テスト
それは日頃から学んでいる物がどこまで自分の頭に入っているのか確認するため言葉通りテストする物
多くの人はそこまで好きじゃないだろうけれど、意外と俺は好きだ
惰性でとは言いつつそこそこの勉強時間は確保しているし、真面目に授業も受けている
自分がどれだけできるようになったかの確認作業は割と自信に繋がるから嫌いでは無い
ただ、しばらくの間あのお子様達とは遊べないのが残念だな
学校が終わり今日は図書館で勉強するかと思いながら鞄に教科書などを詰め込んでいるとふと思う
もしかしたらこんなクソ暑い日にもあの公園で待っているんじゃないのかと
いやいや、流石にそれは
ありそうな気がしなくもないんだよなぁ
スマホを取りだしてみるけれど、そういえば連絡先の交換なんて物もしていない
ため息をつきながら、まぁこれを機会に交換でもすれば良いかと思いながら外に出る
茹だるような暑さで直射日光が容赦なく身体を焼いていく、こんな季節はエアコンの効いた部屋でダラダラアイスでも食べていたいと思うのを我慢しながらいつも通りの道を歩いていく
公園を見るとわかりやすいシルエットが2人
こんな暑い日によく集まるよな〜
なんて自分のことを棚に上げて話しかける
「お〜いちびっ子達〜」
「チビじゃなーい、おそーい!」
「お、やっと来たのか」
ベンチに全体重を預けてだるそうに文句を言うのと、本を読んでいたのか俺が来ると視線をこちらに向けてくる
いや、そこまで暑いんなら帰っても良かったんじゃないの?と思いつつ
この2人も俺と集まって何かするのが少なくとも楽しくないとは思っていない、そう思うと少し嬉しくなりながら隣に腰掛ける
「遅いよ〜何してたの?私はもう溶けちゃうかと思った、お詫びとしてアイス奢って」
「まぁまぁ、秋君も別に待たせるつもりはなかっただろうし」
「ん〜お兄ちゃんが言うなら」
最近変わったことが少しある、ひとつはアクアが俺の事を秋君と呼ぶようになったこと、まぁ呼び捨てでも良いんだけれどなぜか呼ばれる度に若干のむず痒さに襲われる
二つ目はルビーがアクアの言うことを素直に聞くようになったこと
前までは小生意気な感じだったのにそれがあんまり無くなって、態度が随分柔らかい
まぁ俺に対しては相変わらずこんな感じなのだけれど、ちょっとはその優しさ分けてくれても良いのよ?
「そうそう俺テスト週間に入ったからしばらくこうやって集まれないって言うのを伝えに来たんだよ」
そういうと片方は「ぇ〜!!」と不満全開、
もう1人はなんか知らないが懐かしい顔をしている…ような気がする
いや、君体験したことないでしょ
まぁ、この反応はある程度予想していたのでスマホを取り出す
「そういえばアクア確かスマホ持ってたろ?またこうなるといけないから連絡先でも交換しとこうよ」
「それもそうだな」
そのままアクアもスマホを取りだし連絡先を交換する
簡素なプロフィールがそれっぽくて少し笑ってしまう
そんなふうにしているとルビーから視線を感じてそちらに目を向けると、何か物言いたげな顔でスマホをじっと見つめている
なんだ?なんか変か?まあいいか
「じゃ、俺これから図書館で勉強だから」
「頑張るんだぞ」
「おう!今回こそ1位目指してやる」
エールを受けながら帰ろうとすると袖を掴まれる、なんか前にもこんなことあったな
そう思いつつ後ろを振り返るとなぜか不満げな顔のルビーがじとっとした目で見つめてくる
え?何?なんでそんなにじっとりした目で俺を見てくるんだ?
