何だこれ、町が、人が、騒がしい。
どうなってやがるんだこれ、ちっ、せっかく来たっていうのに、
「・・・・・・ふぅ、いないわねぇっと。とりあえず、外まで結界広げてみたけれど、どうすればいいのかしら、」
何か独り言呟きながら町中を走っている女。
何だあれ、頭上に趣味の悪い王冠浮かせて、また変な奴か?
うわぁ、関わり合いになりたくねえ、しかし何か知ってそうではあるしな。
「・・・・・・あー、なあ、そこの、」
「むっ、まだ何も知らない観客がいたかしら。あーもう面倒だし、全員やっちゃった方が早いかしらぁ?」
「はぁ? お前、なに言って、」
うげえ、やっぱヤベェ女だったか、
その手に持った大きな杖を構えて、って、本気でやるつもりか!?
くそっ、誰に向かって、
「・・・・・・って、あらら? もしかして、あなた、」
「あん?」
「はーー、なるほど、そういうことかしら?」
と思ったら、なんか勝手に自己解決してこっち見て、
何だこいつ、面倒な事にはならなかったが、これはこれでムカつくな。
「ふふふ、いいわ。今は、見逃してあげる、」
「・・・・・・・・・・・・、」
「でも覚えておくことね! あなたは私の敵よ!! いつか雌雄を決する時まで、文字通りね、覚悟しておきなさい!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー、おう、そうだなー、」
ぶん殴りてえ、
だがこの旅で学んだことだが、女の面倒くせえ戯言は流すに限る。一々相手にしてたらキリがねえ。
なんというかまあ、お淑やかな、いっそ無口ぐらいが、、って、なに考えてるんだ。
そんなんじゃねえ、求めるのはもっとこう、煌びやかな一国のお姫様みたいな、
「それじゃ、せいぜい首を洗って待ってなさい!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おー、」
そして、残念な女が去っていく。
・・・・・・何というか、外見は悪くねえのに、中身が本当に残念としか言いようがないな。
服装的にも、ありゃどっかのお貴族様か? 貴族ってのは、みんなああなん、
いや、きっと本物の女王様くらいになれば、中身も完璧な釣り合う女がいるはず。中途半端なポンコツ貴族じゃなくて。
それとも例えば、稀代の天才魔術師とかなら、賢くてまともで、我儘も言わず手もかからない、。いや、女に相応しいはず。
それかいっそ、どっかの国にいる聖女様とかいうやつ。さぞ静かな、いやそうじゃなくこう良い意味で、高貴な性格してるんだろうなぁ。胸だけでかい腹黒とかでもなく、、
「・・・・・・ふぅ、しかし何だこれは。わざわざ無理をして来たのに、話と違うではないか、」
「全くよ。はぁ、疲れたわねー。にしてもこの町、どうなってんのかしら、」
「だからあんな怪しい話には、・・・・・・あれ? もしかして、今のお方、」
うるせえ。
だが本当に、どうしてくれようか。
暴動には巻き込まれるし、面倒くせえ女はいるし、なんてとこに呼びやがったんだエウスとかいう奴。
この俺様を、こんな目に遭わせやがって。相応の態度が無けりゃ、覚悟しておけよ、
「お、おい、あいつ、もしかして「王冠? あんなに光って「へへっ、あれを一杯貯めると、会場から豪華景品が出るらしいぜ「それに、あんなに女を侍らせやがって、許せん!」
あ? ってあ、なんか頭上についてる。
・・・・・・めがけて、野郎どもが突っ込んでくるんだが??
・・・・・・・・・・・・本当に、覚悟しておけよ、エウス!!?
「・・・・・・さてと、ようやく会場についたの、」
「戻って来ましたねー、」
何か急に変なこと言い出したこいつを引き回して、ようやく帰って来た元の場所。
しかし、何人もの人間どもが倒れてて、酷い有様じゃの。
お祭りもどうなったのやら、まあ我は一番楽しい事したし、もう出番もなかったじゃろうからいいか?
