情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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10話

 

「・・・・・・・・・・・・ピッ!」

 

 気づけば、人間のベットの中にいた。

 

「お、やっと再起動したか。やっぱ叩いて直すのはダメじゃのー」

「・・・・・・・・・・・・ぴ?」

 

 隣には人外がくっついている、熱い、体温高いな。

 

「ぴー・・・・・・、ぴぴぴぴ?」

 

 あー・・・・・・、ここどこ?

 

「おう、ここは宿屋じゃ。せっかくの機会じゃしの。・・・・・・それに咄嗟に、旅人じゃって言ってしまったし」

「・・・・・・ぴーぴぴぴ。・・・・・・お金は、どうしたの?」

「何かちっちゃい石ころあげたら行けたのじゃ!」

 

 石ころって、別に何かわかってるだろうに。

 前に取った宝石、レコウにも渡してたっけ?

 

「ぴぴぷぅ、まあいいや。ここ、一人部屋?」

「そうじゃの、ここしか空いてなかったんじゃ」

「そう、ならこっちの床、使わせてもらうね」

 

 ベットから抜け出す、と言うかいい加減に暑い、汗かきそう。

 

「ちよっ、流石にそれは酷くないかのー」

「何が? ああ、こっちの隅の方がいい?」

「もうっ、良いから帰ってくるのじゃー!」

「えー。ここはレコウの部屋でしょ? それに僕、ベットだと落ち着かないんだよね。アレンと一緒にいた時も・・・・・・、」

 

 ・・・・・・ん、アレン、宿屋。

 レコウが一人で宿屋を探せるわけがない、他の部屋は埋まっている、この建物の地形、

 つまり、

 

「・・・・・・隣の部屋、か、」

「は! 気づいてしまったのじゃ!?」

 

 この壁一つ向こうに、アレンがいる。

 というか寝息聞こえてくるな、落ち着く。

 まあ、ここ意外と壁厚いし、僕の声は聞こえてないな、危ない危ない。

 

「まあ、大きな声出さなきゃ大丈夫かな、」

「おっ、あれ?! ・・・・・・意外と冷静じゃな。てっきり、愛しの勇者と同じ屋根の下にいるーって、またフリーズするものかと」

「ええ? いや、さっきは確かに久しぶりの生アレンだったし、色々初めてのこと言われたから興奮しちゃったけど。これくらいはね」

「ほー、まあ、ならいいのじゃが」

 

 いくら何でもそんな一々発狂してたら、アレンの荷物持ちもできないのに。

 僕のことを、そんな日に三回も四回も発狂する、変なモノだと思ってたのか。

 

 ・・・・・・夜の時のは、まとめて一回扱いでいいよね?

 

「そもそも、前までは同じ屋根の下どころか、同じ部屋で泊まってたし」

「はえー! そうだったのか!?」

「うん、男女で分かれて、基本アレンは一人部屋だから」

「ふむふむ・・・・・・。なんかおかしくないかの?」

「え、何が?」

 

 三色の部屋と一人と一つの部屋だ。

 あ、まあ確かに、あの三色ども部屋がないからって、四人部屋使ってたこともあったな。アレンのお金を無駄遣いしやがって、

 今は三人部屋があったからいいが、性懲りも無く無駄遣いしてたら、消し飛ばしてやったのに。

 

 あ、でも効率的に四人部屋の場合、アレンが一緒に? うん、やっぱりコロそう。

 

「あー、おーい、なのじゃ。・・・・・・ふむ。あ、じゃあもしかして、そのオスと同衾したこととかあるのかじゃ」

「えー、あるわけ無いだろ。僕は基本床を使わせてもらえたし」

「・・・・・・なあ、やっぱりそやつ、」

「えへへ〜、アレンはねー、見苦しいって横になって寝ること許してくれるしー、視界に入るなって予備のシーツを投げ付けてくれたこともあるんだよ〜」

「・・・・・・いや、おお。うん。やっぱどうかと思うのじゃ」

 

 僕なんていないモノとして扱えばいいのに、わざわざあんなに気にしてくれて。

 生き物みたいに扱ってくれて、本当に嬉しかった。

 

「ま、そもそも、アレンの寝息を感じるのに夢中になってたから、寝てる暇なんてなかったんだけどねー」

「・・・・・・それで日中は雑用全般やってたんじゃろ、よく倒れなかったのー」

「まあ、アレンを感じるのに使ってたのは右脳だし、仕事するに使ってたのは左脳だったからね」

「・・・・・・・・・・・・おう、そう。——って、危ない! 諦めるところだったのじゃ! 我だけはおかしいって言ってあげなければいけないのに!!」

 

 ・・・・・・?

 いや、まあ、確かに、片脳だけでアレンを感じようとするなんて、失礼だけど、

 だって、万が一にでも、完全に寝たせいで、僕じゃ無いものを見せてしまったら、

 

「まあ、それでも、一日の四分の一ぐらいあれば、何とかなる」

「おー、まあそれぐらいあれば。でも我なら、一年の四分の一ぐらいは眠れるぞ?」

「・・・・・・冬眠?」

 

 ここの自転は夢の何時間だったか、まあ基準も違うのに意味はないが。

 ともかく割合比で八分の一ずつ、それだけあれば常に活動できる。

 

「あ、でも、我といる時のセシィは、普通に寝とったな。やっぱ、今の方がいいのでは・・・・・・、」

「・・・・・・普通に、寝てた? そうだっけ? ・・・・・・まあ、収納空間の中なら、警戒するものもないしね」

 

 でも、アレンの身の回りことは、常に警戒してるけど。

 この分は、別に切り離してあるから問題ない。

 

