転生神機使いは狩り続ける   作:時杜 境

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10 2071年、完走

 対人戦術。

 ゴッドイーターとしてはまず使わないスキルである。

 

 しかしまあ、偶に出てくる暴徒とか、オラクル細胞に侵蝕されて正気を失ったゴッドイーター相手にだとか、話の通じない某教団員とかを想定して、そういった訓練は受ける。

 

 体術。

 私はかつてツバキさんに骨の髄まで叩き込まれ、リンドウさんもよく後輩に指導試合してるのを見かけたことがある。

 

 最近は榊博士からの依頼で、「シオ様の戦闘能力測定」という名目のもと、私VSシオ様というマッチングが組まれ、普通に私が惨敗したりとかね。

 

 かわいい顔して能力はガチ。私はそういうの大好きです、シオ様。

 

 つまりここで何が重要かっていうと、人型アラガミはとてつもなく強いって話である。

 

 アーユーオーケイ?

 

「しかしキグルミを殴るなんて良心が痛むぜ……!」

 

「見た目のツッコミはなしで!!」

 

 しょうがないだろ強制シリアスブレイカー!

 やったことあるでしょ、変な格好してメインシナリオをやってみる試み!

 

「本気でいくぜぇ──!?」

 

 刹那、リョウ先輩が神機を振りかぶりながら肉薄した。

 おいおい、だから前世の強敵の影響が抜けてないってアンタ!

 

「殺してやるよ、アラガミがぁ……!!」

 

「キグルミなのに殺意が高い」

 

 そりゃあ、本職ですから。

 

 ガガガガガッ!! と喰らい合いの剣戟音が火花を散らす。先輩の赤黒い神機は、まるでそう、帝王の刃翼を思わせる鋭さと形態だ。だが至近距離で見た限り、表面は今もボコボコと粟立ち、この瞬間さえも()()()()()()()()ようだと分かる。

 

絶喰刃(ぜっくうは)ァ!」

 

「かっこいい技名を思いついてんじゃな──い!」

 

 斬り合いに交ざって黒い斬撃を飛ばしてきた。それを回避するように動くと、さっきまでいた位置が酸のように融け落ちる。おい、それは対人戦においてオーバーじゃないのか!? もはやブラッドアーツの域を超えてんじゃん!

 

「オラクル細胞、自由すぎだろ……!」

 

「まだまだこんなもんじゃないぜ──」

 

 瞬間、先輩の神機がブレードから銃形態に変形した。

 ブラストだ。

 殺意を感じる。

 

「耐えられるか──このメテオに……!」

 

「人に向けて撃つなって教わらなかったのか?」

 

「うん」

 

 放たれる。

 濃縮オラクル砲とでも呼ぶべきその一撃は空気を穿ち、本来の撃ち上がる工程を省略して、そのまま強烈な閃光と共にこちらに襲い掛かる。

 

 とはいえ、この程度がなんだ。

 こっちは年中、雷撃だの炎だのビームだの出す怪獣たち相手に周回してたんだぞ?

 

「とうっ」

 

 瞬間的に神機さんを捕食フォームへと変え、岩場に噛みつかせる。

 そのまま。一気に。

 目の前の脅威へ叩きつけるように──大地を引き上げる!!

 

「おおおオオ──らぁッ!!」

 

 イメージは大槌。

 くわえた岩の部分で殴るように、閃光の軌道を撃ち逸らす。

 ばん!! と弾ける衝突音。余波が強風となって発生するが、立ち止まっている暇はない。

 

「ブラッドアーツゥ──!!」

 

「!!」

 

 眼前の風圧を斬り払いながらリョウに接近を試みる。

 神機さんを振り抜き、赤い光の斬撃を飛ばせば、軽い身のこなしでそれを回避する先輩の姿が見えた。

 

 そしてその瞬間、こちらもガンフォームへと変形させる。

 ゴガガガガガガガガ──と絶え間ない銃声と共に。

 ガトリング形態の銃口から放ったバレットは一度空に撃ち上がり、バラバラのタイミング──時間差で対象へ雨のように降り注ぐ。

 

