ミリシアル最終聖戦記 作:NO SIGNAL…
1674年12月9日
高度6000m
ミリシアル解放戦線軍空中艦隊
かつてのリング型からアダムスキー型となり一回り大きくなった空中魔導戦艦パル・キマイラと、トライアングルの形をしたリベラシオ級空中魔導戦艦3隻が、菱形編隊を組みながら時速500kmの速度で青い空を進んでいた。
「攻撃目標まであと300km」
「狂信者共め、我が国を土足で踏み込んだらどうなるか思い知らせてやる」
パル・キマイラ2号機の艦長は、まだ見ぬ敵に闘志を燃やしていた。
「艦長、相手はラヴァーナルの空中戦艦を撃ち落としてますけど、大丈夫なのでしょうか?」
「戦う前に怖気ついたか?心配はないさ、これらの空中魔導戦艦は強力な武装を搭載している上、大口径砲やコア魔法の爆破にも耐えれる魔法障壁も展開可能。正に難攻不落の要塞と言っても過言ではない。それにラヴァーナルの空中戦艦はまぐれあたりに過ぎない。運が味方しただけさ」
部下の不安を払拭させるため艦長は空中艦隊が最強であるかを強調していた。
「艦長、レーダーに反応あり!超高速でこちらに進む物体を確認!数は3!」
「なに?こんな長距離から攻撃してくるなんて、ラヴァーナルや日本じゃ…」
艦長の言葉を遮るように、左舷を飛行していた1隻のリベラシオ級から、ズガァン!と言う音が2回聞こえた後に爆発を起こした。
「なっ!?」
「リベラシオ、大破!」
リベラシオ級のネームシップであるリベラシオが攻撃を受けた。
主機がある中央区画と2本の支柱が破壊され、推力を失いゆっくりと崩壊しながら墜落し、遂に地上に激突し爆発四散した。
「リベラシオ、撃沈!」
「全艦に通達、敵の攻撃を受けた!魔法障壁を展開、対空警戒を厳とせよ!」
艦長は狼狽しながらも、的確に指示を出した。
「レーダー手、敵の攻撃について何かわかったか?」
「いえ、皆目見当がつきません。ただわかることは、誘導魔光弾でも既存の魔導砲による攻撃ではない事と、敵は約8000kmの速度で攻撃してきたと言うことだけです」
「8000kmだと!?」
空中艦隊を襲ったのは、統一戦争司令官直属の部隊第700砲兵連隊が有する、46cm電磁加速魔導砲による長距離狙撃だ。
アトラタテス構想によって開発され、砲口初速
解放戦線軍の空中艦隊殲滅のために第700砲兵連隊には、自走化された物が3両が配備されている。
リベラシオを撃破し次の攻撃目標を定め、発射準備に取り掛かるが、次弾発射までには3分程の時間を要した。
46cm徹甲榴弾が装填され、6両の雷力ジェネレータ式魔導機関を搭載した発電車が発射するために生み出されたエネルギーが充填されていく。
射撃管制装置と偵察型天の浮舟“トゥエンレー”から逐次送られてくる敵空中戦艦の位置情報を元に照準を定め、砲身内には摩擦による損傷を抑えるため魔法障壁を展開。
発射準備が終わった46cm電磁加速魔導砲は敵空中戦艦に対して一斉射をした。
3発の徹甲榴弾はマッハ6.5の速度で進み、照準におさめられていた空中戦艦に全弾命中。
徹甲榴弾は敵空中戦艦が展開していた魔法障壁を貫通し、敵空中戦艦内部にまで深く突き刺さり大爆発を起こし轟沈した。
残りの敵空中戦艦にも同様の砲撃をし1隻の撃沈に成功するが、ここで発電車がオーバーヒートを起こした。
発電車は急造品と言う事もあり、第700砲兵連隊による長距離狙撃は旗艦パル・キマイラ2号機を残し中止した。
パル・キマイラ2号機の撃墜は、航空隊に託された。
高度6000m
中央ミリシア軍第1次攻撃隊
パル・キマイラ2号機を撃破するため、中央ミリシアル軍所属の第1次攻撃隊19機が、V字編隊で飛行していた。
第700砲兵連隊にアクシデントが発生した際に出撃する部隊であり、中距離空対空誘導魔光弾“アラモア”6基を搭載した戦闘攻撃型天の浮舟“オスカー”16機、アラモア12発を搭載しミサイルキャリアとなった戦略爆撃型天の浮舟“オスカー”3機で部隊が構成されている。
更に別空域では6個の攻撃隊が空中待機しており、本土には予備戦力が控えている。
中央ミリシアル軍が保有する航空戦力全てを投入した総力戦だ。
「第1次攻撃隊各機へ、敵射程圏内に入った。これより攻撃を開始する。誘導魔光弾発射!」
飛行隊長の攻撃開始の命令により、アラモアがオスカーから2発と、シズラーから4発が発射された。
アラモアはマッハ2までに加速し、パル・キマイラ2号機に向け突き進んだ。
それらが到達する前に、パル・キマイラ2号機の20cm連装魔導砲やアトラタテス砲が、全てを撃ち落とした。
攻撃隊は残りのアラモア全てを発射し、撃ち落とされたり弾幕を潜り抜けたアラモアは、展開している魔法障壁によって無効化された。
アラモア全てを撃ち尽くした第1航空攻撃隊は空域からの撤退を開始。
その後第2次、第3次、第4次攻撃隊が飛来し、第1航空攻撃隊と同様の攻撃をするが、第1航空攻撃隊同様効果はなかった。
しかし、次に飛来した第5次攻撃隊が攻撃した際、弾幕を潜り抜けたアラモア数発がパル・キマイラに着弾し、アトラタテス砲数基と外殻が損傷。
魔法障壁の展開可能時間が超えていたため消失していたのが理由だった。
第5次攻撃隊からの報告を受け、第6次攻撃隊が現場に急行。
更に補給を終えた第1次、第2次攻撃隊と予備戦力で控えていた3個攻撃隊が加勢。
魔法障壁が消失し、迎撃能力が低下したパル・キマイラ2号機には次々とアラモア着弾していく。
遂にパル・キマイラ2号機の爆弾倉にも着弾し、大爆発を起こし轟沈。
バルチスタ沖大海戦、南方大戦、大祖国戦争などの戦いを潜り抜けたパル・キマイラ2号機は、ミリシアルの地で激動な生涯に幕を降ろした。