あらすじに記載の登場人物の通り登場人物がコナン、および五等分の花嫁の既存キャラがほとんどです。
そのため記載のキャラクター内でタイトルの通りの事件が起きるということなので、二次創作といえど推しのイメージを守りたいというこだわりがある方は読まないなど自衛をお願いします。
その日、毛利一家は小五郎の車に乗って地方の温泉旅館へと向かっていた。
「いやー、それにしてもたまたま貰った福引きで一発で温泉旅行を当てちまうとはなぁ」
「ほんとラッキーよねぇ。お父さんありがと!」
助手席に座る蘭がおだてると、「だぁーはっは」と気をよくした小五郎は声を上げて笑った。
(そんだけ運がいいなら、日ごろからもっと仕事を繁盛させてくれよ……)
機嫌をよくしている小五郎を後部座席で見ながら、コナンは半目になりながら内心で思った。
コナン達を乗せた車は空いている道を調子良く進んでいたが、窓を流れていく景色が徐々に遅くなり始め、やがて完全に停止してしまった。
「おじさんどうしたの?」
「わからん、ガソリンはまだあるしパンクがした感じもしなかった。こりゃもしかしたら故障かもしれんな」
「えー!」
声を上げる蘭を横目に、小五郎はエンジンをかけなおしたりと色々試すが車は何の反応もしなかった。
こうなると目的地に着くために残された方法は一つしかないが、コナンが窓から周囲から見渡した限り見えるのは森ばかりだった。
「ここから旅館までってあとどのくらいだっけ?」
「えぇっと確か、車でも後三十分くらいはあるから歩いたら二時間はかかるな」
「二時間も!?」
小五郎が地図を広げて眺めているところをコナンが後ろから覗いたが、確かに小五郎の言う通りの時間がかかりそうだった。
「お父さんがレンタカー代ケチるからこんなことになるのよ。前にも似たようなことあったじゃない!」
「うるせぇ! 安くったって普通は乗ってる途中に故障なんかしねぇんだよ!」
「ここで言い合っててもしょうがないよ。とにかくどうするか考えよ」
コナンは言いながら車を降りると、ポケットからスマホを取り出す。
歩いて旅館へ向かうにしても、車をこのままというわけにもいかない。サービス会社の電話を調べようとしたところで、電波マークが圏外となっていることに気が付いた。
(おいおいマジかよ。ほんとにやべぇんじゃないのかこれ)
車の回収も依頼できず、本格的に歩くしかないかと考え始めたころ後ろから別の車の音が聞こえてきた。
「おじさん! 別の車が来たよ! 助けてもらお!」
「なに!? ……しょっと、おーい!」
コナンの呼びかけに小五郎は急いで降りると、すでに影が見え始めている車に向かって手を振り上げた。
しばらくそうしていると、車の運転手もこちらに気が付いたようで減速し始め、小五郎の前で車を止めた。
助手席側の窓ガラスが開くと、中から短髪の髪をポニーテールに結わえた女性が顔を見せた。
「どうされました?」
(うぉ、すげぇ美人)
窓から覗かせた顔を見せた瞬間、コナンは思わず内心でつぶやいた。
小五郎も同様に、ネクタイを締めなおしたかと思えばさきほどまでとは打って変わって凛々しい表情に変わっていた。
「急にお止めして申し訳ございません。わたくし、私立探偵の毛利小五郎と申します。実はこの先にある旅館へ向かう最中で車が故障してしまいまして、よければ近くの施設まで乗せていただけないでしょうか?」
「え、毛利小五郎ってあの眠りの!? ……風太郎、困ってるみたいだし乗せてあげよう?」
女性はどうやら小五郎を知っているようで、一度驚いた表情を見せた後、運転席に座っているらしい人物へと顔を向けた。
車の奥から「ああ、構わないぞ」という男性の声が聞こえた後に運転席側の扉が開くと、細身の男性が下りて小五郎の方へと向き直った。
「初めまして毛利さん。僕は上杉風太郎と言います。一緒に乗っているのは妻の四葉です。話はきいていました、どうぞ後ろの席に乗ってください」
風太郎の顔を見た時、小五郎は一瞬あからさまに男付きであることを残念がる表情を浮かべたが、即座に愛想のよい笑みへと変えると礼を述べた。
