【完結】爆弾魔系呪術師   作:平々凡々侍

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誘爆

 

 偶然出会った変人もとい恩人の爆弾魔、朝木綱と私は廃校の件以降もちょくちょく遭遇した。

 

『あれ? 奇遇じゃん。そっちも買い物?』

『ただの使いだ』

 

 最初に会ったのはコンビニ。飲み物を買いにきたらしい爆弾魔はカゴに大量のお茶とジュースのペットボトルを放り込んでいて、私たちは一言二言だけ話してそのまますれ違った。

 

『ん? あ、ツナ缶じゃん。また会ったねー……というかちょっと思ったんだけどツナ缶ってここら辺に住んでる? 偶然にしても何回も会うし』

『ツナ缶? 私はツナ缶じゃない』

『あはは、分かってるって。あっ隣座っていい?』

『…………』

 

 次に会ったのは近所にある飲食店。カウンター席に座って注文したメニューが来るのを待っていた爆弾魔の隣の席に座った。それから他愛もない話を私が一方的にしていて爆弾魔は聞いているのか聞いていないのかわからない相槌?を打ちながら来たメニューを食べていた。私も自分の注文したメニューが来てからは黙々と食事をしていた。

 

『わぁお、また派手にやってんね〜』

『……術式は使っていない』

『いやいや使ってなくても十分派手だって。つうかこの人たち生きてんの? それにこの制服……もしかして高校生?』

 

 その次に会ったのは夕暮れ時のとある路地裏。学校帰りの私は聞き慣れない物音を聞いて路地裏にひょこっと顔を出してそこに爆弾魔はいた。その足元にはそれなりに図体のでかい高校生らしき男共が八人ほど転がっていて、全員顔面が血だらけで何人かは腕や足が曲がっちゃいけない方向に曲がっていて一人残らず半殺しにされていた。それに比べて爆弾魔はというと一発だけ殴られたのか顔が打撲しているがそれ以外に目立った傷はなし。側から見れば加害者は明らかに爆弾魔の方だ。

 

『最初に仕掛けてきたのは此奴ら。私は被害者だ』

『だからこれは正当防衛って? いやー過剰防衛ってやつでしょコレ』

『…………』

『…………はぁ〜、この惨状見て見ぬふりすんのも寝覚め悪いし治してあげる。これ結構疲れるし一つ貸しね?』

 

 だが、爆弾魔の発言を信じるのであれば加害者は半殺しにされている男共の方だという。といっても爆弾魔は一発しか殴られてないのに男共は息も絶え絶えで何人かは腕や足を折られていてどう見ても過剰防衛だった。私はそのまま路地裏から立ち去ろうと最初は思ったがこのまま放置したら本当に男共が死にそうだし、救急車を呼んだら呼んだで爆弾魔は確実に警察のお世話になりそうだしで仕方なく……本当に仕方なく反転術式を使うことにした。

 

 ………決して、決して、爆弾魔のこちらを見る目が助けを求めてるように見えて放って置けなかったからとか。そんな理由では断じてない。ないったらない。

 

 ちなみにこの後に私から提案して連絡先を交換したのだが、それ以降も爆弾魔とは示し合わせた訳でもないのに何度も出会った。

 

 そして、初めて出会ってから二ヶ月ほど経った頃には私たちは世間一般でいうところの「友達」のような関係になっていた。

 

 ……まぁ友達といっても綱は基本無口無表情。

 更に何を考えて爆弾魔染みた行為をしているのか前に聞いたことがあったがその時に「気持ちいいからだが?」とか真顔で意味不明なこと即答してきたし……あの質問をして以来私は朝木綱という人間を理解するのを完全に諦めた。

 

 世の中には時々どれだけ努力しても理解できない人間というのが居るらしいが私にとって朝木は理解できない人間筆頭だった。もしかしたら私がもう少し朝木を理解しようと歩み寄る努力の一つや二つすれば1ミリぐらいは理解できたのかもしれない。でもそんな努力するのは面倒臭いったらありゃしない。だからしなかった。

