この前のあれはなんだったのか、終わったあと2人は何かをコソコソ話し合いその後女の子、いや、もういいか、ルビーの方はアクアに思いっきり抱きついて慌ててアクアが慰める、そのまま疲れて眠ってしまったので保護者に電話をして迎えに来て貰っていた
そこからしばらく2人に会えていない、でもまぁそう何回も奇遇に会えるわけでもないから仕方ないと自分を納得させて、でも何となく公園のベンチに座ってしまう
そろそろ桜は完全に散ってもう春の雰囲気はどことなく消えてしまい、さっぱりとした空は夏を感じさせる
変だな、何ちょっと詩人みたいな空気を出してるんだ俺は、馬鹿やってないで帰ろう
そう思って立ち上がった時
「ねぇ?ちょっと良い?」
そう呼びかけられた、呼ばれた方を見るとグラサンに帽子を被った人が立っていて、明らかに俺に用事があるのかこちらに近付いてくる
「えっとぉ?俺に何か用ですか?」
「君の話は2人からよく聞いてたからさ、ちょっとお話してみたいな〜って」
そう言うと隣に腰掛けて、こちらも座るように促される、まぁ良いかと隣に腰かける
風が吹くとふわりと甘い香りがして、顔を隠しているけどこの人はとても美人だと雰囲気で直感する
「ぇーと話っていうのは?」
2人ってさっき言ってたから、恐らくちびっ子兄弟のことなのだろう、というかこの恐らく美人さんとどんな繋がりがあるんだあの二人?姉?にしては年が離れすぎてるし
従姉妹かな?
「そう畏まらないでよ〜なんならご飯でも奢るからさ?」
ふわっと笑いかけられて、少し顔を赤らめてしまう
いや、これは俺悪くないだろ、明らかに俺より大人の女性、でも仕草はどことなく少女を思わせるように感じる
でもそのアンバランスな感じがこの人には似合っていて不快感は一切ない
「あの二人と仲良くしてるでしょ?どんな印象かな?」
「印象、ですか?う〜ん2人ともどこか大人びてますよ、女の子の方は子供っぽいんですけどたまに小学生とは思えない雰囲気を出しますし、男の子に関しては完全にあれ小学生?って思いますよ2人とも子供にしてはませすぎてるって感じですね」
そう言うとその女性は軽く笑い声を上げる
「だよね〜2人とも物凄く頭いいよね〜天才って感じ!流石私の、、おっとっと、」
何か言いかけて慌てて口を噤む、所々少女のように感じるこの人、でもたまに見せる仕草は女性、何だこの人?ただの男子高校生には刺激が強いんですけど?
というかなんで話しかけてきたんだ?
「2人ってさぁ?あんまり自分のことを喋りたがらないって感じ?いや、ちょっと違うかな?自分の弱い所を見せてくれる感じじゃなくてさ?普段あの子たちとどんな話してるの?」
普段?普段?ん〜
「えっーと、お互いの学校のこととか、家族の話とか、後は一方的にですけどアイって分かります?」
そう言うと、少し驚いた顔でこちらを見つめてくる
「ん〜?有名なアイドルだよね?」
「そうです、ルビーの方はアイ大好きな強火オタク、アクアの方も冷静ぶってるけどアイ大好きマンですよ、オタ芸完璧にマスターしてる小学生とか初めて見ましたもん」
そう言い終わるとケラケラと鈴のように笑い始めて、あまりに面白いのか涙を拭くためにグラサンを軽く外している
いや、そこまで面白いか?、、面白いな
「他には?あの子たちどんな風なのかな?」
「他?他ですか?ぁ〜ルビーの方は小生意気ですね、転んで怪我しちゃって、それの手当をするために運んだらやれ、セクハラだなんだの抜かして、本当によく口が回りますよ、会う度に喧嘩ですよ喧嘩!」
そこからは俺の愚痴?みたいになってしまった
2人のエピソード、特に俺と喧嘩をしている所を話すと嬉しそうな顔で話を聞いてくる
余程楽しいのか他にないか、他にないかとせがまれて、気付けば随分時間が経ってしまっていた
「あぁ〜面白い、2人って友達と話す時はそんな感じなんだ〜特にルビー、君に対しては随分毒舌だね」
「面白いって、まぁ?一緒に居て飽きない奴らではありますよ、えーえーそんな態度とる限りクソガキですよクソガキ」
結局この人は何者なんだ?まぁ、正直そんなのどうでも良くなってる部分はあるにはあるのだが
「口も悪くて会う度に喧嘩ばっかり、でも2人は全然険悪でもないし仲が悪いわけでもないんだね?」
そう言われると確かに俺とルビーは仲が悪いってわけじゃない、いがみ合うし口を開く度に口喧嘩、なのに全く居心地は悪くなくて、むしろその逆
居心地が良くてまるでさりな姉さんと一緒に居る時のような感じになる
アクアに関してもなんでか分からないけれど
吾郎先生っぽいと感じでしまう時がある
本当に不思議だ
「良いなぁ〜君たちは本当の愛がなんなのか分かるんだね」
そう言うとじっとこちらの目を見つめてくる、サングラス越しで目線がどこを向いているかなんて分からないのに、なぜか真剣な眼差しでこっちを見つめていると理解出来る
「本当の愛?今日日そんなの聞きませんけどね」
本当に聞かない、そんなのは正直空想のお話でしかないと思っている
でも、あの時あの病室で抱いたあれは、たぶん本物だったような気もする
まぁ、もうそんなのなんの意味もないんだけど
「だよね、でも私は本当の愛が何なのか知りたくてさ?君は知ってる?」
そんな小さな子供が魔法を使いたいと願ったり、スーパーマンになりたいみたいな話のはずなのに、この人は真剣にそれがなんなのか知りたいとそう思っていると感じる
「ん〜あんまりよくわからないです、正直本当と嘘の判別なんてそもそもつかないと思うんですよ」
「ぇ?」
そう言うと驚いた顔で少し寂しそうな声を上げるけれど、関係なく続ける
「だって口先だけだったら人間いくらでも愛を囁ける、好きって言葉を呟ける、献身的な好意を相手に伝えることなんていくらでも出来ると思うんです」
「確かに、そうかも」
寂しそうな顔をされるとチクリと胸が痛い、でも
「でも、それが本当か嘘かを判断するのはやっぱりその人の行動だと思うんですよね」
「行動?」
「口先だけだったらいくらでもとり繕えるし、綺麗に見せかけられる、でも行動は違います、キツかったりするし、辛かったり、悲しかったり、もしかしたら大きな損害を被ってしまうかもしれない、それでも、その人のために行動できる、それはたぶん本当の愛ってことになるんじゃないのかな〜って思いますよ」
言い終わると何か納得したような顔で1人でブツブツ言いながら頷く
「うん!ありがとう君のおかげでちょっとスッキリした!」
そう言うと立ち上がる
満面の笑みをこちらに向けてきて思わず顔を赤らめて何も言えずに惚けた顔で見送ることしか出来ない
「また話そうね!」
「は、はい」
そう言うと不思議な雰囲気を纏った女性は帰って行った
色んな疑問が残って、分からないことが出てきたけれど
とりあえず
「めちゃくちゃ可愛かったなあの人」
俺だって健全な男子高校生なのですよ