情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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110話

 

 声が、聞こえる。

 ああ、やっぱり、あの子はまだ、

 

「今度は、なにを、」

「ん、なんじゃ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

 

 アナウンス。

 国中に否応なく広がるそれは、開戦の合図だ。

 誰が、何と、

 

「っ、光? なに、いやこれは!」

「む、あれは・・・・・・。我、じゃ?」

 

 中央闘技場の上、大きく大きく、嫌でも目立つ出現したもの、

 平面で、いや見やすいようわざと少し湾曲させた、少しだけ後ろが透けて何かを映し出すそれは。

 

「スクリーン、巨大な空間投影!?」

「おお! どこから見てるのじゃ、こっちかーー?」

 

 ぴょんぴょんと、目の前の少女の姿が跳び跳ねて、そして大きな画面にその様子がリアルタイムで映し出されている。

 カメラ? いやでもそんなもの、一体どこに、

 それ以上に、なんでこんなこと、、

 

 ————こちらが、現在の得点上位者四名です。これより最終評価、最後のアピールタイムですよ! 最も多く、大きく、ミセつけたものが優勝者。ぜひ、ご注目ください!!

 

 四、映し出された画面の数。

 一つはすぐ隣、一つはどこか見たことのない暗い場所、一つはたった今声を上げている会場中央、一つは、

 

「あ、レリアじゃ!」

「えっと、あの人が、」

 

 どこだろう、わからないが、国の中なのは確かか?

 とはいえ土地勘もない、闇雲で探せるものでもないが、

 

「む、周りに人間が、」

「っ、これは、まずいんじゃ、ないですか?」

 

 ただ一つ、特徴を挙げるとするならば。

 彼女は、最も暴動の激しい場所にいた、

 

 

 

 

 

「ちょっと、あーもう、大人しくしなさいよ!」

 

 人の多い、うるさい場所。

 

「な、なんださっきの竜は「得点保持者だ、やれ「ひぃ、世界の終わりだぁ「こいつを集めりゃ、俺らでも上に「逃げろ、こんな国にいられるか、俺は外に「くそっ、そもそもこんな事になったのも、全部あいつの「会長の指示はまだか、一体どうすれば「やれ、やっちまぇー!」

 

 何かしらこれ、情報が錯綜してるわねぇ、

 取り敢えず、一番騒ぎの大きな場所から来てみたけれど、やめときゃ良かったかしら。

 破れた結界はなんとか張り直せたとはいえ、流石に疲れたわ、。というか、何連勤中よワタクシ。

 

「そもそも、ここはどこなのよ、」

 

 いかにも治安の悪そうな、人目の入りずらい裏路地。

 どこにでも、こういう場所はあるものねえ。どうしたら綺麗にできるのか、為政者として頭が痛いわぁ。

 わざわざこんなところに来るなんて、常人なら常識を疑うわねぇっと、

 

「でも一応、ワタクシには無関係ってわけでもないのよね。ほら、わかったならあなた達、ちょっとは落ち着きなさーい!」

 

 堪えきれず、飛び出してきた馬鹿どもを殴り倒し——、

 たら、また同じ事になるわよねえ。しょうがないから、

 

「『安聖に!』 どうよ、新開発よ♪」

 

 柔らかに、安らかに、昏倒させる。

 なーんでこんな面倒臭いこと、気絶させるのと変わりないし、そもそも根本的には同じ手順で黙らせてるし、

 

 でもほら、こういう方法取った方が、混乱を収めるには効率的なんでしょう。ふふん、私は学習する女よ、

 ・・・・・・まあ別に、あの女の技とか、参考にしたわけではないですけどぉ?

 

「な、あいつ「あんな簡単に、事も無げに「殺りやがった!!「やはり頭のアレは「くそ、負けてられるか!?「やっちまえーー!!」

 

 ・・・・・・って、あらあ?

 

 ・・・・・・・・・・・・あーー、これは、元にした技術が悪かったのよきっとそう、

 

 もー、だったら最初から問答無用でやってあれば良かったわ。

 無駄にした、そんな余裕ないってのに、

 

「『執光!!』」

 

「ぐわーっ!?」

「なに、見えねぇっ「くっ、だがまだ「これほどの魔術、しかし後ろには「なるほど、ひひ、」

 

 聖なる、いえ特にそんなものもない単純な魔術の光が、目の前の男を昏倒させて、

 あら? おかしいわね、まとめてやるつもりだったのだけど、防壁でも使ってたかしら、

 

 いや、そうだとしてもそれにすら気付けなかった、私の消耗のせいね。

 はあ、いっそ全員無差別なら何も考えずに楽なのだけど。一応巻き込まれただけの人もいるし、他に見られてたらまた面倒だし、

 

 まあ別に周囲に人の目もないけれど? まさか上から監視されて他の人に見られてるわけもないでしょうし、ん?

 ・・・・・・しょうがないわね、向かってきた奴から、

 

「おらっ、お前から行け!」

 

「は? っ、ちょっと!」

 

 いの一番に私の元に向かってきた勇敢なのは、健康状態の悪い、子供。

 運悪く巻き込まれたここの住人か、はたまた意外と強かに機会でも伺ってた選手か、それともまさかそいつの所有物か。

 どちらにせよ、気分にいいものじゃないわねぇ、

 

「だとしても、その程度で、」

 

「お、怯んだぞ「目の前に壁があると後ろまで「それに次に打つまで時間が「はは、この機会を逃すな!「『爆ぜろ「『貫け「『刻め」

 

「このっ、まとめてやるつもり!?」

 

 不味いわね、位置関係。

 向かってくる子供、そこに放たれる魔法、

 今から全員潰す、間に合わないわねぇ、それに既に構えられた魔法の暴発も怖いわ。

 しょうがないから一旦抑えて、

 

「『聖壁、』」「『火炎弾「『雷鳴砲「『氷刃撃』」

 

「ふふ、このてい『風『土『爆『刺『水『重』

 

「あ、ちょっ『『『『『『『』』』』』』』

 

 お、思ったより、多いわねぇ??

