年末どこも落ち着いていて、それでも抑えられない来年の思いが滲み出る季節
病室の外は雪景色で真っ白で、窓一枚隔てた向こうは別世界のようにキラキラと輝いている
今年も終わりかぁ…年末になったから私の何かが変わるわけじゃないし、変化するわけじゃない、ただ今年も何も出来なかった、身体が良くならなかった、お母さんの来る回数も少なかった
来年も何も出来ないんだろう…
そう思って虚しい気持ちで年を越す、それが私でこれからも変わらない、どうしようもない物だったのに
「よし、良い感じだよ!」
何がよしなのかよく分からないんだよなぁ〜
病室でちっこいのが動き回って部屋の飾り付けをやり始めた、いや…これは年末じゃなくて完全にクリスマスだね、不器用なくせに折り紙だけは完全にマスターしてるのがちょっとムカつく
白一色の病室が色とりどりの折り紙で色づいてしまった
「何してるの?というか年末だよ?家に帰らなくていいの?あとおばあちゃん」
「ん〜?クリスマスには帰ったよ!あとおばあちゃんはまだ帰ってこないよ、多分帰りたくないって全力で抗う?からもうしばらく遅くなりそうだし」
前から思ってたけどこの子のおばあちゃんちょっとアグレッシブが過ぎない?なんで?
力強すぎるよ、この子もこの子で押し強いし、そういう血筋なのかな?
「でもその飾り付けクリスマスだね」
「えぇ?僕の所はクリスマスの飾り付けをして新しい年を迎えるよ?なんか片付けるのが面倒臭いからって言ってた」
あぁ、多分この子の家って全員キャラ濃いんだろうなぁ…
「というか君も随分暇だよね?私と一緒に居ても楽しくないでしょ?もっと外で遊んだり、友達と会ったりしたら?」
そう自分で言ってて少し寂しいと思ってしまう
はぁ〜嫌だ嫌だ…散々クソガキだの小生意気だの言ってたくせに、なんだかんだ1年間飽きもせずに病室に来るこの子に対して情が湧いてしまった見たいだ
「友達とも遊ぶよ?でもお姉さんとは約束したからね!」
「約束?」
「戦わなきゃだし!キャッチボールも!鬼ごっこもできてないよ!また来年から一緒に頑張ろうね!」
あぁ…そういえばそんなことも言ってたな、
私からしたらあれは約束なんかじゃなくて、ただ適当に相手してたらそのうち飽きるだろうと思ったから適当に言っただけだ、今の私にそんなことができるはずがないことを私自身が一番理解してる
あとまだ私と戦おうとしてるの?
「君も薄々分かってるんでしょ?」
嫌だなぁ…子供にこんななんてことの無いただ残酷なだけの現実を教えなきゃいけないなんて…かっこよく理想を語って上げたいけど…それは私にはできないんだ…ごめんね
「分からないよ、なんにも分からない…おばあちゃんは言ってたよ?やろうと思えば大概何とかなるって」
なんだそれ…大雑把でアバウトで、だいぶ脳筋なおばあちゃんだよね…はぁ〜嫌だなぁ…
こんな子供に元気づけられちゃうなんてさ
「そうだね…うん、何とかなるかもね」
そう笑って返事をする、そんなことないってことは自分が1番理解してるのにこの子を安心させたいから嘘を付く、この子の前で嘘をつくのは久しぶりだなぁ…
「僕も手伝う、お姉さんができるようになるまで…僕ずっと付き合うよ」
だから…そういうことは将来好きな子に言ってあげな?私なんかに言っても仕方ないじゃん…本当にせんせみたいな女たらしになっちゃわないか私心配だよ
「ありがとね、そんな君にこれをあげよう」
「なにこれ?」
そう言って渡したキーホルダーせんせに渡したのとはちょっと違う別のタイプのデザインで、大変私が気に入っていたアイのグッズ
それを物珍しそうに眺めてるのがちょっと面白くて笑っちゃった
まったく…これを渡すなんて私はとっても太っ腹だよ?感謝しなさい
「ありがと、大事にするね…お姉さんは太ったね!」
「太っ腹ね!」
頬っぺたを引っ張って訂正する、
なんだかんだこの日常に対して愛着が沸いちゃったみたいだなぁ…
元旦も過ぎてあのお子様は一旦帰ってきて、またしばらくしたらここにきて
「初詣でお姉さんが治りますようにって祈って来たよ!!」
「ありがと、でもそういうのって言っちゃったら叶わないらしいよ?」
「えぇ!?」
「ぷっっ…うそうそ冗談…ありがとうね?」
そんな本気で驚かないでよ…お腹よじれちゃうから
「大丈夫!また僕が前みたいに付きっきりで付き合うよ!!できるまで!!」
「あはは…」
苦笑いがこぼれてしまう…はぁ〜この子は、どこまで行っても真っ直ぐで曲がらなくて、
少しぐらいは休ませてよね?
でも私がそれから立って散歩することは無かった
立ち上がれないほど目眩が強くなって、
寝ている間も頭が回り、そんな状態ではベットから起き上がることしか出来ない、それでもあの子は私の病室に来て私を励ましてくれた
せんせが来てくれるのが一番嬉しいけど毎日来れるわけでも、そんなに長時間居れる訳でもないからこの子が来てくれたのが不覚にも頼もしいと感じてしまった
でも…時計の針は常に進んでて、それが戻ることなんてありえない
「せんせ…私の事…忘れないで…?」
「あぁ…忘れてやるもんか…絶対に…」
「君も…」
いや…それはダメだろう、はぁ〜仕方ないなぁ…そんな顔で見ないでよ、ごめんって、でもさぁ?私にしては頑張った方だと思うんだよ?
ああやってまた歩いて外を見て、辛かったしこのクソガキ許さんって思ったことも何度もあるけどさ…
でも…
「ありがとう秋…将来可愛い彼女捕まえるんだよ?」
「うん…うん…わかった…さりなお姉さん…」
そう言い終わると、どちらかともなく笑ってしまう。1年ほど一緒に居たのにお互いの名前を始めて呼んだのが今なんて。 私たちの関係は本当に変わっているなぁって
まぁ、贔屓目に見ても楽しい人生だったって言うことはできないけどさ?
私は
アイを推して、せんせに恋をして、
そして君という友達ができた…
もしこんな酷い人生をくれた神が見てるならこういってやりたいなぁ…
案外私も捨てたもんじゃないでしょ?って
なんて…ね…
生まれ変わったら…アイドルに…なり…たい…なぁ…