ミリシアル最終聖戦記   作:NO SIGNAL…

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反乱軍鎮圧

1674年2月3日

コルマラス近郊

反乱軍制圧前線司令部

 

反乱軍の最高司令部が設置されているコルマラス近郊に、統治機構軍第5軍集団所属の部隊が展開していた。

アマルガⅤ魔導戦車や少数だが、152mm魔導砲を2門搭載したセレネア製のオグレス重戦車が、その後ろには兵士を乗せた装甲車や装甲トラックが、突撃陣形で待機していた。

 

「第1装甲突撃中隊、第4から第8機甲大隊、第51・第53・第56・第57歩兵連隊、展開完了しました。いつでもコルマラスへの総攻撃を実施できます」

 

1人の参謀が、現場指揮官のアルケンサダ陸軍大佐に報告する。

 

「ご苦労。全く、反乱軍の連中め、仕事を増やしやがって」

 

アルケンサダは、めんどくさそうな顔をしながら、反乱軍に毒づいていた。

 

「解放戦線や二重帝国の脅威があるのに、国内で反乱が起きるなんて最悪ですね」

 

参謀も、アルケンサダと同じ意見だった。

 

「最高司令部からは、作戦開始は現場に任せるとのことです。それと、反乱軍に加担していた兵士には降伏勧告を出すようにと、お達しがきています」

 

「反乱軍の大部分の兵士の士気は低いと聞く。部隊指揮官の命令で仕方なしに付いているのだろう」

 

「命令を拒否した兵士が、その場で射殺されたと言う話もあります。そんな恐怖政治じゃ、士気も低いでしょう」

 

「上も、せっかく育て上げた兵士を、そう易々と失いたくないんだろう。兵士を育てるにも資源やコストはかかるしな」

 

アルケンサダは、椅子から立ち上がる。

 

「全部隊に通達。反乱軍への攻撃を開始せよ」

 


 

1674年2月3日、アルケンサダの命令で、反乱軍への降伏勧告を出すも、降伏する意思がなかったとみなし、展開していた突撃混成軍団はコルマラスへの攻撃を開始した。

コルマラスに続き、ランドル、ケレンカ、メチェルヴェ、ホルマースに展開している統治機構軍突撃部隊も攻撃を開始した。

 

混成突撃軍団はオグレスを先頭に突撃し、反乱軍の即席陣地を、オグレスが放った152mm榴弾が直撃し撃破する。

オグレスが装備しているドーザで、即席陣地の瓦礫を押し除け、突破口を形成した。

 

オグレスの圧倒的重厚感に気圧され、反乱軍兵士は後退を開始。

突破口から、アルマガⅤや兵士を乗せた装甲車や装甲トラックが侵入する。

 

装甲車や装甲トラックから、市街地戦装備の歩兵が下車し、コルマラスの道路という道路に雪崩込み、反乱軍司令部が設置されているコルマラス都市総督府に前進した。

途中、反乱軍兵士が建物に立て籠り抵抗してきたが、アルマガⅤの128mm魔導砲が反乱兵士軍が立て籠る建物に照準を合わせ、撃破していく。

 

混成突撃部隊は、コルマラス都市総督府庁舎に到達するが、反乱軍が籠城戦で抵抗。

圧倒的物量で反乱軍を攻撃し、その日の内に反乱軍最高司令部は崩壊。

指揮系統が崩壊した事により、一部の部隊指揮官や兵士を除き、コルマラスの反乱軍は統治機構軍に降伏。

反乱軍重要人物の、シュミールパオ・エレナは、他の幹部と部隊を引き連れ、コルマラスから逃走していた。

 

これに対し、統治機構軍最高司令部は、第5軍集団に追撃するように命令。

更に、各都市や主要道路に軍や国家警察による検問を実施。

 

尾行している情報局職員から、反乱軍重要人物の逃走経路が随時報告され、追撃部隊はその情報を元に追い詰めていく。

シュミールパオ・エレナ達敗残部隊は、反乱軍影響下の4都市や地域を転々とするが、4都市は既に統治機構の影響下にあり、道中統治機構軍との遭遇戦に遭いながら彼女らは徐々に追い込まれていく。

 

反乱軍敗残部隊は、オルクス州東部の都市“マンドラル”に潜伏するが、敗残部隊は30人を切っていた。

 

一連の鎮圧作戦も最終段階に入った。

 


 

1674年2月26日

マンドラル

ミリシアル救済戦線暫定司令部

 

司令部として設置された廃工場で、中央ミリシアル統治機構に反乱を起こした、ミリシアル救済戦線最高司令官のシュミールパオ・エレナが項垂れていた。

 

「私は失敗した。父が犯した罪をの償う事ができなかった。この国に狂気と復讐しか残らなくなる前に防ぐ事ができなかった」

 

そこに救済戦線兵士が入ってくる。

 