 

 それに理解できなくても仲良くはなれる。基本は無口無表情といっても声音から何となく感情は読めるし、偶に僅かに表情を歪めて驚いた顔や嫌そうな顔をしているのを見るにちゃんと感情は持ち合わせている。見ていて中々に面白いやつで私は「朝木綱」という人間が嫌いじゃなかった。

 

「──はぁい、もしもしー?」

『──家入硝子、今時間はあるか? 聞きたいことがある』

 

 だから、あの日急に掛かってきた電話で、

 

「いつ聞いてもそのフルネーム呼び笑っちゃうからやめてくんない? ……それで聞きたいことって?」

『呪術師というものに興味が湧いた。呪術高専の住所と電話番号を教えてくれ』

 

 あいつがそう言うのを聞いて私はちょっと嬉しくなった。

 

 

 あぁ、高専でも退屈しなさそうだなって。

 

 

 ◼️◼️◼️◼️◼️

 

「……まさか……」

 

 朝木綱。

 その名を書類の中で見つけた時、俺は少なからず動揺した。何故ならば俺は以前からその名をよく知っており、呪術界に於いては目にすることはないと思っていたから。

 

 朝木綱、その父親と俺は面識があった。それどころか学生時代からの友人ですらあった。

 

『──夜蛾、近々、俺が死んだとしてさ』

 

 あの男はいつも突然現れては突拍子もない事を言って忽然と消える、そんな幻かのような人間だった。その時も高専の教師となり間もなかった俺のもとに何の連絡もせず久々に現れたかと思えばそんなことを言い出す。当時の俺は「また始まったな…」と呆れつつ「呪術師ならばいつ死んだっておかしくないだろう」なんて出かけた言葉を飲み込んで話を聞くことに徹していた。

 

『俺って息子いるんだけど、その息子が今のところは呪霊も見えてないみたいだし、このままいけば非術師として人生を生きていくと思うのよ』

 

 男に息子がいたことは知っていた。だが、その息子が呪霊を認識できていないという話は初耳だったため俺はそれなりに驚いた。呪術師の家系に生まれているにも関わらず呪霊が見えない。それはもしかして、

 

『あー違う違う。今のところ呪霊は見えてないだけで呪力も術式もちゃんとある。身体能力だって年相応だ。だから天与呪縛の線は薄いと思う………まぁ、小学生にしては賢過ぎる気もするけどな』

 

 と、俺が口に仕掛けようとした考えを先に察した男は即座に否定する。

 

『それでさ、息子が非術師として、普通の人間として生きること自体は全然構わないっていうかむしろ親としては喜ばしいことなんだけどさ』

 

 男の意見に俺はだろうなと思った。男の家系は呪術師としてはまだ歴史が浅い。その影響もあって男は呪術師と家柄に特段拘りもなければ、持ち合わせている感性も一般人寄りだった。学生時代にはよく「呪術師辞めて〜」なんて本気か冗談か分からない台詞を吐いていたものだ。

 

『…………ほんと、そうあってくれたら喜ばしいんだけど』

 

 息子の幸せを考える男は一瞬父親らしい表情を見せて話を再開した。

 

『もしもこれから先、万が一にあいつが何かの拍子で呪霊を見えるようになったとしたら。あいつは呪術師になるかもしれない』

 

『だから、もし俺の息子が呪術師になったらさ、色々と助けてやって欲しいんだよね。本当は俺が助けられたら一番なんだけど、死んでたらそれも無理だからさ』

 

『あいつが俺と同じ術式を持ってたとしたら、使い勝手悪過ぎて思い悩むか、気持ちよさに目覚めてヒャッハーするか、感性が呪術師向きか呪詛師向きか……どっち向きだったとしても面倒なことになるのは確定だ』

 

