弱虫うさぎは病室の中   作:妄言a〜

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横道にそれながら

 

ぁ〜太陽がおかしい、なんでこんなに太陽サンサンと煌めいてんの?意味分かんないんだけど?

はぁ〜あっつぃ

公園で汗を垂らしながら光るペンライトの様なものを振り回し続け…疲れ果てた俺はそのままベンチに座り込む

なんでこうなったんだ?なんで興味もないアイドルのライブに俺が行かなきゃならないのか…まぁ…チケット余って勿体ないって気持ちはわかるけど、人選を考えろ人選を…

というかなんでオタ芸?なる物を覚えなければならないのか不思議でならない

 

はぁ〜まぁ仕方ない、まぁ興味無いけど?やればなんでもこなせちゃうのがおれなんだよね?って感じのイメージを保ってる俺だからな…しっかりとやりきらなければならない

 

もう少ししたらまたやろうと飲み物を飲んでいる時に

 

「あ、あの時の」

 

そう声をかけられ、振り向くと前あのお子様の相手をしていた時に軽く一瞬だけ顔を合わせた

 

「あのお子様の兄ちゃんじゃん、こんな所で何してるの?」

 

「ちょっと図書館に用事、そっちはオタ芸?な、なんで?」

 

この歳で図書館はまだしもそんな分厚い本抱えて歩くことあるのか、いやいやなんでオタ芸だと分かったんだ?何その英才教育

 

「友人にアイドルのライブに行こうと誘われたんだけどさ?オタ芸?なる物を覚えなきゃいけないって言われてまぁ仕方なく?」

 

まぁ?この子は大人しくてあんまり告げ口とかしそうにないし?なぜか俺が海藻のようなダンスしか出来ないと知られている以上これ以上手札を増やさせる訳にも行かないが、この子には別にいいだろ、なんというかこの子もこの子であのお子様とは違った空気感がある

なんて言えばいいんだろう?親戚のお兄さん?みたいな感覚かな?

 

それはさておき

 

「よし、休憩したしやりますか」

 

「ちょっと見てていいか?」

 

ぇ…

 

「ぁ〜ま、まぁ別にいいよ?ちょっとだけだよ?言うて俺ってなんでも出来るからさ?だけね、ちょっとね?ちょっと苦手だから〜まぁ…いいよ」

 

ふん、まぁこの子には俺の華麗なオタ芸を見せてやりますか

 

そして

 

「どうよ!」

 

自信満々に言い放つとすっごい顔で見つめられる俺

ぇ、なんで?なんでそんな顔で見るの…すっごいんだけど、精肉工場に連れてかれる豚を見る目なんだけどこっわぁ…

 

「なんというか、全身を火で炙られて苦しみもがいてるって感じで酷すぎる、なんでそんな腰フラフラなんだ?あと手を振り回しすぎてるだろ、なんでそんな縦横無尽に振り回してるの?戦?」

 

な、なかなかの切れ味を持って斬りかかってくるじゃあないか、やるなぁさすがあのお子様の兄だけはある

でもさぁ?

 

「そういうこと言うんだったらできるんだよね?」

 

「え?俺はそういうのは」

 

そう言って俯く兄君に無理やりペンライトを持たせてと

かける曲は、病室で散々聞かされたあの曲

B小町でサインはB

 

そして嫌がってたくせに曲が流れた瞬間、あれはもう反応じゃあない…反射だった、長年聞き続けて、身体を動かし続けるそうしたことによる反射、こんな小さな子が見事なオタ芸を披露する

一瞬ここが公園ではなく大量のペンライトが一定の速度で規則正しく動く、そう軍隊のように訓練されたそれを見せられた

 

「す、すげぇ!!なんでぇ!!なんでそんなのできるの!?めちゃくちゃすごいじゃん!プロじゃん!君本気でいくつ?マジでやばい!えぇ…先生と呼ばせてください!!」

 

兄君はまるでしまった、といったような顔になったがこちらの圧に負けたのか、先生と呼ばれるとなぜか懐かしそうに笑って

 

「まぁこのくらいだったら余裕だよ」

 

「すげぇ教えてくれ先生、どうやったらオタ芸が上手くなりますか?」

 

「俺の修行は厳しいぞ?」

 

