転生神機使いは狩り続ける   作:時杜 境

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07 日帰りRTA/2071年

 >>2071年+GE2×BURST

 

   ▼

 

 ハロー、ハロー、夢世界! キグルミの時間だよー。

 ……って、割と続くなこのコラボ企画。今回も前触れなくキグルミ顕現だし。

 

 さて、こちらでの前回までのあらすじだ。

 

 衝撃のホワイトラケル登場! リョウ先輩と一緒に《ブラッドアーツ》習得! といっても、もう私はアークキャリバーを放てるんで、「習得したフリ」!

 

 次の夢ではリョウ先輩がリンドウさん、サクヤさんと共に、新型神機使いの救援に旅立ち! アリサちゃん加入! うむ、アニメ時空でいったら三話辺りかな?

 

 ギスギス時代の第一部隊を横目に、私は私で他の部隊の任務を駆逐する勢いで周回だ! 夢の世界だからか疲労がまるでないぜ! これぞ夢の永続無限出撃周回……! 第一部隊すら、「もう中型アラガミの討伐任務しか残ってねぇ……」状態だ! フハハハハ! 周回速度は正義ナリィ!!

 

 現実世界では書類仕事が多くて、なかなか出撃できてなかったからねー。

 周回は好きじゃないが、アレだ、ストレス発散ってやつだ。実質無双ゲー状態なので楽しい楽しい。

 

 でもって報酬金は技術部に全額振り込んでいるので、ラケル博士ちゃんがイキイキしている。《血の力》の発現・装置開発が進み、もうそろそろ《ブラッドレイジ》に手が届きそうである。

 

 こりゃアニメシナリオだろうと原作シナリオだろうと問題なさそうだなー、などと油断していたら。

 

「──アキちゃん、マズイぜ! リンドウさんがMIAになったぁ!!」

 

 な、なにーっ!!

 

 

 なんでも支部長の陰謀とかではなく、単純に事故ったらしい……とはリョウ先輩の証言だ。

 

 新型アラガミ・ハンニバル討伐。

 ──通称、「不死のアラガミ」と呼ばれることになるハンニバル君の討伐先で、群れに囲まれ、リンドウさんが一人残ってメンバーを逃がしたらしい。

 

 うわー……迂闊だった……

 そういえば私もまだハンニバル君に相まみえていなかった。先に狩ってれば対抗する偏食因子の開発に寄与できただろうに……グヌヌヌ……

 

「第一部隊がお通夜状態でさぁ……え、コレ一週間以上も続くの? やだぁ……」

 

 新人区画のベンチに座ってうな垂れるリョウ先輩。流石に堪えているようだ。

 かくいう私も気が重い。元の世界ではMIAを防げていたという慢心に、冷や水を被せられた気分である。

 

 ──だが。

 

「……寺……行っちゃう?」

 

「……行っちゃう?」

 

 そう、だが私たち転生者は知っている。

 アラガミ化したリンドウさんは、故郷である「鎮魂の廃寺」付近をうろつくことを。

 いやまあ、それは彼がシオ様に出会った後……というのが正確な流れなのだが、この世界にはシオ様が生まれていない。

 

 赤い雨にリンドウさんが降られれば、原作崩壊は必至。

 猶予は、原作以上にないといえるだろう。

 

「──雨宮リンドウMIA日帰りRTAチャレンジ……!」

 

「チャート開拓するしかねぇ……!!」

 

 我ら走者は立ち上がる。

 新機軸のタイムを目指して、今! 新たなる未来、可能性に挑む──!!

 

   ▼

 

 まず作戦は人目を盗んで無断出撃するところから始まる。

 しかし、救出キーとなる神機はリンドウさん持ちだ。ピター君に喰われる前に回収するか、いっそさっさと本人を見つけるかしないと、私たちはスタート地点にすら立てない。

 

「どこでMIAになったのさ?」

 

「贖罪のまちー」

 

 そこは原作通りなのか。

 ということで、まず贖罪の街を一通り見て回ったが、もうリンドウさんの姿も、アラガミの死骸すら存在しなかった。

 初手から追跡不可能。これは長期戦になりそうだ……

 

「んー……あっちだなぁ」

 

「え?」

 

 覚悟を決めていると、教会内を見て回っていたリョウ先輩が高台の方を見た。

 え、何の能力? なにが見えたんです加賀美アイ?

