を庇う、紫苑は足を振り上げながら言った。

 

「また後でな」

 

振り下ろした足は躑躅の脳天に直撃した、躑躅の視界はどんどんと暗くなって行く。次第に意識も保てなくなる。そして気を失った。

完全に気絶するとドームの上の方から声が聞こえてくる

 

『はいお疲れ様ー。それじゃあその子は回収するね』

 

躑躅は姿を消した。

 

『それじゃあヒントを上げましょう。ヒントは[う]だよ、忘れないでね!』

 

「おう。それよりこの島はどうやって出るんだ」

 

『好きな場所に転送してあげるよ。ただし私がいる場所はダメね』

 

「それって特定の人物がいる場所とかでもいいのか?」

 

『うーん…まぁいいよ!』

 

「そんじゃ兵助がいる場所にしてくれ」

 

『無理!』

 

「は?一瞬で矛盾すんなや」

 

『いやーだってさー彼もう脱落(リタイア)してるんだもん』

 

「は!?おい!どう言う事だ!」

 

『それは教えられませーん!それでどこに行くの」

 

「クソが!それじゃあ流の場所に送れ」

 

『分かったーじゃあいくよー』

 

すると紫苑は転送された。目の前には流がいる、驚いている流に一から説明する。ただ疲れているので適当に休める場所を探す事にした。

二回戦の勝者は空十字 紫苑に終わった。だが対戦相手もとても進歩した、この戦いは二人にとっていい経験になった事だろう。

 

 

城山 躑躅(シロヤマ ツツジ)

能力/バックラー

誰かの背後に移動できる

強さ/そこそこ

 

第五十四話「う」

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