「うおおおおおぉぉ──!?」

 

 なお自動ホーミング付き。

 小型アラガミの殲滅にはこれが一番効く。

 

「それ! は!! 聞いてない!」

 

「弾幕のクソゲーを味わえよぉ!!」

 

 再びブレードに戻し、先輩が回避しているところに追撃のブラッドアーツを準備する。

 アラガミとの戦闘なんて、人類側がどれだけクソゲー度を構築できるかどうかだ。なおこれはシオ様にやったら泣かれた。改良した爆発バージョンもあるぞ!

 

「仕方ねぇ、本気を出してやるぜ……!」

 

「早くない?」

 

「間違えた。本領を発揮してやるぜ」

 

「何がどう違うんだ──ソレッ!」

 

 斬撃という名のブラッドアーツを飛ばしていく。

 上からの弾幕と合わせて、先輩はこちらとの距離を詰めようにも詰められない。彼が普通の人間だったら、試合はここらで打ち止めなのだが──

 

「さぁ、ここからだ……!」

 

 途端、腕の神機を掲げた先輩の周囲に、黒い結晶群が生成された。

 ……あの技は!

 

「アリウスノーヴァ……!?」

 

「俺はラスボスリスペクトを忘れないラスボスなんだ!」

 

 捨てろそんなリスペクト。

 道理でアンタのスキルツリーに別ゲーが侵蝕するハズだよ!

 

「ッ……!」

 

 カッと彼の足元で黒い稲妻が輝いたと同時、棘の黒結晶が射出されてくる。

 先ほど撃ったこちらの弾幕もそれにかき消され、数に任せた猛攻が始まる。

 その間にも先輩の腕の神機は偏食を遂げ、結晶じみた材質に変化、いや進化していくのが見て取れた。

 

「ちなみにこの結晶は! 触れると侵蝕して相手を結晶化させるんだぜぇ! 強いだろ!?」

 

「どこの宇宙生物だアンタはあああああッ!?」

 

 それはやり過ぎ進化だろ!! オーバースペックを知れッ!

 そんな危険の学習進化、今のオラクル細胞くんには過ぎたモノ。間違いなく人類どころか地球壊滅案件だ──なんとしてでも終末捕食させてリセットさせなければッ!

 

 棘の雨の中を駆け抜ける。

 触れたら即死、神機さんでもどうなるかは分からない。

 だが──『進化』という一点においては、此方だって負けてはいない……!

 

「解析と対処よろしく神機さん……!」

 

 降ってきた黒棘の一つを、あえて喰らわせる。

 ビキリ、と一瞬だけ神機さんの刃先が結晶化したが、一瞬だけだ。すぐさま復元され、アップデートがなされた感覚がする。

 

 よしいける。

 怪物め、レトロオラクル細胞の化物加減をナメるなよ。

 

「なぬっ……?」

 

「死ぬがいい、化物先輩……!」

 

 こいつはここで潰す。

 三日間もかけてやらない。確実に、今! この瞬間──誰にも邪魔されないこの瞬間で、全てを終わらせる……!!

 

 肉薄する。刃を振り下ろす。

 ドッッッ!! とリョウ先輩が私の一撃を受け止め、その衝撃でその下で大地がヒビ割れた。

 

「コアを寄越せぇ……!」

 

「本能が出てる! って、なんで侵蝕されないんだコイツ……!」

 

「恨むなら前世の自分の偉業を恨むんだな……!!」

 

 ぎぎぎぎぎ、と向こうの神機を圧し切る勢いで力を込める。

 刃の部分では侵蝕されようとしているが、無駄だ無駄! 学習済みだと言っておく! 具体的には、もう神機さんの中では抗体偏食因子が生み出され始めているのさ……!