それまで車の中で様子を伺っていた蘭も車から降りると、小五郎に続いて礼を述べながら頭を下げた。
顔を上げた後、上杉夫妻の方を改めてみた時、蘭は一瞬「あれっ?」と声を上げて表情を変えた。
「蘭姉ちゃんどうしたの?」
「ううん、なんでもない。気のせいみたい」
コナンの質問になんでもないように蘭は何でもないといった風に首を振った。
「おらお前たち、待たせちゃ悪い。さっさと乗るぞ」
「はーい」
三人は助手席側の後部座席を開けると小五郎、コナン、蘭の順に乗り込んだ。
車は普通の乗用車だったため三人が横並びで乗ることはできず、結局コナンは蘭の膝の上に乗る形となった。
「大丈夫、コナン君? 乗りづらくない?」
「う、うん」
少し顔を赤らめながらうなずくコナンの様子をサイドミラー越しに見ていた四葉という女性が笑みを浮かべた。
「その子はコナン君って言うんですね。かわいいです!」
「あ、ごめんなさい自己紹介がまだでしたね。私は毛利蘭と言います。毛利小五郎の娘です。こっちの子はうちで預かっている子で江戸川コナンっていいます」
「毛利蘭さんと、江戸川コナン君ですね! 改めてよろしくです!」
今度は鏡越しではなく、蘭たちの方へ顔を向けた四葉はにかっとした笑みを浮かべた。
すると、蘭は再び四葉の顔を眺めるようにぼうっとした。
「どうしました?」
「あ、いえ。ごめんなさい何度も顔をじっと見たりして。失礼ですよね」
「全然気にしませんから大丈夫ですよ」
どうじず笑顔を向けたままの四葉に対して、少しは緊張がほぐれたのか蘭はおずおずとした様子で問いかけた。
「あの、気のせいかもしれませんけど、どこかでお会いしませんでしたっけ? どうもお顔に見覚えがあるような気がして」
そういうと、四葉の方が一瞬目を丸くした後、「あー……」と言いながら運転席の風太郎の方を見た。
すでに車を走らせ始めた風太郎は横目で四葉の視線を受け止めると、短く返事をした。
「いえ、僕たちは初対面だと思いますよ。でも、蘭さんの言っていることにも心当たりがあります」
「どういうことですか?」
「すぐにわかりますよ」
と、そう短く伝えると風太郎は小五郎の方に目的地を確認した。
風太郎の告げた旅館の名前は間違いなくコナン達が向かっていた旅館であり、話を聞くとどうやら二人も同じ場所へ向かっていたらしい。
「いやぁ、そりゃ夫婦水入らずの旅をお邪魔してしまったみたいで、本当にすいません」
事情を聞いた小五郎も流石に気が引けたようで、頭に手を回しながら頭を下げた。
「本当に気にしないでください。僕も四葉も、あそこで見過ごしていた方が旅行に悔いが残ってましたから」
「そうです! 世の中持ちつ持たれつですよ!」
それからしばらくは上杉夫妻と世間話をしながら旅館への道中を進んでいった。
どうやら二人はコナン達と同じく東京に住んでいるらしく、旅先の旅館には遥々家から来たらしい。
「もしかして、上杉さんたちも福引きに当たったの?」
コナンの記憶では温泉旅行の福引きはペアチケットだった。実際、コナン達も一人分は自腹だった。
答えたのは四葉の方だった。
「いえ、これから行く旅館は私のおじいちゃんが経営しているんです。なので完全に無料というわけではないですが、家族サービスでお得に泊まれるんです」
「へぇ! 実家が温泉旅館なんて素敵ですね!」
蘭が目を輝かせて言った。
「実は、その旅館を経営している義理の祖父から僕たちは事前に連絡をもらっていて、僕たち家族の他に一組だけ客がいると聞いていたんです。それにこの辺にはあの旅館しかありませんから、道端で困っている毛利さんに話を聞いた瞬間にピンと来たんです」
「ほぉ、こりゃ凄い。まるでおたくも探偵みたいですね」
関心したように小五郎は言う。
「毛利さんにそう言っていただけるとお恥ずかしいです。僕はただのしがない会社員ですよ」
「風太郎はすっごく頭いいんですよ! 高校の時なんて全国模試で3位を取っちゃうし、あの東京の大学にだって通ってたんです」
(すっげぇ……)
普段、数々の難事件を解き明かしているコナンであっても流石に感心せざる得なかった。
そうこうしている間に、やがて車は旅館の近くまで来ていた。
