御伽学園戦闘病   作:はんペソ。

69 / 147
第六十九話

御伽学園戦闘病

第六十九話「分岐点-風間 宗太郎」

 

『降霊術・唱・鳥』

 

宗太郎は鷹拝(ヨウハイ)を呼び出し。蒿里を殺すよう指示を出し、追い風を発生させた。梓は蒿里の視界をシャットダウンさせるため、蒿里が術や能力を使う時を待つ。

一方蒿里は能力を発動しない。それもそのはず、蒿里は中等部とよく絡んでいる紫苑から梓の話を聞いていた。それなら能力を一切使わず勝てば視覚を奪われる事も無いと思い、能力を使わず生身で戦闘をしようと考えていたのだ。

 

「出さないのか、アヌビス」

 

「だって能力使ったら視界奪われるんでしょ?だったら出さないよーだ」

 

「じゃあ生身か。ただし霊の攻撃はくらう・・・勝てると思ってるのか」

 

「どうせ礁蔽に「色々な事を諦めて大人に成長しろ」とか言われたんでしょ?チームで一番子供っぽい奴が何を言ってんだかって感じだけど・・・・・・そう言われたんだったら私は最大限手加減しながら圧勝して、圧倒的な差を見せつけ、君に絶望してもらうだけだよ」

 

その言葉を聞いた宗太郎は舐められている事にキレて早速攻撃を始めた。鷹拝に特攻させ、自分は兆波から培ったその体術で攻撃する。一見避ける手は無い様にも見えるが、蒿里は少し後の事を予見している様な動きで全ての攻撃をかわす。

宗何故避けられるのかが理解できず、無作為に攻撃しては避けられ、たまに反撃されを繰り返した結果残りの体力と霊力に圧倒的な差ができてしまった。それなのに押され続けている。

このままだと無駄に攻撃を受けるだけだと梓が動き出した。梓はあまり力がないのでただ打撃を打ち込んだりするわけではなく、関節を無理矢理押し出して骨折させようとする。

異様な戦い方に一瞬驚き少し気が緩む、その隙を見逃さず鷹拝は蒿里に突っ込んだ。次の瞬間蒿里の体に鷹拝のクチバシが刺さる、かと思いきや蒿里は完璧に避けた。その変わりと言ってはなんだが宗太郎の殴りを一発顔に受けた。

 

「あと二発って所かな」

 

「は?」

 

「あんたら全員から受ける攻撃の数」

 

「何を言うかと思えばそんな戯言かよ!!」

 

二人が殴りかかるが蒿里は動きを完全に予測して綺麗に避ける、だがドーム内を走り回ったりするわけではなく最低限の動きで最低限の力で受け流している。

完璧に舐められているせいで宗太郎の怒りは頂点に達する寸前まで来ていた。そしてただ攻撃するだけでは意味がないと妖術を放つ。

 

『妖術・上風』

 

鷹拝が風を起こそうとする。蒿里は変な方向には避けず鷹拝の真下へと走り込んだ。鷹拝も少し困惑し、打つのを躊躇う。だが宗太郎が打てと指示を出したので真下に風を起こした。ただ羽根をクロスさせて風を発生させるのに真下にいられてはただのそよ風にしかなり得ない。

宗太郎達は行き詰まる。どうすれば勝てるかのか、考えても戦闘経験の差がありすぎて勝ち目が見えてこない。だが諦めない、今諦めては礁蔽の思う壺だ。

 

「鷹拝!風を強くする!だからこいつを殺せ!」

 

そう言って風を一段と強くする、鷹拝は風に乗る様にして蒿里に特攻を仕掛ける。だが蒿里はそれを待っていたと呟き、少しだけ動いてから勢い付いている鷹拝を霊力の籠った足で蹴る。

スピードが付いていたもあり、鷹拝は大きなダメージを受けた。流石に限界だと判断した故鷹拝を一度戻すことにする、鷹拝は指示を受け入れ宗太郎の中に還っていく。

 

「一匹目〜」

 

そうヘラヘラ笑う蒿里に遂に限界に達する。

 

「舐めるなよ!!」

 

そう怒鳴りながら殴りかかる、ただ蒿里はピタリと笑いを止め近付いてくる宗太郎に一言かけた。

 

「君も私の力を舐めない方がいいよ」

 