 あ、そういやここの人たちって、みんな最低限の魔法程度は使えるんでしたっけ。ここの民衆、無駄に魔力あるやつ多すぎなのよ。

 その上ここは特別治安が悪いから、攻撃的な使い方も手慣れてるのかしらなんて、

 

 あらら、魔力の多さなんて技術に比べれば気休めにもならない要素だけども、

 流石にこう、塵も重なれば、いえ、

 私が万全だったら、なんの問題もないんですけどぉ!?

 

「だから、あーもうっ、あなたも大人しく守られてなさい!?」

 

 懐に、入ってきた子供を見る。

 手には凶器、持たされたのか、持ってきたのか、

 おろおろと、あら誰か見たわね、やっぱり命令されてるのかしら。おまえ顔覚えたわよ?

 

 でも流石にちょっと、これ以上要素が増えたら、きついかしらーって、

 

 ————パキッ、

 

「・・・・・・・・・・・・いえ。なんの問題もないわ。あなた程度がどうしようとね。だから、大人しく、自分のことだけ考えてればいいのよ?」

 

 うふふ、賢い子。

 そう、今ワタクシやったらまとめて攻撃受けますわよね? だから、

 でも別に、私にとってはこの程度、何の問題もないわよ。子供が、変な気つかってんじゃないわよって、

 

 ————バキッ、

 

「っ、この、『まだまだぁーー!!」

 

「なっ、これだけの「くそっ、化け物か「だが押せてる、もっと「何をしてる、早くそいつを、「なにしてるのー?」

 

 

 ————————バキッバキッバギッ‼︎

 

 

 壁が、壊れて、

 いやそれだけでこんな派手な音はしないわね。なにか、同時に、

 あら? 先頭の人たちが倒れて、いったい何が、

 

 

「ねえみんなー? こんなところで、どうしたの〜」

 

 

 目立つ声。

 ・・・・・・あら。いったい何してたのかしらって、

 

「え、いや、なんか他の人倒してる危険人物を、「お、おれは、騒ぎを収めようと「僕は他の人が怪我しないよう見てて「私は、今からでも勝利をあなたに「は? お前、なに勝手にあの子に向かって「なんだ貴様こそ、いったいあの人どんな関係を、」

 

「んー、よくわかんないけど〜。みんな仲良く、だよー?」

 

「「「「「はいっ! メートちゃん!!」」」」」

 

 一括、決して大きくないその声に、全員が反応する。

 って、全員!? うそぉ、どれだけ根回しして、いやそれともこの場で取り込んで?

 

 ・・・・・・いやよく見れば、特別人相が悪そうな一部は、既に倒れて? いえそれよりも、どういうつもりでしょう。

 なんでこの場所に、そもそもなにが目的で、

 ・・・・・・・・・・・・あ、そういや確か、なんか決勝にこだわってたかしら?

 多分そのせいで、この子の騎士様に襲われたような、それでこの状況。

 

 目が合う。

 

 逸らされた。

 ・・・・・・・・・・・・そういや確か、最後に会った時、思いっきり煽り倒したかしら、

 

 あらどうしましょう。今のでちょっと、体力使い果たしそうなんですけども。

 烏合の衆とはいえまとめられれば、それにそもそも彼女一人にすら、

 

 ええっとー、これは不味いのでは・・・・・・、

 

「あっそうだ〜。あっちでもー、困ってたひとが、」

「「「「「はい! 今すぐにでも!!」」」」」

「あ、うん。えへへ〜、じゃあ行こー、」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・あら?

 

 こっちをまた見ることすらなく、行っちゃったわねえ。

 

 襲っては、こないにしても、

 てっきり、最後にこの状況見て笑ってくるくらいはすると思ってたのに、、

 

 ・・・・・・・・・・・・はっ! いやむしろ、何もない方がこう余裕な感じというか、負けた気になるわね!?

 そこまで考えて、メート、やはり恐ろしい相手だわぁ。

 

 ふふっ、いいわ、今は負けを認めてあげる。

 でも覚えておくことね、次こそは、私が完全に勝つわよ!!

 

 

 

 

 

「メートちゃん、俺の活躍は見て、」

「うん。すごかったねー、」

「それで、今は、どういう状態で、」

「えっとねー、確かー、」

 

 ————————ピコンッ、

 

「え? メートさん。その、頭の、」

「ん? あれ〜〜??」

「王冠!? なんであなたに?!」

「・・・・・・ほえー? んしょ、んしょ、ん、とれな〜い、」

「はぅ!? だ、大丈夫ですよ! 俺たちがいますから!!」

「わ〜、ありがとー♪」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、なるほどこれ、そういうことか、

 

「・・・・・・そんな能天気に、」

「そうだね。でもこれ、嫌な感じはしないでしょ?」

「しかし、何があるか、」

「えへへ、心配してくれて、ありがとう。」

「っ、いや別に、僕は、」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふふ。いいよどうせ何もわかんないんだから無理しなくても、うるさいし。

 

「お、俺たちも「そ、そうなんでも、「メートちゃんのためならなんでもするよ!?」

「うにゃ〜?! そ、そんなのいいよー。でもみーんな、ありがとーー!!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・さてと、じゃあこれ使って、どうしよっかなー。

 

 ・・・・・・取り敢えず、覚えておけよー、エーウスちゃーん?

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