情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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111話

 

 さあ、準備は整った。

 

「・・・・・・レリア、映んなくなったの、」

「かわりに、なんだこれ、人だかり?」

 

 これより、最後の仕上げといこう。

 

「まあなんとか大丈夫そうじゃったが、しかし結局どこにいるのか」

「町中、詳しいのは・・・・・・、」

 

 それではまた、こんにちは、

 

 

 

「エウス。あー、体調は、大丈夫そうか?」

「ん。問題ないよ、お陰様でね」

「む、なにか変わって・・・・・・、まいっかじゃ」

 

 気づいたら、彼女が隣にいた。

 自然に、空気に溶け込んで、誰か来ていたのはわかってたけど流石だな。

 

「なにかお困りかい? 良ければ、お時間いかがかな、」

「おー、うん。そうそう、アレがどこか、いや画面変わっちゃったが、」

「ふむ? おや、どこを映して、これではあまり楽しめないねえ、」

 

 スイスイ——と、手を動かして、空中の画面が変化する。

 一部の画面が、というかたった今、俺たちを映しているスクリーンが大きくなる。

 

「動きがあるのをリアルタイムで、いやぁ、人手が足りない。お恥ずかしい限りです、」

「お、おお、」

「むーー、我がさらに大きくなっとるのー。・・・・・・しかし、流石にちょっと邪魔かもの・・・・・・、」

 

 どこか楽しげに、彼女が擦り寄ってくる。

 変な感じだ、色々あったのに、それを拒絶しようという気持ちが湧いてこない。

 まあ別に、今更どうこうというものではないのかもしれないが、

 

「なあエウス。我らはちょっと、これからやる事があるというか、少し時間を空けた方がいいか、いや場合によってはエウスでもいいか、」

「ふむー?」

「ともかくまあ、あんまり映されてると面倒かもしれないのじゃが、」

 

 そうなのか、まあそうか?

 確かにどこから撮られているのか、ああ、あそこの魔術かって、ん?

 ともかくこれがずっと付いて回るのも、プライバシー的な問題が、

 ほら、トイレとか行けないし、竜がトイレ行くのか知らないけど、いやこれセクハラだな不味い。そこら辺の記憶が思い出せなくて良かったな、セーフ。

 

「ああそれは、ふむ。ちょうど良かったかもね、」

「お、どうにかしてくれるのか?」

「うん。前の話の続きだ、レコウ様、」

「前の? あーそうじゃった、頭のこれも外せるのか、」

「それもまた、これから決めようじゃないか、」

「んあおう??」

 

 微妙に話が合ってるのか合ってないのか、まあエウスの方が、わざと芝居がけて言ってるせいだけど、

 にしても、画面・・・・・・ん? そういやエウスの方のカメラはどこ、いやないな。じゃあ会場中央のは、あれなんか、見たいのに見れないのに凄く見たい?? この反応は、ああ彼か、

 

「それではレコウ様。改めて、ワタシと踊っていただけませんか?」

「あ、おう? ・・・・・・・・・・・・おーう??」

 

 おっと、今はこっちに集中するか。あの子が惚れてる相手を凝視するとか、父親気取りかっての。

 にしてもエウスも、割と誤解されやすいからな。いやわかっててやってるんだろうけど、それも個性だし口出しするのもなー、なんて。

 いやいやだから、えっと、

 

「つまり、エウスは、三位決定戦。レコウさんと、試合がしたいと、」

「ザッツライト、その通り。とはいえこうなった以上、ワタシもまだ優勝を目指させてもらいますが、」

「じゃ〜、なるほど?? ・・・・・・しかし、今そういう気分じゃないんじゃが、」

 

 優勝か、なんでそれに拘ってるんだろう。

 何か理由は、わからない。思い出せないだけのかそれとも、

 

「それはそれは、どういたしましょう。今も既に中継ちゅう。観客達は、盛り上がる劇を期待しておられるのですが、」

「むー。ああじゃあ我が勝ったら、頭のこれ外して、」

「いえいえそれは、勝者の証ですので、」

「じゃあもう負けでいいから、ほっといてくれんかのー、」

 

 うーん、テンション感が合わない。

 これは可哀想だ、とはいえどうしよう、

 

「あっそうだ。ならレコウさんが勝ったら、エウスにも協力してもらうってことで」

「・・・・・・ふむ。まあ確かに、予備か本命かいた方がいいかもの。待つ必要もないし、」

 

 レリアさん? がどこにいるか。この町の地理については、少なくともこの中で一番詳しいだろうし、

 

「えっと? ・・・・・・まあ、いえ、構いませんよ。やる前から負けることを考えるものはいませんから、特に主演なら、ね。観客にミセられるのなら、ワタシはいくらでも、」

「え、今なんでもっ、と。あいや、なんでも、」

「ええなんでも、お好きに、あなたになら、」

 

 なーんて、冗談めかして笑う少女。

 ・・・・・・危ない、なんか反射で、これはちょっと死ぬのを焦った方がいいのか?