その周波が宗太郎の耳に達した時、既に蒿里は宗太郎の正面まで移動していた。急には止まれず突っ込みそうになるが蒿里が先に殴った、宙を舞った宗太郎は仰向けになって倒れる。

そして想定外の力で殴られたせいで鼻血が出てくるが、構わず立ち上がり再び攻撃を試みる。またまたかわされ逆に反撃を喰らってしまった。

だがその分の怪我は無駄にせず、梓が隙を突いて左足の関節を押し込んだ。蒿里は痛がる様子も無く「あと一発」とだけ言って梓を蹴り飛ばした。

二人はあまりの痛さからか涙が出てくる、幸い蒿里からは攻撃してくる感じは無いので呼吸を整え、二人で連携して攻撃をする。

 

「少しは学びなよ」

 

もう避けることもせず先手を取っているはずの二人を殴り飛ばす。あまり物理面で鍛えられていない梓はそろそろ限界だ、宗太郎もその事は察して「もう下がっていろ」と気を使う。

宗太郎はどうにか梓の能力を発動させたいと何としてでも能力を使わせる事ができないかと考える。だが視覚を奪った程度で防御面も攻撃面も、能力未使用状態で大きく上回っている相手の行動なんて縛れない事ぐらい明白だ。

そう考えていると蒿里が目の前に移動した、ガードをしようとするが遅く、再び吹っ飛ばされ壁にぶち当たる。

 

「私から攻撃しないなんて言ってないよ」

 

宗太郎は反撃をしようと顔を上げるが、体が動かない。それは宗太郎が一番危険視していた事だった、その危険視していた事とは恐怖することだ。圧倒的な差を見せつけられ、負けが決まった時人は恐怖に飲み込まれ思考が鈍り、動く事さえも出来なくなってしまう。それは脳の独断行動、本能的な行動というのだろう。

戦闘が始まった直後から勝てないと悟ってはいた。だが諦めては思う壺だと、どうにかして礁蔽の行った事に反発しようとしていたが脳では「勝てない!傷を追う前にやめろ!」とずっとずっと危険信号を出していた。

だがそれを宗太郎自身が否定して動いていたのだ。ただ壁に叩きつけられた時、一瞬だけ無理かもしれない、そう思ったせいでどうにか目を背けてきた『恐怖』が襲い掛かり宗太郎を包み込んだのだ。

 

「終わりにしよっか」

 

能力を使用する。何とか意識を保っていた梓は、死ぬ気ですかさず能力を発動した。蒿里の視界はシャットダウンして真っ暗になった。だがそんなこと気にしないで召喚する。

 

『降霊術・神話霊・アヌビス』

 

アヌビスが現れた、蒿里はアヌビスに「めんどくさいからやっちゃって」とクソみたいな指示を出す。だがアヌビスには通じた様でアヌビスは霊力を棒に込めた後、妖術の準備が完了したとアイコンタクトで伝えた。そして蒿里が引き金を引く。

 

『|死へ(ステアーズ )|の(トゥ )|道(エデン)』

 

その直後、中等部員二人は痛みを感じる事なく死亡した。この技は痛みなく相手を殺せる技だ。

二人は蒿里の目の前から姿を消す、そして女の声が聞こえてくる。

 

『おつかれーとリあえず蘇生はさせておくね〜それじゃ、早速ヒントを教えてあげよう。[い]だよー』

 

「・・・・・・ねぇ一つ聞きたいんだけど、あと何個ヒント残ってる?」

 

『あと一個、だけど君が出る幕はなさそうだよー』

 

「ほんと?じゃあ私霊力使い切っちゃったからリタイアしていい?」

 

『別にいいよー。ヒントに関しては心配しなくても大丈夫だよ』

 

「分かった。じゃあ私もそっちへ送って」

 

『おっけーじゃあいくよー』

 

そして蒿里も姿を消した。見事勝利を果たした蒿里は霊力を使い切ったのでリタイアして回復してもらう事にした、そうして第八戦は幕を下ろす。

残るドームはあと一つ、何日かに渡るかと思われていた戦いはたった数時間で片付いてしまいそうだ。

最後の一戦が始まるまでにそう時間はかからないであろう。だがその前に片付けなくてはいけない戦いがある。

紫苑と美琴。

 

 

|白石(シライシ) |梓(アズサ)

能力/念能力

相手の視覚を一時的に機能停止にさせる

強さ/サポート系のため不明

 

第六十九話「分岐点-風間 宗太郎」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。