そう不敵に笑うのを見て

あぁ、この子も相当ノリいいわと思った、

厳しくも楽しい修行が始まる

 

「いや違うから、なんでつま先立ちになってるんだ?あと手を振り回すのはやめろ、腰の角度が歪すぎるだろ、あと手を振り回すなって!」

 

何度もやっても上手くいかず、それでもこの子はそんな俺に付き合ってくれた、ごめんな俺って実はめちゃくちゃ不器用で大体のことできるって言うの嘘なんだと休憩中に言った時の

 

あ、そんなのもう知ってるから黙って身体を動かせ

って目線は忘れられない

 

それでも楽しかった、なんというかこれも変な話だけれど、懐かしさを感じてしまう

そしてお子様と会話している時と同じくらい久しぶりに腹の底から笑った

 

「はぁ〜全く、なんでそうなるのかよく分からない動きばっかりしてどうなるかと思ったけど何とかなったな…ふ」

 

「はいそこ〜笑わないでね?必死な人間を笑うとか酷くない?」

 

「必死だから余計に面白いんだよ」

 

「ひっでぇ」

 

そうして2人で笑いあった、オタ芸は何とか見れるレベルには上がっていて、このまま続ければとりあえず人前に出せるレベルにはなるだろうとのこと、だいぶ進歩したつもりだったけれど火で炙られなくなったけど太陽光で炙られてるからまだ足りないってどういうこと?

結局俺は炙られないといけないのか?

 

 

 

 

 

いつも通り、最近は必ず立ち寄ることにしている公園に向かうと、お兄ちゃんと秋が2人で笑いあっていた、なんか変な組み合わせだな〜と思ってじっと眺めていると、どうやら2人はオタ芸の訓練をしているらしい

へぇ〜うわぁ…相変わらずひっど、でもちょっと努力が見れるって感じかなぁ?

いや、それにしても酷いけどね

懐かしいなぁ蠢くワカメからちゃんと人間になれたんだね、お姉ちゃん嬉しいよ

 

 

ん?先生?へぇ〜お兄ちゃんと仲良くなってるんだ〜へぇ〜ほぉ〜ん

 

私相手に嬉しそうに教わってたはずなんだけどなぁ?ふ〜ん

 

 

分かった分かった、しょうがないなぁ〜お姉さんが教えてあげるよ

 

「2人とも何してるの?」

 

「よお、ちびっ子、俺は今先生に教わってオタ芸を完璧にマスターしたところだぞ」

 

そんな自信満々に言ってるから本当かどうかお兄ちゃんの方を見たら、遠い目をしてた

 

あぁ…まぁとりあえず人間の動きにはなれたってことかな?

 

「途中見てたけどぜんっぜんだめ!」

 

「はぁ?何言ってるのか俺分かりません〜先生に教わった俺の踊りに不満があると!」

 

はぁ〜教えてくれるんなら誰でも良いのかなぁ?ふ〜んそういうことお姉ちゃんに言っちゃうんだね〜

 

ペンライトを奪い取って勝手にスマホを操作する、かける曲はもちろんサインはB

 

そして舞う、ペンライトを規則正しく振って最愛の推しに自分の愛を伝える!

どうよ、お姉ちゃんの実力わかったでしょ?

曲が終わり肩で息をしながら秋を見る

ポケーとした顔でじっと見つめる、なんだろう?なんでそんなにじっと見つめてくるんだろう?しばらくしたら慌てて取り繕うように私にオタ芸を教えてもらおうとする

なんだったんだろう?

まぁいいか、どうよ?これがお姉ちゃんの実力!

 

「す、すげぇ…なんてこった…」

 

呆気に取られた顔でこっちをじっと見つめてくる様子に優越感を感じながら、素朴な疑問が浮かんでくる

 

「というかなんでオタ芸なのお兄ちゃん?」

 

「なんか友達にライブに誘われたらしくてな、それで練習してるらしい」

 

へぇ〜秋友達いるんだ、まぁこの子は誰に対しても分け隔てないからそりゃ友達の1人や2人居るよね

 

「どーよ!渾身のできだろ!」

 

「う〜〜〜んそうだなぁ〜全然ダメ〜」

 

「え、笑顔で突き刺してくるじゃんクソガキ」

 

その後ちょっと厳しくなっちゃったけど、まぁこれも秋君が悪いよね!

 

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