「リンドウさん顔色悪いけど大丈夫?」
「誰のせいだ、誰の」
──“天なる父祖”を発見した報告のついでに応援を呼ぶと、数十分足らずで第一部隊のメンバーが来てくれた。鎮魂の廃寺マップ、その最奥の本殿で合流完了である。
「……なんかいいね。大人数って。心強さを感じるわ」
「あぁ……お前って基本、周回行くにしても四人以内だよな。それも周回の効率を考えてのことだったのか?」
リンドウさんの質問に小首を傾げる。
「…………えっ。出撃って五人以上でしてもいいの?」
「やっべ」
「リンドォ!!」
「隊長もしかしなくても余計なこと言った!? 今!!」
ソーマがリンドウさんに詰め寄り、コウタ君が騒ぎ始める。
私がちょっと知見を得ただけで勝手に阿鼻叫喚になるの、流石に面白過ぎるんだが?
コホン、と一つ咳払いをする。
「えー、では本日は知っての通り、周回ではなく決戦です。確実に仕留めてモノにしたい素材があります。本日の作戦の結果によっては世界が滅びます。それぐらい重要な任務と心得て挑んでいただけると、こちらとしても大変助かります」
「やたら壮大だなぁ……っつか、まだ採取もしてない素材になんでそこまで執着できるんだよ、お前……?」
「素材だけは私が頂きますが、皆さまにはその分の報酬クレジットを自腹で用意してあります。また、欲しい人には配給チケット、向こう半年分は譲っても構いません」
「マジで中尉!? 太っ腹すぎない!?」
「その間、お前は何を食って生活するんだよ……」
手元に携行品があるじゃろ?
なにはともあれ。
「小癪なことに奴は群れを引き連れています。通常ヴァジュラ五体、マータ三体です。帝王の近縁種なんだからそこは堂々とワン・オン・ワンして欲しかったところですが、第一部隊の皆さまにおかれましては、どうかそちらを優先して叩いていただけると私がとても戦いやすいです」
「その“父祖”はお前に任せていいのか? 初見だろ、一応」
「言い出しっぺなので一番リスクのある役目は当然私がやります。ちなみに父祖は見た感じ、『頭部』『前足』『マント』辺りが壊せそうな気がするので把握よろしくです。弱点属性は帝王に似てるから神属性と見といていいでしょう。翼は出しませんが、活性化時になんかありそうなので、そこは気を付けて」
ソーマが眉をひそめる。
「……見ただけでそこまで分かるものか……?」
「経験と直感と周回本能から導き出した情報なので、まぁ参考程度に。では皆さん、本日もどうぞよろしくお願いします」
「……目がマジだ……敬語だけど目に宿ってる殺意がマジだ……」
おののくコウタ君を横に、チラリ、とアリサちゃんの方を見ると、どこか不安げな表情をしている。そこでユウが肩ポンし、励ましている様子が見られる。
そうか……ヴァジュラだらけだしコレ、アリサちゃんの復帰完了編みたいになるのか?
「──では程々に青春エネルギーを充填したところでミッション開始です」
「し、してません! してませんけどッ!?」
赤い顔で慌てるアリサちゃんは完全にヒロインだった。
▼
『──全員配置についたぜ。っし、おっぱじめるかぁ!!』
通信越しのリンドウさんの合図を皮切りに、廃寺フィールドのあちこちから戦闘音が聞こえ始める。
ヴァジュラ五体担当──ユウ、コウタ、アリサ、サクヤ。
プリティヴィ・マータ三体担当──リンドウ、ソーマ。
そして。
「グルルルルル……」
「──ようやく会えたな」
新種・天なる父祖担当──幻代アキ。
D地点、マップ東側でソレと相対する。
このフィールドの特徴といえば、廃墟となった寺院という日本らしい風景だ。中でもこのD地点からは、海の向こうにエイジスが、今は早朝だが、夜なら月も一緒に見られるという絶景スポットとなっている。
ゲームでは実質的なエリアの行き止まり地点であり、父祖は既に退路がない状況なのだが、
「っ、やっぱそっちか!!」
当然のように父祖が左へと跳び、エリア範囲外の崖の向こうへと移動する。
崖の下は足場の悪い地面が続いている。雪の積もった岩場だ。海が近い──泳いで逃げられたら絶対に嫌だぜ!?