駐車場の入り口に差し掛かった時、反対側の出口からはタクシーが出るところだった。
「あれ、今日のお客さんは私たちだけじゃないんでしたっけ?」
「こんな山奥だ、従業員が使ったって可能性だってあるだろ」
疑問を浮かべた蘭にぶっきらぼうに返した小五郎だったが、それに返事をしたのは風太郎だった。
「いや、たぶん僕たちの家族でしょう。泊まる予定の僕の家族というのは、僕たち二人だけじゃないんです」
「それってどういう」
「着きました!」
蘭の言葉を遮るようにして、車が停車すると同時に四葉が声を上げた。
一同は車を降り、旅館の玄関へと向かった。
扉を開けると、仲居さんが一人受付に立っており、受付の前には四葉よりもさらに少し短い髪をした女性が台帳に記帳していた。
「あ、いらっしゃいませ。申し訳ありません少々お待ちください」
先に気が付いた仲居がそう告げると同時に、記帳を終えたらしい女性がこちらを振り返った。
その直後、
「あー!」
蘭とその女性が同時に声を上げた。
「四葉とフータロー君じゃん! 久しぶり! 私も今来たところなんだ!」
女性の方は両手を上げるとそのまま四葉へと抱き着いた。
四葉の方も嬉しそうにそれに応じる。
「一花も久しぶり! 元気してた!?」
「やっぱり! 中野一花さんだ!」
その様子を横で眺めていた蘭が、一花と呼ばれた女性に指を指して言う。しかし、コナンと小五郎の二人は聞きなれないらしく逆に眉をひそめた。
「蘭、知ってる方なのか?」
「やだ、お父さん知らないの!? 中野一花っていったら今凄い人気の女優さんよ」
「女優ぅ?」
蘭に言われて改めて一花の方を見るコナンと小五郎。
「あれ?」
そこでコナンが気が付いた。
「四葉さんと一花さんって、なんだか凄く似てるね。もしかして双子?」
そう、二人は恰好や雰囲気こそ別人であったが同じ顔をしていたのだ。
問いかけられた一花もようやく小五郎達が四葉と一緒に来たということに気が付いたらしく、四葉から離れると先ほどまで浮かべていた笑顔とは少し毛色の違う、おそらく営業スマイルを浮かべた。
「えっと、初めまして、ご存じのようですが中野一花と申します……四葉、この方たちは?」
「毛利小五郎さんと娘の蘭さん、それに居候のコナン君っていうんだ。うちに来る途中で車が故障して困ってたみたいだから、風太郎の車に乗せてあげたの!」
「毛利って、あの眠りの!?」
(はは、性格も全然違うみたいだってのに同じ反応してら)
先ほど四葉に出会った時のことを思い出し、それと同じ表情を浮かべる一花にコナンは半笑いになった。
「蘭、コナン。ちょっと待ってろ、取り合えず受付だけ済ましてくる」
「四葉、俺もだ。先に中に入ってろ」
「うん、わかった風太郎。仲居さん、こっちのお客さんたちも一緒に連れてっちゃうから、小五郎さんだけ後で案内してあげて」
風太郎に言われた通り、コナンと蘭を先に連れて行こうとすると、仲居も慣れている様子でうなずいた。
「かしこまりました。毛利様のお部屋は中野様とは反対側にある上杉様のお隣の部屋です」
「了解です!」
コナン達は四葉の後に続くようにして旅館の中へ進んだ。
旅館のつくりは昔ながらの和風のつくりだった。客室は2階にあるらしく、階段の前にはこれまた和風の中庭が作られている。
「素敵な旅館ですねぇ」
「ありがとございます。ここはおじいちゃんが経営していて私たちは昔から来てるんだですけど、何度来ても飽きない素敵なところなんです」
「あ、その話は四葉さんからも聞きました。何度もってことは、毎年来られるんですか?」
「うーん、仕事が忙しくなってからは来れない年もあるんですけど、なるべく来れる時は来ようとしてるんですよね」
「あの、実は車に乗ってる時から言おうと思ってたんですけど、別に私たちにまで敬語じゃなくてもいいですよ。年下ですし」
「え、でもそんなこと言われても……」
蘭の提案に一花は少し困った表情を浮かべてからちらりと四葉の方へ視線を向けた。
「いいじゃん一花、お言葉に甘えようよ。私たちもその方が楽だし。じゃあ、改めてよろしくね蘭ちゃん、コナン君」
「はい!」
「うん!」