情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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102話

 

 何だこれ、町が、人が、騒がしい。

 どうなってやがるんだこれ、ちっ、せっかく来たっていうのに、

 

「・・・・・・ふぅ、いないわねぇっと。とりあえず、外まで結界広げてみたけれど、どうすればいいのかしら、」

 

 何か独り言呟きながら町中を走っている女。

 何だあれ、頭上に趣味の悪い王冠浮かせて、また変な奴か?

 うわぁ、関わり合いになりたくねえ、しかし何か知ってそうではあるしな。

 

「・・・・・・あー、なあ、そこの、」

「むっ、まだ何も知らない観客がいたかしら。あーもう面倒だし、全員やっちゃった方が早いかしらぁ?」

「はぁ? お前、なに言って、」

 

 うげえ、やっぱヤベェ女だったか、

 その手に持った大きな杖を構えて、って、本気でやるつもりか!?

 くそっ、誰に向かって、

 

「・・・・・・って、あらら? もしかして、あなた、」

「あん?」

「はーー、なるほど、そういうことかしら?」

 

 と思ったら、なんか勝手に自己解決してこっち見て、

 何だこいつ、面倒な事にはならなかったが、これはこれでムカつくな。

 

「ふふふ、いいわ。今は、見逃してあげる、」

「・・・・・・・・・・・・、」

「でも覚えておくことね! あなたは私の敵よ!! いつか雌雄を決する時まで、文字通りね、覚悟しておきなさい!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー、おう、そうだなー、」

 

 ぶん殴りてえ、

 だがこの旅で学んだことだが、女の面倒くせえ戯言は流すに限る。一々相手にしてたらキリがねえ。

 なんというかまあ、お淑やかな、いっそ無口ぐらいが、、って、なに考えてるんだ。

 そんなんじゃねえ、求めるのはもっとこう、煌びやかな一国のお姫様みたいな、

 

「それじゃ、せいぜい首を洗って待ってなさい!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おー、」

 

 そして、残念な女が去っていく。

 ・・・・・・何というか、外見は悪くねえのに、中身が本当に残念としか言いようがないな。

 服装的にも、ありゃどっかのお貴族様か? 貴族ってのは、みんなああなん、

 

 いや、きっと本物の女王様くらいになれば、中身も完璧な釣り合う女がいるはず。中途半端なポンコツ貴族じゃなくて。

 それとも例えば、稀代の天才魔術師とかなら、賢くてまともで、我儘も言わず手もかからない、。いや、女に相応しいはず。

 それかいっそ、どっかの国にいる聖女様とかいうやつ。さぞ静かな、いやそうじゃなくこう良い意味で、高貴な性格してるんだろうなぁ。胸だけでかい腹黒とかでもなく、、

 

「・・・・・・ふぅ、しかし何だこれは。わざわざ無理をして来たのに、話と違うではないか、」

「全くよ。はぁ、疲れたわねー。にしてもこの町、どうなってんのかしら、」

「だからあんな怪しい話には、・・・・・・あれ? もしかして、今のお方、」

 

 うるせえ。

 だが本当に、どうしてくれようか。

 暴動には巻き込まれるし、面倒くせえ女はいるし、なんてとこに呼びやがったんだエウスとかいう奴。

 この俺様を、こんな目に遭わせやがって。相応の態度が無けりゃ、覚悟しておけよ、

 

「お、おい、あいつ、もしかして「王冠? あんなに光って「へへっ、あれを一杯貯めると、会場から豪華景品が出るらしいぜ「それに、あんなに女を侍らせやがって、許せん!」

 

 あ? ってあ、なんか頭上についてる。

 ・・・・・・めがけて、野郎どもが突っ込んでくるんだが??

 ・・・・・・・・・・・・本当に、覚悟しておけよ、エウス!!?

 

 

 

 

 

「・・・・・・さてと、ようやく会場についたの、」

「戻って来ましたねー、」

 

 何か急に変なこと言い出したこいつを引き回して、ようやく帰って来た元の場所。

 しかし、何人もの人間どもが倒れてて、酷い有様じゃの。

 お祭りもどうなったのやら、まあ我は一番楽しい事したし、もう出番もなかったじゃろうからいいか?

