情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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108話

 

「・・・・・・・・・・・・ッ、ゴホッ、ゴホッ、」

 

 静かな部屋、視線が、俺の方を向いている。

 

「おや、喉のまで破損していたのかい?」

「・・・・・・、・・・・・・・・・・・・、、」

「全く、しょうがないな。『創造』っと、」

 

 異質な、どこかで聞いた音。

 破損していた機械が一人でに動き出し、元の形状に、僅かに縮んで組み上がる。

 

「・・・・・・む、今のって、」

「まあ、便利な小技ですよ。というかボクも、そのくらいだったら一人で治せないのかい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちっ、やはり、使えたか、」

「・・・・・・貴様ら、うむー・・・・・・? どういう事、じゃ??」

 

 何だ、選択、俺が?

 そもそも、何を、選べばいい、

 

「・・・・・・聞いただろ、こいつは、危険人物、いや人ですらないかもな。ここで、やっておいた方が、」

「そっちこそ、色々やったくせに。わざわざ攻め込む理由作るために、こっちの邪魔なのに毒盛ったりしたりさ、」

「何故、それを、知っている。という事は、止めたのか、わざわざ、」

「いや? 観客席で倒れられると興醒めだから、裏で処理してもらったけど。ああそれに、勝手に彼を使ったせいで、彼女を怒らせてしまったねえ、」

 

 まああれが彼女の体を狙っていたからね、ボディーガードとしては、どのみち早かれやってたと思うよ。

 

 なんて、なんて事のないように話す、エウス。

 なんだ、これ。処理? だれか、死んでいるのか?

 それをこんな、世間話でもする風に。マキナの言う通り、こんなにも、壊れて、

 

「・・・・・・あの壁、壊したのも、」

「あ、そうじゃ、確かエウスがやったんじゃろ。その後も含めて、面倒じゃったんだが、」

「まあどうせそのうち、壊れる予定だったろうし? あれは元々、国を二分して、対立を深めた後に、一気に放出して崩壊させるための仕掛けだったんだから、」

「・・・・・・・・・・・・まあ、材料集める方が、メインだったが、」

「いやいやどうせ、少しでも醜く死んでくれれば良いなんて思ってただけでしょ。ボクは、向こうのとか関係なく、この町嫌いだもんね」

 

 嘘、だ、

 マキナを、見る。

 彼女は、顔を背ける事すらせず、

 いやそもそも、そんな動作すらできないのか。だとしたら、でも、

 

「それは、なるほど。というか貴様らそれ、混乱するんじゃが、」

「すまないね。それで、結論は出たかい? キミは、どうしたいのか、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ。不服だが、この場で一番力を持っているのは、オマエだろ。どうするん、だ、」

「ん、え、あ、けふっ。・・・・・・確かに一応そうなるのか、ボクは準決勝までだったし、」

「あー、まー、じゃーー、あーーー、我も、一応そうじゃのー・・・・・・、」

 

 それは、俺じゃなくて、

 というか、え、セシィちゃん?

 そうなの、流石だ、じゃなくて、

 は、俺に、何をさせようと、している、。

 

「ところで貴様、ちゃんとこの状況わかっているのか?」

「っ、え、ああ、」

「ふむ。貴様が先程、セシィの身をもって助けようとした相手は、なんか核とか持ち出したやべー奴なのじゃが、」

「・・・・・・・・・・・・ん、」

「あははは、かひゅ、そうだねえ、」

「そしてついでに、ここでそれ笑ってるこいつも、同じくらいやべー奴らしいのじゃが、」

「・・・・・・・・・・・・間違いない、な、」

「おや、心外だねえ。でもボクに言われちゃ、お終いかな?」

 

 そんな、事、言われたって、

 ああ、わかっていた。でも、だからと言って、じゃあ、あの状況で何もしないのが、正解だって言うのか。

 

「いや、あれは良かったよ、いい展開だった。その後に全部、持っていかれちゃったけどね、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、このまま、こいつのヤバさが、伝わらないよりはな、」

