突っかかってくる雑魚どもを殴り飛ばし、エウスの野郎の居場所を聞き出して、来てやったのは闘技場。
ここにそいつがいるのか? まったく、手間かけさせやがって、
しかし、さっきのは何だったんだ、いきなり上空にあれは、
いや、まあ、何かの演出だろ。・・・・・・仮に、あの竜に見えた何かが本物だったとしても、俺様には何の問題もないがな。
実際こうして中心に来てみても、それがいないのが何よりの証拠だ。ふん、びびらせ、いや、期待させやがって。
それで、こいつは一体どういう状況、
いや、見ればわかるな。
歩いて、その中心へ向かい、剣を抜く。
全く、いい状況だぜ、流石は俺様だな。何もしなくても、いや俺様の豪運が引き寄せてしまったらしい。こんな、簡単に活躍できる場。
「それじゃあ、お前ら、覚悟はできてるんだろうな、」
剣を向けて、たじろぐそいつら。
はっ、やっぱり雑魚どもじゃねーか、
よってたかってわらわらと、いい養分だぜ。
「な、お前、なにして「まさか、きさまも、そいつらの仲間「やはり、その頭のは、」
同じ方向を向いた四人の少女達に背を向けて、そのむさ苦しい野郎どもを見る。
くくく、なんてわかりやすい構図だ、
おら、そこの女ども。せいぜい俺様の活躍を伝えまわるんだな!
「というか、何なんだお前らはうざってえ、俺様の頭の見るなり絡んできやがって。これもエウスってやつの仕業かあ!?」
「な、きさま、エウス様のことを「やはり、敵か「この、『荒れ狂う暴風、疾ぶあれ、なにこ「やっちまえー!」
状況が、変わっていく。
たった一人、その男が来ただけで、
「・・・・・・く、ふっ、。——ああ。これが、勇者、か。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」
「・・・・・・かはは、なるほどなるほど。みくびっておったか。これは、なかなか面白い男じゃの、」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・あん? ——てかお前、よく見たらいつかの蛇女じゃねえか。変な言動で思い出しちまったぜ、」
「あー!? 誰が変な言動じゃ貴様!?」
「あ? そっちは事実だろ、せめて蛇呼ばわりの方にキレろよ、」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「それで、あん? あっちの、まともそうだった女はどうしたんだ? ——あれでも、こいつ一人よりはマシだったんだが、」
「まともそうって。いやまあ、一応そっちに、」
「ん? ああ、兄弟か? ・・・・・・正直、これ以上変な女が増えるのは勘弁なんだが、」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
「まいいや、そっちの怪我してる、うわひでぇな。ともかく嬢ちゃん連れて、下がってな、」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、、
何だこれ、
こんなの、狡いじゃないか。
そんな登場されたら、カッコイイに、決まってる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごほ。——ごほん、ごほんっ!!」
「あーー、みんな、すまないが、聞いてくれ。」
「どうやら、誤解させてしまったようだね。ボクはこちらいるお嬢様は、竜の中から出てきたと言ったのだけども、」
「そう、このあー、レディは、。竜に捕まって傷つき囚われていた、プリンセスだったのだよ、」
「その、あまり人目に晒すのも良くない状態だったからね。こっそり連れ帰るつもりだったのだけど、余計な大事にしてしまったらしい」
「みんな、本当にすまない!」
エウスが、頭を下げている。
何だこれ、全部誤解だった?
そんなので、この状況が収まる、
「え、なーんだ「あ、頭を上げてくれ、エウスさん「すまねえ、俺たちが勝手に勘違いしたせいで「そっちの嬢さんたちも怖い思いさせちまったな「よっ、にーちゃん、カッコよかったぜー!!」
「あ? 俺様? ・・・・・・ふんっ、当たり前だろ? ・・・・・・・・・・・・ところで、エウスって、」
「おっと、長くなりそうかい? すまないが、ボクらは早く、休息が必要でね。賞賛は、そちらの勇気ある彼に、頼むよ、」
「あ、あー? ・・・・・・・・・・・・ま、いっか、」
「ほら、キミたちも、来るだろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、、」
「・・・・・・そう、じゃの。ほれ、」
「あ、おう」
「・・・・・・そう言いつつ、動いてないのじゃが、」
「いやなんか、今度は逆に、ここから目が離せなくて、」
「む、ああ、そういうことじゃったのか。・・・・・・だとしたら、これ上手く使えばセシィは、、いや、まだ、それは後。じゃの」
華やかな会場の裏の裏。
暗くて汚い地下の部屋、そこに似合わぬ四人の少女、まあ外見だけならが揃う。
俺が居なけりゃ、完璧なんだけどな、
「・・・・・・けほっ、、と、おっと、すまないね。ここ少し、埃っぽいかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」
マキナ、エウス、
改めて、その子たちと視線を合わせる。
この状況、なんだ、何かどこか、
「・・・・・・ふむ。それじゃあ改めて聞きたいのじゃが。結局、貴様ら、何がしたいんじゃ?」
「うん? ボクは語った通り、世界を劇場にしたいだけさ、」
「いや我は知らんが、」
「あれ、おかしいな、国中に向けて発信したはずだったんだけどね」
狭くて、息苦しい地下の部屋。
だけどもっともっと悍ましい、いくつかの扉。
何でこんな場所、残って、
「・・・・・・ま、いいか。じゃマキナ、貴様はなにを、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」
「・・・・・・おやおや。まだ、だんまりかい? 頑なだね。次の支度もあるんだ、あんまりゆっくりしたくも・・・・・・ってあ、」
マキナ、死んでない方が奇跡な状態の彼女を見る。
カヒューカヒューとか細い呼吸音が、確かに生きていることを感じさせ、
「喉の管が外れているね。ふむ、自分で治す気力もないか。ほらよっと、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、」
「ああ、喋れるかい?」
それ以上に、確かに感じる眼光が、彼女の意思を伝えてくれる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オマエ、なに、考えて、」
「オマエ、だなんて、他人行儀だねえボク。いつも通りさ、わかるだろう?」
「・・・・・・チッ、エウス。こんな、場所まで、来て。・・・・・・何が、狙いだ、」
「ありゃ、本当にわからないのかい? おかしいな、ボク、まあいいさ。別に、やはりボクは、良い演出家だったなってだけさ、」
二人、いや、会話、か?