「それじゃあレリアさん? を、探しましょうか、」
「うむ、それはいいが・・・・・・、もう普通に動けるのかの?」
「はい。何故か、こっちは普通に行けますね、」
そう言って、会場に入っていくセシィの体。
・・・・・・無理にでも、行きたがらない方向に引きずった方が、何かあったかの?
でもまあ、一先ずレリアと合流する方が優先か。
こうもたくさん人が積まれて、死んではないようじゃが、
いったい誰がやったのか、レリアのやつも、巻き込まれてないといいが。
「あー、えっと。いや、自分はやんない方がいいんでしたっけ、」
「うむ、まあもうそんなこと言ってる暇じゃないかもしれんがの。いっそ声で、さっさと伝えた方が良かったかもしれんか、」
「・・・・・・おー、叫びます?」
「いや、今は目立つ方が、まずいかの、」
にしても、頭のこれ、邪魔じゃ、
いつもだったら面白い、いやセシィがこの状態じゃ無けりゃ、祭りの一環として楽しめていたのに、
消し方は、セシィだったらきっとすぐにわかるのに、ああ思考がぐるぐるする。
こんなことして、こんな事してる場合じゃない、一刻も早くセシィを戻す手がかりを探すべきなのに、
「・・・・・・それで、確か、あの辺が、」
「あー。俺が、起きちゃった場所ですよね?」
「うむ。セシィが、急に夢だ何だと言い出して、勝手に行ってしまったところじゃの、」
今思い返しても、腹が立つ。
セシィの、あの子の悩みをなに一つ理解できていなかった、自分自身に、
セシィは、いつから、なんで、あんな、
全てを受け入れたような、なにも感じない目を、。
「・・・・・・夢?」
「それで、我が納得できるわけないのに、」
「んー・・・・・・、ん?」
その結果、出て来たのは、今も横でうんうん唸ってる頼りないこいつじゃ、
結局、こいつはセシィにとって何なんじゃ。どうでもいい奴だったら、さっさと力で解決するのに、
「・・・・・・・・・・・・お??」
「・・・・・・むう、うるさいの。それで、何か手がかりは見つかりそうか、」
「ああ、。いや、誰か、こっち来てる?」
なんだ、足音でもしたかの、聞こえんが。
ふむふむクンクン。——お? この匂いは・・・・・・、
「・・・・・・おや、こんな所におりましたか、レコウ様。それから、えっとー・・・・・・、」
エウス。相変わらず、よくわからんやつ。
面白いからいいんじゃが、今はちょっと、悪いとは思うが気分じゃない。
セシィと、一緒じゃないと、
「初め、まして?」
「お、おお、初めまして?」
「——おい、」
「あ。ああいや、エウス、だよな、」
「んっ、ああ、うん、」
どこかぎこちない、不安気に? 頭の王冠をゆらゆらと揺らすその、
ってあ、それ! 我の頭上の、もしかして貴様のせいか!?