「・・・・・・まっ、結果的に、の、」

 

 なんで、この彼女たちは、こんなにも、俺のことを肯定する。

 自分なんて、ただの優柔不断で、自分の行動に責任も取れない、へばりついた亡霊なのに、

 

「・・・・・・はぁ。で、貴様ら、我らが何もしなかったらどうするんじゃ?」

「・・・・・・・・・・・・まあ、今更だ。差し違えてでも、やっておくか、」

「別に、何も? ボクは放っといても色々準備してくれるってわかったからね。特に、変わりはしないさ、」

「だ、そうじゃ、」

 

 それを俺に聞かせて、どうしろと、

 

「ま、このまま何もしなけりゃ、どっちも死ぬか、どっちも死なぬか、それとも関係ない奴が大勢死ぬか。ちなみに、我も正直どっちでも良いが・・・・・・、」

「大勢死ぬだなんて。まあでも、そうそうならないさ。今日だってこうして、起きるはずだった内乱をお祭りという形で昇華させたんだよ? みんなまとめて心から騒げば、想いも一つにまとまるさ」

「・・・・・・せめて、場合によっては起こす気がある事を、隠すんだな、」

「それは、くすっ、展開次第だし?」

 

 ・・・・・・やっぱりエウスは、ヤバい奴な気がする。

 

「おっと、こほ、それは・・・・・・。いや、それを言ったら、こっちのボクの方が、よっぽどでしょ、」

「・・・・・・・・・・・・ふん。好きに言うが良いさ、」

「こっちの、普通に町中で核使おうとしたんだよ?」

「それは、というか、止めたのに、オマエが勝手に撃っただろ、」

「まあ、そのほうが、劇的だったし? ほら、対処出来るタイミングで使わせたほうがいいっていうか、そもそも作る方が悪い!」

 

 ・・・・・・・・・・・・やっぱり、エウスが、ヤバい奴な気がする。

 

「げほっ、あれぇ?」

「・・・・・・・・・・・・ふっ、」

「いやいや、それは、外見のせいで、甘く見ているだろう? 確かに外観は、観客に心情移入させるのにおいて、重要なファクターだけども。別に本来なら、普通に体も戻せてたはずなんだからね」

「・・・・・・・・・・・・だとしても、オマエのヤバさには、変わりないがな、」

 

 ・・・・・・え、元に、戻せてたって、

 

「ああそうさ、創造。本来なら、そこらの肉片を組み合わせ、体の一つや二つ、簡単に作り直せるはずだった、」

「・・・・・・・・・・・・あれを簡単になど、。ふんっ、そんなもの、使うくらいなら、」

「いいや違うね。現にこうして、一つ作ったんだから。でもボクは、それを自分の体でしなかった。何故だかわかるかい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

「ワタシこそが、本来の、エウスマキナ。いや、名もない少女だった、はずなのだからね。無口で感情に乏しいそこのボクは、逃避で産まれた果てさ、」

 

 二つ、一人の、少女を見る。

 片やキラキラと輝いた、傷一つない完璧な王子様、

 片や薄汚れ、傷ついていない部分などない、肺の中のお姫様。

 

 それでも、ああ、確かに、

 面影は、消せるものではないの、かもしれない。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、ボ、ジブン、は、」

「ふふ、怖かったんだろう? 元の綺麗な体に戻ったら、その体のせいで産まれたジブンはどうなってしまうのか。消えたのか、統合したのか、はたまた、まあいいさ。結果としてこうしてワタシは、自由に生きているのだから、」

 

「それに! 会ったとして、気づいてもらえなかったら、見てもらえなかったら!! そう他ならぬか、ゲホッ、ゴホッ、ゴポッ!?」

 

 そして、突然エウスが口から血を吐きだし、

 は?