 そこまで続けた男は『そんじゃあな、頼んだぜ夜蛾』とだけ言い残し、話は終わったと言いたげに無駄に爽やかな笑顔を見せてから背を向けて歩き出した。

 

 ここまで聞くに徹し黙っていた私はその背に向けてただ事実を述べた。

 

『……俺は教師だ。どんな者であっても、ここで呪いを学ぼうとするならば俺にとっては生徒だ』

 

『生徒は助けるのは教師として当然の責務だ』

 

 俺の告げた言葉に男は足を止めることなく、ただ嬉しそうに満足気に挙げた右手をひらひらと振りながら高専を去っていった。

 

 男が死んだのはそれから丁度三日後のことだ。

 

 そんな男、旧友の遺言染みた言葉を思い出しながら俺は学長への挨拶を終えた一人の男子生徒「朝木綱」と共に教室までの廊下を歩いていた。彼は学長の前でも軽い会釈や相槌は打つものの基本は物静かだった。

 

「初めましてだな、朝木綱。教室に着けばまた皆の前で名乗ることになるだろうが先に名乗っておこう。私は夜蛾正道。今後君の担任を務めることになる者だ」

 

 廊下を歩きながらそう言った俺だが「初めまして」と言うのは正しくはない。何故なら俺は彼の名を一方的に知っていたし彼の父親の葬儀で顔も知っていた。だがそれももう八年以上前のことになる。

 

「……初めまして、ではないだろう」

「……何?」

 

 しかし、そんな俺の言葉を聞いて彼は口を開いた。

 

「正確な月日までは分からないが、八年と二百日ほど前にあなたとは会って居る筈だ。父の葬儀で」

「………あぁ、そうだったな」

 

 直接話したわけでもないのにまさか覚えているとは、内心驚いた俺は彼の言葉を否定せずに今思い出したかのように取り繕い挨拶を改め、

 

「久しぶりだな、朝木綱、壮健そうで何よりだ」

 

 足を止めて、教師としてではなく、朝木綱の父の友人として、朝木綱の父の想いを知る者として問いかける。

 

「単刀直入に聞くが、君は何故呪術師になろうと? 既に薄々分かってはいるだろうが呪術師は常に死と隣り合わせ。呪いに殺された人を横目に呪いの肉を裂かねばならない。お勧めできない、はっきりいって不快な仕事だ」

 

 俺の問いを聞いた彼は俺の目を一度見つめて、それから廊下の窓の外に目を向けると呟くような声量で……しかし不思議と鮮明に聞こえるような強い意志の込もった声音で答えた。

 

「これはあくまでも自論だが」

 

「人生は一生に一度きり」

 

「そんな自分の人生で、後悔はしたくない」

 

「ただ、それだけの話だ」

 

 ◼️◼️◼️◼️◼️

 

「初めまして。私は夏油傑。これから四年間仲良くしてくれると嬉しい」

 

 そう言って私は彼に握手を求めて手を差し出す。彼は2m近くある身長で、制服の上からでもわかる鍛え抜かれ筋骨隆々な肉体からは今まで相当な修羅場を潜り抜けてきたであろうことが窺え、ツーブロックな坊主頭に黒のサングラスと中々に威圧的な見た目をしていた。だが、見た目同様に性格まで威圧的なものではないというのは彼の次の行動から理解できた。

 

「………朝木綱だ。宜しく頼む」

 

 サングラスを外した彼は私の目を真っ直ぐに見てこちらに応えて握手してくれた。その声は見た目から野太い声をイメージしたが実際は意外にも凛としていた。

 

 直感だが、彼とは仲良くなれるそんな気がした。気がしたのだけれど……

 

「…………」

 

 夜蛾先生が話をしてる最中、教室に転がっていたかなり短い鉛筆を拾った彼はぼーっとそれを見つめてから片手でくるりと回し、

 

「起爆術式」

 

 何故か鉛筆に呪力を流して宙に放った。

 

「はっ??」

 

