情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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98話

 

「お、おい、何だったんだ今の、」

「分からねえ、敗者復活戦? だが、」

「それに、あの声、まさかっ、」

「いや、それ以上にこれはもしかして、まだ俺にも機会がっ、」

 

 会場が、何も知らない観客達が騒がしい。

 ・・・・・・不味いわね、本当、何やらかしてくれたのよ。

 というか、何をやらかすつもりなのよ、

 

「ねえ、あなたは何か知らないでしょうね・・・・・・って、あらぁ?」

 

 いない? やば、見失った?

 あたりを見渡して、人混みだらけ、流されたわけじゃないでしょうね??

 というか、やけに人がこっちに来てるような、

 

「な、なああんた、運営の人だろ、どういう事だ?」

「そうだっ、確か実況だか何だかやってたねーちゃんだろ!? なにが始まるんだ?!」

「さっきの、エウスさんの声だよなっ、一体どうなってるんだ、、」

「それより、確かお前、とーなめんとで、」

 

 あららー、めっちゃ人が押し寄せてくるわぁ?!

 しまったわねぇ、こんなことなら実況席の近くになんて来るんじゃなかったわ。

 というかもっと一般の人が入れない位置に置いときなさいよ、こんな急増みたいな施

設!

 

「お、おい! なんとか「そうだ、決勝は、賭けの結果は「おい、押すなよ、「敗者復活、つまり、「うわっ、何だお前、「まだ、あの子の為に優勝して!「うるせえ! そんな事されたら優勝予想が、オレの金が、「それ以前に大会運営としてこれはどうなん、」

 

 あっ、ちょっと、触らないでよむさくるしいわね、って武器まで持ってるしもう、危ないし面倒だし臭いしうるさいし私の責任問題になりそうだし!

 

 

「あーもう、うるっさいわね!! 『執光‼︎』」

 

 

 光が貫き、バタバタと男達が失神していく。

 ま、こうしときゃ怪我もしないし安全でしょう。

 ふぅ、静かになったわね・・・・・・、

 

「え、おい、「うわ、マジが、「あいつ、前の試合で敗退した、「全員参加って、そういう、「ひいっ!?」

 

 あ、まだまだ人来てたのね、

 はぁ、もういっそ全員倒してった方が楽かしらー・・・・・・、

 

「・・・・・・えっ、あれ、なんだ?」

 

「はあ? なにかしら、私の顔に、何か付いて、」

 

「・・・・・・数字? それにあの外観は、」

 

 あらぁ?

 どこ見て、私の頭上?

 なにかしら、あら小さな王冠、どこかの誰かさんのと似た形状ねぇ、

 

 光って目立つのだけど、あと何か書かれて、数字?

 んーー、邪魔な観客達を倒したら付いて、周りに見えるよう派手に浮かんで・・・・・・、

 

「あ、やった人数かしら?」

 

「え?「おい今、やったって「うそ、だろ、「数、王冠、新たなとーなめんと、」

 

 いちにー、多分あってるわね。

 なるほど、これが高い人が決勝に参加、いえそれともいっそ優勝かしら?

 ふむふむ、うわぁ、無駄に無駄が多い魔術ねえ、読みづらくってうんざりするわぁ、

 

「えっとー、それにこれ、もしかしてぇ、」

 

「おい。これ、もしかして、他の人倒したら奪えるんじゃないか?」

 

「あら、そうねぇ。よく読めたわねぇ・・・・・・、って」

 

 あ。

 ちょっと? なに声高々に言っちゃってるのかしら。

 え、仕込み?? そんな事したら、

 

「つまり、あのねーちゃんを倒せばおれらも決勝に「ちょっと、冗談じゃないぞ、俺は普通に見てるだけで「運営が宣言した、つまりは真実「だが相手は確か上位戦にも出て「『赤き砲塔、血に染まる大「それとも、他の雑魚を多く狩ったほうが「まて、その前に協力して先に、「うわー、やってられるか、俺は部屋に帰らせても「いくぞーっ!「オラーーー!!」

 

 あ〜〜ーーーっ・・・・・・、

 最悪よ。本当にこれ、文句の一つじゃ済まないわよ??

 

 幸いにも、この辺はまだ結界の範囲内、押し合いになっても重傷は負わないでしょう。

 とりあえず、少なくとも建物内なら問題ないけれど、その外は、

 

 本当に、この国滅ぼす気かしら、エウスミシェルネイ!