どう対応したらいいかよく分からないのでとりあえず見つめ返してみるけれど、特に向こうから反応はない、諦めてこちらから話しかけることにした
「どうしたの?」
「私も図書館行く」
「、、別にいいけど子供が来て楽しい場所じゃないと思うぞ、後俺は構えないし」
そう言うとさらにほっぺたを膨らませる、よく膨らむほっぺただなぁ〜と感心してしまう
「子供扱いしないでよ、アイス奢ってもらうの」
「えぇ、まぁアイスぐらいだったら図書館の休憩室とかであると思うから良いけど」
そう言うとそっぽを向いて歩き始めてしまった、不思議だなぁ、と見つめてアクアにどうする?と顔で聞くと、少し嬉しそうにため息をついて
「俺も用事があるから行くよ」
ということで
両手に花ならぬ、両手に子供の状態で図書館に向かうことになった
図書館に入ると冷房が効いているのか冷たい冷気が火照った身体を冷やしてくれる
あぁ〜気持ちいい
「先にアイスでも食べるか」
そう言って休憩室にある自動販売機からアイスを選ぶ
「う〜んやっぱチョコミント美味いなぁ」
「歯磨き粉、、あ、お兄ちゃん1口ちょうだい!」
「わかったよ」
「歯磨き粉じゃねぇよ!!、、なんか最近2人とも仲良いな?なんかいい事でもあったの?」
各々アイスを食べているととんでもないことを言ってきたのでいちチョコミント大好き人間としては黙ってられなかったのだが、
ルビーがアクアにアイスを食べさせてもらっているのを見てポツリと呟く
なぜかルビーは嬉しそうにくねくねし始め、アクアは気まずそうにしている
なんだ?何があったんだ一体?
「まぁ別にいいけど、兄妹仲がいいのは何よりだな」
そういうとアクアは少しほっとしたように息をついた、なんだ?何があったんだ?
まぁ、どこでも家庭の事情っていうのはあるよな
そう思いなおして机に座り教科書やノートを広げ始める
「まじで構えないから帰ってもいいんだぞ」
「ッ!!帰らないって、子ども扱いしないでよ」
アクアは既になにか本を取りに行っているのか居らず、ルビーは最初はそう息巻いて見たものの本当にやることがないのか正面に座ってこちらをじっと眺めてくる
………………そんな見つめられるとやりづらいんだけど
いやいや、集中しろ俺
あ〜あ早く言い出せば良かったな〜
そんなことを思いながら目の前の真剣な顔を眺める
いや、私は悪くないよね?普通あの流れなら私にも聞くよね?なんで私の連絡先は聞かないでせんせのは聞いたのこの子!
私から交換したいって言えば済む話で、それだけで良いはずなのによく分からない意地が働いてしまってちょっと嫌な子になってしまった
私ってなんでこの子に対していつもこうなんだろう?初めて会った時は仕方なかったとして………あれはあの子が悪い
でもその後は愛着が湧いて秋と話すのはそこまで悪く…いや、あの時間が好きで早く来てくれないかな〜とか少しは思ったりもしてた、
なのにいざ目の前に居るとつい冷たい態度をとってしまう、嫌いなわけじゃない、そもそも嫌いならわざわざあんな暑い日に公園のベンチで待ってたりしてない
なのにこの子と話す時はつい誰からも愛されない私が出てきちゃって本当に困る
まぁ君にも少しは罪があるよね?きっとあるよ
君ならどんな私でも受け入れて普通に接してくれるって考えちゃうからどうしてもただのさりなとして会話しちゃう
君のせいでたまに変な考えになっちゃうんだよ…ほんと……せきにんとって……よね
……
う〜ん?まじでわからん、どうしよう?とりあえずスマホで調べて分かんなければ明日聞くか
そう考えてスマホを取り出そうとした時、視線の端で腕を枕にスヤスヤと心地よさそうに眠っている顔が見える
心地よくて寝ちゃったのか、やっぱり子供じゃん、そう思いながら何を思ったかスマホを撮影モードにして軽く撮影してしまう
………
後でアクアに送っておこう
まぁ、帰る時にでも起こせばいいかと視線をスマホに戻そうとすると、小刻みに身体が震えている
まったく世話のかかるお子様ですねぇ
貸出されているブランケットを借りて起こさないように気をつけながらそっと背中にかける
そのまま勉強続けると不思議と集中出来るから不思議だよ
「あれ?ルビー寝ちゃったのか?」
「どうやら相当居心地が良いっぽくてね」
そう言うとルビーの隣に座って優しく微笑むアクア
寝言でなにか聞こえたのか複雑そうな顔をするけど、その顔には親愛の色が伺えた
まじで何があったんだ?