 次の瞬間、鉛筆は爆発して教室の引き戸は木っ端微塵と化し、タイミング悪くもその引き戸を開いて教室に入ってこようとした誰かさんは勢いよく外に吹き飛んでいった。

 

 それを見て私は考えを改めた。

 彼と仲良くなるのは少々難しいかもしれない、と。

 

 ◼️◼️◼️◼️◼️

 

 呪術高専の入学式当日。

 最強の俺はイラついていた。本当にイラついていた。

 

 御三家だから本来は高専に通う必要なんてなかったけど、ちょっとした暇潰しっていうか単純な興味で入学を決めた俺はさっさと家を出て、高専って場所じゃ他の術師もいるだろうがどんな奴等なんだろう、まぁどんな奴等でも最強の俺に比べたら雑魚しかいないんだろうけど、とか考えながら学校に向かっていた。遅刻なんてする予定は一切なかった。

 

「なぁ、お前だろ? 五条悟って」

「あ''? 誰お前? 邪魔なんだけど」

 

 なのに、またどこぞのバカが俺の前に現れた。このバカが誰かなんて知らないしどうでもいいがこの手の輩には昔からよく絡まれた。なんでも? 俺がめちゃくちゃ強いから他の御三家とか呪詛師が俺の首に懸賞金掛けて暗殺しようとしてるとかしてないとか? もう数え切れないほど襲い掛かってきた雑魚共を返り討ちにしてきたけどいつまで経ってもこの手のバカは湧いてくる。どいつもこいつも学習能力ゼロかよ。

 

「ちょっとお前に用があってよ、悪いけど付き合えよ」

「はぁ? なんで俺がテメェみたいな自殺志願者の用にわざわざ付き合わなきゃいけねーんだよ。とっとと消えろよ」

 

 俺の道を塞ぐように立つ呪詛師は手に呪具の刀を持っていたが呪力的に大した呪具じゃない。その上に持ってる術式もしょぼい。なんでこの程度の力しかないのに俺に向かってきたのか意味不明。俺の眼から見ればこの呪詛師は正しく自殺志願者でバカだった。

 

「ふっ、いつまでその余裕が……続くかなァ!」

 

 そんなバカは笑うと俺に向かって飛び掛かって刀を振り下ろしてくる。あーあやだやだ。これだから身の程知らずの雑魚はさぁ。

 

「………で? これで満足?」

「! ば、馬鹿な!? 私の攻撃が……止められた?」

 

 雑魚の攻撃に対して俺は無下限を発動し、目の前で動揺してるバカに冷えた目を向けた。様子と発言を見るにこいつはどうやら俺の術式も理解してないくせに俺に勝つ気でいたらしい。頭ん中お花畑かよ。

 

「雑魚に付き合ってる暇なんてねーんだよ」

 

 それから俺は無下限は張ったままバカの横を通り過ぎる。こんなバカ一々殺す気力も湧かない。こっちは朝っぱらからちょっとワクワクして学校向かってる最中だってのに……。楽しい気分に水を差された俺はイラっとしながらも反撃はしなかった。まぁバカはそんな俺に「ま、待て!」とか言いながら背後から切り掛かってくるが届くわけもない。俺は雑魚を無視して歩き出し、

 

「流石は最強と言われるだけはあるな、五条悟」

「………はぁー、今日は一段とバカが多い日だな」

 

 また俺の前に別のバカが現れる。眼で見てもこいつも雑魚。後ろからずっと刀を振ってるバカ一号と同じく大した術式もなけりゃ呪力も並。俺はイライラして片手で頭を掻きながら溜息を吐いた。

 

「あのさぁ、そんな死にたいならよそいけよババア。俺今登校中なんだけど」

「勿論知っているとも」

「…………あーそー」

 

 バカ二号の老婆は俺の言葉に知っているといった。それに俺は更にイラついた。この雑魚共は俺が学校に向かってる最中ということを把握した上で襲い掛かってきている……つまり、

 

