ミリシアル最終聖戦記 作:NO SIGNAL…
オルクスの地から燃え上がった炎が中央ミリシアル地方に広まっている間、世界では様々な出来事が起きていた。
1672年の年の瀬に勃発したラヴァーナル内戦は、西部ドルカワラート管区の皇太子シヴァを支持するラヴァーナル正統政府軍と、東部プリオッサ管区の現皇帝ラファを支持する強硬派のラヴァーナル臨時政府軍が陸海空の戦場で、数百万の兵士が衝突していた。
民間人の犠牲を出しながら、いつ終わるかわからない戦いに明け暮れている中、ラヴァーナル正統政府のシヴァが、他国からの支援を付けようと、国家独立維持連合加盟国のムーに接触。
急遽ムー連邦首都オタハイトにて、ラヴァーナル正統政府、日本、グラ・バルカス帝国、ムー連邦、パーパルディア共和国、マギカライヒ共同体、ニグラート連合、パンドーラ大魔法国、ロデニウス王国連邦、アルタラス王国の9ヶ国の首脳による先進9ヵ国+1会議を開催した。
会議にてシヴァは、内戦後の生まれ変わったラヴァーナルと共に共存共栄の道を歩む事を条件に、各国に対してラヴァーナル正統政府を正当な大ラヴァーナル帝国政府としての支持、ラヴァーナル内戦への国家独立維持連合の介入を要請するシヴァ案を提示。
神話の時代から語り継がれているラヴァーナルの傲慢かつ野蛮な性格とは反する主張に、各国に首脳達は猜疑心を募らていた。
日本の伊野首相が、ミリシエント大陸からのラヴァーナルの完全撤退を条件に、内戦への介入と共存共栄を受け入れる伊野案を、シヴァに要求。
この要求に対し、ラヴァーナルと言う巨大な国を維持する経済や資源、光翼人10億人の腹や魔素を満たすにはミリシエント大陸は必要不可欠であるとし、シヴァは井野案の受け入れを拒否。
伊野首相以外の案を各国の元首が要求するが、それすらも受け入れ難いとし会議は難航。
思い通りに行かない事や内戦を一刻も早く終結させたいがあまりに、痺れを切らしたラヴァーナル側代表の1人が、「我々より魔力が劣っている劣等人種が偉そうに要求するな。世界に選ばれし光翼人の言う通りに従え」と失言してしまう。
この発言に対し、各国首脳の対ラヴァーナル感情が更に悪化してしまい、各国首脳が共同でラヴァーナル正統政府を支持しない共同声明を出し、先進9ヵ国会議+1会議は、シヴァ達ラヴァーナル正統政府が退出する形で幕を閉じた。
その後の記者会見で、井野首相は「その傲慢かつ見下すような性格を直してから出直してくるべき」と答え、アノス執政大臣は「会議に来たと思ったら子供の我儘を聞かされた」など、各国の首脳はラヴァーナルに対し批判や怒りを露わにした。
一方のシヴァは魔導戦艦内で、失態を犯した部下を自身の秘技である精神魔法をかけ、他の部下から止められるまでの間に人格や精神を崩壊させる程にまで、彼は激怒していた。
部下の失態で味方を付けるどころか顰蹙を買われた失意の中、シヴァ達は戦場と化した祖国への帰路に着いた。
ラヴァーナル正統政府繋がりで、シヴァとは別の正統政府の使者を乗せた魔導戦艦1隻、対空魔導巡洋艦4隻、対艦魔導巡洋艦4隻の艦隊が、高度魔法文明国家のアニュンリール共和国にも派遣されたが、彼の国の本土沖合で艦隊ごと消息を断つ事件が起きた。
正統政府海軍司令部と交わした最後の魔信には、敵海上要塞と空中戦艦と交戦中と言う内容が記録されていた。
海軍司令部はアニュンリール共和国海軍に艦隊が撃破されたと判断した。
日本は広島県呉市の八菱重工呉造船所にて、大和型戦艦1番艦大和と2番艦武蔵が1週間の間隔で就役した。
同艦は排水量200000トン、全長363m、510mm3連装砲4基、127mm連装超電磁砲4基などを搭載した、世界最大最強の戦艦だ。
これほどの戦艦を複数かつ同時期に就役した日本の経済力と工業力の粋を集めた象徴として、グラ・バルカスなどの国家は、改めて日本の恐ろしさを認識した。
その反面、大和型戦艦は同型艦の大和と武蔵に加え他2隻の配備が計画されていたが、1672年に起きた東海道広域大噴火災害による復興予算獲得のため、軍事予算の増額が不可能となった事、大和型2隻で原子力空母4隻分と言う莫大な建造費を理由に、計画の大幅修正を余儀なくされ、残りの2隻は大和型を大幅にスペックダウンした戦艦になる予定だ。
グラ・バルカス帝国は未だに財閥危機による経済不況が続いていた。
財閥は人件費削減のため正社員の数を減らし、単純作業を正社員に変わる労働力の確保、就職困難な学生や失業者の受け皿となる人材派遣会社いわゆる労働者派遣産業が台頭し始めた。
財閥は人件費削減、学生や失業者の新たな就職先として、人材派遣会社は重宝された。
しかし、ユグドラ協商連合、ラヴァーナル、日本との対立による軍備拡張、その先に待つ最悪な世界終焉シナリオ、財閥危機による経済不況、富士山噴火による世界規模の寒冷化、生活水準の低下や安定しない雇用など、未来に絶望した若者の自殺率や犯罪率の上昇、グラ・バルカス版
ムー連邦は、この世界の2つある月の内の1つである衛星リリスに、人を送り込む“アルテミス計画”が成功した。
国産超大型ロケット“ラ・サタン”はムー空軍から選出された宇宙飛行士を載せリリス周回軌道に入った後にリリスに着陸。
リリスに着陸したと言う証を残すため、宇宙飛行士がリリスの地に立てたムー連邦国旗にムー統括軍式の敬礼をする写真が収められた。
この歴史的偉業にムー国民は歓喜した。
日本は地球の友人であるムーが月面着陸成功に天皇が直接祝辞を贈り、グラ・バルカスやパーパルディアは簡単な祝電を送るなどしていた。
既に月面着陸に成功した日本、グラ・バルカス、ラヴァーナル、アニュンリールに続きムーは5番目の月面着陸となった。
戦乱や動乱が続く世界でも確かに光はあった。