 

「それじゃあレリアさん? を、探しましょうか、」

「うむ、それはいいが・・・・・・、もう普通に動けるのかの?」

「はい。何故か、こっちは普通に行けますね、」

 

 そう言って、会場に入っていくセシィの体。

 ・・・・・・無理にでも、行きたがらない方向に引きずった方が、何かあったかの?

 でもまあ、一先ずレリアと合流する方が優先か。

 

 こうもたくさん人が積まれて、死んではないようじゃが、

 いったい誰がやったのか、レリアのやつも、巻き込まれてないといいが。

 

「あー、えっと。いや、自分はやんない方がいいんでしたっけ、」

「うむ、まあもうそんなこと言ってる暇じゃないかもしれんがの。いっそ声で、さっさと伝えた方が良かったかもしれんか、」

「・・・・・・おー、叫びます?」

「いや、今は目立つ方が、まずいかの、」

 

 にしても、頭のこれ、邪魔じゃ、

 いつもだったら面白い、いやセシィがこの状態じゃ無けりゃ、祭りの一環として楽しめていたのに、

 消し方は、セシィだったらきっとすぐにわかるのに、ああ思考がぐるぐるする。

 こんなことして、こんな事してる場合じゃない、一刻も早くセシィを戻す手がかりを探すべきなのに、

 

「・・・・・・それで、確か、あの辺が、」

「あー。俺が、起きちゃった場所ですよね?」

「うむ。セシィが、急に夢だ何だと言い出して、勝手に行ってしまったところじゃの、」

 

 今思い返しても、腹が立つ。

 

 セシィの、あの子の悩みをなに一つ理解できていなかった、自分自身に、

 

 セシィは、いつから、なんで、あんな、

 全てを受け入れたような、なにも感じない目を、。

 

「・・・・・・夢?」

「それで、我が納得できるわけないのに、」

「んー・・・・・・、ん?」

 

 その結果、出て来たのは、今も横でうんうん唸ってる頼りないこいつじゃ、

 結局、こいつはセシィにとって何なんじゃ。どうでもいい奴だったら、さっさと力で解決するのに、

 

「・・・・・・・・・・・・お??」

「・・・・・・むう、うるさいの。それで、何か手がかりは見つかりそうか、」

「ああ、。いや、誰か、こっち来てる?」

 

 なんだ、足音でもしたかの、聞こえんが。

 ふむふむクンクン。——お? この匂いは・・・・・・、

 

「・・・・・・おや、こんな所におりましたか、レコウ様。それから、えっとー・・・・・・、」

 

 エウス。相変わらず、よくわからんやつ。

 面白いからいいんじゃが、今はちょっと、悪いとは思うが気分じゃない。

 セシィと、一緒じゃないと、

 

「初め、まして?」

「お、おお、初めまして?」

「——おい、」

「あ。ああいや、エウス、だよな、」

「んっ、ああ、うん、」

 

 どこかぎこちない、不安気に? 頭の王冠をゆらゆらと揺らすその、

 ってあ、それ! 我の頭上の、もしかして貴様のせいか!?

 

「・・・・・・・・・・・・おや、レコウ様。随分と、輝いて来たようで、」

「む、やはりか? これ、邪魔なのじゃが、」

「ふむ、他人に目立つようレイアウトには気を使ったつもりですが、プレイヤー目線では確かに少々光量が高すぎましたかね。参考にさせていただきます、」

「いや、よく分からんが、ともかく消してくれんか?」

 

 無理に壊してもいいが、どうなるかわからんしの、

 何かの遊びなのかもしれんが、また今度、セシィがいる時に誘ってくれって、

 ・・・・・・ん? セシィ、こいつ、前にも、

 

「いえ。そういえば、三決、三位を決める対戦をするという話がありましたのですが、」

「じゃ? 三位というとつまり、」

「流れは変わってしまいましたが、そこに戻すのもまた一興、」

「いや、その前にこれ消しては、」

「どうですレコウさん。ちょうどそこの会場も空いていますし。ボクと、一曲踊っては頂けませんか、マドモワゼル、」

「えっと? すまんが、我らは今ちょっと、忙しいのじゃが、」

 

