「お、おい、何だったんだ今の、」
「分からねえ、敗者復活戦? だが、」
「それに、あの声、まさかっ、」
「いや、それ以上にこれはもしかして、まだ俺にも機会がっ、」
会場が、何も知らない観客達が騒がしい。
・・・・・・不味いわね、本当、何やらかしてくれたのよ。
というか、何をやらかすつもりなのよ、
「ねえ、あなたは何か知らないでしょうね・・・・・・って、あらぁ?」
いない? やば、見失った?
あたりを見渡して、人混みだらけ、流されたわけじゃないでしょうね??
というか、やけに人がこっちに来てるような、
「な、なああんた、運営の人だろ、どういう事だ?」
「そうだっ、確か実況だか何だかやってたねーちゃんだろ!? なにが始まるんだ?!」
「さっきの、エウスさんの声だよなっ、一体どうなってるんだ、、」
「それより、確かお前、とーなめんとで、」
あららー、めっちゃ人が押し寄せてくるわぁ?!
しまったわねぇ、こんなことなら実況席の近くになんて来るんじゃなかったわ。
というかもっと一般の人が入れない位置に置いときなさいよ、こんな急増みたいな施
設!
「お、おい! なんとか「そうだ、決勝は、賭けの結果は「おい、押すなよ、「敗者復活、つまり、「うわっ、何だお前、「まだ、あの子の為に優勝して!「うるせえ! そんな事されたら優勝予想が、オレの金が、「それ以前に大会運営としてこれはどうなん、」
あっ、ちょっと、触らないでよむさくるしいわね、って武器まで持ってるしもう、危ないし面倒だし臭いしうるさいし私の責任問題になりそうだし!
「あーもう、うるっさいわね!! 『執光‼︎』」
光が貫き、バタバタと男達が失神していく。
ま、こうしときゃ怪我もしないし安全でしょう。
ふぅ、静かになったわね・・・・・・、
「え、おい、「うわ、マジが、「あいつ、前の試合で敗退した、「全員参加って、そういう、「ひいっ!?」
あ、まだまだ人来てたのね、
はぁ、もういっそ全員倒してった方が楽かしらー・・・・・・、
「・・・・・・えっ、あれ、なんだ?」
「はあ? なにかしら、私の顔に、何か付いて、」
「・・・・・・数字? それにあの外観は、」
あらぁ?
どこ見て、私の頭上?
なにかしら、あら小さな王冠、どこかの誰かさんのと似た形状ねぇ、
光って目立つのだけど、あと何か書かれて、数字?
んーー、邪魔な観客達を倒したら付いて、周りに見えるよう派手に浮かんで・・・・・・、
「あ、やった人数かしら?」
「え?「おい今、やったって「うそ、だろ、「数、王冠、新たなとーなめんと、」
いちにー、多分あってるわね。
なるほど、これが高い人が決勝に参加、いえそれともいっそ優勝かしら?
ふむふむ、うわぁ、無駄に無駄が多い魔術ねえ、読みづらくってうんざりするわぁ、
「えっとー、それにこれ、もしかしてぇ、」
「おい。これ、もしかして、他の人倒したら奪えるんじゃないか?」
「あら、そうねぇ。よく読めたわねぇ・・・・・・、って」
あ。
ちょっと? なに声高々に言っちゃってるのかしら。
え、仕込み?? そんな事したら、
「つまり、あのねーちゃんを倒せばおれらも決勝に「ちょっと、冗談じゃないぞ、俺は普通に見てるだけで「運営が宣言した、つまりは真実「だが相手は確か上位戦にも出て「『赤き砲塔、血に染まる大「それとも、他の雑魚を多く狩ったほうが「まて、その前に協力して先に、「うわー、やってられるか、俺は部屋に帰らせても「いくぞーっ!「オラーーー!!」
あ〜〜ーーーっ・・・・・・、
最悪よ。本当にこれ、文句の一つじゃ済まないわよ??
幸いにも、この辺はまだ結界の範囲内、押し合いになっても重傷は負わないでしょう。
とりあえず、少なくとも建物内なら問題ないけれど、その外は、
本当に、この国滅ぼす気かしら、エウスミシェルネイ!
