弱虫うさぎは病室の中   作:妄言a〜

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溢れてあふれて沈ませて

 

 

「さりな姉さん…」

 

そんなつぶやきとともに軽く頬を撫で…そのまま目をゆっくりと閉じて意識を手放してしまった。

 

「うん、そうだよ…だからゆっくり休んで?」

 

もう秋の意識がないと分かっているから、私の言葉は伝わってないし、伝えられてないってわかってる…けど、こうしてまた卑怯なことをする

 

この子が傷つくくらいなら私の事なんて忘れて欲しくて、早く幸せになって欲しい…なのに、身勝手に喜んでいる私がこのままこの子の近くにいるのが正解なのか分からなくなってしまった。

暫くは頭を撫でて、頬を撫でてそのまま唇に指を這わせる…カサカサしていて触り心地が悪いけど、指で触れているだけなのになぜか心臓が高鳴ってしまう場所。

そこに当てた指を自分の唇に当ててみる、

トクンッ…と跳ねた気がしたけれど気のせいだ、密着してるから暑くなって熱が身体に篭っちゃっただけだと思う、

起こさないようにそっと離れて少し部屋を散策してみよう、あのまま近くで顔を見つめていたら正直何をしてしまうか今の私だと分かったものじゃない。

 

立ち上がって辺りを見渡してみる、ベッドと勉強机、そして一際目を引くのは本棚だ、本棚に入り切らない程の量の本が置き場所に困ったように本棚の前に積み上げられていて、よく見てみると教科書や参考書、軽く中身を確認すると付箋やメモでびっしりと埋まっていて何回もページを開いているのかヨレヨレになってしまっている。

 

「何が惰性なの?こんなにやってるのに」

 

思わずため息と共にそんな言葉が漏れ出てしまう、私の頑張りより絶対君の方が何倍も努力してるじゃん。

そう思いながら本棚の前に積まれた本を退かしてスペースを作り、本を物色する

 

基本的には参考書や難しそうな小説、お兄ちゃんが好きそうなのもある、

…?他の本棚を見ると1箇所だけほぼ同じ内容について書いてあるものを見つける

 

退形成性星細胞腫

 

「ぁ…」

 

あまり難しいことは覚えていない、正直自分がどんな病気になっていたのか正式に分かっているわけではないけど、何となく本棚の1箇所を占領している大量の紙の束は私の病気について書かれている物なんだろうと何となく、そう思う。

 

その中でも1番目立つほどボロボロでページが破られている本を手に取って中身を確認してみる

 

ページをめくっていくと難しい感じが所狭しと並べられていて、重要そうな項目にはメモや付箋などで徹底的に本の内容を理解するために時間をかけたことが伝わる、

ただ所々紙が破られていたりグシャグシャにされていたりとこの本を前にした人がどうなっているのか分かるような気がする。

 

そして最後のページに

 

放射線療法と化学療法で治る確率が高かった、そもそもの話低悪性度だったら手術だけで助かってたかもしれない…

 

そう長々と内容が書かれたページに上書きするように書き込みがあり、最後の最後に

 

 

 

 

いくら学んでもさりな姉さんは帰ってこないだろバカか!!

 

 

 

そうデカデカと油性ペンが壊れるほど力強く書いていたのか途中で折れしまったのか文字がぐちゃぐちゃで読みずらい。

 

本を元に戻す…今見たものはきっとあの子は見て欲しくなかったの物だ、私に1番見て欲しくないから…

 

そのままベットに寝て秋と顔を合わせる…

 

「ごめん…私のせいで君の人生変わっちゃったんだ…」

 

本当に優しい、優しすぎて人を救いたいと思って救えなくて、そのまま沈んで言ってしまうんだろうか…この子はこのまま…

そもそも、私がこの子とこのまま一緒に居ても良いのかな、私のせいでこの子の人生が歪んじってもう二度と元には戻れないぐらいに変わって、でも真っ直ぐなとこは変わってない…だけど、歪んじゃってもう意味がないって分かってるのに私のために頑張ってくれて…それを嬉しいと感じてしまう、

 

これはさりなの感情だ、みんなに愛されるルビーはこんなこと考えない、そんな自分勝手で最低なことを考えるはずがない

 

ごめんね…さりなのせいで君を変えてしまった、

でも、でもね?もし…許されるのであれば、

ルビーとして…君のそばで君のことを支えたいな…

 

それだけは許して…

 

そのままゆっくりと目を閉じて意識を手放す、その時大きい手を小さな手でぎゅっと握りながら眠ったおかげで、悪夢は見なかった

 

 

 

 

 

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