 

 こういうところ、ほんとレトロオラクル細胞様々だと思う。

 

「偉業……ッ、そういうことか! マジかよあのキュウビ、ノヴァにも対抗するってか……!」

 

「もうノヴァに至ったキュウビだよ、先達として負けられないだろうさぁ……!!」

 

 神機さんのお声は今は聞こえないが、気合と殺る気を第六感的に感じる。

 リベンジ戦は、なにも先輩だけの動機じゃないのだ。だってこの神機は、先輩に負けたからこそ、生み出されてきたモノなのだからッ……!

 

「俺は──勝ぁつッッ!!」

 

「く……!?」

 

 ギャイン!! と弾き返される。

 瞬間、先輩の腕が──神機が、捕食の口を開くのを目撃した。

 

「喰らえぇぇ──!!」

 

 こちらは思い切り弾かれた直後。

 硬直時間。立て直し。どれも間に合わない。

 神機さんを構える時間が──ない。

 

「────、ハ」

 

 神を喰らう者が、その程度で終われるか。

 

 

──汝、八百万の神を討つ──

 

 

「──は?」

 

 その瞬間のリョウ先輩の顔は、見物だったと伝えておこう。

 力が満ちる。オラクルが溢れ出す。それは腕輪を伝い、身体の内部を渡り、全身に有り余るエネルギーが循環する。

 

「全拘束フレームパージ──」

 

 神機喚起率? そんなものはここに来る前に限界まで溜めてきた。

 感応制御装置? 意志と人格を構築した神機さんに、そんなモノは必要ない。

 

──汝、闘いを制覇せよ──

 

 頭の中に意志(こえ)が響く。

 全ては刹那のこと。

 何を難しく考えることはない。ただ、目の前にいる神を喰らうのみ。

 

──これより神堕としを遂行する──

 

 誓約は不要。

 だってとっくに、神なんて堕としている故に。

 

──ブラッドレイジ、発動──!!

 

 口を吊り上げながら宣告する。

 神機さんのコアが光り、覚醒した余波で目の前のアラガミが吹き飛ばされる。

 

「ッガぁ────!?」

 

「さぁ、神殺しを始めよう……!」

 

 神機さんを脇構えに。

 おそらく背中には、黒金の翼のような形状に放出されるオラクルを背負って。

 この史上最高の宿敵へ、最高の弔いを捧げに大地を蹴り飛ばした。

 

 

「ちょ……超世紀末降臨キグルミッ……!?」

 

「ユーモアを忘れない心がけだけは褒めてやる──!」

 

 衝撃波で数十メートルほど吹っ飛ばされていたリョウ先輩に追いついていく。

 ブラッドレイジという覚醒効果に加え、ここに神速ハンニバル式の加速術を足すと、もはやシオ様でも捉えきれず、小刻みに震える案山子状態になる。ユウにドン引きされた日が懐かしい。

 

「誓約はどうしたんだよ誓約はァ!!」

 

「対宿敵戦だから免除だって」

 

「恨まれてるッ!!」

 

 嘘だけど。

 本当は誓約ナシでいいってさ、神機さん。なにせ地球の勝利者だからね。

 

「元の世界じゃ発揮する機会も少なくてね、ここらでテストさせてもらおうか……!」

 

「ラスボスを試金石みたいに扱う心意気は恐れ入る! だがそっちがそう来るなら、俺も本気で行くぞぉ──!!」

 

 カッと加賀美リョウの瞳が金色に染まる。

 侵蝕率が上がった──いや、彼の場合、『元に戻っている』のか。その上で、地球代表者として、全てを喰らわんとするノヴァの力に手を伸ばしている。

 

「──ッ!?」

 

 その時、彼を中心にフィールドが光った。

 荒野のコロシアムは今、恐らくは彼のオラクル細胞に「捕食」され──()()した。

 

「これ、は──」

 

「そっちが覚醒なら、こっちは終末捕食だ──!!」

 

「無法過ぎるだろッッ!!」

 

 通常攻撃・終末捕食。

 おいふざけんな。アラガミでもそんなコトしねーよ! いや“人型ノヴァ”と捉えれば当然の能力かもしれないが──

 

 いや終末捕食を攻撃として放つってなんだよ!!!?

