ミリシアル最終聖戦記 作:NO SIGNAL…
オルクス
ミリシアル国家再生政府
執務室にはクレイハムとメリマキサが話をしていた。
「クレイハム、第四の国家綱領に関してだけどそろそろ公開しても良いと思うのだが」
第四の国家綱領は内容が過激過ぎると言う理由でドミスト、クレイハム、、メリマキサの3人しかその内容が知らされてない。
「確かに政府上層部や大審判作戦に関わる将校には第四の国家綱領の内容をを公開するべきだね。良い時期だし段階的に公開しよう」
「そうしようか。ドミスト閣下に具申しよう」
ドアをノックする音がする。
「失礼します。対外情報の整理が終わったので報告に参りました」
スシリアがクレイハム達に報告するため部屋に入った。
「良いとこに来たね。さて、世界ではどんな事が起きているのかな?」
「最も話題なのは平和の祭典“東京オリンピック”の開催です。ミリシアル、ラヴァーナル、アニュンリールを除くすべての国家が参加。国家の思惑や武器ではなくスポーツで競い合い多くの人々に笑いや感動を与えました」
「正に冷戦の雪解けの象徴たる例だね」
「はい、オリンピックが開催された事で日グ両国の文化交流は活発化。不況続きだったグラ・バルカスでは日本の文化コンテンツがグラ・バルカス臣民の心を掴み希望を持ち不況からの再スタートを果たしました」
グラ・バルカスにおけるコンテンツ産業の割合は他の産業に比べて市場は小さかった。
しかし、日本の多種多様な文化コンテンツが流入し、国産コンテツ製作も活性化するなど市場規模は拡大。
それに伴い電機機器や情報通信分野においても副次的効果を受け開発速度も加速。
新たな就職先として、更に埋もれていた才能を発揮する場所が新たに設けられマイナスとなっていた幸福度も回復した。
「日本も富士山の大噴火で被害を受けましたが、各省庁と企業の元に行われた地方再生プロジェクトで施行された富嶽市とかぐや市は日本が描く未来都市のモデルとして都市開発が進められています」
富士山の噴火で壊滅した市町村を合併した富嶽市とかぐや市は政府と企業が構想する未来都市の実験場として開発が進められていた。
富嶽市は日本の大手自動車メーカー“チヨタ自動車グループ”が構想する、AI・自動運転・ロボットなどを導入し収集されたデータを活用しサービスを提供する実証実験都市“ウーブン・ポリス”の開発に協力し既に5割が完成している。
かぐや市は科学と魔導を融合した都市の開発を進めており魔法技術研究開発機構とマギカライヒ共同体と共同で都市開発が進められている。
「次に日本やグラ・バルカスからの物資支援ですが次の便を最後に支援を中止すると言う通達が来ました」
ミリシアルは日本、グラ・バルカス、セレネア、ロデニウス、アルタラスから各種支援を受けていた。
「東京とラグナに弾道魔光弾の発射用意を」
「沸点低すぎる」
「え、なんでなんで?なんかやっちゃった?」
「私の推測ですが、国家綱領に関する計画内容が漏れたのではないでしょうか」
「それで警戒されたのか…ところで現在政府内に公開されている国家綱領の内容は標語に過ぎないが、君は“どの国家綱領”の話をしているのかな?」
スシリアは内心焦ったが態度を表に出さまいと平然と装っていた。
「…いえ、公開されている内容も一部は過激な主張も含まれているため、それが原因だと推測しました」
現在ミリシアル国民に向けて公開されている国家綱領の内容は以下の通りだ。
これらの内容を教育やプロパガンダなどの手法でミリシアル国民に染み込ませラヴァーナルに対する大審判の準備や実行を容易にしやすくしている。
多くのミリシアル国民はラヴァーナルと日本やグラ・バルカスなどの連合による全面戦争の事だと思い最前線に近いミリシアルがその戦争に巻き込まれる物だと理解している。
当然の事だが、ミリシアル国民はミリシアルがラヴァーナルに対する大審判だと言うことは知る由もなかった。
更には国家保安局によって国内は情報統制を敷かれているため内部と外部とで全く違う情報が流されている。
「そうなんだ。とは言え支援の恩恵は十分に受けたから許容範囲だね。他に何かない?」
「はい、初期に建設が進められていた首都オルクスとコルマラスなどの国家要塞が遂に完成しました」
「遂に完成したんだね!」
「しかし、当初より竣工予定が大幅に遅れ既に完成している他の国家要塞より旧式化してしまっているのが歪めません。コア魔法直撃の耐久性も他の要塞より劣ると言う声もあります」
オルクスとコルマラスの国家要塞は建設予定地で大量の地下水が流出し地下水位を低くする工事をしたため当初より竣工予定が遅れ、後から建設された国家要塞には新機軸の技術が大幅に導入されたため耐久性と生存性と言う点では劣っている。
「それに関しては気にしてないよ。ヒュドラ計画があるからね」
「1676年にシステム化された軍の指揮系統と都市間にネットワークが構築されていて、非常時に国家元首や首都などの主要都市が“消滅したとしても”速やかにコンピュータとシステム化された国家機能によって“次の”国家元首と首都や将軍が決まり“戦闘を継続できる”計画ですね」
ヒュドラシステムと呼ばれるこのシステムは上記の通り国家元首や首都が何らかの理由で消滅した際自動的に代理の国家元首や首都が制定されありとあらゆる国家機能を維持させる物だ。
システム開発にはセレネアも協力しておりセレネアが有する国家機能システムと地下ケーブルの技術を応用している。
「おっ、よく覚えていたね」
「我が国の計画は一通り網羅していますから」
スシリアは少し誇らしげな顔をする。
「しかし、地下要塞の安全性と生存性に問題があれば戦時に国家や軍隊の機能は維持できても、クレイハム閣下やメリマキサ閣下の命が危ないのでは?」
ミリシアル政府も馬鹿ではない。
国家元首や首都が消滅する事態の一つに敵のコア魔法攻撃だ。
コア魔光を搭載した弾道魔光弾や誘導魔光弾を迎撃するアトラタテス構想によって宇宙には早期警戒型僕の星が周回し、ミリシアル各地にはレーダーサイト、高高度・終末高度誘導魔光弾を発射する発射陣地、電磁魔導加速砲の要塞が配置され分厚い防衛網と監視網が構築されている。
「気にしてくれてありがとう。でも大義に犠牲は付き物だよ。たとえ国家元首や軍司令官としても名誉のためには自己犠牲が当然求められるからね」
「…承知致しました。報告に関しては以上になります。失礼致します」
スシリアは部屋を後にしクレイハムとメリマキサが残った。
「クレイハム、少し良いか?」
「どしたん?」
「スシリア君に関してだが、いつもと違う感じがしてな」
メリマキサは僅かだがスシリアが国家綱領に関して聞かれたら際動揺していた事を見抜いていた。
「彼なら大丈夫だよ」
クレイハムはメリマキサが言いたい事を察するが長年付き添い信頼しているスシリアに疑いの目を向けたくなくはぐらかす。
「真面目で優秀な分やり方が不器用なだけだ。何かする訳じゃないと思うよ」
「それもそうか…」
クレイハムからは杞憂だと言われメリマキサはこれ以上詮索するような事はやめた。