 

 

 

 

 

「・・・・・・で、なにしてんのー?」

「おや、お早い到着ですね、セイントレディ、」

 

 騒ぎになる前に、さっさと潜って裏側へ、

 魔術の痕跡から場所はわかってた、というかいつもと変わんない隠れ場所だね、

 気に入ってるのかな、エ〜ウスちゃーん?

 

「いえいえ、ボクもすぐに表で踊ろう。そう思っていたところですよ?」

「・・・・・・こんな騒ぎ起こして、どうするつもりー?」

「おや、見ればわかるでしょう?」

 

 外、もう暴動が起きてるのかな。

 あんな煽り方したら、いやそれだけじゃ起きない、

 魔術、咄嗟に周囲のは防いだけど、あれだけでもないねー。

 この会場、町、国中に、今も大規模な魔法が張り巡らされている。

 

「楽しむ為ですよ。誰だって、アナタだって、騒ぐなら、楽しい方がいいでしょう?」

「・・・・・・そう。みんなが騒いで、それがあなたは、嬉しいの?」

「ええ? まあ、そうですよ?? みなさまの歓声こそが、ボクの存在理由です、」

 

 ・・・・・・話にならないねー、まーそんな人だとは知ってたけど。

 別にいいよ、そんなことより、

 

「メート達の決勝戦、どうするつもりなのー?」

「ああ、それは送ったとおりですよ? 計画に変更はありません、」

「・・・・・・こんな状況にして、ほんとーにそのまま元に戻せる気〜?」

「いえいえ、だから、最初から変わっていませんって、」

 

 最初から、メート達の決勝戦、わたしたちの計画。

 

 

「最も周囲を魅せつけた相応しいものを、勇者にして、新たな劇を世界に広げる。ええ、素晴らしい台本ですよね、」

 

 

 優勝者を勇者として祭り上げる、

 

 

「だから、ジャックナイト? というか何で勝手にメートのゆーしゃ様に、あだ名つけたの〜?」

「おや、気に入らなかったかい? キミだけの騎士に、ピッタリな名前だと思ったのに、」

「まあべつに、優勝したら名前必要だけどさー」

 

 

 メートのゆーしゃ様を優勝させて、周りのみんなにも真の勇者だって知ってもらう。

 

 

 その為に、裏から人を誘ったり説得したり、いろいろ手伝ったのに、

 

「・・・・・・ここに来て、本当に、なに考えてるのー? まさか勇者様に負けたこと、まだ認めてないの〜?」

「あはは、あれは確かに完敗だったね。トーナメントの場じゃ、あれ以上に魅せることはできなかったよ、」

「だったらなんで、普通に決勝戦して、」

「・・・・・・あ〜〜、いや実は、その件なんだけどねぇ」

 

 申し訳なさそうな、顔と、声と、中身。

 確かに今その時は、そう思っているのだろう。わたしにはわかってしまう。

 芝居的で、隠す気のない、

 

「ちょっと決勝の、キミのナイト様と相見えるはずだった子が、そのー、。調子悪くなってしまったようで」

「・・・・・・それって確か、ずっと顔隠してた、」

「いやー、ボクのせい、かなぁ? うん、本当に悪いことをした、あれは全くの予想外だった。いったいどうしたんだろうねぇ、」

 

 白々しい。

 いや、本当にそう思ってはいるはずなのに、ここまでメートですら信じられない相手も中々いない。

 その場その場で、確かに本心。でも、その本質は、

 

「・・・・・・それで、あんなみんな巻き込んで大騒ぎにしたのー? 普通に、代役立てたりできなかったの?」

「はははっ、それも考えたけれど、それじゃあつまらないだろう? それに、ちょうど良かったからねえ」

 

 常に移り気、中身なんてない。

 その日、その時、その状態。誰が何がどうあるかで、自分の心ごと書き換え続ける。

 

「・・・・・・・・・・・・そう。じゃあその後で、勇者様のこと、ちゃんと決勝させてくれるんだよね?」

「それは、どうだろうね?」

「・・・・・・約束と違うよー?」

「あはは、だから何度も言ってるだろう? 舞台で最も輝けるものこそが、物語の主役に相応しい。ここからどうなるかは、展開しだいさ♪」

 

 まるで、台本に支配された、舞台人形のように。

 