「わざわざ俺の暇潰しの邪魔しに朝から襲い掛かってきたってことかァ、そりゃご苦労様…………死ねよ」

 

 やっぱりこいつらは今すぐにでも死にたいってことだ。

 

 俺はまだ背後から刀を振り下ろそうとしているバカ一号の土手っ腹に振り返らずにした後ろ蹴りで風穴を開け、バカ二号が術式を使うより早くに距離を詰めてその頭を鷲掴みにして引っこ抜いた。

 

 時間にしてたった4秒のことだった。

 

「………行くかぁ」

 

 雑魚の掃除を済ませた俺は再び学校に向かって歩き出し、

 

「五条悟だな。その命、頂戴する」

「………あのさ、お前らってみんな暇な訳?」

 

 足を止めて、また現れたバカ三号に心の底からイラつきながら呆れた。それからも俺は学校に着くまでに幾人もの雑魚に絡まれて気付けば遅刻していた。そして、

 

「起爆術式」

「はっ??」

 

 やっと辿り着いた高専の教室。その引き戸を開いた直後、何故か俺の目の前には呪力の込められた鉛筆が放り投げられていて、気付いた時には鉛筆は爆発していた。術式の発動が間に合わず咄嗟に肉体を呪力で強化した俺は勢いよく吹き飛ばされて廊下の壁に叩きつけられた。呪力強化のおかげで大したダメージはない。しかし、

 

(………殺すッ)

 

 この時、俺の堪忍袋の緒は完全に切れた。

 

 瞬時に身を起こし駆け出した俺は爆発を起こした張本人の筋肉ゴリラを全力で蹴り飛ばそうとし、筋肉ゴリラは小癪にも俺の蹴りに反応して防御。威力を殺し切れはしなかったが教室の壁を突き破って外にまで吹き飛んだにも関わらず奴は平然と立っていた。

 

(術式使ってやりたいけど、こんな野郎相手に術式使うとか負けた気しかしねぇーし術式ナシでブチ殺してやる)

 

 それに記憶だと高専内だと許可なく術式を使用するのは禁止だとか何とか。まぁそんなルールに俺がわざわざ従ってやる道理なんてねーけど? こんな雑魚相手なら術式ナシもいいハンデでしょ。

 

 そう思いながら俺は筋肉ゴリラを追って外に飛び出し殴り掛かった。筋肉ゴリラは蹴りの時と同様にそれに反応して首だけを後ろに動かして避け、続けて放った拳を片手で受け止め、距離を離すために空いた方の手で俺の肩を突き飛ばそうとする。それを躱した俺はもう一度拳を振るい筋肉ゴリラの顔面に一発打ち込んだ。

 

「ッ………」

「……へぇ」

 

 顔面を殴られた筋肉ゴリラは僅かによろめき、だが倒れることはなく飛び退いて拳を構えるのを見て俺は思わず笑った。今の攻撃は特に加減をしていない。朝っぱらから襲ってきた呪詛師にやった時と同じく殺す気で、実際今日会った呪詛師相手ならワンパンできる程度の威力はあった。それを受けてなお生きている上に戦意も全く失っていない。どうやらただの雑魚ではないらしい。

 

「起爆術式」

「……は?」

 

 そう思って再び近接での格闘勝負を仕掛けようとした俺はポケットから取り出した手頃な石をこちらに放り投げて迷いなく爆発させた筋肉ゴリラを見て避けながら思わず声を上げた。

 

(何でこいつはさっきから当たり前みたいな顔で術式使ってんだ? 高専内での無許可な術式の使用は禁止なんじゃ? つうか何でこいつはさっき鉛筆爆発させて──)

 

 何故かって?そりゃ最強の俺がこうして高専内のルールに従ってやってるんだから他の雑魚だってルールに従うのが自然っつうか普通だろ?なのに目の前の筋肉ゴリラはさっきから当たり前みたいな顔して、

 

「──起爆術式」

 

