ミリシアル最終聖戦記 作:NO SIGNAL…
旧名のコルマラスから名前を変えようとオムスクを適当でいじったら名前が一致するなんて
メテオスの軍隊
魔法文明を主体とするラヴァーナルと、科学文明を主体とする連合で分断した世界。
ラヴァーナルでは、前皇帝ラフマ・ラヴァーナルの慣習に反した皇位継承を発端に勃発した大ラヴァーナル内戦は、皇太子シヴァのラヴァーナル正統政府軍と、現皇帝ラファのラヴァーナル臨時政府軍の両軍が、激しい攻防戦を繰り広げていたが、戦況はラヴァーナル臨時政府軍が事を進めており、内戦の行く末は確定していた。
分裂していた国家独立維持連合では、帝政セレネアの台頭、エリュシオニア軍事協定の発足による連合からの脱退国が出たことにより、連合加盟国が元凶である日本とグラ・バルカスに対する不満が表面化した。
これら2カ国は自国と連合の影響力低下に危惧し、連合の再建と日グ冷戦を終結させ、冷え切った両国の関係改善に向けて動こうとしていた。
大祖国戦争後、国家組織が崩壊したミリシアルでは、国家再建運動が活発化。
群雄割拠しているミリシアル軍閥の思想と政治の衝突が開始した。
ミリシアル4大軍閥の一角を担い、元魔帝対策省の大魔導士メテオス・ローグライダー率いるミリシアル解放戦線が、人民委員会を下しミリシアル東部を制していた。
同じく、元ミリシアル外務省外交官フィアーム・トラファとエモール三龍の生き残りイヴァン率いるミリシエント二重帝国は、極みの雷炎龍でミリシエント北部を制していた。
一方、ラヴァーナルの完全破壊を国家方針とする、ドミスト・ヤフ率いる中央ミリシアル統治機構は、中央ミリシアルを統一し、次の段階に進んでいた。
アスファルトの道路が至る所に張り巡らされ、情報社会が発展し、人や文化の行き来がますます活発化していく1674年の冬。
ミリシアルの地で、最終的なミリシアルの後継者を決める、大規模な軍事衝突がはじまろうとしていた。
1674年1月31日
カン・ブリット
ミリシアル解放戦線軍司令部
「依然続くラヴァーナル内戦は、終盤に差し掛かろうとしている。ラファ率いるラヴァーナル臨時政府軍の勝利が確定しているが、内戦の影響で帝都ヴァラシナを除く各管区は瓦礫の山に、帝国管理管区が設置されている
ミリシアル解放戦線最高司令官の、大魔導士メテオス・ローグライダーが言う。
神聖ミリシアル帝国崩壊前は、元魔帝対策省に所属し空中戦艦“パル・キマイラ”2号機の艦長を務めていた男だ。
「解放戦線軍の増強は順調に進んでいます。解放戦線軍が有する歩兵戦力は40万から80万に、機甲師団は3個から5個にまで増強しています。更に、地下軍需工場で改修中のパル・キマイラ2号機、2号機のデータを元に建造しているリベラシオ級3隻も、戦線に加わります」
褐色でエルフ特有の耳を持つ、解放戦線軍大将のヤオデュア・ロリアが、解放戦線軍の現状を報告する。
彼女はエルフの中でも希少種のダークエルフだ。
「パル・キマイラ2号機か…大祖国戦争で2号機と共に出撃して散ろうとしていたが、生き残ってしまったな」
「閣下が、ラヴァーナルの機甲師団を殲滅し、天の浮舟20機を撃破し、パル・キマイラに接近戦を仕掛けた、あの英雄的な戦いですね」
「よしてくれ。格好つけて出撃して私に着いてきた部下を多く死なせてしまったんだ」
「ですが、あの時死ぬはずだった私を、閣下が生かしてくれるチャンスを与えてくれました。私だけでなく生き残ったミリシアル臣民も同様です。閣下は勿論の事、戦死した部下も決して無駄な事ではなかったと思っています」
ヤオデュアは、祖国崩壊前は旧ミリシアル陸軍機甲師団で機甲連隊長を務めていた。
ルーンポリスが敵の手に落ち、残存部隊や生き残った臣民を退避させるため、彼女の部隊が殿を任され、生き残る事は考慮されてなかった。
彼女達援護部隊の半数を失い敵機甲師団が迫り来る中、ミリシアルの国籍マークが入ったパル・キマイラが現れたのが、メテオスが乗るパル・キマイラ2号機であった。
「そうか…あそこで死なず、今君とこうして話し合ってるのは、何かしらの意味があるのだろう。歴史の幕から消えた神聖ミリシアル帝国を再建し、ラヴァーナルをミリシエント大陸から追い出す。次こそ、世界と共にラヴァーナルに対抗し、平和を取り戻すため、ミリシアル統一を急ぐぞ」
「次は北部と中央ですね」
「そうだ。次の敵はミリシエント二重帝国と中央ミリシアル暫定統治機構だ」
「中央ミリシアル暫定統治機構…連中の掲げる過激思想に関しては、情報総局から聞いています。“光翼殺しのドミスト”こと、ドミスト・ヤフが運営をしており、ミリシアル国家再生委員会と言うカルトを作り上げたとか」
「神が成し遂げられなかったラヴァーナルへの神罰を代行し、聖戦の完遂を主張する彼らは、カルト宗教と大差はない。しかし、彼らは大祖国戦争で、人生を破壊された被害者にも思える。あの戦争で生活を、家族を、尊厳を、当たり前だった事を失った者達だ。全てを失った彼らには憎悪と復讐しか残っていないのだろう」
「情報だと、同様の思想を掲げた軍閥が接触し、更なる版図拡大を目論んでいるようです。奴らとオルクスの共通点は、復讐であり狂気と言う事だったのか」
ラヴァーナルへの復讐を掲げる軍閥はオルクス以外にも複数ある。
ドミストの中央ミリシアル暫定統治機構をはじめ、中央法王回復戦線、アガルタ残存自治機構、ミルキー漂流政府、ギリスエイラ傭兵団、トルキア軍事政府と言った、ラヴァーナルによって滅ぼされた旧国家の生き残りが、ラヴァーナルに対して強い憎悪を持っている。
「今のミリシアルに必要なのは、狂気ではなく理性だ。ミリシアルを救うためにも、理性ある解放戦線がが統一しなければならない」
メテオスは立ち上がり、ツギハギの軍帽を被る。
「我が解放戦線が、中央ミリシアルを復讐の連鎖から“解放”する」
「私は、解放戦線最高司令官についていくだけです」
「頼もしい限りだ。オルクスの復讐の火から世界を守るのだ」