「・・・・・・それに、あれ、勝手に、」

「・・・・・・ん? 何のことだい?」

「・・・・・・・・・・・・はぁ〜。やっぱり初めから、メート達だけでやってた方が良かったかなー?」

「おや、それは寂しいねぇ。ボクはまだ、キミたちと踊り足りないのに、」

「じゃあ、最後まで遊んであげるよー。助けて、」

 

 メートだけの、わたしだけの、勇者様——、

 

「ありゃ、それでいいのかい? せっかくの舞台なんだ、こんな人のいないところじゃなくて、もっとみんなに観てもらおうよ、」

「——もう一回負けたくせに。みんなも、あきちゃうよーだ、」

「ふふふ、それもそうだね。なら、ボクももっと、盛り上げていこう、」

 

       『想/『拒絶』

 

「んー、なにしー、っっ、、」

「おや、これは、」

 

 悲鳴、怒号、——嬌声、遠い、

 痛みも、苦しみも、快楽も、全部全部、気持ち悪い。

 

 わたしは、一人の少女は、その果てに、

 

「『拒絶!』」

「おやおや、そう隠さずに。過去回想は、観客に主演のアピールとして有効ですよ?」

 

 なんだ、これ、

 暗い、汚い、気持ち悪い、

 わたしの、そこ、

 

 記憶を呼び覚ます魔法? いやそれだけじゃない、もっと複雑で無駄の多い、何か大規模なっ、

 

 視線が刺さる、汚らしい、気持ちの悪い目、

 観客の、みんなみんな死ね、なんだここ、違う誰もいないはずなのに!

 

「『拒絶』、なんでこれ、消えない!」

「ふむ、いえ確かに消されてはいますよ? 素晴らしい腕ですね。惜しむるべきは、観客に見て伝わりづらいというところでしょうか、」

 

 見るな見るな見るなわたしを見るなっ、

 

 ————っ、落ち着いて、これはただの記憶。

 

 深呼吸、大丈夫、もう全て終わったこと、

 

 まったくもー、なんて性格悪い魔法だよ〜。それとも、メートが悪いのかなー?

 

「ふぅ、いきなり、ひどいよー?」

「おや失礼、まだ前奏のつもりでしたが、また失敗してしまいましたかね?」

「うん。そんなにメートのことを見たいなら、見せたあげるもん!」

 

 手に取る、腰にぶら下げた、

 

「ハートの? いえさしずめ、ハーレスウィップと言ったところでしょうか」

「えへへ、いいでしょ〜。新調したんだー〜」

「ええ、お似合いですよ、レディ、」

 

 鞭、というよりもはや、柔らかい剣みたいな先端の細い道具。

 

「知ってるー? 鞭って、先が細い方が痛いらしいよ〜??」

「ええ、よく存じておりますとも。力学的にも——、」

「てーい!」

 

 鋭く、風の切る音、

 エウスは腰につけた剣を滑らかに構えて、

 あはは、わかってるよ〜。

 

 ————ビシャッ、

 

「ど〜う?」

「素晴ら、しい!!」

 

 メートの鞭が、綺麗な肌を抉って、

 

 そして止まらずに、大きく振られた劇場の剣は。

 

「っ、おっと、」

「おや、これくらい、ですか、」

「えへへ、まだ慣れてないんだ〜、」

 

 わかっていたけど、本当に怯まず振りかぶってくるんだね。

 でも事前にわかっていれば、簡単に避けられるよ。

 大袈裟な横振りだったから距離を取る、メートの鞭が届かないくらいに、

 

 あれ、ちょっと離れすぎた? でも短い鞭だから、しょうがない、かな?

 長いのは、使われたことないからわかんなかったんだよね、

 それに、あの剣、思ったよりも大きい?

 

「では、お次はボクがミセる番ですね、」

「『えへへ、何してくれるのかな〜?』」

「ええ。アナタばかりでは、不義理ですから」

 

 エウスはいつも通りお芝居的に腕を振り上げ、右手の人差し指と親指をピーんと伸ばして、?

 魔法? また同じの、もうとっくに拒絶は済ませている。

 もうそれは聞かないもーん、自分の周りをしっかりと妨害のための魔力で掌握して、魔法にすらする必要のない単純なわたしだけの空間。

 

 あの子はいつも通り、どれだけ劇的に演じられるしか考えてない、

 何する気かなんて、その日の天気次第。

 

 だからこそ、楽しそうだから、一緒に遊んでみたのになー、

 残念。

 

 

「それでは、」

 

 

        『想起』

 

 

 

 

 

 

 

         『構想』

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