だいぶ励みになっていてこの先もゆっくりですが進めていくと思うのでこれからもよろしくどうぞ
あれから秋相手に変な感じになってしまう時がある、今は小さくなっているけどふとした時に大きくなって、まるで空気を入れればすぐに膨らむ風船みたいになる。
でもそんなのを出しちゃったら姉としての尊厳が無くなっちゃうから絶対に秋には言ってやらないし、おくびにも態度に出すことなんてしない。
そう考えながら秋を見つけたから近寄って声をかける
「おはよ秋」
「あぁ…おはよ」
テンション凄い低い、こんなに可愛い子に話しかけられてそんな低い声で返事する?
ちょっとムカッと来たけど平静を保って何とか接する、普段通りに会話をしようとしても秋は何か不機嫌でたまに寂しそうな顔をして、
「じゃあな、後暫く勉強で忙しいから、じゃ」
いつもの3倍は淡白な態度で去っていく背中を見つめる。
ムカつく…なんでそんな不機嫌なの!それとなく話を聞こうとしたけど教えてくれる気はないらしい、まるで逃げるように行ってしまった秋にムカムカするのは当たり前だけれど、悲しいとも思ってしまうから本当にムカつく
私に相談してくれてもいいのに…
秋はたまにこの公園で女の人と会って話を聞いてもらっているという、その時話しぶりから察するに私には言えないことを言ってる、
私だって…
あーあやめやめ!
嫌な方に沈んでいく気持ちを切り替えるように頭を振って学校に向かう
その日1日授業中に秋の寂しそうな顔がチラつくせいで黒板に書かれている内容が頭に入ってこなかった
帰り道せんせと一緒に歩いていると秋の話題が出てきた
「秋くん暫くは勉強で来れないって聞いたか?」
「うん、なんか今日不機嫌だった」
そう言うと驚いた顔をする、私だってびっくりだよ、不貞腐れた顔は見たことあるけどあんなふうにトゲトゲした感じの秋は初めて見た
「私が聞いてみてもなんにも答えなくてさ!たまに公園で会う女の人には話しちゃうくせに!」
秋の不満を口に出しながら歩いているとせんせはなんというかこう、生暖かい目でじっと見つめてくる
「自分にも相談して欲しいんだねさりなちゃん」
「そ、そんなのじゃないよ!」
ほんとうにそんなのじゃない、今思えば私はあの子の弱い所を見たことがほとんどない、
何時も笑顔で前向きで、たまにそれが憎らしく感じる時はあるけど、そばにいないと寂しいと感じてしまう、私は秋とそこそこの時間一緒にいるのに、私には言わないで見ず知らずの人には話してる…ただそれが
「面白くないだけ」
本当に面白くない…ただそれだけ
秋と会わないのが暫く続いた、せんせが言うにはテストはもう終わっているらしいから連絡をとってみると言ってくれたので今日こそは秋に姉としての私を分からせてやると考えていると
「秋くん勉強してるから無理だってさ」
「え?だってテスト期間は終わったんじゃないの?」
「まぁ秋君も3年だからそろそろ本格的に動いてるって感じかな」
「ふ〜〜ん」
せっかく会えるかもしれないと心を弾ませてたのに一気に萎んでしまう、でも、秋頑張っている理由に私が絡んでいるって言うのが分かってる…それが少し嬉しくて、そう思ってる自分が少し不思議で表情が定まらない。
それから次の日も次の日も秋は私たちの前に姿を表さなかった
おかしい!
朝登校しながら考える、勉強が忙しいのは経験したことない私でも少しは想像出来るけど朝の登校にすら全く見えないなんて絶対おかしい、意図的に秋が私たちを避けてるとしか考えられない。
避けられるってこんな気持ちなんだ、わたしが何か悪いことしたのかな?怒ってるのかな?もう会ってくれないのかな?