 

「いや、煙草の匂いだよ。アキちゃんはキグルミだから分かんないかもだけど」

 

 ほー、リョウ先輩、そんな能力が。

 ひとまずそんな先輩の能力を頼りに、リンドウさんの後を追う。此方の読み通り、南下して廃寺方面に向かっているようだ。

 

「そういや先輩、この世界ではどこで生まれたんです? 集落育ちとか?」

 

「んや? なんか気付いた時にはこの世界にいたっていうか……アラガミだー! ってテンション上がるままサバイバルして、好きにやってたよ」

 

「捨て子とか? ハードっすね」

 

「そうなのかなぁ……あんまり実感ないけど。ま、そんで赤い雨降ってるからGE2路線かと思いきや、フツーに第一部隊が狩りしてたのを遠目に見て、それで年代判明して。いやぁ、あの時は混乱したね」

 

 でしょうなぁ。

 誰だって2071年に赤い雨が降ってたら目を疑うよ。フライングだよ。ラケル博士ちゃんがラケル博士ちゃんじゃなかったら、アーク計画と極致化計画がダブるところだった。そんなのもう誰にも対処できないよ!

 

「おっと──リョウ先輩」

 

「……うん。来たね」

 

 それからしばらく雑談混じりに駆けていくと、雪の降り積もったフィールドになってくる。

 地面にはアラガミの足跡がくっきりと。私はそれに、物凄く見覚えがあった。

 

「──グオオオォォン!!」

 

「て、帝王だぁ──!」

 

 リョウ先輩が感動の声を上げる。

 寺の門の上から出てきたのは黒いヴァジュラ! おお、懐かしや! 元気いっぱいのピター君や! いやー、探せばいるんだねぇ。シナリオ無視ってこういうことよ。

 

 今度は絶滅しないといいね?

 

「カッコ暗黒微笑カッコトジ──っつってな!!」

 

 迷うこと無く飛び出した。吼え猛ったピター君の顔面を叩き斬り、一気に結合崩壊へ持っていく。脆い脆い! そんなんじゃ帝王の名が廃るぜぇ!

 

「あっ、アキちゃん、雷撃──!!」

 

 カッとその時、足元が青く光った。

 放電。雷撃。背中のマントを帯電させたピター君は、無謀にも近寄った捕食者を弾き飛ばそうとした──が。

 

()()()ッ!!」

 

「なにおう!?」

 

 やあ、一つ残念なお知らせを落ち着いて聞いてほしい、ディアウス・ピター。

 

 私の神機さん、ホラ、君の究極体から出た素材を元にして、最終強化しちゃったじゃん?

 その影響か、神機さんの中で解析が進んでさ……元の世界では死にスキルと化してるけど、『帝王殺し』っていうゲームにもない謎の対帝王狩りのスキルを持っちゃっててさぁ………

 

 キミの電撃、もう私には通じないんだわ。

 

 無効化っていうか? ノーダメっていうか?

 いやぁ、折角リベンジに来てくれたのに、悪いねぇ!?