 なんだこれ、待ってくれ、理解しきれな、

 

「——っ、興奮しすぎたか。・・・・・・・・・・・・けほっ、こほっ、」

「え、な、大丈夫か!?」

 

 それは、赤黒く、口を噛み切ったとかでは決して出ない粘着質で大量の、

 

「・・・・・・なんてね。どうだい、キミ。ワタシの方も負傷者にした事で、対等に判断できたかな?」

「っ、な、なにいって、」

「おっと、あはは、これはあくまで演技だよ。ワタシを、誰だと思っているんだい?」

 

 っ、そんな、そこまでして、何を、

 

「ああ、しかし、そろそろ時間だな。次の準備をしなくては、結論は、またの機会にしよう、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、待て、」

「あは、はぁ。ふぅ、それじゃあ、またね、」

 

 そして、くるりと、気づいた時には、扉の中にいた。

 え? 部屋の外ではなく、近くにあった小部屋、、か細い呼吸音と、ベシャリと倒れる音がする、

 

 ————っと、核を一人で抑え込んだのは、やり過ぎたかな。でもあそこで撃たせた方が安全だったし、

 

「っ、なに、して、」

「・・・・・・・・・・・・ちっ、消えた、か、」

「え?」

「ふむ、ん? ここ、匂いが、ああなるほどじゃ、」

「なに、」

 

 ————しょうがない、あれに変えるとしよう。なに、どうせ元々、その予定だったさ。

 

 なんだ、これ。

 聞こえて、ないのか?

 ・・・・・・どうしよう。言ったほうが、でもわざわざ、

 

「・・・・・・・・・・・・で、オマエ、」

「あ、ああ、なに、」

「ジブンの、いや、もういいか。ボクのこと、殺すの、か?」

 

 っ、は? なに、言って、

 

「今なら、抵抗も、。いや、万全でも、どのみち無駄か、」

 

 いや、待て、何でそんな、諦めた目を、

 

「だが、せめて、約束してくれ。ボクの後は、あれも。ボクが生み出してしまった、怪物を。一緒に、殺して、くれ、」

 

 そんな、こと、

 それに、怪物、だなんて、

 

 ————ふふ、ああ、これも、キミの夢だったね。どうかな、似合うと、良いけれど、

 

 気の抜けた、少女の声。

 ああ、これが、彼女の本来の姿、なんだろう。

 

「あれは、勝手に、言っていたが、。どうせあっちも、元から分離した、狂った何かだ。元はとっくに、死んでいる。だから、」

 

 わからなかった、でも、知ってしまった。

 そしたら、例え、どんなにその行動がチグハグに不気味に見えたって。

 殺すことなんて、絶対に、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理、だ、」

「っ、それ、は。・・・・・・・・・・・・そう、か。しょうが、ない。こちらはもう、報酬も、用意できないし、な」

「違うっ、そんなことじゃ、なくて、」

「なら、一思いに、やると良い。その後は、ま、精々早く、この国から離れること、だな、」

「・・・・・・・・・・・・っ、だから、できるわけ、ないだろ!?」

 

 なんなんだ!

 どいつもこいつも、自分のことを、何だと思っているんだ。

 そんな、自暴自棄に、死のうとするなんて、絶対に、

 

「・・・・・・貴様が、それを言うのか、じゃ。」

「・・・・・・・・・・・・は?」

「いや、いい。その言葉、覚えておけよ、」

「なに、今そんなこと、」

「ふん。別にこいつは、自殺しようとしてるわけではないだろ? 貴様が殺さんと言うのであれば、それで終わりじゃ、」

「でも、だが、そんな、。それ以上に、この考えが、」

「いやほんと覚えとけよ、じゃ。それに、ふふ、見えてきたぞ、道筋が、」

 

「待っておれよ、セシィ。我が全て、解決してやろうじゃ!」

 

 

 

 

 

 ————ところで、あー、いつまで、ここで話してるんだろ、、。始められな、ゴホッ? そろそろ、キツくなって、ぎゅぴ〜。あっ、意識が、けふっ、たすけてー、ゆー、。

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