そんな考えが浮かんできて不安になってしまう、私はそんなつもりない、秋もそんなつもりは全くない…と思う。
でも…秋に会えないのは寂しいなぁ…
あ
「秋!」
見慣れた背中を見つけたから小走りでそのまま追いついて、適当に反応して普通に歩いていく態度に違和感を覚えて横顔をチラッと見る
「秋、クマ酷いよ?顔色も悪いし」
明らかに様子が変だった、歩くスピードもいつもより遅いし、顔色も悪くて目の下にははっきりとクマがあった、雰囲気はどんよりと沈んでいてこっちを見ないと思ったら単語帳を見ながら歩いている
「よそ見してたら危ないよ?」
「別に大丈夫だろ」
相変わらずのそっけない態度、明らかに何かあったのにそれを話そうとしないで一人で消え込んで心が沈んでいる、それを見たらムカっとして
「話してる人の顔見なきゃダメでしょ?」
たまにはこうしてお姉さんっぽいことも言えるんだよ私
「マジでなんでもないって…!」
びっくりして思わず足を止めてしまう、秋のこんな声は聞いたことがなかった、しばらくして自分が声を少し荒げたのに気付いたのか、慌てて
「はぁ〜俺何してんだ、こんな子供に当たって…悪い、暫く忙しくてさ、ごめんな」
そう申し訳なさそうに言うと、気まずいのか逃げるように歩いていってしまう。
ポツンと道の真ん中に取り残されると途端に孤独を感じてしまう、私が今まであの子にこんなふうに明確に拒否されたことは無かった
それが悲しい、私じゃない人が聞いていたら秋は素直に全部を話して甘えるのかな?
そう考えると胸がズキンと痛んで、普段だったらすぐに収まるはずなのに、この日は収まりそうにもなかった。
何より1番辛かったのは私の顔を見た時の悲しそうな、嬉しそうな、そんな不思議な表情をした時…悲しそうな顔をしたのがなぜか1番辛かった
俺は何をしてるんだか…
自分の行動を思い返して呆れてしまう、子供相手に不機嫌全開で接して、そのまま感情のままに言葉を吐き出してしまった…
タイミングが悪すぎる、なんであの子は俺の姉と言ってるんだろう…たまに本当にそうなんじゃないかと思ってしまう自分を何度戒めれば良いのか俺には分からない。
はぁ〜ダメだ、こんなふうにマイナスになってる時は勉強して余計なこと一切考えないようにするに限る、アクアに後でそれとなく連絡をして取り持って貰おう。
そう考えながら考えたくないことから逃げるように椅子に座ってノートを開く、暫くはページを捲る音やカリカリとノートに文字を書き込む音だけが自室を支配していた、
しばらく集中しているとインターホンが鳴る、無視していたが親は今日帰るのが遅いので今この家には一人しかいないと思い出し、ため息まじにり玄関に向かう
それにしてもインターホンがうるせぇ、そんなに鳴らさなくても聞こえてるって、
親が何か通販で注文でもしたんだろうと考えながら俺は扉を開けた
「ハイハイ今開けるって、そんなに鳴らさなくても聞こえてます…って…」
最初は目線の先に誰も居なかったので今時珍しいイタズラかと思っていたが、目線を少し下にずらして予想外の人物の登場で思考がフリーズしてしまう。
今朝俺が大人気ない対応をしてしまい、世界一会うのが気まずい姉を名乗る小学生が仁王立ちで立っていた
「な、何してんの?というかなんで俺の家…」
「入るよ!」
何とか絞り出した言葉で疑問点を並べて見たは言いものの、どうやら相手にはそんなの関係ないらしくそのままズカズカと靴を脱いで入ってしまう。
「いや、待て待て待て待て!お前なんでここに!?親御さんになんか言ったのか!?」
「一応お兄ちゃんに連絡はしてあるよ」
そう言うと当たり前のように階段を登って俺の部屋に入り「うわぁ〜意外と綺麗な部屋」とか失礼なことを言いながらベットに腰掛ける。
どうやら帰るつもりはないらしくじっとこちらを見つめるその顔は強情そのものでため息をひとつついて
「飲みもの持ってくる」
「お願い〜」
子供相手に強く出れないんじゃなくて俺はこの子相手に強く出れないことに最近気づいているのでもう諦めて大人しくもてなす為の準備をするため冷蔵庫に向かい始めた。
「やっぱり麦茶美味し〜」
「それで?そもそも俺の家をどうやって特定したんだよ」
飲み物を持ってきてお互い一息ついて落ち着いたので改めて聞いてみる
「そ、それは〜えっとぉ〜」
「え?何?GPSとかつけてるの?」
やましいことがあるのか言いずらそうにしているので、そんなことをされているのかと確認のため自分の身体を確認していると「そんなわけないでしょ!」と否定が入る、
じゃあなんで分かったんだよ?と聞くとまた言葉に詰まる。
「そ、そんなことより!」
あ、露骨に話をズラした
全然そんなことじゃないけどね?俺からしたら恐怖以外の何物でもないんですけどね?