「シュミールパオ・エレナ閣下!ドミストの軍隊が迫っており、今すぐに撤退する必要があります!幸いにも、我々には敵の最高機密資料とそのアクセス権限を持っています。まだ世界を救う手段は残っている!ドミストが隠していた“第四の国家綱領”の恐ろしき内容を!」

 

その言葉に、光を失っていたエレナの瞳に光が戻った。

 

「そうね、ドミストとその側近が作り上げる恐ろしい戦争計画。世界中に暴露すれば、人々は私達を信じてくれるかもしれない。希望を捨ててはいけない。“最終聖戦”を回避しなければ。父シュミールパオ・ラックのためにも、あの子達を救うためにも」

 

エレナは懐から1枚の魔写を出す。

 

祖国崩壊後に撮影された魔写には、彼女とその父と2人の戦災孤児が仲睦まじく写っていた。

 

「国家再生委員長や国家綱領責任者の道を歩まない世だったら、あの子達はどんな未来を歩んでたのかしら」

 

「我々には全世界に公開する手段はありませんが、幸いにもここから東はミリシアル解放戦線の領域で、オルクスとは敵対的な軍閥です。彼らを通じて世界に暴露するため、そこに亡命しましょう!」

 

「わかったわ。先を急ぎましょう」

 

エレナはそう言い、第四の国家綱領とアクセス権限が入っている、耐爆耐火ケースを手に取り外に出る。

 

表には、護衛の兵士と救済戦線軍最後の装甲車が止まっていた。

世界を救う最後の希望であった。

車内には、生き残った戦線司令部幹部が待っていた。

 

「シュミールパオ閣下の搭乗を確認!これより、ミリシアル解放戦線領域に向け装甲車を出します!」

 

「最後の付き合いだけど、よろしくね。私は、ここで死ぬわけには…」

 

彼女が言い終わる前に、車内は閃光と爆音に包まれ体が浮く感覚を感じながら、彼女の意識は永遠に閉ざされた。

 

2月26日、情報局職員がセットした爆弾で、エレナ達戦線司令部幹部が乗る装甲車が爆発。

エレナ達幹部は爆発四散し死亡、第四の国家綱領とアクセス権限の奪取に成功。

「魔女狩りは終了した」と言う魔信が統治機構軍最高司令部に届き、クレイハムは反乱軍壊滅を宣言した。

 


 

クレイハムは、ドミストに反乱軍鎮圧作戦の結果の報告をしていた。

 

「以上が反乱軍鎮圧作戦の経過と反乱軍最高司令部壊滅になります。ドミスト閣下」

 

「報告ご苦労。第四の国家綱領中のデータが無事奪還できたのは良い事だ」

 

クレイハムからの報告を聞き終えたドミストは、どこか浮かない顔をしていた。

 

「ドミスト閣下、顔色が優れませんがどうかしましたか?」

 

「シュミールパオ閣下の娘を爆殺してしまった、と言う事を受け入れがたくてな」

 

彼は、旧神聖ミリシアル連盟創設者であり、大祖国戦争で共に生き伸びたシュミールパオの娘を、自分達が掲げる思想によって殺してしまった事に複雑な思いを抱いていた。

 

「どうしてこうなったのだろう。我々はシュミールパオ閣下の意思を実現するために戦っている。娘の殺害も閣下の意思だったのだろうか。我々はどこかで道を踏み外していないのだろうか」

 

「私から申し上げる事は少ないのですが、もしシュミールパオ閣下のご意志でないのであれば、それは母なるミリシアルのご意志でしょう」

 

クレイハムの意見に、ドミストは関心するかのように耳を傾ける。

 

「我々は、天使の皮を被った悪魔共(光翼人)を焼却する聖戦が待っているのです。聖なる戦いの敵は、全て我々の手で殲滅しなければいけません。エレナは我々の道を阻む敵であった、だからミリシアルの意思が天罰を下しただけであります」

 

「そうか、そうだな。さすがミリシアル国家再生委員長だ。素晴らしい意見だ」

 

クレイハムの意見に、ドミストは無理矢理納得させ、彼女を賞賛する。

 

「ありがとうございます。世界を救うための聖戦n…」

 

クレイハムが言い終わる前に、ノックの音がしメリマキサが入ってくる。

 

「失礼致します、ミリシアル4大軍閥の一つ自由ミリシアル艦隊が、中央ミリシアル統治機構への加盟を要請しました。自由ミリシアル艦隊の司令官が、オルクスに訪問しておりドミスト閣下と会談を望んでいます」

 

「それは本当か!これで我々も海に出れるな!ドミスト閣下、どうされますか?」

 

「会談を受け入れよう。君達は準備を進めてくれ。私はその間に戦没者の墓地に行ってくる。娘さんの死を“父親”に伝えなければ」

 

「…承知致しました。それでは失礼致します」

 

間を置いてから、クレイハムとメリマキサが司令官室を後にする。

司令官室は、ドミスト一人だけとなり、静寂に包まれていた。

 

「まさか、ここまで成功するとは思わなかったんだ」

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