「グオォォオオ!!」
奴の背のマントから白い雷球が高速で射出されてくる。それを連続ステップでかわし、すれ違いざまに捕食する。バースト移行。続いて再びマントが帯電し、即座に父祖から距離をとれば、一定範囲内に放電フィールドが展開されるのが見える。
そして放電した後の硬直時間を狙って頭に二連撃。グサッと良い通り具合。これは壊せますねぇ!
そこで右手の猫パンチが降ってくるので回避。隙あらば胴体、尻尾にもザクザク斬撃を入れていく。だが大きく父祖が跳躍し──上から雷球爆弾が降ってくるので、追いかけるように前方へ飛び出すように回避。もう一回頭部にザックザック。
「グルアアアアア!!」
「良いダメージだろ、さぁ早く素材を置いていけ……ッ!!」
父祖くんがそこで噛みつくように頭を振ってくる。側面に回避してひたすら剣攻撃。そこで逃れるように走り跳び、突進を何度かカマしてくるので、その合間に銃身形態へ。引き金トリガーハッピーでとりあえずダメージを稼ぐ。
撃ち切ったら再び刀身へ。こっちを振り向いた父祖くんへと飛び出し、上へ跳び上がるプレデタースタイルで喰らい、もっかいバーストモード。マントが光る。空中を蹴って回避し、例の放電フィールドから離脱する。
──そんな動きを、お互い岩場を跳ねながら繰り返す。
やがて、再び頭部に連撃を加えると、
『父祖、結合崩壊を確認!』
「ギア上げてけー?」
通信機からオペレーター・ヒバリちゃんの現状報告が聞こえてくる。ああ、めっちゃプレイヤー時代を思い出す……!
『ヴァジュラ、残り一体です! プリティヴィ・マータ、討伐確認! リンドウさんとソーマさんが、幻代中尉に合流を開始!』
『俺らが行く前に終わらせるなよー?』
流石は精鋭、早い早い。
そこで目の前の父祖の気配が変わる。
「グォォォオン!!」
『父祖、活性化します!!』
前足を狙って斬撃を入れてみる──硬い。やはり硬質化。
となると狙うべきは、結合崩壊済みの頭部になる。
「全身の硬化を確認した! 結合崩壊させた部位狙ってけ!」
報告と同時に父祖の突進を避ける。
直後、マント帯電。咄嗟にガードし、放電フィールドに弾かれる。私にガードをさせるとはな!
ぐるりと父祖がこちらを向いた瞬間に飛び出し、頭部を狙って剣撃を集中させる。ダメージが蓄積してきたのか、父祖がそこでのけぞる。その間に捕食してバースト維持。例の猫パンチが来るので回避し──途端、父祖がこっちに背を向けて逃げ出した。
『アラガミ、捕食に向かいました!』
幸い、父祖は海ではなく、陸上へと走り去っていく。寺院の元のフィールドに戻るようだ。一気に崖を駆け登ると、あっという間にその姿は穴の開いていた本殿──最初の集合地点とした場所に潜り込んでいった。いつの間にか裏手まで来ていたらしい。
崖は獣道。アラガミだけがフィールドの造りを無視して移動する。それがゲーム内のルールだ。
──が。ここは現実である。
「素材が逃げられると思ってんじゃねぇ──!!」
即座にバーストモードの強化状態に任せた身体能力で、一気に崖を駆け上がる。途中で空中へ飛ぶ捕食スタイルを挟みつつ、本殿への侵入を完了させる。
「グルォ──」
こちらを見た相手の咆哮は途中で遮られた。
──横殴ってきたバスターブレードがその顔面をぶっ飛ばしたからである。
「お、合流完了だな」
「こいつか、父祖ってのは」
リンドウさんとソーマのご到着であった。
壁際までぶっ飛んだ父祖が立ち上がり、マントを帯電させる。