「ここ座って」
「は?なんで?」
ベットに腰掛けたままポンポンと隣を叩く、疑問しか生まれないのだがなぜか逆らえない…まじで不思議だ…言われるがままに隣に座ると赤い瞳がこちらをじっと見つめてくる
「何があったの?最近変だったよね?」
やっぱり話題はそれだった、理由はあるしそれなりに重たいものだ、それをこんな小さな子に話すのは気が引けるし、そもそも話すべきでもない、それなのにこの瞳に見つめられると不思議と話してしまいそうになる、あのお姉さんといいこの瞳の持ち主はなんかの魔眼持ちなのかな?と考えてしまう
「幼い頃医者になるって勝手に約束した人がいてさ、五郎先生って言うんだけど」
「うん」
そこからは俺がぽつぽつと喋り始めるのをたまに頷いて、真剣な顔で聞いてくれた。
本当に情けなくて恥ずかしい光景だと理解しているのに今この瞬間目の前にいるのは俺より歳上なんじゃないかと思ってしまった。
「その人と連絡先は交換してて、不定期にチャット飛ばしたりしてたんだよ…それがある日を境に返信来なくなってさ?でもまぁ、忙しいんだろうって特に気にしないで、そもそも連絡自体稀だったし…それで1週間前ぐらいに連絡してもそもそも既読がつかなくて、流石におかしいって思って病院に連絡したら行方不明だって…」
なんてことの無いつまらない話だ、つまらなくて退屈でただただ悲しいだけの話。
親にはもちろん感謝してるし俺が大学に受かったら報告したい、でもあの人にも俺は言いたかった…けれどそれはもう叶わなくなってしまった…
救いたいと思った人は既に居なくて、喜びを分かち合いたいと思った人は行方不明…
祖母は俺が中学の時に死んでしまって本格的に誰のために俺は頑張ってるのか分からなくなってしまって…
こんなくそしょうもない話を最後まで聞いてくれた
「な?聞いてもつまらないだろ?」
「寝っ転がって?」
「は?え?なんで?」
突然何を言われたか理解できなかったけれど時間を置いて理解して、何を言ってるだと反論しようとしたけど有無も言わせない赤い瞳に言うことを聞いて自分のベットに寝転がる。
「秋は頑張り屋さんだね」
不意に頭に小さな手のひらが乗せられて撫でられる、自分の部屋のはずなのにあの時のお姉さんのような甘い匂いが漂って、思わず目を細めてしまう
「頑張ってないよ」
「頑張ってるよ、いつも前向きで人の都合なんて考えないでキラキラした目で期待してくる…それで付き合ったら飽きるかな〜って思っても全然諦めない、ひとつのことが出来たらすぐ次に行って、また次って…そんな子が頑張ってないわけないよ」
頭を撫でられながらこの子は何を言ってるんだろう?誰のことを…俺…?俺の事?
でもおれのそんな姿を見せたことなんてない気がするんだけど…なんだ?なんの話しをしてるんだ…そんなのまるで…
「俺がさりな姉さんにしたみたいに…?」
そう言った時心臓がトクンと跳ねたのを感じた、なぜだか分からないけれどこんなことを口にすべきじゃ無かったと頭が訴えてくる
ルビーがなにか言いながら頭を優しく撫でてくれる、小さな手のひらから伝わる体温が伝って自分に流れていくように感じて安心してしまう…
あぁ…最近寝不足だったから…聞きたいけど聞きたくない…知りたいけど知りたくない…眠りに落ちそうな瞼を必死に閉じないようにするけど、無駄な抵抗なようで自然と目の前が真っ黒になる…俺が最後なんて言ったかは
正直…記憶にない