はぁ〜口から思わずため息が零れてしまう、
あれから少しずつ歩けるようになって、中庭の散歩もできるようなったのにさぁ
すぐこれだ、ほんの少し無理をする、楽しくて…まだそこに居たくて、なのにそれが出来ない、少しの無理が致命的で治るのに何週間もかかる
今も病室のベットに寝っ転がって身体が治るのを待つしかない…
暇だなぁ…
「ふんっ!!ふんっぅぅ!!!はぁ〜はぁ〜〜」
病室は静かだなぁ…暇、せんせも今日は忙しくて来れないみたいだし、アイのライブでも見て気を紛らわそうかなぁ…
「いてててて…いててててて!!」
………こんな寂しい日にこそ愛しい人の顔を一目見たいって言うのが乙女心なのにせんせはその辺が全然分かってないよね
「うっわぁ!?」
「ねぇ…私今黄昏てるんだけど?うるさいんですけど、というか何してるの?」
さっきから唸ったり突然ポーズをとったり転んだり大忙しなクソガキ…
今さっきまで憂鬱な感じ出てたんだよ?儚い美少女を演出してたのに空気感が台無しなんだよね、シンプルにうるさいし
「なんか、お遊戯会があるから、それのダンスの練習をしてるんだけど上手くいかないんだよね!」
そう言いながら肩で息をして呼吸を整えてる、今動けない人の目の前で思い切り動いて何エンジョイしてるのこの子?情緒とかないのかな?
まぁ…こんな子供に何を求めてるんだ私はって感じだけど
「お遊戯会でダンス?」
「そう!なんかね?劇の途中でダンスをするやつがあって、それの練習」
あれがダンスの練習?まるでゾンビが呻き立てながら千鳥足で飛び跳ねてるおぞましい光景にしか見えなかったけど
「それはもうダンスじゃないよね?蠢いてるなにかだよ」
「僕ちょっとダンスが苦手なの!ちゃんと踊ってるでしょ!」
何をどう見たら踊ってたんだろう?園児相手にあんな振り付けで踊らせるって、何?悪魔でも信仰してたりする?
「というかなんでここでやってるの?もっと広いところでやりなよ、ドタバタうるさいんだけど」
自分は動けないことなんて分かりきってて納得してるはずなのに、ついこの子に当たってトゲが出てしまう…大人げないなぁ…私
「だってお姉ちゃんアイドル?を知ってるからダンスを教えてもらおうと思って」
ダンスを教える?私が?
はぁ〜
「そもそも振り付けは本当にそれなの?海中のワカメにしか見えなかったんだけど」
「そうだよ〜えっとねぇ〜これ振り付けの紙!」
そう渡された物を確認すると、普通を知らないけどおそらく一般的な園児が踊ったらほのぼのするような踊りで
いや…
「これのどこを見たらさっきみたいに蠢くワカメになるの?」
「えぇ?ほら!見てみて!こうやって〜」
そういうとまたワカメになろうと手を上に伸ばそうとする
「まずワカメやめて?手を上に上げるのなんてどこにも書いてないから、腰をフリフリしないの!なんでふにゃふにゃなの?背骨何処に置いてきたの」
なんでこんなことに付き合ってるんだろう私?
まぁ…相当暇だったんだろうなぁ
「だからぁ!なんでふにゃふにゃなの!力抜きすぎ!もっと足に力込めて!」
「ぇ…えっとぉ〜こぉ?」
「力込めすぎだって!なんで直立不動なの!もっとこうぅ…軽くだよ軽く!」
「か、かるくぅぅ?お姉さんやってみてよ〜!」
「無理に決まってるでしょ!誰かさんと散歩したからしばらく動けないの!」
いいから足を動かしなさい!だから!強すぎるって!なんでそんな踏み込み強すぎるの!?
あぁ〜手が留守になってるよ!
はぁ〜もぉ!!本当になんでこの子に構っちゃうんだろう私
そう思ってても今この瞬間…私は退屈なんてしてる暇なんてどこにもなかった
「さりなちゃん大丈夫…」
やっと忙しかった仕事が一段落ついたのでさりなの様子を見ようも病室に近づけば、大声で怒鳴るさりなと不思議に怒られながらふにゃふにゃする子供というよく分からない光景が広がっていたので…
自分と居る時とはまた違う楽しさを感じている彼女を見て、優しく微笑みながら扉を閉める…けど
あの変な動きはなんだったんだ?エクソシスト?
そしてついに
「はぁ…はぁ…ど、どうお姉さん!!」
「や、やっと…やっとまともな踊りになったね!これでとりあえず人間にはなれたよ!」
人並みにやっと踊りきることがやっとできた感動で思わず抱きついてしまう
「やったぁ!!踊れたぁ!!ぼくも踊れたよ!!」
「うわぁ、ちょ、ちょっと汗臭いから抱きつかないで!というか近い!」
ぁ〜もぉ!汗臭い!近い!苦しい!分かった!嬉しいのはわかったから!こんなので大袈裟だよ
「他の子はできて僕は全然できなくてぇぇ…先生も教えてくれなかったのにぃぃ…ありがどぉぉぉ…」
「ぁ〜もぉわかったから、鼻水で凄いことになっちゃってるからね?一旦離れよ?あ〜べちょべちょだよ」
はぁ〜本当にさぁ?誰からもとか、他の子はできてとかそういういちいち弱いところつつくのやめてよね?
誰もができることは自分だけできなくて、周りから見放されて…
そんなの痛いぐらい分かっちゃうから…ホントやめてよ…
まぁ…でも…たまには良いかな…
そう思って軽く笑うと、頭を優しく撫でて落ち着くのを待ったのだった
その後
「お姉ちゃん!今度サッカーやるんだけどね!!」
「絶っったいに嫌だ」