「雷球! 横にかわせ!」
指示を放った瞬間、二人が横に回避する動きがみえる。読み通り、マントからは雷球の連続射出が行われ、寺院の中を破壊していく。
父祖の影が仏壇の上へと跳ぶ。銃身にした神機さんのトリガーを引き、ダメージ稼ぎを忘れない。
「よっと──」
跳躍で接近したリンドウさんが頭部を叩く。再び父祖のマントが稲妻をまとい、
「ガード!」
例の放電フィールド展開。
咄嗟に装甲を展開したリンドウさんが吹き飛び、こっちに戻ってくる。
「──なるほど、ヴァジュラと似てるな」
「その強化版ってところか」
理解が爆速で非常に助かる。流石っす。
『ヴァジュラ、沈黙! サクヤさんたちが合流を開始します!』
『アリサ、やったじゃん!』
と、どうやら新人たちの方も片付いたようだ。
さぁ父祖くん、もう君は滅ぶしかなくなったわけだが……
「グォオオオオオオオ────!!」
「!?」
今までとは何か、異なる気配に警戒する。
マントがバチバチと稲妻を走らせ、覚えのある空気感を察知した瞬間──自分の足元が発光しているのが見えた。
「下ッ!」
全力で光からよける。刹那の後、輝いていた床から雷が発生したのを認識する。
知らない技──ではない。今のは、通常種──有翼のディアウス・ピターだけが使う技だ。こ、この父祖、リファイン後の己をも学習しているというのかッ!?
「勉強熱心……!」
オラクル細胞は進化する──いや、正確には取り込んだ情報から知識を得て、
「こいつは翼も生やし始めるんじゃねぇか……?」
リンドウさんが不穏なことを仰る。
そしてそれに応えるかのように、再び父祖が咆哮し──その背中から、真っ黒な両翼が生えていくのを目撃した。
「リンドウさんが言うから……」
「俺のせい!? 今の俺のせいか!?」
「来るぞ……!」
黒い翼が大きく開き、そこから赤い雷球が生成される。
次に起きる展開を全員が予測し、降り注いできた雷球雨を回避する中、接近を試みる。だがその前に父祖が身をかがめる。両翼を振り抜いてくる予兆だ。反射で上空へと回避すると、すぐ下で突進してきた父祖とすれ違い、天井に足裏がつく。あっぶな!
下ではリンドウさんとソーマが挟み撃ちで攻撃を与えていた。
落下しながら私は神機さんを銃身に変形させる。
「グルルルッ……!」
父祖の動きが一瞬、硬直する。その隙を逃さず、チャージクラッシュが叩き込まれ、捕食に成功したリンドウさんがバーストモードに移行した。
「放電!」
父祖の全身が帯電し、そこから雷撃のフィールドが再び発生する。
ガードで耐えきり、フィールドが消失した瞬間に接近し、その尾を神機さんに噛み千切らせて、バースト状態を持続させる。
『敵のオラクル反応、低下し始めました!』
「両翼乱舞! 回避かガード!」
稲妻をまとわせた黒翼を展開し、ぐるんぐるんとその場で父祖が刃翼を振り回す。リンドウさんとソーマが装甲を展開したのが見えた。
狭い場所でやるんじゃねぇカス! クッソ痛いやつだろソレ! プレイヤー時代のトラウマだよ!!
が、それなりに大技なので、発動直後はやはり隙がある。
乱撃が落ち着くと、床を蹴り飛ばしてその胴体の下を滑り、頭部のある位置にまで来る。斬撃斬撃斬撃斬撃ッ! 早く死んでくれないですかね!
「グォオォオオオ──!!」
「鼓膜が破れるわカス」
目の前で咆哮を放つな。
バッと俊敏に父祖が宙返りするように跳躍し、本殿の外へと飛び出していく。翼まで獲得したのに逃げるとかどうなんですかねぇ! 憐れだなぁ!