「じゃあ、僕は普通に寝るから」

「おい、ちょっと、待てじゃ。壁に耳を付けながら寝るのは、どんな生物でも普通じゃないのじゃ」

「知らないの? ものはこうやって壁に立てかけておくと、空間を広く使えるだよ?」

「知らんわ! どうせどこに居ても変わらず聞こえるんじゃろ! 良いから大人しくこっちにくるのじゃ!!」

 

 ベットの中に引きずり込まれてしまう、あーれ〜。

 本当は、アレン以外に力ずくなんてされたくないけど、乱暴じゃないから許してやろう。

 

「・・・・・・ちょっと、わざわざ抱きつかなくても、もう逃げないって」

「・・・・・・ん、おっ。そうじゃそうじゃ、信用できないから、このまま我のクマちゃんにしてやるのじゃ」

「暑い〜、僕は黄金じゃないよ〜」

「じゃから溶ける心配もないの〜」

「いや、あの、黄金が解ける心配をするレベルだと、本当に溶け死ぬんだけど」

「ぎゅーじゃ、」

「ぎゃー、きぶつそんがいざいだ〜」

 

 全く、僕が金なんかになるはずないのに。

 もうしょうがないから、大人しく雄弁じゃなくなってやろ。

 

 

 

 悲鳴、怒号、全てどこか暑い。

 痛みも、苦しみも、悲しみも、暑さも、全部全部、あっつ、感じてる暇なんてない。

 

 私は過去も未来もない均一な熱の中で、夢を、あっつ、見たかあっつかったのかもしれない。

 これは現実ではナッツい、ここは私の暑、ちょっとまって、世界でない、私はわたっつくなんか熱いじゃない。

 一瞬の思いをはせる常夏の海に消えて、二度と日の元に帰ってこなくなりたかった。紫外線のもとから消えてしまいたかって。

 

 でも、そんな余裕もなつい、暑い熱いから、ちょ、ほんとに、死ぬ、死んじゃう、きせき、終わる、終わっちゃう、あっーー!?

 

 

 

「うぐっ!? ・・・・・・・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、寝汗すご」

 

 生まれて初めてだ、こんなに寝起きに余裕がないのは。

 いや、もう、本当に死ぬかと思った。

 

「んっ、と、僕が小柄で助かった。このまま締め殺されるところだった」

 

 今だけはこの貧相な体に感謝しよう。

 体に熱源二つぶら下げてたら、本格的に心臓がボイルされてたかも。

 

「・・・・・・あーっ。次からは何か、対策しとかないとな。流石にこれ何度もやられたら、死ぬ前にミイラになる」

 

 ただでさえ常にちょっとミイラっぽいっていうのに。

 せっかく最近、無理に少しは改善されて来たのに、自分でまた干し直してどうするつもりだ。即身仏してしまうぞ。

 

「・・・・・・はぁ、とりあえず、せめて抱きつかれないためには・・・・・・」

 

 腕は前についている、僕が無理やり抜け出したから、空っぽな空間に投げ出して隙だらけだ、

 

「ふふふ、背中がガラ空き。これで勝てる」

 

 何で自分からまた熱源に近づいてるんだろって、ちょっと頭が回ってない。状態、水分不足? 何これ?

 

「じゃ。おやすみー」

 

 頭が回ってないってことは、睡眠が足りてないってことだろう。

 今度は僕が代わりに、蒸し殺してやる。

 

「覚悟しろー・・・・・・、」

 

 オマエハイマ、ナニヲアッツ、ナンデソンナアッツ? セメテフトントレヨ。

 

 

 

「・・・・・・ん? あれ、セシィ?」

「ぎゅぴー」

「背中? 何で? うおっ、茹で上がっとる!?」

 

 何か、体がグルグルする。

 頭はとっても良い気持ちなのに、あれ、揺れてる、地震かな?

 

「おー。あー。アレンー。まだ寝てるなー、ご飯作らないとー」

「うおー! すまんセシィ、人間がここまで熱に弱いとはー!?」

 

 うぐー、なんか言ってる。

 別に、気にしなくても良いのに、

 僕がただ、あったかい場所で眠るのに慣れてないだけだから。

 

「というか、ぐっすり眠るのが初めてだー。人間って、どうやって寝ながら体温調節してるんだろー?」

 

 ちょっと僕、代謝いってるからねー、

 

「我は変温動物だから知らんのじゃ!? 水、水はどこなのじゃー!?」

「みずー、みずー、この下かー?」

「ちょっ、ベットの下に水源なんてないのじゃ!?」

「うん、ちょっとしけってる。ごくごく、」

「な、またセシィがぶっ壊れたのじゃ!? ばっちいから止めるのじゃー!?」

 

 うぐぅ、少しでも生き残るために、地面の湿気を啜るなんて、普通なのに。——というか、またって何だ、今回は違うだろ、

 まあ、でも、今はもっと効率的な手段があるから、やる必要ないけど。

 

「『収納(湿気を集めて)』、『放出(飲み水に)』」

「おお! その手があったか!」

「あ、ミスってミイラにしちゃったらごめんね」

「ちょーい!?」

 

 ・・・・・・ふぅ、いくら脱水症状が出てるとはいえ、そんなミスはしないけど。

 この程度、むしろ調子がいいくらいだったのに、無駄に肉がついたせいかな?

 

 というか、この湿気って、よくよく考えなくても全部僕の汗だよね。

 いや、まあ別に、直接下のをいくのに比べたら、何の感慨もわかないけど。

 

「・・・・・・レコウ? 何でそんなに離れてるの?」

「ええ、我には魔法使うとき離れろって言ったのに・・・・・・、」

「本当に離れたことはないでしょ、もう」

 

 全く、失礼しちゃうな。

 君にだけは、僕の力を隠したことはないっていうのに。

 

 信用させたことは何度もあったけど、信用してもらいたいのは初めてなんだぞ。

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