「・・・・・・・・・・・・ピッ!」
気づけば、人間のベットの中にいた。
「お、やっと再起動したか。やっぱ叩いて直すのはダメじゃのー」
「・・・・・・・・・・・・ぴ?」
隣には人外がくっついている、熱い、体温高いな。
「ぴー・・・・・・、ぴぴぴぴ?」
あー・・・・・・、ここどこ?
「おう、ここは宿屋じゃ。せっかくの機会じゃしの。・・・・・・それに咄嗟に、旅人じゃって言ってしまったし」
「・・・・・・ぴーぴぴぴ。・・・・・・お金は、どうしたの?」
「何かちっちゃい石ころあげたら行けたのじゃ!」
石ころって、別に何かわかってるだろうに。
前に取った宝石、レコウにも渡してたっけ?
「ぴぴぷぅ、まあいいや。ここ、一人部屋?」
「そうじゃの、ここしか空いてなかったんじゃ」
「そう、ならこっちの床、使わせてもらうね」
ベットから抜け出す、と言うかいい加減に暑い、汗かきそう。
「ちよっ、流石にそれは酷くないかのー」
「何が? ああ、こっちの隅の方がいい?」
「もうっ、良いから帰ってくるのじゃー!」
「えー。ここはレコウの部屋でしょ? それに僕、ベットだと落ち着かないんだよね。アレンと一緒にいた時も・・・・・・、」
・・・・・・ん、アレン、宿屋。
レコウが一人で宿屋を探せるわけがない、他の部屋は埋まっている、この建物の地形、
つまり、
「・・・・・・隣の部屋、か、」
「は! 気づいてしまったのじゃ!?」
この壁一つ向こうに、アレンがいる。
というか寝息聞こえてくるな、落ち着く。
まあ、ここ意外と壁厚いし、僕の声は聞こえてないな、危ない危ない。
「まあ、大きな声出さなきゃ大丈夫かな、」
「おっ、あれ?! ・・・・・・意外と冷静じゃな。てっきり、愛しの勇者と同じ屋根の下にいるーって、またフリーズするものかと」
「ええ? いや、さっきは確かに久しぶりの生アレンだったし、色々初めてのこと言われたから興奮しちゃったけど。これくらいはね」
「ほー、まあ、ならいいのじゃが」
いくら何でもそんな一々発狂してたら、アレンの荷物持ちもできないのに。
僕のことを、そんな日に三回も四回も発狂する、変なモノだと思ってたのか。
・・・・・・夜の時のは、まとめて一回扱いでいいよね?
「そもそも、前までは同じ屋根の下どころか、同じ部屋で泊まってたし」
「はえー! そうだったのか!?」
「うん、男女で分かれて、基本アレンは一人部屋だから」
「ふむふむ・・・・・・。なんかおかしくないかの?」
「え、何が?」
三色の部屋と一人と一つの部屋だ。
あ、まあ確かに、あの三色ども部屋がないからって、四人部屋使ってたこともあったな。アレンのお金を無駄遣いしやがって、
今は三人部屋があったからいいが、性懲りも無く無駄遣いしてたら、消し飛ばしてやったのに。
あ、でも効率的に四人部屋の場合、アレンが一緒に? うん、やっぱりコロそう。
「あー、おーい、なのじゃ。・・・・・・ふむ。あ、じゃあもしかして、そのオスと同衾したこととかあるのかじゃ」
「えー、あるわけ無いだろ。僕は基本床を使わせてもらえたし」
「・・・・・・なあ、やっぱりそやつ、」
「えへへ〜、アレンはねー、見苦しいって横になって寝ること許してくれるしー、視界に入るなって予備のシーツを投げ付けてくれたこともあるんだよ〜」
「・・・・・・いや、おお。うん。やっぱどうかと思うのじゃ」
僕なんていないモノとして扱えばいいのに、わざわざあんなに気にしてくれて。
生き物みたいに扱ってくれて、本当に嬉しかった。
「ま、そもそも、アレンの寝息を感じるのに夢中になってたから、寝てる暇なんてなかったんだけどねー」
「・・・・・・それで日中は雑用全般やってたんじゃろ、よく倒れなかったのー」
「まあ、アレンを感じるのに使ってたのは右脳だし、仕事するに使ってたのは左脳だったからね」
「・・・・・・・・・・・・おう、そう。——って、危ない! 諦めるところだったのじゃ! 我だけはおかしいって言ってあげなければいけないのに!!」
・・・・・・?