「・・・・・・で、なにしてんのー?」
「おや、お早い到着ですね、セイントレディ、」
騒ぎになる前に、さっさと潜って裏側へ、
魔術の痕跡から場所はわかってた、というかいつもと変わんない隠れ場所だね、
気に入ってるのかな、エ〜ウスちゃーん?
「いえいえ、ボクもすぐに表で踊ろう。そう思っていたところですよ?」
「・・・・・・こんな騒ぎ起こして、どうするつもりー?」
「おや、見ればわかるでしょう?」
外、もう暴動が起きてるのかな。
あんな煽り方したら、いやそれだけじゃ起きない、
魔術、咄嗟に周囲のは防いだけど、あれだけでもないねー。
この会場、町、国中に、今も大規模な魔法が張り巡らされている。
「楽しむ為ですよ。誰だって、アナタだって、騒ぐなら、楽しい方がいいでしょう?」
「・・・・・・そう。みんなが騒いで、それがあなたは、嬉しいの?」
「ええ? まあ、そうですよ?? みなさまの歓声こそが、ボクの存在理由です、」
・・・・・・話にならないねー、まーそんな人だとは知ってたけど。
別にいいよ、そんなことより、
「メート達の決勝戦、どうするつもりなのー?」
「ああ、それは送ったとおりですよ? 計画に変更はありません、」
「・・・・・・こんな状況にして、ほんとーにそのまま元に戻せる気〜?」
「いえいえ、だから、最初から変わっていませんって、」
最初から、メート達の決勝戦、わたしたちの計画。
「最も周囲を魅せつけた相応しいものを、勇者にして、新たな劇を世界に広げる。ええ、素晴らしい台本ですよね、」
優勝者を勇者として祭り上げる、
「だから、ジャックナイト? というか何で勝手にメートのゆーしゃ様に、あだ名つけたの〜?」
「おや、気に入らなかったかい? キミだけの騎士に、ピッタリな名前だと思ったのに、」
「まあべつに、優勝したら名前必要だけどさー」
メートのゆーしゃ様を優勝させて、周りのみんなにも真の勇者だって知ってもらう。
その為に、裏から人を誘ったり説得したり、いろいろ手伝ったのに、
「・・・・・・ここに来て、本当に、なに考えてるのー? まさか勇者様に負けたこと、まだ認めてないの〜?」
「あはは、あれは確かに完敗だったね。トーナメントの場じゃ、あれ以上に魅せることはできなかったよ、」
「だったらなんで、普通に決勝戦して、」
「・・・・・・あ〜〜、いや実は、その件なんだけどねぇ」
申し訳なさそうな、顔と、声と、中身。
確かに今その時は、そう思っているのだろう。わたしにはわかってしまう。
芝居的で、隠す気のない、
「ちょっと決勝の、キミのナイト様と相見えるはずだった子が、そのー、。調子悪くなってしまったようで」
「・・・・・・それって確か、ずっと顔隠してた、」
「いやー、ボクのせい、かなぁ? うん、本当に悪いことをした、あれは全くの予想外だった。いったいどうしたんだろうねぇ、」
白々しい。
いや、本当にそう思ってはいるはずなのに、ここまでメートですら信じられない相手も中々いない。
その場その場で、確かに本心。でも、その本質は、
「・・・・・・それで、あんなみんな巻き込んで大騒ぎにしたのー? 普通に、代役立てたりできなかったの?」
「はははっ、それも考えたけれど、それじゃあつまらないだろう? それに、ちょうど良かったからねえ」
常に移り気、中身なんてない。
その日、その時、その状態。誰が何がどうあるかで、自分の心ごと書き換え続ける。
「・・・・・・・・・・・・そう。じゃあその後で、勇者様のこと、ちゃんと決勝させてくれるんだよね?」
「それは、どうだろうね?」
「・・・・・・約束と違うよー?」
「あはは、だから何度も言ってるだろう? 舞台で最も輝けるものこそが、物語の主役に相応しい。ここからどうなるかは、展開しだいさ♪」
まるで、台本に支配された、舞台人形のように。
「・・・・・・それに、あれ、勝手に、」