あ〜思考が余計なことに分散されてる、集中しろ俺
そうしてしばらくシャーペンでノートに書く音とたまにページを捲る音が静かな館内で流れる
たまに詰まってはノートの書き込みを遡ったり、教科書でヒントはないかを漁る
ぉ、これでいいのか?じゃあこれが答えだろ
それを書き込み次の問題に取り掛かろうとすると
「それ間違ってるぞ」
声が掛る、間違ってる?
「まじ?」
よくよく確認すると途中で計算ミスがあったのかまったく違う回答になっていた、まじかぁこういうケアレスミスも減らしていかないと点数持ってかれるんだよなぁ
「ありがと」
「頑張れ」
そう鼓舞されたのでやる気を出して問題に取り掛かろうとして
…………………
手が止まった
思わず視線をゆっくりと持ち上げ、アクアの顔を見つめる、青い顔で冷や汗をダラダラ垂らして
明らかに不味った…顔にそう書いてありそうなほどの表情を浮かべる
今俺がやっているのは高校の数学、そこそこ偏差値の高い学校に入学できたので授業の難易度も割と高い、そして先生がおすすめする難しい応用問題がたっぷりあるこれを一目見ただけで計算ミスに気づく小学生…?
思考しながら相手の顔をじっと見つめていくと、冷や汗の量がどんどん増えていき目線を必死にこちらに向けないようにしている
「アクア…もしかして」
ゴクリッ…唾を飲み込む音だけが静かな空間で響くように聞こえる
「やばいくらいの天才か?え?まじ?小学生でこれ解けるってとんでもなくない?」
「た、たまたまだろ、そんなの公式に当てはめてミスに気を付けてれば答……」
そしてまたしても黙り込むアクアをじっとりとした目で見つめる
いやいや、公式って……君小学生だよね?なんで公式なんて知ってるの?
「アクアって」
「んぅぅ」
言おうとするとさっきから寝ていたルビーが唸って体勢を変える
その時ブランケットが落ちてしまい、アクアは立ち上がるとそれを優しく肩に掛ける
ふぅ〜何を馬鹿なことを考えてるんだ俺は、そんな暇あるのか?
やっぱりちょっと疲れてるのかもな
そう思うと立ち上がって
「飲み物買ってくるわ、アクアなんかいる?」
「だ、大丈夫だ」
「分かった」
そう言うと休憩室に入り、コーラを購入し1口口に含む
はぁ〜やっぱり頭使ってる時には糖分が聞くよなぁ〜
寄っかかりながらさっきのやり取りについて考える
いやいや、小学生であんなの分かるか?まぁ、確かにアクアは大人びてて普通の小学生とは全然違う、なんなら俺でもびっくりするほど大人と感じてしまう時がある
ん〜?
あれか!アクアは実は前世の記憶があって転生したとか!
マジで俺は疲れてるんだな、今日はゆっくり湯船に浸かって早めに寝よう
そう考えながら缶をゴミ箱に捨てて机に戻る
なにか言いたそうにしていたけれど特に気にせずシャーペンを持ちノートに向かうのを見ると、特に何も言わずに読書に戻り始めた
「んぅ?あれぇ?私寝ちゃってた?」
「結構早めの段階からダウンしてたぞ」
ひと息ついたので軽く伸びをしているとルビーが起き始めた
肩にかかっているブランケットに気付いたのか感触を確かめるように撫でている
「アクアが掛けてたぞ、やっぱりお兄ちゃんは気が利くな」
「えぇ〜お兄ちゃんありがと〜」
「え?」
なにか言いたそうな顔でこちらを見てくるが素知らぬ顔で片付けていると、ため息をついて帰り支度を始める
「本当に両方素直じゃないよな」
「?何の話?お兄ちゃん」
「なんでもないよ、こっちの話…そろそろ帰るから準備しろよ」
うるせーなニヤニヤした顔でこっち見つめて笑ってくるんじゃないよ、
まぁ、ルビーはよく分かってないからまだいいけどさ
ほんっとなんで素直にできないんだろう?こんな子供相手にまじで不思議だ
帰り道の途中でルビーの寝顔を見せるとギャーギャー騒ぎ始めた
ぁ〜やっぱり可愛くないわ、寝顔はめちゃくちゃ可愛いのに
そうやっていつも通りに別れて、帰りにコンビニによって買ったアイスを食べながら帰る
日が落ちて少しは温度も下がったと思ったのにまだまだアイスは溶けやすいみたいだ