俺の学校の天使様を堕天させた結果。   作:たかたけ

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たたたたたたった。


心因性失声症は女性がかかりやすい 5

 

「……」

「……」

 

 俺は真昼が住んでいるマンションのエレベーターに乗っていた。そこに会話はなくただ少しの緊迫感と緊張感がある。それら全ては真昼から流れ出しておりもはやトラウマに近い何かと言った方がいいだろう。

 

「……!」

「……」

 

 真昼が住んでいるであろう階へと着くと真昼はびくりと肩を揺らした。真昼の顔を伺うと少し呼吸が荒く、汗が少し滲み出していた。

 

 俺はキツく握りしめている真昼の手のひらを開いて、その開いた手を真昼の手を包み込むように繋ぐ。

 

「真昼」

「……」

「俺はお前が何に怯えてるのかも知らないし、ましてやそれを解決できる人間でもない」

「……(コクリ)」

「─だが、支えることくらいはできる」

「…!」

「女は男を振り回してるくらいがちょうど良いんだよ。存分に俺を利用しておけ」

 

 俺は真昼のことを何も知らない。だから何に怯えてるのかもわからないましてやそれを解決するなんて傲慢なことも言えない。だから俺は真昼に主張する『俺は都合の良い男』だってな。…ちょっとダサいか。

 

 俺は頭を手を繋いでる反対側の手でガシガシとかいて俺の中でできた気まずさをかき消す。

 

「……!」

「…ああ」

 

 真昼は繋いでいる手をギュッと強く握る。もっと強く握って欲しいのだろう。俺は真昼の手をさらに強く握る…俺はここにいると主張するように、何があっても離してやらないというように。

 

 

 その後真昼の部屋にお邪魔して、ある程度の荷物を纏めてもらい家を出た。真昼は俺と手を繋いでいる間なら特に恐怖などはないらしくすんなりとマンションを出ることができた。俺たちは乗ってきたタクシーに乗り込んで耳鼻咽喉科へと向かった。

 

 耳鼻科を受診した真昼の診断結果は特に異常なしとのことだった。一応言っておくが耳鼻科は声帯や口腔内を検査して、器質的な異常を確認するだけなので精神的、心理的な原因の症状は専門外だ。まあそれは予測はできていたので精神科への推薦状を書いてもらいそこを後にした。

 精神科がある病院へ行く途中、タクシーの外を眺める真昼の表情が妙に印象的だった。

 

 

「……(ぺこり)」

 

 真昼は綺麗なお辞儀をして診察してから出てくる。俺は真昼に座って待っておくように伝えて入れ替わるように診察相手に入った。

 

「…椎名さんの保護者の方ですか?」

「あ?………まあ今はそんな感じです」

 

 俺がそういうと白衣を着た妙齢の女性は空いている椅子へ座るように催促された。

 

「まあ、単刀直入にいうと椎名さんは『心因性失声症』ですね。主に思春期から30代くらいの女性に発症しやすい病です」

「…治るんですか?」

「はい、治りますよ。大体1週間から数ヶ月くらいのカウンセリングなどで治ります」

「…そうですか」

 

 とりあえずは安心だ。

 

「… この病は精神的なショックを受けたり、ストレス過多な生活が続いていたりすることで起こすのがほとんどです。貴方…」

「ちげえよ」

「…そうですか。それはすいません」

 

 思わず突っ込む。まあそういう見た目だからしょうがないが…、

 

「ただ、早く治すなら環境の調整や周りのサポートなどが必要になります」

「…うっす」

「じゃあ内服薬出しておくので、記載通りに飲んでもらってください」

「ありがとうございました」

 

 俺がお礼を言って診察室から出ると正面の長椅子に座っていた真昼がこちらに近寄ってきた。『環境の調整や周りのサポートなどが必要』…か。

 