「・・・・・・ん? 何のことだい?」
「・・・・・・・・・・・・はぁ〜。やっぱり初めから、メート達だけでやってた方が良かったかなー?」
「おや、それは寂しいねぇ。ボクはまだ、キミたちと踊り足りないのに、」
「じゃあ、最後まで遊んであげるよー。助けて、」
メートだけの、わたしだけの、勇者様——、
「ありゃ、それでいいのかい? せっかくの舞台なんだ、こんな人のいないところじゃなくて、もっとみんなに観てもらおうよ、」
「——もう一回負けたくせに。みんなも、あきちゃうよーだ、」
「ふふふ、それもそうだね。なら、ボクももっと、盛り上げていこう、」
『想/『拒絶』
「んー、なにしー、っっ、、」
「おや、これは、」
悲鳴、怒号、——嬌声、遠い、
痛みも、苦しみも、快楽も、全部全部、気持ち悪い。
わたしは、一人の少女は、その果てに、
「『拒絶!』」
「おやおや、そう隠さずに。過去回想は、観客に主演のアピールとして有効ですよ?」
なんだ、これ、
暗い、汚い、気持ち悪い、
わたしの、そこ、
記憶を呼び覚ます魔法? いやそれだけじゃない、もっと複雑で無駄の多い、何か大規模なっ、
視線が刺さる、汚らしい、気持ちの悪い目、
観客の、みんなみんな死ね、なんだここ、違う誰もいないはずなのに!
「『拒絶』、なんでこれ、消えない!」
「ふむ、いえ確かに消されてはいますよ? 素晴らしい腕ですね。惜しむるべきは、観客に見て伝わりづらいというところでしょうか、」
見るな見るな見るなわたしを見るなっ、
————っ、落ち着いて、これはただの記憶。
深呼吸、大丈夫、もう全て終わったこと、
まったくもー、なんて性格悪い魔法だよ〜。それとも、メートが悪いのかなー?
「ふぅ、いきなり、ひどいよー?」
「おや失礼、まだ前奏のつもりでしたが、また失敗してしまいましたかね?」
「うん。そんなにメートのことを見たいなら、見せたあげるもん!」
手に取る、腰にぶら下げた、
「ハートの? いえさしずめ、ハーレスウィップと言ったところでしょうか」
「えへへ、いいでしょ〜。新調したんだー〜」
「ええ、お似合いですよ、レディ、」
鞭、というよりもはや、柔らかい剣みたいな先端の細い道具。
「知ってるー? 鞭って、先が細い方が痛いらしいよ〜??」
「ええ、よく存じておりますとも。力学的にも——、」
「てーい!」
鋭く、風の切る音、
エウスは腰につけた剣を滑らかに構えて、
あはは、わかってるよ〜。
————ビシャッ、
「ど〜う?」
「素晴ら、しい!!」
メートの鞭が、綺麗な肌を抉って、
そして止まらずに、大きく振られた劇場の剣は。
「っ、おっと、」
「おや、これくらい、ですか、」
「えへへ、まだ慣れてないんだ〜、」
わかっていたけど、本当に怯まず振りかぶってくるんだね。
でも事前にわかっていれば、簡単に避けられるよ。
大袈裟な横振りだったから距離を取る、メートの鞭が届かないくらいに、
あれ、ちょっと離れすぎた? でも短い鞭だから、しょうがない、かな?
長いのは、使われたことないからわかんなかったんだよね、
それに、あの剣、思ったよりも大きい?
「では、お次はボクがミセる番ですね、」
「『えへへ、何してくれるのかな〜?』」
「ええ。アナタばかりでは、不義理ですから」
エウスはいつも通りお芝居的に腕を振り上げ、右手の人差し指と親指をピーんと伸ばして、?
魔法? また同じの、もうとっくに拒絶は済ませている。
もうそれは聞かないもーん、自分の周りをしっかりと妨害のための魔力で掌握して、魔法にすらする必要のない単純なわたしだけの空間。
あの子はいつも通り、どれだけ劇的に演じられるしか考えてない、
何する気かなんて、その日の天気次第。
だからこそ、楽しそうだから、一緒に遊んでみたのになー、
残念。
「それでは、」
『想起』
『構想』