『こちら、いま合流地点に──』
「そっち行ったぜ! 気をつけろッ!」
サクヤさんの通信に返しながら後を追うと、ちょうど外でユウたちと父祖が出くわしたところだった。
マントが帯電している。雷球がその周囲に生成され、ぐるぐると回転し始める。下手に近づくとヤベーやつ!
だが、ぶっちゃけ止まってる時間なので隙だらけでしかない。サクッと雷球を飛び越えて頭部にブレードを突き刺す。この感触、クリティカルッ!! 周りの雷球が消える気配がする。
『アラガミ、活性化します!』
「終わりが見えてきたな……!」
父祖が再び跳躍する──帯電の音がする。
「爆撃注意!」
言い放ちながら、追いかけるように前方へ飛び出す。後ろで雷球の炸裂音がする。悲鳴や吹っ飛ばされた音がしないので、各々で対応したのだろう。
さて普通に追いついたので頭部に攻撃を仕掛ける。後ろからは後方支援の射撃が飛び、父祖のマントが結合崩壊する。
『結合崩壊を確認! 畳みかけましょう!』
「中尉がもうほとんど一人で畳みかけてますけどォ!」
「動きの予測が早すぎる……!」
弟子から賞賛の声が聞こえるが、流石に今は反応できない。
うむ……ほとんど初見のハズの相手に、ためらいなく突っ込み、追い詰める人間。もしかしたら、ちょっと恐怖対象かもしれない。生存率の向上で見逃してくれませんかねぇ!?
右の猫パンチ、回避してからの放電展開で、後ろに下がる。
そこで父祖が背を向け──また捕食に走り出しやがったあいつッ!
「待てよテメエ──! 素材置いていけよぉ──!!」
「なんか向こうが憐れに見えてきた……」
「師匠の周回中のアラガミは皆こんな感じだよ」
「アラガミも生きるのに必死だな……」
「さっさと追いかけるぞー?」
遂に味方側からも同情の声が多数。
おかしい。なんかおかしくないかね、この構図? まぁいい、素材が最優先だッ! 周りの評価を気にしていたら、殲滅兵なんて兵種、与えられてないんだよ──ォ!!
父祖を追いかけると、奴はマップ中央の捕食場所で休んでいた。隙だらけである。
が、それも一瞬。気配でこちらに気付いたのか、再び両翼を展開し、雷球雨を準備し始めた。
前に踏み出したリンドウさんが、指示を告げる。
「──サクヤとコウタは援護! ユウとアリサは隙が出来次第、ぶちかませ! 奴の翼は俺とソーマがやる! アキ──隙を作れ!!」
『了解』
総員、命令を拝承する。同時に感慨深い想いになる。
ああ、なんか……久しぶりな気がしますね、チーム戦って……
神機さんを構え──雷球雨が射出された瞬間、前へと飛び出していく。瞬間、一気にバーストレベルが最高値まで引き上げられる感覚がした。新型勢によるリンクバーストだ、有難い。加速し、身体能力が引き上げられる。
マントが帯電し、雷球の連続射出を予見する。大地にも光が瞬き、雷撃の予感がする。
次の瞬間、雷球が射出され、地面からは雷撃が飛び交った。
──その地獄の中を全て読み切って、ジグザグに動くことで雷球をかわし、足元の稲妻をも発生する前に抜けて、距離を詰めながら神機さんを銃身に変形させる。
空気がピリッとする。放電フィールドの予兆がある。そこで神機さんのトリガーを引き、バレットを降り注がせることで、放電の邪魔をし、その攻撃キャンセルに成功した。
「グルオオオオォォ!!」
直後に両翼が増強し、こちらに振りかぶってくる。有翼種を相手するのと同じ要領でかわし、ブレードに戻した神機さんで翼を弾き、一気に懐に入り込んで顔面を強打。右前足のストレートが飛んでくる──のを、最小限の動きでかわし、放電の気配に構わず、振り向きざまに下から思いっきり顎を打ち上げれば、のけぞった衝撃で放電が再びキャンセルされる。
そこで父祖が後退のための跳躍をしようとする動きを察知し、
「あとよろしくッ!」
──結合崩壊を無視して、神機さんがその右前足を丸ごと噛み千切っていく。
滑りながら後方まで回り、父祖を見ると、黒い身体がバランスを崩し、倒れ込みそうになっていた。その隙を、
「本当に恨みはないんだがッ!」
「死んでろ……!」
側面に回り込んだリンドウさんとソーマが、黒い翼を斬り落とす。
矢継ぎ早にサクヤさんとコウタによる射撃が叩き込まれていく。そこへ、新型の二人が飛び出してくるのが見える。
「はあああぁぁっ!!」
アリサが神機を銃身に変え、スライディングで父祖の胴体部に潜り込みながらバレットを撃ち込んでいく。ああっ!? 見たことあるシーン!!