ともかく、そうだ。俺は、あの子に、
「・・・・・・で、目的は、なんじゃったのか、」
「・・・・・・——っ、目的。そう、だ、エウスッ。こいつだけは、ここで、止めないとっ、」
「おや、どうしたんだい? 始めたのはそっちだろうに、、」
「んー、というか貴様ら、知り合い、いやもっとなんか、なんじゃ?」
そうだ、知り合いなんてものじゃない。
だって、あの子は、そう、
「ま、ともかく、止めるってなんじゃ?」
「・・・・・・こいつは、世界中で、今日と同じことをやる気だ、」
「今日と同じ、じゃ? それってつまり、お祭りー」
「おや、別に適宜変えるさ。その日その場所その登場人物によって。まあ目指すものは、確かに同じかもしれないけどね、」
・・・・・・話が、頭に入ってこない。
なんだ、世界中で、今日と同じこと?
今日あったことなんて、俺が目覚めて、国中はちゃめちゃになって、あの子も傷ついて、大変なことばっかりだったと思うけど、
「そう。それは、改善点がありそうだね。ボクは演出家として、突貫工事だったからねぇ、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、」
「あははは、ごほっ、はは。前々から準備していたのは良かったけれど、舞台上ではもっと、スマートに行きたいところだよ、」
結局、何が、したいのか。
わからない、情けない、何をやっているんだろう。
あの子は、そう、ずっと、
「それで、ボクが何したかったのか。この口から語って、良いのかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふん、好きにしろ。だが、覚えておけ。こいつは、それと同じことを、別の場所でもやろうとしてる、」
「おお、やっと本題か。にしても、さっきから何か、貴様ら、」
目が合う。
不思議と、どの目も、こちらを向いてる気がする。
どれも本物ではない瞳だとしても、
「ま、簡単にいうと、ボクは、この国を滅ぼしたかったのさ、」
「・・・・・・ふむふむ。——あー、おー、えー、はっきり言うのー、」
思わず、その顔を見る。
どこか恥ずかしいような、どこか居た堪れないような、どこか堂々とした、その顔。
ああ、そうか。本気で、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふんっ、」
確かに、それも、しょうがない、か。
「・・・・・・だが、少なくとも、シブンは、こいつのように、変な事は考えていない。処分するなら、こっちを先にするのを、勧めるぞ、」
「酷いことを言うねえ? ボクは。別にただ、もっと広げようとしてるだけ、なのに、」
「それに、特に、理由もないんだろ。この精神破綻者、」
「ブーメラン、ですらないね、けはっ。・・・・・・それに、求めるものなら、あるさ、」
遠くを、いやどこを、見ているんだ、
俺じゃない、その奥、一つの扉。
いや、もっと、抽象的な、
「んー? さっきから、何を言ってるんじゃ??」
「おや失礼、マドモワゼル。・・・・・・そういえば、そちらの、・・・・・・けふっ、誰かには、伝わって、」
「・・・・・・・・・・・・誰か? なに、言って、」
「ふふっ。しかしそもそも、そっちでどうやって知り合ったのか。先に合ったのはこっちだって言うのに、」
「ふん。そっちが、胡散臭いおかげで、楽に説得して、引き込めた、」
「む、胡散臭いとは失敬な。ボクはこんなにも、誠実に接しているというのに、」
「・・・・・・あー、何を言っているのかはわからんが、それが冗談だと言うのはわかるの、」
「ごふぁ??」
「・・・・・・はは、くさ、」
「——っ、と、失礼。しかし、あまりダラダラと時間を使うのも、飽きられてしまうよ。まだ優勝者も、決めてないって言うのに、」
「・・・・・・・・・・・・まだ、そんなこと言っている、のか? まあいい、ジブンも、。いや、どうする」
「んー、これは、そうじゃのー、」
視線が集まる。
今度こそ、全て。
なんで、俺に、何を、いや、
なにが、できる。
「貴様は、どうする?」