 そんな思考をしている間にも筋肉ゴリラが呪力を込めてぶん投げてきた高専内に建てられた灯籠が爆発した。俺はそれをルールに従ってわざわざ術式を使わずに回避が間に合わないので呪力強化で受け止めた。だが鉛筆の爆発と比べてかなり威力のあったその爆発は呪力強化した肉体であってもそれなりのダメージを俺に与えた。っていうか正直熱いし痛いし煙たいしで気分は最悪で、俺のイラつき具合は限界を軽く飛び越えて、

 

「──あああああ! 頭に来たッ! そっちがその気ならこっちだって本気でやってやるよ! 泣いて謝ってもおせぇからな筋肉ゴリラァ!!」

 

 俺はマジギレした。今日一どころか今生でも一、二を争うレベルでキレた。

 

「やめろ! 術式は使うなっ!!」

「外野は黙ってろ! 出力最大!」

 

 周りの制止の声なんざ知ったことか。今はただ一刻も早くこいつをブチ殺したくて仕方がなかった。

 

──術式順転

──起爆術式

 

 怒りに従って術式を発動する。一切の迷いはなかった。

 

──『蒼』

──起爆拳

 

 多分だけど、それは目の前の筋肉ゴリラも同じだったのだろう。一瞬交差したあいつの目は真っ直ぐに俺を捉えており、瞬間、蒼に引き寄せられた奴の両腕が先程までの爆発とは比較にならない大爆発を起こし二つの強大な力が衝突した。その衝撃に地面は勿論のこと周囲の建物のほとんどが巻き込まれ崩壊した。

 





・家入硝子
何やかんやあって爆弾魔に命を助けられた不良少女。助けられたといっても爆弾魔も反転術式で助けられているので互いに互いのことを「恩人」と思っている。本作の生きてる登場人物の中では爆弾魔との付き合いが最も長い。爆弾魔にとっては記念すべき友達第一号。爆弾魔の突飛な行動(爆発)に最初の頃はドン引きしていたが今となっては爆発を見て爆笑するぐらいになった。

・夜蛾正道
本作一番の苦労人。爆弾魔(綱)の父親とは旧知の中で死ぬ数日前に遺言染みた頼みをされた。これから爆弾魔の問題児というレベルを軽く飛び越えた問題行動に悩まされ胃を痛めることになるが、教師としての責任に友人の息子という補正がかかっているので絶対に見捨てられない。
爆弾魔が問題児過ぎて若干感覚がおかしくなっているのか、原作より五条らの問題行為に甘い部分がある。爆弾魔がちょっと爆発せずに普通にしていただけで褒めたりする。

・夏油傑
本作だと貴重な常識人枠。初対面の爆弾魔と仲良くなれると確信したはいいものの爆弾魔の突飛な行動を目の前で目撃してドン引きした。真面目な性格なので「気持ちいいから」という理由で何でもかんでも爆発させる爆弾魔とは多分どうしても反りが合わない。ちなみに爆弾魔はそんな真面目な夏油の「呪術は非術師は守るためにある」という考えを聞いて「使命を信じてた昔の私みたいだ…」とか失礼なことを考えている。

・五条悟
今回の話に関して言えば可哀想な被害者。朝から呪詛師の襲撃を何度も返り討ちにし、イライラが溜まった状態で教室に入ったら突然爆発を受けた。爆弾魔との初対面が最悪以外の何者でもなかったため入学初日に校内で爆弾魔と私闘することになった。校則に従って高専内での術式は禁止で五条は珍しくルールに従って戦っていたが爆弾魔の方は何の躊躇いもなく術式を使用し始めたのでブチギレて出力最大の術式順転を使った。爆弾魔はというとほぼ無意識に物を爆発させたので「五条が爆発で吹き飛んだ」なんてことは一切認識してない上、五条がキレている理由を真剣に考えていたら術式は禁止というルールをすっかり忘れていたので息を吸うように術式を使って爆発を起こした。
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