情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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109話

 

 ・・・・・・特に理由は語らないけども、早急に地下から外に出て光の中へ。

 まだ表は騒がしい。そうだまだ、祭りは何も終わっていない。

 

「・・・・・・あれ? マキナは、」

「ふっふっふっー、ここじゃ♪」

 

 何故か楽しげで自慢げに掲げられた鞄、その中を覗き込む。

 

「・・・・・・・・・・・・はぁ、何だ、ここ、」

「うわっ、四次元、」

「・・・・・・どちらかというと、バッグ、だから、いや何でも良いが、」

 

 これは、セシィちゃんの?

 こんなものまで作っていたのか、誰もが夢見るやつじゃないか、やっぱ凄いなー・・・・・・、

 

「え、何でこんなとこに?」

「放っといても、一人じゃ動けんじゃったろうしない。それにこいつには、やってもらう事がある、」

 

 よくわからんが、そんな物みたいに、

 いやでも、あの状態で生身で連れ出すよりはマシなのか?

 

「さてと、随分と回り道してしまったが、とりあえずレリアでも探すかの」

「あ、ああ。そうですね」

「それに、あやつもいた方が、恐らく、」

 

 なら早速、ってあ、こっち方向に体が向かない。

 これはさっきと同じ、避けてるの? いや、これは・・・・・・、

 

「勇者・・・・・・、あ、そうだ」

「む、どうしたんじゃ?」

「思い、だした!」

 

 思わず懐をまさぐって、いや変な事はしないが、もしこれが大きかったらやばかったって、うん。色々とすまん。

 取り出したのは、一冊の小さな、手帳。

 

「ん、それは確か・・・・・・、」

「そう、ここに確か。セシィちゃんから伝言があった、はず!」

「はぁ!? 何でそんな大事なこと忘れとったんじゃ?!!」

「いやなんか本当に、一切思い出せなかったんですよ!!?」

 

 えっとこれ、一ページ目、『アレンと僕——パタンッ、

 

 う、うん、見なかった事にしよう。

 なんてとこに伝言残してるんだあの子!?

 どおりで思い出せなかったわけだ、いやそんなところに大事なこと書くな!?!?

 

「で、何書いてあったんじゃ!?」

「え、あーっと最後のページかな?」

「これは?」

「ん? 日本語だな。それじゃあ、読み上げますね、」

 

 と言っても、書いてある事は殆どない、

 きっと、最後の限界ギリギリ、朦朧とした意識の中で書き残した物だろう。・・・・・・でなけりゃ、こんな大事な物に書き込むか、

 なら何か、重要な、この状況を解決するための手掛かり。

 元に戻すために必要な事とかが・・・・・・・・・・・・・・・・・・、

 

 

 ——手紙には、ただ一文、こう書かれていた。

 

 

 ————自由に生きて

 

 

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

 ・・・・・・なんだよ、それ、

 

 なにが、なんで、どうして、こんなもの、

 

 もっと、他に、、いやそもそも、なぜ、俺に、こんな、言葉、。

 

「・・・・・・なんて、言ったんじゃ?」

「・・・・・・・・・・・・、だから、[自由に生きて]って、」

「ふむ?? それは、なんじゃ?」

 

 わからない、そんなの、俺が聞きたいくらいだ。

 何を思って、そんな、あの子はこれを残したんだ。

 

「いや、そうじゃ、・・・・・・ふむ。ちょっとそれ、書き直してみろ、」

「え? 書き直すって、」

 

 何故、そんな事、

 いや何か、俺にはわからない、暗号のような物なのか、、

 そうだ、あの子がこんなもの、俺に残すわけがない。何かきっと、隠された意味があるはずだ、。

 だとしたら、こっちの書き方で——、

 

「ああ、なるほど。じゃあ読んでみろ、」

「はい。自由に、生きてって・・・・・・。何か、わかりました、か?」

「いや、まあ、そうじゃの。しかし、セシィの意志は伝わった、」

 

 やっぱり、なにか、あったのか?

 良かった、だってこんなの、ありえないだろ。

 だってそれを、一番望んでいたのは、

 

「で、なんて、」

「んー、まあ。貴様も、あと百回くらい読めば、少しはわかるかもの、」

「えっ、そういう感じ? ——えっと、自由に生きて、じ、ゆー、に、んー、どこが暗号、」

「余計な事は考えるなーじゃ、」

 

 ——えっ、じゃあ自由に自由に・・・・・・・・・・・・、・

 

 

 

 

 

 ・・・・・・さてと、セシィからの最後の言葉、

 いや我にとっての最後の言葉は、別じゃがの。

 そもそも最後も何も、別にちょっと今話ができないってだけで、すぐにまたいくらでも話せるしの!

 

 だが、その前に、そのためには、

 

「自由に、イキナ? 自由に、生きろ??」

 

 このアホを、どうにかせんとの、

 何度も何度も馬鹿みたいに、同じじゃなく繰り返す。大人しく真っ直ぐ受け取れば良いのに。本当にダメダメなやつじゃ。

 

 セシィの伝言、そこに含まれた暗号、

 ——なんてものは、当然ない。

 裏なんて一切ない純粋な言葉。

 

 ま、完全に何も疑わず素直に受け入れられても、それはそれでか、

 

「しかし、何じゃったんだろうな、」

 

 書かれた見覚えのない文字、読み上げられた聞き覚えのない言葉。・・・・・・いや、どこかで聞いたこともあるような?

