情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

111 / 124
107話

 

 突っかかってくる雑魚どもを殴り飛ばし、エウスの野郎の居場所を聞き出して、来てやったのは闘技場。

 ここにそいつがいるのか? まったく、手間かけさせやがって、

 

 しかし、さっきのは何だったんだ、いきなり上空にあれは、

 いや、まあ、何かの演出だろ。・・・・・・仮に、あの竜に見えた何かが本物だったとしても、俺様には何の問題もないがな。

 実際こうして中心に来てみても、それがいないのが何よりの証拠だ。ふん、びびらせ、いや、期待させやがって。

 

 それで、こいつは一体どういう状況、

 いや、見ればわかるな。

 歩いて、その中心へ向かい、剣を抜く。

 全く、いい状況だぜ、流石は俺様だな。何もしなくても、いや俺様の豪運が引き寄せてしまったらしい。こんな、簡単に活躍できる場。

 

「それじゃあ、お前ら、覚悟はできてるんだろうな、」

 

 剣を向けて、たじろぐそいつら。

 はっ、やっぱり雑魚どもじゃねーか、

 よってたかってわらわらと、いい養分だぜ。

 

「な、お前、なにして「まさか、きさまも、そいつらの仲間「やはり、その頭のは、」

 

 同じ方向を向いた四人の少女達に背を向けて、そのむさ苦しい野郎どもを見る。

 

 くくく、なんてわかりやすい構図だ、

 

 おら、そこの女ども。せいぜい俺様の活躍を伝えまわるんだな!

 

「というか、何なんだお前らはうざってえ、俺様の頭の見るなり絡んできやがって。これもエウスってやつの仕業かあ!?」

 

「な、きさま、エウス様のことを「やはり、敵か「この、『荒れ狂う暴風、疾ぶあれ、なにこ「やっちまえー!」

 

 

 

 

 

 状況が、変わっていく。

 たった一人、その男が来ただけで、

 

 

 

 

 

「・・・・・・く、ふっ、。——ああ。これが、勇者、か。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

「・・・・・・かはは、なるほどなるほど。みくびっておったか。これは、なかなか面白い男じゃの、」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「・・・・・・あん? ——てかお前、よく見たらいつかの蛇女じゃねえか。変な言動で思い出しちまったぜ、」

「あー!? 誰が変な言動じゃ貴様!?」

「あ? そっちは事実だろ、せめて蛇呼ばわりの方にキレろよ、」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「それで、あん? あっちの、まともそうだった女はどうしたんだ? ——あれでも、こいつ一人よりはマシだったんだが、」

「まともそうって。いやまあ、一応そっちに、」

「ん? ああ、兄弟か? ・・・・・・正直、これ以上変な女が増えるのは勘弁なんだが、」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、

 

「まいいや、そっちの怪我してる、うわひでぇな。ともかく嬢ちゃん連れて、下がってな、」

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、、

 

 何だこれ、

 

 こんなの、狡いじゃないか。

 

 そんな登場されたら、カッコイイに、決まってる。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごほ。——ごほん、ごほんっ!!」

 

「あーー、みんな、すまないが、聞いてくれ。」

 

「どうやら、誤解させてしまったようだね。ボクはこちらいるお嬢様は、竜の中から出てきたと言ったのだけども、」

 

「そう、このあー、レディは、。竜に捕まって傷つき囚われていた、プリンセスだったのだよ、」

 

「その、あまり人目に晒すのも良くない状態だったからね。こっそり連れ帰るつもりだったのだけど、余計な大事にしてしまったらしい」

 

「みんな、本当にすまない!」

 

 

 

 エウスが、頭を下げている。

 何だこれ、全部誤解だった?

 そんなので、この状況が収まる、

 

「え、なーんだ「あ、頭を上げてくれ、エウスさん「すまねえ、俺たちが勝手に勘違いしたせいで「そっちの嬢さんたちも怖い思いさせちまったな「よっ、にーちゃん、カッコよかったぜー!!」

 

「あ? 俺様? ・・・・・・ふんっ、当たり前だろ? ・・・・・・・・・・・・ところで、エウスって、」

 

「おっと、長くなりそうかい? すまないが、ボクらは早く、休息が必要でね。賞賛は、そちらの勇気ある彼に、頼むよ、」

 

「あ、あー? ・・・・・・・・・・・・ま、いっか、」

 

 

 

「ほら、キミたちも、来るだろう?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、、」

「・・・・・・そう、じゃの。ほれ、」

 

「あ、おう」

「・・・・・・そう言いつつ、動いてないのじゃが、」

「いやなんか、今度は逆に、ここから目が離せなくて、」

「む、ああ、そういうことじゃったのか。・・・・・・だとしたら、これ上手く使えばセシィは、、いや、まだ、それは後。じゃの」

 

 

 

 

 

 華やかな会場の裏の裏。

 暗くて汚い地下の部屋、そこに似合わぬ四人の少女、まあ外見だけならが揃う。

 俺が居なけりゃ、完璧なんだけどな、

 

「・・・・・・けほっ、、と、おっと、すまないね。ここ少し、埃っぽいかな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

 

 マキナ、エウス、

 改めて、その子たちと視線を合わせる。

 この状況、なんだ、何かどこか、

 

「・・・・・・ふむ。それじゃあ改めて聞きたいのじゃが。結局、貴様ら、何がしたいんじゃ?」

「うん? ボクは語った通り、世界を劇場にしたいだけさ、」

「いや我は知らんが、」

「あれ、おかしいな、国中に向けて発信したはずだったんだけどね」

 