いや、まあ、確かに、片脳だけでアレンを感じようとするなんて、失礼だけど、
だって、万が一にでも、完全に寝たせいで、僕じゃ無いものを見せてしまったら、
「まあ、それでも、一日の四分の一ぐらいあれば、何とかなる」
「おー、まあそれぐらいあれば。でも我なら、一年の四分の一ぐらいは眠れるぞ?」
「・・・・・・冬眠?」
ここの自転は夢の何時間だったか、まあ基準も違うのに意味はないが。
ともかく割合比で八分の一ずつ、それだけあれば常に活動できる。
「あ、でも、我といる時のセシィは、普通に寝とったな。やっぱ、今の方がいいのでは・・・・・・、」
「・・・・・・普通に、寝てた? そうだっけ? ・・・・・・まあ、収納空間の中なら、警戒するものもないしね」
でも、アレンの身の回りことは、常に警戒してるけど。
この分は、別に切り離してあるから問題ない。
「じゃあ、僕は普通に寝るから」
「おい、ちょっと、待てじゃ。壁に耳を付けながら寝るのは、どんな生物でも普通じゃないのじゃ」
「知らないの? ものはこうやって壁に立てかけておくと、空間を広く使えるだよ?」
「知らんわ! どうせどこに居ても変わらず聞こえるんじゃろ! 良いから大人しくこっちにくるのじゃ!!」
ベットの中に引きずり込まれてしまう、あーれ〜。
本当は、アレン以外に力ずくなんてされたくないけど、乱暴じゃないから許してやろう。
「・・・・・・ちょっと、わざわざ抱きつかなくても、もう逃げないって」
「・・・・・・ん、おっ。そうじゃそうじゃ、信用できないから、このまま我のクマちゃんにしてやるのじゃ」
「暑い〜、僕は黄金じゃないよ〜」
「じゃから溶ける心配もないの〜」
「いや、あの、黄金が解ける心配をするレベルだと、本当に溶け死ぬんだけど」
「ぎゅーじゃ、」
「ぎゃー、きぶつそんがいざいだ〜」
全く、僕が金なんかになるはずないのに。
もうしょうがないから、大人しく雄弁じゃなくなってやろ。
悲鳴、怒号、全てどこか暑い。
痛みも、苦しみも、悲しみも、暑さも、全部全部、あっつ、感じてる暇なんてない。
私は過去も未来もない均一な熱の中で、夢を、あっつ、見たかあっつかったのかもしれない。
これは現実ではナッツい、ここは私の暑、ちょっとまって、世界でない、私はわたっつくなんか熱いじゃない。
一瞬の思いをはせる常夏の海に消えて、二度と日の元に帰ってこなくなりたかった。紫外線のもとから消えてしまいたかって。
でも、そんな余裕もなつい、暑い熱いから、ちょ、ほんとに、死ぬ、死んじゃう、きせき、終わる、終わっちゃう、あっーー!?
「うぐっ!? ・・・・・・・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、寝汗すご」
生まれて初めてだ、こんなに寝起きに余裕がないのは。
いや、もう、本当に死ぬかと思った。
「んっ、と、僕が小柄で助かった。このまま締め殺されるところだった」
今だけはこの貧相な体に感謝しよう。
体に熱源二つぶら下げてたら、本格的に心臓がボイルされてたかも。
「・・・・・・あーっ。次からは何か、対策しとかないとな。流石にこれ何度もやられたら、死ぬ前にミイラになる」
ただでさえ常にちょっとミイラっぽいっていうのに。
せっかく最近、無理に少しは改善されて来たのに、自分でまた干し直してどうするつもりだ。即身仏してしまうぞ。
「・・・・・・はぁ、とりあえず、せめて抱きつかれないためには・・・・・・」
腕は前についている、僕が無理やり抜け出したから、空っぽな空間に投げ出して隙だらけだ、
「ふふふ、背中がガラ空き。これで勝てる」
何で自分からまた熱源に近づいてるんだろって、ちょっと頭が回ってない。状態、水分不足? 何これ?
「じゃ。おやすみー」
頭が回ってないってことは、睡眠が足りてないってことだろう。
今度は僕が代わりに、蒸し殺してやる。
「覚悟しろー・・・・・・、」
オマエハイマ、ナニヲアッツ、ナンデソンナアッツ? セメテフトントレヨ。
「・・・・・・ん? あれ、セシィ?」
「ぎゅぴー」
「背中? 何で? うおっ、茹で上がっとる!?」
何か、体がグルグルする。
頭はとっても良い気持ちなのに、あれ、揺れてる、地震かな?
「おー。あー。アレンー。まだ寝てるなー、ご飯作らないとー」
「うおー! すまんセシィ、人間がここまで熱に弱いとはー!?」
うぐー、なんか言ってる。
別に、気にしなくても良いのに、
僕がただ、あったかい場所で眠るのに慣れてないだけだから。
「というか、ぐっすり眠るのが初めてだー。人間って、どうやって寝ながら体温調節してるんだろー?」
ちょっと僕、代謝いってるからねー、
「我は変温動物だから知らんのじゃ!? 水、水はどこなのじゃー!?」
「みずー、みずー、この下かー?」
「ちょっ、ベットの下に水源なんてないのじゃ!?」
「うん、ちょっとしけってる。ごくごく、」
「な、またセシィがぶっ壊れたのじゃ!? ばっちいから止めるのじゃー!?」
うぐぅ、少しでも生き残るために、地面の湿気を啜るなんて、普通なのに。——というか、またって何だ、今回は違うだろ、
まあ、でも、今はもっと効率的な手段があるから、やる必要ないけど。
「『収納(湿気を集めて)』、『放出(飲み水に)』」
「おお! その手があったか!」
「あ、ミスってミイラにしちゃったらごめんね」
「ちょーい!?」
・・・・・・ふぅ、いくら脱水症状が出てるとはいえ、そんなミスはしないけど。
この程度、むしろ調子がいいくらいだったのに、無駄に肉がついたせいかな?
というか、この湿気って、よくよく考えなくても全部僕の汗だよね。
いや、まあ別に、直接下のをいくのに比べたら、何の感慨もわかないけど。
「・・・・・・レコウ? 何でそんなに離れてるの?」
「ええ、我には魔法使うとき離れろって言ったのに・・・・・・、」
「本当に離れたことはないでしょ、もう」
全く、失礼しちゃうな。
君にだけは、僕の力を隠したことはないっていうのに。
信用させたことは何度もあったけど、信用してもらいたいのは初めてなんだぞ。