 そもそもこいつは誰、どこか異国の、それとも、

 ああ名前くらい、覚えておいても良かったか。

 

「・・・・・・ふむ。貴様、」

「ジユウニイキロ、十二キロ? はっ! これか!?」

「ばーか♪」

「ええ!?」

 

 ま、後でいいか。

 何せ、くふふ、

 まあどちらにせよ、早く準備しなきゃの。

 

「ジユウニイキテ、銃に行きて! そうだ、あっちの町に!!」

「はい後もう百回。言ってろじゃ、」

「くそっ、これも違うのか!?」

 

 ・・・・・・・・・・・・しかし、ここまで来ると、もはや哀れというか、

 セシィも、もうちょっと、いやまあ。

 それは改めて、本人の口から言ってもらうかの。

 

 

 

「ジユウニ、ジユウニ、」

「レリアー、レリア〜、いないのー、」

 

 町の中を探し回る。

 むう、匂いはするのじゃが、入れ違いにでもなったかの、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なあ、」

「お? なんじゃ、マキナ、」

 

 カバンに開けた隙間から、声が聞こえてくる。

 音くらいは聞こえるようにしてやったが、まあ首だけ出すのはあまりにも、目立ってしまうからの。

 それにそんな状態でお世話するのは、手のかかる妹くらいで十分じゃ、

 

「・・・・・・いつまで、ここに、いるつもりだ、」

「んー、とりあえず、このアホをどうにかするまではかのー、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、か」

 

 なんじゃ、元気ないのー、プリンでも食うかって、

 ああそういや、前から生身がある事は匂いでわかっていたが、本当よくこの状態で食事できたの。

 まあプリンならむしろ、マシな方か。あれは、プルプルしてておいしーしのー、

 

「ま、大人しく休んでることじゃの。そしたら、後で差し入れしてやろう、」

「・・・・・・・・・・・・別に。・・・・・・・・・・・・・・・・・・今、どれくらいだ、外は、」

「ん? 何か用事でもあったのかの。まあ我が身を真似た使用料ということで、ちょっと付き合うのじゃ」

「はあ。・・・・・・なに、言って、」

 

 そうじゃの。

 別にあんな真似事、どうでもいいか。

 手本になったのが我じゃないなら、どんな風に扱おうが、

 

「自由に生きて、いや、待てよ? こっちが暗号だとしたら、何で最初に日本語に。とすると、二つを照らし合わせて、自由に、[自由に生きて、ジユウニイキテ]」

「ああ、また変なこと言いだしたのじゃ、」

「・・・・・・なに、やって、、ん? 待て、それ、さっき、何言って、」

 

 ほれその、よくわかんない言葉はやめるのじゃー、

 

「・・・・・・よく、わかんない、——っ!」

「[自由に、ん、え]あ、ん?」

「・・・・・・なん、で、オマエ、それ、」

 

 む? 何故マキナが反応して、

 

「それ、は、彼、の。あの人の、言葉だったはずだ! ・・・・・・何で、オマエが、それを知って、」

「えっ、な、なにが!?」

 

 おーー?

 同郷、かの??

 そんなに驚くことか? 確か、ニホンとか何とか、これが地名かの。

 まあ確かに、聞き覚えはないが、

 

 もしくは、もっと何か、根本的な、じゃ?

 

「えっと、その、あの人ってのは、」

「・・・・・・・・・・・・っ、、。・・・・・・・・・・・・いや、いい。全て、今更だ。」

「よくわかんないけど、そんな自分を抑えなくても。もっと、こう、ああそうだ、」

 

 ————自由に生きて、

 

「そうしても、少しくらい、バチは当たらないんじゃないかって、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅ、、」

 

 

 ・・・・・・・・・・・・ふむ。

 全く、何回言った?

 ようやく、ちゃんとした意味で、口にしたかの。

 しかし結局のところ、理解しなけりゃ、意味がないんじゃ。

 

 わかった、わかってしまった。

 セシィがあんなにも、簡単に全てを諦めたのは、こいつのせいじゃ。

 こいつが、このセシィの大事な人らしい人間が、おんなじこと考えてるから、あの子も、

 

 だからまず、こいつにも、その思考を捨ててもらう!

 そうすれば、自ずとセシィも同じ思考を持てるようになるはず、じゃ、

 しかしまあ、そこまで行くのが、死ぬほど面倒臭いんじゃがの。

 

 はぁ、全く、こいつも、セシィも、本当に、おばかさんなんじゃから。

 どうしてこんなにも似てしまったのか、まるで、

 

「ジユウニ、ジユウニ、」

「・・・・・・ジユウニ、ジユウニ、」

「ってそこ! なにバカを広めてるんじゃ!?」

 

 まったく、本当に困ったやつらじゃ、の〜。

 

 

 

 

 

 暗い、地下室。

 ここは、ボクが、ワタシが、産まれた場所。

 

「よっと、ふう。問題ないね、」

 

 どうしてここを選んだのか、どうしてここを残したのか、

 だってここは、ワタシにとって、大切な場所だから。

 

「さてと、それじゃあ、名残惜しいながらも終わりの、、いいや、また新たな開幕だね」

 

 もう一つのボクがどうかは知らないけれど、ここはワタシにとって、始まりの地さ、

 キミと出会った、思い出の舞台。

 

「ああでも、どれだけ過去に恋焦がれても、ボクらは先に進まないといけないのさ! 時計の針は戻らない、それこそが、劇場だろう!!」

 

 お別れさ、寂しいねぇ、でもまたあってみせるさ。

 なにせ、そのために、

 あはは、いやはや、これは少し、まあでもそれも一つのキャラクターだろう?

 

「それでは——、こほん。ええ、みなさまに、お伝えしたい事が、」

 

 ——これより最後の舞台が幕開けです。

 

 ————どれだけ素敵な時間もいつかは終わるもの、それじゃあ最後まで、自由に、命をかけて、

 

 楽しんで!!

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