 

「やっぱ最強が辿り着くは環境改変能力! これに尽きるッ! ああ懐かしいなぁ、闇で世界を統一したり、燃やしてみたり! オラクル細胞って宇宙進出、いけるよね!?」

 

「お前ヤベーエンドばっか選んでクリアしてきた勢かぁぁ────!!」

 

 世界観的にはヤバイと言い切れないものもあるけどッ!

 でも今の言い分からしてこのパイセン野郎、世界を混沌に叩き込んで成仏する系と見た! ぷ、プレイヤー……! それが正しい転生者の姿なのか!? いやっ、それもまた一つの姿か! だが私に挑んできた以上、そのおっかないチャートはここで破壊させてもらう──!!

 

「今の我は万象さえも喰らわん……!!」

 

「ちょっとカッコいいけどマジでやめろ──!!」

 

 結晶が、捕食と再生の斬撃が降り注いでくる。

 即死攻撃のオンパレード、ゲームバランスを破壊して恥ずかしくないのか!

 

「まったく、手に負えない……!」

 

「ブラッドレイジの効果は三十秒……! それまでに俺を倒せるかなァ、アキちゃん!!」

 

「やァってやる……ッ!!!!」

 

 気合と決意を言葉にしながら、地獄のような攻撃をかわし続け、先輩の形をしたラスボスに迫る。

 掠っただけでも即終了。バランスブレイカーとはまさにこれ。こいつ、地球を武器にして戦っているのか……!

 

 「万象を喰らう」という発言に偽りなく、フィールドは緑化しながらも破壊の嵐の中心地だ。

 次々と緑になる大地は捕食と再生を繰り返し、空間を噛み千切られたらしい地形は、完全にオラクルの流れが狂い、重力変動にも似て、砕けた岩々が浮き上がっている。

 

 ちらほらと寄って来るアラガミの気配もあるが──そういうオラクルの集合体は、丸ごと「捕食」され、ますます先輩の力を強めるばかりだ。

 

 長期戦になるほど、こちらが不利になる。

 

 だが目の前のバトルジャンキーは、後先などそんなに考えていない。「どうやれば勝てるか」は予想もついているだろうに、「絶対にリベンジする」という意志に満ちている。

 

 故に、勝利条件は奴を()()()()()()()だ。

 

 それ即ち。まどろっこしい言論合戦などではなく、もっとシンプルな──

 

「死ねぇ、先輩……!」

 

「来いよ、後輩……!」

 

 全力全霊同士による──力のぶつけ合い。

 先輩(アラガミ)のオラクル反応が増大する。

 握る神機さんから無尽蔵の感応現象によるバフが発生する。

 

 狙うは一点。

 

 収束。

 

 解放。

 

 現在持ちうる限りのオラクルを斬撃として、振り放つ。

 全ての喚起率(ブラッドレイジ)を犠牲に、射程圏内に入った対象へ、全力の一撃を叩きつける。

 

 ──一方で先輩は。

 地球からかき集めたのかってぐらいに肥大化した、例の黄金斬撃を私一人に向けて放っていた。

 

「大人げなくない?」

 

 呆れに満ちた私の呟きは、理不尽すぎる閃光の前に、消え去った。

 

   ▼

 

 決着──静寂。

 

 衛星軌道からでも見えるかと思われるほどの強烈な光の後、元に戻った視界でキグルミが倒れているのを見た加賀美リョウは、そこでようやく全身の力を抜いた。

 

「──勝ったぁぁぁ──!!」

 

 無音の戦場に響く無邪気な声。

 現在もなお、終末捕食の中心核としての侵蝕を受けながら、それでも青年は念願の勝利に拳を天に突き上げた。

 

「はっはっは──! よし勝った! リベンジ完了ッ! いやぁ、楽しかったぜアキちゃん! 君ほどの後輩、やっぱ地球を神機にしないと勝てないよな──!」

 

 笑い終わったアラガミの青年は。

 そこで満足にそうに笑みを浮かべ。

 

「は──……やっぱこの世界、最高に──」

 

 言いかけた時だった。

 微弱な足音が彼の耳に入った。

 

「──え?」

 

「アラガミ先輩絶対死ねクラァァアッシュ──ッッ!!!!!!」

 

 ガゴン!!!