 狭くて、息苦しい地下の部屋。

 だけどもっともっと悍ましい、いくつかの扉。

 何でこんな場所、残って、

 

「・・・・・・ま、いいか。じゃマキナ、貴様はなにを、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

「・・・・・・おやおや。まだ、だんまりかい? 頑なだね。次の支度もあるんだ、あんまりゆっくりしたくも・・・・・・ってあ、」

 

 マキナ、死んでない方が奇跡な状態の彼女を見る。

 カヒューカヒューとか細い呼吸音が、確かに生きていることを感じさせ、

 

「喉の管が外れているね。ふむ、自分で治す気力もないか。ほらよっと、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、」

「ああ、喋れるかい?」

 

 それ以上に、確かに感じる眼光が、彼女の意思を伝えてくれる。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オマエ、なに、考えて、」

「オマエ、だなんて、他人行儀だねえボク。いつも通りさ、わかるだろう?」

「・・・・・・チッ、エウス。こんな、場所まで、来て。・・・・・・何が、狙いだ、」

「ありゃ、本当にわからないのかい? おかしいな、ボク、まあいいさ。別に、やはりボクは、良い演出家だったなってだけさ、」

 

 二人、いや、会話、か?

 ともかく、そうだ。俺は、あの子に、

 

「・・・・・・で、目的は、なんじゃったのか、」

「・・・・・・——っ、目的。そう、だ、エウスッ。こいつだけは、ここで、止めないとっ、」

「おや、どうしたんだい? 始めたのはそっちだろうに、、」

「んー、というか貴様ら、知り合い、いやもっとなんか、なんじゃ?」

 

 そうだ、知り合いなんてものじゃない。

 だって、あの子は、そう、

 

「ま、ともかく、止めるってなんじゃ?」

「・・・・・・こいつは、世界中で、今日と同じことをやる気だ、」

「今日と同じ、じゃ? それってつまり、お祭りー」

「おや、別に適宜変えるさ。その日その場所その登場人物によって。まあ目指すものは、確かに同じかもしれないけどね、」

 

 ・・・・・・話が、頭に入ってこない。

 なんだ、世界中で、今日と同じこと?

 今日あったことなんて、俺が目覚めて、国中はちゃめちゃになって、あの子も傷ついて、大変なことばっかりだったと思うけど、

 

「そう。それは、改善点がありそうだね。ボクは演出家として、突貫工事だったからねぇ、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、」

「あははは、ごほっ、はは。前々から準備していたのは良かったけれど、舞台上ではもっと、スマートに行きたいところだよ、」

 

 結局、何が、したいのか。

 わからない、情けない、何をやっているんだろう。

 あの子は、そう、ずっと、

 

「それで、ボクが何したかったのか。この口から語って、良いのかい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふん、好きにしろ。だが、覚えておけ。こいつは、それと同じことを、別の場所でもやろうとしてる、」

「おお、やっと本題か。にしても、さっきから何か、貴様ら、」

 

 目が合う。

 不思議と、どの目も、こちらを向いてる気がする。

 どれも本物ではない瞳だとしても、

 

「ま、簡単にいうと、ボクは、この国を滅ぼしたかったのさ、」

「・・・・・・ふむふむ。——あー、おー、えー、はっきり言うのー、」

 

 思わず、その顔を見る。

 どこか恥ずかしいような、どこか居た堪れないような、どこか堂々とした、その顔。

 ああ、そうか。本気で、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふんっ、」

 

 確かに、それも、しょうがない、か。

 

「・・・・・・だが、少なくとも、シブンは、こいつのように、変な事は考えていない。処分するなら、こっちを先にするのを、勧めるぞ、」

「酷いことを言うねえ? ボクは。別にただ、もっと広げようとしてるだけ、なのに、」

「それに、特に、理由もないんだろ。この精神破綻者、」

「ブーメラン、ですらないね、けはっ。・・・・・・それに、求めるものなら、あるさ、」

 

 遠くを、いやどこを、見ているんだ、

 俺じゃない、その奥、一つの扉。

 いや、もっと、抽象的な、

 

「んー? さっきから、何を言ってるんじゃ??」

「おや失礼、マドモワゼル。・・・・・・そういえば、そちらの、・・・・・・けふっ、誰かには、伝わって、」

「・・・・・・・・・・・・誰か? なに、言って、」

「ふふっ。しかしそもそも、そっちでどうやって知り合ったのか。先に合ったのはこっちだって言うのに、」

「ふん。そっちが、胡散臭いおかげで、楽に説得して、引き込めた、」

「む、胡散臭いとは失敬な。ボクはこんなにも、誠実に接しているというのに、」

 

「・・・・・・あー、何を言っているのかはわからんが、それが冗談だと言うのはわかるの、」

 

「ごふぁ??」

「・・・・・・はは、くさ、」

「——っ、と、失礼。しかし、あまりダラダラと時間を使うのも、飽きられてしまうよ。まだ優勝者も、決めてないって言うのに、」

「・・・・・・・・・・・・まだ、そんなこと言っている、のか? まあいい、ジブンも、。いや、どうする」

 

「んー、これは、そうじゃのー、」

 

 視線が集まる。

 今度こそ、全て。

 なんで、俺に、何を、いや、

 なにが、できる。

 

「貴様は、どうする?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。