 ・・・・・・こいつ、話を聞かんやつじゃのー、

 今はちょっと、本当にやめてほしい。

 こんな状態で試合なんか、うっかりやってしまっても知らんぞ、

 

「・・・・・・おやおや、それは残念、。——ですが、」

「——なあ、あんた、エウス、」

「ん、あ、えっと、、はい。・・・・・・あー、なにか、ご用でしょうか、」

「さっきの声、エウスの、だよな? 壁を壊したとか。それって、」

 

 我の言葉に、エウスが目を細めて、

 かと思ったら、急にこいつが話に割って入って、くるくると。

 セシィの体で勝手に、・・・・・・声? なんか前に言っておったような、

 

「ああ、それか。ええ、見通しが良くなったでしょう?」

「っ、なんで、いや、どうやって、」

 

 ふむ? よくわからんが、壁を壊した犯人はエウスだったらしい。

 ま、あの程度を片付けるのは別にいつでもできるが、しかし何のために、

 目的が何にせよ、随分とそのせいで騒がしい事になってしまったのじゃが、

 

「そんなの、簡単だろう? なにせ、」

「それで、なんか色々巻き込まれたんじゃが、何がしたかったんじゃ?」

「ん、ああ、いや? 邪魔だったから、それに、都合が良かったから?」

 

 ・・・・・・まあ、確かにいちいち跳び越えるのも、いや別にかの、

 

「・・・・・・いや、違うな。演出だよ! うん、なかなか派手だっただろう? おかげでみんな、盛り上がったかな?」

「いや、邪魔じゃっただけじゃの。うるさく煩わしかっただけじゃ、」

「おや、それは残念。だけど、キミならきっと、楽しんでくれたよね、」

 

 エウスは、いつも通りなにを言われても我関せず、セシィの、その体の方に視線を向けて、

 ん、いやなにか、違うような。というか、紛らわしいの。セシィじゃなくて、名前なんじゃったっけに、

 

「いや、その、大変な事に、なってたが、」

「・・・・・・・・・・・・、」

「すまんがそんな、楽しむ、余裕なんて、」

「・・・・・・そう。それは・・・・・・、、失敗した、かな?」

 

 ・・・・・・・・・・・・ん?

 なにか、いやそうだ、そんなことしとる場合じゃない。

 ここに何か、セシィを戻す手掛かりがあるかもしれないんじゃ、我慢しきれず消し飛ばす前に、探さんと、

 

「そういうわけじゃ、すまんが我らはもう行くぞ、」

「あ、うん。すまないね。もっと、楽しんでもらいたかったのに、」

「気にするな、ちょっと笑う気分じゃないだけじゃ。ところで、頭のこれ消して、」

「キミに、いや、うん、キミにも。もっと、そうだ、素敵な劇を、見せてあげるよ、」

「おうじゃな。で、これ、消せるのか、」

「——そしたら、また、ね、」

「ああ。・・・・・・あの、消すのは——、」

 

 あっ、行っちゃった、

 ・・・・・・え、結局、邪魔な頭の、取ってもらえなかったんじゃが??

 あれ? 貴様がやったんじゃよな?? ん???

 ・・・・・・・・・・・・まあいいか、今更じゃし、時間もないし、

 

「・・・・・・エウス、」

「・・・・・・・・・・・・いや結局、なにしに来たんじゃ、」

 

 この時間、なんじゃったんじゃ??

 あ、せめてレリアの居場所でも聞いとかよかった、むーー、

 まずい、本格的に、余裕がなくなってきたか、の。

 

 

 

 

 

 

 

 計画に変更はない。

 例えそれが、あの人が望んだことではなかったとしても、

 もう、止めることなんてできない、変えることなんてできない、抑えることができない、

 ボクは、そこをかえすまで、絶対に。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・ああ、終わらせよう、全て、」

 

 

 

 服を着替える、相応しい格好に、

 クルクルと、組み上げていく、積み上げた集大成。

 あの日見た幻想を、キミの見た夢物語を、

 

 そして夢の果ての現実を、全て抱えて、飛び立とう。

 

 

 

「——————————起動、」

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