「・・・・・・・・・・・・おや、レコウ様。随分と、輝いて来たようで、」
「む、やはりか? これ、邪魔なのじゃが、」
「ふむ、他人に目立つようレイアウトには気を使ったつもりですが、プレイヤー目線では確かに少々光量が高すぎましたかね。参考にさせていただきます、」
「いや、よく分からんが、ともかく消してくれんか?」
無理に壊してもいいが、どうなるかわからんしの、
何かの遊びなのかもしれんが、また今度、セシィがいる時に誘ってくれって、
・・・・・・ん? セシィ、こいつ、前にも、
「いえ。そういえば、三決、三位を決める対戦をするという話がありましたのですが、」
「じゃ? 三位というとつまり、」
「流れは変わってしまいましたが、そこに戻すのもまた一興、」
「いや、その前にこれ消しては、」
「どうですレコウさん。ちょうどそこの会場も空いていますし。ボクと、一曲踊っては頂けませんか、マドモワゼル、」
「えっと? すまんが、我らは今ちょっと、忙しいのじゃが、」
・・・・・・こいつ、話を聞かんやつじゃのー、
今はちょっと、本当にやめてほしい。
こんな状態で試合なんか、うっかりやってしまっても知らんぞ、
「・・・・・・おやおや、それは残念、。——ですが、」
「——なあ、あんた、エウス、」
「ん、あ、えっと、、はい。・・・・・・あー、なにか、ご用でしょうか、」
「さっきの声、エウスの、だよな? 壁を壊したとか。それって、」
我の言葉に、エウスが目を細めて、
かと思ったら、急にこいつが話に割って入って、くるくると。
セシィの体で勝手に、・・・・・・声? なんか前に言っておったような、
「ああ、それか。ええ、見通しが良くなったでしょう?」
「っ、なんで、いや、どうやって、」
ふむ? よくわからんが、壁を壊した犯人はエウスだったらしい。
ま、あの程度を片付けるのは別にいつでもできるが、しかし何のために、
目的が何にせよ、随分とそのせいで騒がしい事になってしまったのじゃが、
「そんなの、簡単だろう? なにせ、」
「それで、なんか色々巻き込まれたんじゃが、何がしたかったんじゃ?」
「ん、ああ、いや? 邪魔だったから、それに、都合が良かったから?」
・・・・・・まあ、確かにいちいち跳び越えるのも、いや別にかの、
「・・・・・・いや、違うな。演出だよ! うん、なかなか派手だっただろう? おかげでみんな、盛り上がったかな?」
「いや、邪魔じゃっただけじゃの。うるさく煩わしかっただけじゃ、」
「おや、それは残念。だけど、キミならきっと、楽しんでくれたよね、」
エウスは、いつも通りなにを言われても我関せず、セシィの、その体の方に視線を向けて、
ん、いやなにか、違うような。というか、紛らわしいの。セシィじゃなくて、名前なんじゃったっけに、
「いや、その、大変な事に、なってたが、」
「・・・・・・・・・・・・、」
「すまんがそんな、楽しむ、余裕なんて、」
「・・・・・・そう。それは・・・・・・、、失敗した、かな?」
・・・・・・・・・・・・ん?
なにか、いやそうだ、そんなことしとる場合じゃない。
ここに何か、セシィを戻す手掛かりがあるかもしれないんじゃ、我慢しきれず消し飛ばす前に、探さんと、
「そういうわけじゃ、すまんが我らはもう行くぞ、」
「あ、うん。すまないね。もっと、楽しんでもらいたかったのに、」
「気にするな、ちょっと笑う気分じゃないだけじゃ。ところで、頭のこれ消して、」
「キミに、いや、うん、キミにも。もっと、そうだ、素敵な劇を、見せてあげるよ、」
「おうじゃな。で、これ、消せるのか、」
「——そしたら、また、ね、」
「ああ。・・・・・・あの、消すのは——、」
あっ、行っちゃった、
・・・・・・え、結局、邪魔な頭の、取ってもらえなかったんじゃが??
あれ? 貴様がやったんじゃよな?? ん???
・・・・・・・・・・・・まあいいか、今更じゃし、時間もないし、
「・・・・・・エウス、」
「・・・・・・・・・・・・いや結局、なにしに来たんじゃ、」
この時間、なんじゃったんじゃ??
あ、せめてレリアの居場所でも聞いとかよかった、むーー、
まずい、本格的に、余裕がなくなってきたか、の。
計画に変更はない。
例えそれが、あの人が望んだことではなかったとしても、
もう、止めることなんてできない、変えることなんてできない、抑えることができない、
ボクは、そこをかえすまで、絶対に。
「・・・・・・・・・・・・ああ、終わらせよう、全て、」
服を着替える、相応しい格好に、
クルクルと、組み上げていく、積み上げた集大成。
あの日見た幻想を、キミの見た夢物語を、
そして夢の果ての現実を、全て抱えて、飛び立とう。
「——————————起動、」