ミリシアル最終聖戦記   作:NO SIGNAL…

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ミリシアル統一戦争
民族主義の瓦解


1673年1月3日

大ラヴァーナル帝国

帝都ヴァラシナ

 

ラヴァーナルが内戦に突入した事により帝都では、一時的に帝国軍から独立し行動している帝都防衛司令部が防衛網と指揮系統を構築していた。

 

「帝都防衛司令部及び一部帝国軍部隊と国境警備隊の“国防軍”への編成、主要道路への臨時掩体壕の設置、対魔獣結界魔法の発動が完了しました。“いかなる”組織の侵入も防ぐ万全な準備が整えられています」

 

「ご苦労様、シュパディ副長官」

 

ラヴァーナル国防軍のシュパディ・ハンファに労いの言葉をかけるのは銀髪ショートの女性将校だ。

彼女こそが帝国軍帝都防衛総司令部の司令官であり現国防軍長官のコルパ・ヨルムだ。

 

「新年早々休暇中だった所、急に呼び出してごめんなさい。すぐに対応してくれて助かったわ」

 

「私は誇り高き帝国軍人です。上からの命令があればすぐにでも駆けつけますよ」

 

その言葉の後に「まぁ、その帝国軍は今内戦してますけどね」と付け加えた。

 

「まさか、この時代になってパル・ネメアを駆り出すとは思わなかったわね」

 

「ヴァラシナ兵器博物館に展示されていた4両のパル・ネメアは、帝都南北縦断大道路と帝都東西横断道路の出入り口に配置しています。動態保存が良くすぐに動かせたのが幸いでしたね。帝国軍退役省には感謝しかありません」

 

パル・ネメアと呼ばれた兵器は、60年前に帝国軍で配備されていた兵器で、旧式魔導戦艦から転用された33cm連装魔導砲を搭載した陸上魔導戦艦である。

戦車としては破格な重量2000トン、最大装甲400mmを有し、いかなる攻撃も弾き返し敵を撃破する事ができ、神話時代の竜魔戦争でも活躍していたラヴァーナルの超兵器だ。

 

「…前皇帝の帝室慣習を反した皇弟の即位は、皇帝に即位するはずだった皇太子と現皇帝が議論するぐらいの政治闘争だったけど、それを貴族や政治家連中が民衆に焚き付け、巨大な派閥を形成。帝国軍は政治には介入しない言う政治的中立を捨て、それぞれの派閥を支持し軍事力を手にした彼らは、国家を分断する内戦に突入してしまったわね」

 

「皇太子を支持する保守派と現皇帝を支持する強硬派は陸海空で戦いを繰り広げています。両者共に一歩も譲らないでしょうな」

 

「帝国全土が火の海になるのは間違いないわね。この内戦で避けなければならないのは、コア魔法の事故的使用よ」

 

「そこで我々国防軍の出番と言う訳ですな」

 

「その通り。帝国は13000発のコア魔法を保有している。世界を滅ぼすには十分すぎる量よ。コア魔法を搭載した弾道魔光弾発射関連施設があるヴァラシナを死守し、コア魔法の熱線から世界を守らなければならない」

 

現状、世界の核・コア魔法の保有数は、大ラヴァーナル帝国が13000発、日本国が5000発、グラ・バルカス帝国が3500発、ムーが1500発を保有している。

その数は今もなお増え続けており、保有国は先制攻撃すれば報復攻撃で滅びると言う相互確証破壊が成立している状況であり、安寧が保たれていた。

内戦で双方が決着を付けるためにコア魔法を使用するのを防ごうとしているのだ。

 

「幸いにも双方はヴァラシナ中立宣言と国防軍の臨時編成は受け入れており、現状は帝都全体が無傷です」

 

「それは良いことにね。美しき国土がコア魔法で破壊されるなんて誰も良い思いはしないわ」

 

コルパは安堵も表情を浮かべる。

 

「内戦はいつ終わるのでしょうか」

 

「早くて1年ってところかしら。お互い結構な数の兵力や軍需力を有しているわ。そう早くには決着しないわよ」

 

「長官は内戦が終結したらどうします?」

 

「とりあえず、事後処理を完了したら、皇帝に直談判して2ヶ月ぐらい休暇を取る」

 

「ははは、さすが長官ですな。前皇帝陛下が一目置かれる程のお方だ」

 

「よしなさい」

 

シュパディの賞賛に照れながらコルパはたしなめた。

 

そんな中その場にいる兵士から動揺の声が挙がる。

コルパとシュパディは何事かと、兵士の視線が向いている方向を見る。

昼間のはずなのに空には流れ星が尾を引きながら落ちていく光景が広がっていた。

 

「な、なんだあれは!」と驚愕する新兵や「14年前の光景を再び見ているようだ」と昔の事を思い出す老兵など、反応は様々だ。

 

「あれは僕の星。戦いを有利に進めようと対僕の星兵器で両軍の掌握している僕の星を軍事民間問わず破壊しあってるのよ」

 

「…狂ってるとしか言いようがありません」

 

12000年と言う時を経て復活した事で、ラヴァーナルと言う国は狂いはじめた。

この国は光翼人至上主義を掲げ民族を団結させ国家を発展していった。

しかし、日本やグラ・バルカスなどと言った自分達と同等かそれ以上の国と戦争した事で自分達の絶対的優位性を失い、光翼人と言う民族は2つに分断した。

 

「シュパディ副長官、引き続き帝都周囲をするように」

 

コルパはラヴァーナルの行末に不安を感じながらも、シュパディに任務を遂行するように伝える。

 

「この狂気の同胞殺しから、コア魔法を遠ざけるのよ」

 

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