「真昼」

「…?(コテン)」

「今日から俺ン家に住め」

「……?……!?」

「お前の家はお前の落ち着ける場所じゃねえ。ああ、部屋は別だ」

「…(ホッ)」

「(明らかホッとしやがったなコイツ)…たくっ」

 

 彼女が落ち着ける環境とはなんだろうか?楽しいこと?穏やかなこと?心が満たされること?…ダメだな俺だけで考えても堂々巡りになるだけだ。

 

「とりあえず、座るか」

「……(コクン)」

 

 俺と真昼は診察室から離れた長椅子に座った。

 

 話すことはない。俺にはただそばにいることしかできない…だがそれが真昼の助けになるのかもわからないしもしかしたら友人のそばにいた方が彼女の助けになるのかもしれない。

 

 俺にできるのは真昼の帰る場所を作ることぐらいだ。

 

「椎名さーん」

「あー、はい」

 

 俺は真昼の変わりに返事をした。

 受付に向かい受付の人から処方箋を貰う。これを薬局に提出して薬を貰えばもう病院の用事は終わりだ。

 

「真昼、帰ろう」

「……(コクリ)」

 

 真昼は少し笑いながら頷いた。

 

 

 家に帰ってきた俺たちは先日出すのを忘れていたゴミ袋を避けながらリビングへ向かう。さらには脱いだまま洗濯し忘れた服などもそこらじゅうに転がっており最悪の状況だ。

 

 そしてその最悪な状況によって事態は招かれた。

 

 ゴミ袋を避けようとした真昼は床に落ちているビニール袋に足を取られた。俺は咄嗟に真昼の手を引っ張ってコチラへ引き寄せる。俺の手によって引っ張られた真昼は俺の腕の中にすっぽりと埋まる。

 

「大丈夫か?」

「……(ジト)」

「…悪かったよ。だが、掃除だけは苦手なんだ」

 

 俺が真昼にそういうと彼女は懐からスマホを取り出して、慣れたようなフリック操作でスマホに文字を打ち出した。

 

「…『私が手伝います』」

「…それはありがたいが」

「…『それにこんなゴミ屋敷で生活なんて出来ません』」

「…ごもっとも」

 

 そこで俺はふと気づいて辺りを見回す。あたりは一面ゴミやら本やらいろんな物で溢れていた。

 

「…今からか?」

「…………『明日からにしましょう…』」

 

 真昼も辺りを見まわしたが、今日中に片付けることができるとは到底思えなかったのだろう。俺もそれには完全に同意だ。まあこの惨状にしたのは俺なんだが。

 

「そういや…飯はどうするか…」

「…『私が作ります。泊めて貰うんですからこれくらいしないと私の気は収まらないので』」

「マジか…」

「…?」

「あー、前の時は出来立て食えなかったからな…。楽しみだ」

 

 俺がそういうと真昼は突然俺から視線を外した。俺はその行動に違和感を感じて口を開いた。

 

「真昼、どうしたんだ」

「……?」

 

 聞いたのは良いが聞かれた本人はなんのことかわかっていないようで首を傾げている。たまたまか…?

 

「まあ良いか。とりあえず手伝うぞ」

「………」

「なんだその顔は…まあ、確かに手の込んだ料理は出来ねえが下処理くらいはできるぞ」

 

 手伝うと言った瞬間何か疑うような表情になった真昼に俺はそう言った。

 

 その後俺と真昼は同じキッチンに入ったものの現状喋ることができない真昼とのコミュニケーションと料理の同時進行は難しく結局真昼に全てまかすということになった。

 

 夕食に出された卵焼きはふわふわでとても美味しかった。前会った時の心残りが取れたことで少し気分がいい。

 

 

 

 

 

 

…しばらくセックスはお預けだということは少し気残りだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あたー

天使様8.5巻楽しみですか? 9/14発売予定。

  • 楽しみ!!!
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  • そんなに…
  • 9巻の方が見たかった!
  • そもそも単行本持ってない…
  • 表紙の真昼可愛すぎだろ!
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