 

「これがゴッドイーターだぁ!! 転生して再走、よろしくゥ!!」

 

 アークキャリバーを放ちつつ、バレットも叩き込んでピターを転がす。

 翼なんか生やさせない。第二形態など知らない。

 絶対正義の異常火力。通じない攻撃。そうやってワンサイドゲームを成立させて、真正面からオラクル細胞を踏みつぶし、手足とマントを引き裂いて、コアを引き抜いた。

 

「ひどい虐殺をみた」

 

「私の世界の極東では通常運転です」

 

「修羅すぎィ……」

 

 リョウ先輩からドン引きという名の賞賛を受けつつ、寺院の探索に移っていく。

 煙草の匂い、とやらを辿って見慣れた風景の中を進む。すると、何やら地面に神機の刃を引きずったような後が続き──

 

「──あれっ。早かったですね」

 

 フィールド最奥の本殿手前。

 そこには黒髪の少年──レン君が意外そうな顔で顕現してらっしゃった。

 

   ▼

 

「リンドウならこの向こうですよ。腕輪が壊れて苦しんでいます。なんとか、襲ってきた黒いアラガミは撃退したんですけど……大丈夫でしたか?」

 

「さっきやっつけたよ。神機(キミ)は?」

 

「リンドウの手元です。奪ってサクッと介錯してやってください」

 

 いやいや、思い切りよすぎやてレン君。

 ていうか、

 

「見えてること、あんまり驚かないんだね?

 

「キグルミの貴方は見ただけでただ者じゃない感じしますし。──それに」

 

 と、レン君がリョウ先輩の方を見た。

 先輩は、何かを見ようとしているように、目を必死に細めている。

 

「アキちゃん……なんか、なんかそこにいる……?」

 

「見えるんですかパイセン。もしやアラガミ?」

 

「むしろなんでアキちゃんは見えてるっぽい上に会話できてるのさぁ!」

 

「元の世界でリンドウさんの神機に触ったから」

 

「もしかして命の綱渡りするのが好きとかそういう……?」

 

 アンタにだけは言われたくないっす。

 ともあれ、とそこで通信機を取り出した。

 

「いっちょ救出劇やっちまいしょうや。よろしくパイセン」

 

「俺なのぉ!?」

 

「こっちは通信繋げて、バースト編配信するんで。名台詞の準備お願いします」

 

 ちぇー、とレン君の観測を諦めたリョウ先輩が、リンドウさんの待つ本殿へ向かっていく。

 私もその後を追いかけようとした時、後ろからレン君のこんな言葉が聞こえた。

 

「……彼、凄く変わったヒトですね。貴方の存在も負けず劣らず、ですけど。貴方たちのような人が来てくれるなんて、僕らは幸せ者ですね──」

 

 転生者をそんな風に歓迎してくる君も、変わっているけどね。

 まぁ、見てなさいって。

 前代未聞のバースト編RTA、ここに開幕だ!

 

 

 かくして本殿へと辿り着く。

 そこには、たった今、変生したばかりの黒いハンニバルがいた。

 

 落ちていた雨宮リンドウの神機を、リョウ先輩が拾ったところで──通信、オン!

 

 

「──うおおおおお! 生きることから、逃げてんじゃねぇええ──!!」

 

 

 経緯もフラグもすっ飛ばして、いきなり感動のラストのお届けだ──ッ!!

 

   ▼

 

 →2074年

 

   ▼

 

「──アレ? キグルミさんは?」

 

 極秘バンド練習の日。

 練習室に行くと、そこには主人公ペアがいるだけで、キグルミさんがいなかった。

 

「今日は見てないですね……?」

 

「いつも一番乗りに来てたのにね。部屋に──いや、僕、キグルミさんの部屋知らなかったな……」

 

 それは私も知らない。

 

 ……はて。なんだろうこの胸騒ぎ。

 まぁキグルミ絡みは、どうせ杞憂だと思うけど。

 

 

 しかしその日を境に。

 ぱったりと、キグルミさんは2074年の極東支部から姿を消した。

 




 いつも評価、感想ありがとうございます。
 X(旧Twitter)で素晴らしいファンアートまでいただきました。すごい!

稲妻ハイム/すめら様より(アキとソーマ)

【挿絵表示】

 『アノーイング! さんさんウィーク!』イメージでお祭り雰囲気の二人だそうです。ありがとうございます!


 不定期更新気味ですが完結(真)までお付き合い願います……!
 これにて今年最後の更新! 良いお年を~!
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