モブ志望あれこれ   作:冴木甲士

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第114話 お化け屋敷

 お化け屋敷を五人で回ることになった。

 大勢で一気に見てもつまらないとのことで、最初に俺一人、次に春野・日高コンビ、最後にミユマユで回ることになった。おお……僅かな自由時間が……。

 俺はお化け屋敷を開催している教室の中に入っていった。

 

 

 数分後、教室から出た。

 教室の中身? 何と言うか普通のお化け屋敷だったよ。

「あ、黒山君、どうだった?」

「ん、いや特に何もねーな」

「アンタの場合何が出ても驚かなさそう」

 安達から感想を求められ、加賀見から皮肉を吐かれる。うん、ここも普通の光景だね。

 

「じゃあ、行ってくるね」

「私もー」

 春野と日高が教室に入っていった。入る直前、春野が日高の腕を掴みつつ歩いていたけど、春野はこういうの苦手なのか?

 

 待つこと数分。

 春野と日高が戻ってきた。日高は平然としていたが、春野は少し俯いてさっきまでの笑みが褪せていた。ああ、やっぱ苦手だったんだね。

「うん、まああんなもんだよね」

「そ、そうだね。何かそんな怖くなかったっていうか」

「いやアンタ『ひっ』って声上げてたじゃん」

「言わないで」

 あ、春野が日高を睨んでる。ホラーが苦手なの隠したいのか。

「リン、怖いものは怖いって言っても大丈夫」

「あんま無理しないでいいんだよ」

 安達と加賀見にはバレてるけど。そりゃその態度見てりゃあねえ……。

「へ? いや、私、別に怖くなんか、なかったよ」

 言葉が途切れ途切れになってますよ、春野さん。

 

 

 その後俺達は校庭に出て、屋台の方に向かった。

 少し早い昼食だが、春野の自由時間が終わりに迫っており余裕のある内に腹拵えをしようとのことだ。

 女子四人はクレープ、俺は焼きそばを買ってそれぞれ口に付けた。

「おー、結構うまい」

「ね! ボリュームもあるし」

「うん」

「アンタ美味しそうに啜るね」

 日高・春野・安達はクレープの評価をするのに対し、加賀見は焼きそばを食べる俺を観察していた。いいからクレープ食ってろよ。

「私も焼きそば買ってこよっかな」

 加賀見がそんなことを漏らす。お前そんな食いしん坊キャラだったっけ。

「えー、マユちゃんお腹に入るの? クレープもいくんでしょ?」

「心配ない。……多分」

 その台詞が既に心配される素なんだよ。

「元はと言えばコイツが焼きそばを見せびらかすように食べるから」

 クレープを持ってない方の手で俺を、というか焼きそばを指差す加賀見。

「流石にそれは言いがかりだろ」

「黒山君、ここは素直にゴメンなさいしないと」

「安達、今の俺のどこに謝る理由があったんだ」

 冗談なのはわかってるけどつい指摘してしまった。

 

 

「じゃ、私はそろそろ五組に行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

「ん、またねリンちゃん」

「自由になったらまた合流しよ」

 十二時近くとなり、俺達は一旦春野と別れを告げた。何でも五組の出し物(やっぱりお化け屋敷)の受付をするそうな。春野効果で男性客が一気に増えること間違いないな。

 

「さて、次はどこ行く」

「折角だし、校内のお化け屋敷全部巡るってどう?」

「悪くないかも」

 安達と加賀見はお化け屋敷巡りの旅をご所望らしい。

「それ全部クオリティが変わらないと思うんだが」

 こう言っては悪いがプロでもない、同じ高校の学生が急場で用意した同じジャンルの出し物にそこまで差は生まれないだろ。同じ光景を連続でずーっと見続けても面白いと思えない。

「さっきアンタの要望通りの場所言ったでしょ。文句言わない」

 加賀見が俺の意見を蹴っ飛ばす。知ってた。

 

 ここで日高が

「あー、私もできればパスしたいかな」

 と言ってきたのは意外だった。

「え、どうして?」

「いや、黒山と同じで。さっき行った分とそんな変わんないならもっと違う所を見に行きたくてさ」

「そっかー……」

 安達・加賀見と日高・俺で意見が二分した。

 

 加賀見は少し間を置いて、やがて提案した。

「それならミユと私、サツキと黒山で分かれてみる?」

 ほう、グループ分けか。

「俺はそれでいいぞ」

「私も、仕方ないかなって」

 俺と安達は賛成に回った。

「うーん、そうだね。一旦分かれよっか」

 日高はややあって賛同した。よし、これで悪魔と一旦お別れだ。

「アンタわかってるとは思うけど、もしサツキを撒いたら……」

 加賀見が警告してくる。いや「撒いたら」の後は何だよ。スゴく気になるところで言葉を終わらせないで。

「あーあー、わかってるよ」

 かくして俺と日高は二人で文化祭を回ることになった。

 

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