「ぜやぁぁあ──!!」
そうして神機を捕食形態に変え、跳び上がったユウが上から父祖を噛み砕く。これも見たことあるシーン!!
その最後の一撃がトドメとなり──“父祖”が倒れ伏し、完全に沈黙したのを確認した。
討伐完了。
いつも通り、第一部隊の完全勝利だった。
▼
「さて……君を呼んだのは他でもない。ちょっと、とんでもない事実が判明してね?」
“父祖”討伐から五日後。
私は一人、サカキ博士のラボラトリに呼び出されていた。
「どうかしたんですか? 私の神機さんがつよつよになっちゃった件について?」
「ああいや、そちらも興味深いんだが、それよりも是非見てほしいものがあってね──これだ」
そう言って博士が見せてきたのは、とあるデータの書かれた書類だった。
『ディアウス・ピターの世界の目撃数』。それをグラフにしたものらしい。
それはあの「蒼穹の月」から一気に増加し──ある時点で、底についていた。
「……ん?」
底につく? えっ、目撃例ゼロ?
ドユコト?
「あの……博士、これは……」
「────アキ君。ここ最近で、どれくらいの数の帝王を狩ったんだい?」
「いっぱい……」
「そうだね。狩りすぎだね明らかに。通常、アラガミは短期間で大きく数を減衰させると、とんでもない個体を発生させることがある──だが、おそらくそれで発生した個体もッ! 君は、君とユウ君は、
──────つまり、なんです?
「もっと直接的な事実を言おうか?」
博士、眼鏡が! 眼鏡で光っております! チョットコワイデス!!
席から立ち上がったサカキ博士は、アラガミ研究、オラクル細胞について最も詳しいだろう科学者は、
「“帝王”……
──その、在りえない事実を口にした。
まさかのアラガミ物理的絶滅例、ここに爆誕。
マジで? 帝王くん、もう狩れないんですかッ!?!?!?
▼
極東支部、業務報告。
アラガミ識別個体名、ディアウス・ピターについて。
ある時期から目撃例と討伐数が異常に伸びていたこのアラガミは、ある日を境に、ぱったりと地球上から目撃例が消え失せた。
その原因は、極東支部第一部隊による、“天なる父祖”と呼ばれし原種の討伐成功が関わっているのではないかと推測する。
オラクル細胞は考えたのかもしれない。
何度復活しても狩られ、狩られ、狩られ続け……やがて学習したのかもしれない。
ディアウス・ピターというアラガミは、捕食生物として失格であると。
決して弱いアラガミではなかった。むしろヴァジュラ種の特異種という、強力なアラガミだった。
だが帝王はひたすらに狩られ続けた。それが現実であり、全てだった。
『──ディアウス・ピター。“天なる父祖”の決定的討伐を機に、絶滅せり……』
極東の悪魔。
極東の魔人。
極東支部内でも関知しない所で行われていた、上記二名による無断帝王周回の結果は、世の全てのアラガミ研究に関わる全ての者を震撼させるだろう。この前例を活かせる時が来ることを、我々人類は心から渇望する。
第一部隊メインで戦う回をやっておきたかったやつ。
お疲れ様でした帝王くん。ゆっくりおやすみ。
周回はやはり全てを解決するのかもしれない……