 

「ごはぁっっっ!?!?」

 

 撃ち飛ばされた。ぶん殴られた。

 こう、野球の球のように豪快に。

 空中をくるくる回って、地面にドサリと重く倒れ込む加賀美リョウ。

 

 それを見ながら──()()

 

 キグルミを脱いだ素顔の状態で、身軽になった身体で──大きく息を、吐いた。

 

「……ば、馬鹿、な……キグルミ状態で、いつ回復錠を……!?」

 

 敗者の疑問には端的に答える。

 

()()()()()()()()()()()

 

「なッ……!? ……なん、だっけソレ……」

 

「『2』から実装した、神機に装着して発動する強化装置さ……私がこっちにいる(寝ている)間、現実世界では特別にそれを起動させてもらっていてなぁ……ちなみに効果はコスト一杯に()()()()。だから私はあと、()()()()()()()()を残している──ッ!!」

 

「チートだぁぁあ──!?」

 

「合法だヴァ──カッ!! クリアプレイヤー舐めんな──!!」

 

 これが個と全体の力! いつもお世話になってるね、技術班!!

 

 まあつまり、アレだ。

 

 不可避攻撃を受ける→蘇生効果発動→キグルミを脱いで敗北演出→死角に隠れる→強襲!

 

 ──という流れが起きていたのだ。

 ……まさかキグルミデフォがここで活きるとはな……

 

「勝利した直後が最大の好機……ま、決戦の基本ですよね」

 

「ぐぐごがが……そ、そんな初歩的な……馬鹿なぁぁ……てゆーかなんで身体動かないぃ……」

 

「アンタが勝手にテンションブチ上がって全力を出し過ぎたせいだよ」

 

 また動き出そうモンならホールドトラップでも仕掛けてやるところだったが。

 近寄って先輩だったモノを見れば、その両腕はなんか、樹の根っこみたいになって、大地と同化し始めてるし。

 

 ──これで悲壮感がまるで無いのは、完全に先輩が先輩だからだが。

 

「ふー、やれやれ」

 

 まこと、手のかかる先輩野郎だった。

 ノヴァを喰ったせいで完全に終末捕食の化身になってるらしいし、この後、この世界では彼をコアに終末捕食がなされることだろう……果たしてそれも正規の終末捕食かは分からないが。

 

「……加賀美リョウ。アンタはこれから死ぬか奇跡で蘇生するかの二択だが、完走した感想は?」

 

「……まぁ、俺が特異点化してシナリオを丸く収める、ってのは実現できそうだし、良かったかな」

 

「何がだ。ヒロインたちの気持ちも考えてやれよ……てか、ラケル博士ちゃんはどーなのさ?」

 

「…………人体実験を迫ってくる人は、正直ちょっと」

 

「アレで性根は変わらずかぁー」

 

 残念な事実。でもきっと思考アラガミよりマシ。

 ……IFを垣間見れるのも、転生者の特権か。

 

 

「──リョウ──!」

 

 

 ……どこからか、探しに来た呼び声が聞こえる。

 ここから先は彼の物語。夢のコラボ企画も、もう終わりだ。

 

「……先輩。この世界、あんま裏切りはやんない方がいっすよ。支部長みたいになるから」

 

「生き残れたら善処しよう」

 

「まず生き残っても間違いなくソーマには殴られるだろうから、よろしく」

 

「あ~、そうだった。俺ってば人型アラガミ~……」

 

「世界を救えば色々と曖昧にできますよ」

 

「マジ?」

 

 マジマジ。

 救世主の地位って便利だからネ!

 

「んじゃ、」

 

「おう」

 

 目蓋を閉じたら終わりだなぁ、と別れの予感に、示し合わせたように声を掛け合い。

 

 

「「──またいつの日か。縁が続けば出くわそう」」

 

 

 夢は、そこで終わった。

 

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