 

「・・・・・・・・・・・・まいいか、じゃ。それで試合って、どうするんじゃ、あっちの会場戻るのか?」

「んー、あっちは今は・・・・・・、そうですね。取りあえず、場所はどこでもいいでしょう。それにミせる方法も、ご自由に、それこそ命をかけてでも、」

「いやそれは困るのじゃが・・・・・・。それに良く考えたら、派手にやったら巻き込んでしまうのー、」

 

 こっちを見る。

 ああそうだ、今はお荷物がいるんだった、中身もないスッカスカの。

 それにいくら試合形式とはいえ、少女同士が殴り合うのを見るのはな。もっとこう、

 

「踊ってみるとか? 最初に言ってたとおり、」

「何言っとるんじゃ貴様??」

 

 あれ? しまった、口に出てた!?

 

「ふーむ、うーん。それで、観客は盛り上がるのかな?」

「え、あ、いやえっと。お二人みたいな美少女が踊るなら、きっと???」

 

 あーあー! しまった、なんかさっきから変なことばっか言ってる!?

 いや別に変なことっていうか、本心というか、ロリコン、いやそういうんじゃなくて?!

 

「んっ、ふふ、そうかい?」

「きさまー、セシィのことも、そんな目で、」

「そんな目ってどんな目!? いや違うもっとこう純粋な、子供を見るような、そんな目ですから!!??!」

「それはそれでなんか、ムカつくのじゃ、」

 

 うーんツンデレみたいな。でもこれは、人間のくせになにドラゴン様のことを子供扱いしてんだって、そういうセリフだな。

 実際もしかしたら、年上なのかもわからん。

 

「ならそうしよう。キミがいうなら間違いないさ、ん?」

「・・・・・・・・・・・・まあ別に、危なくないしいっかじゃ、」

 

 あ、通ってしまった。

 え、ここから踊りで勝敗決めるアイドルバトル始まるの?? いや自分で言っといてだけど、

 

「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なに、やってんだ、こいつら、)」

 

 あ、マキナ。

 うん。多分面倒なことになるから、今は黙っといてくれ、

 

「(・・・・・・・・・・・・ボクだって、外見は、一応同じだったんだが、)」

「え?」

「んじゃ? どうしたんじゃ?」

「あいや、気のせい、かな?」

 

 他の人には聞こえてないし。

 それよりダンスバトルか、というかどう勝敗決めるの? もしかして俺か?? 無意識で贔屓しちゃうかもよ???

 

「しかし踊りか、ふむ。・・・・・・くるっと、こっちの方がいいかな?」

「あ、うさぎさんじゃ!」

「ちょっ、エウス!? こんなとこで着替えて、というかなんで格好してんの!??」

 

 急に現れたバニー服?! え、いつも服の下にそれ着てるの??!

 なんか、知りたくないこと知ってしまった気分だ、

 

「おっと、んぅ、変かい?」

「いや、変というか・・・・・・、」

「まあそうだね。これじゃあ行き着く先は賢者になってしまうしね、」

「いやそんなことはしないが!?」

 

「・・・・・・なんの話してるんじゃー?」

 

 ね、なんでしょう??

 ともかく元に着替えてもらって、なんていうかこうその格好されると、ソワソワというかハラハラというか、ともかく居た堪れない気持ちになる。

 おかしいな、あの格好はむしろ好きだったはずなのにって。いやいや、普通に未成年の娘相手に反応する方が危ないか。

 

「・・・・・・しかしー、楽しそうじゃの、」

「え、いや、そんなことは、」

「まあいい。ふふ、しょうがないの。せっかくじゃ、貴様も来い!」

 

 いやそんな、楽しそうなんて、そんなの。

 それに何し、あーれー、強引になのに優しく引っ張らないでー、

 

「きさまーが言い出したことじゃからの! 責任持って、一緒に踊るのじゃ!!」

「いやいやいや!? それは、」

 

 少女の体で少女達の中に混ざってそんな事するなんて、完全にやべー奴じゃないか。

 そうでなくても、いやともかく俺はって、

 

「勝手にそんな、あとに、」

「なっ、エウスも問題ないなじゃ!!」

「んーー、今更三位とかも関係ないし、楽しんでもらえれば、それでいいか」

 

 あれ、なんで、決定した流れになってるの?

 そもそも俺はダンスなんて、というかどうして中央に置く、目立つんだが、

 

「んー? まあいいか。それじゃあ、ミュージックスタート!!」

「おーーじゃーーー!!!」

 

 そうして流れ出したのは、どこかで聞いたアイドルソング。

 それに合わせて、三人の少女達が展開してって・・・・・・、

 えっ、バトルじゃないの!?

 

「ほらほら、振り付けは、・・・・・・まあ、」

「自由に、楽しくじゃ!!」

「ふふっ、そうだね。それに勝るものはないさ、」

 

 なんだこれ、せめてもっとこう、個人で踊るものかと、

 そうは言っても、もうライブステージは始まってしまった。

 

 可愛い系、かっこいい系、クール系、三人のアイドル達の、

 ってなんだこれ、最後の中身が俺じゃなかったら完璧なのになって、本当なんだこれ???

 どうしてこんなことに・・・・・・、

 

「・・・・・・貴様も、セシィも、少し考えすぎじゃの。もっと今を楽しんでも、いいんじゃないか?」

「え、いや、そんなことしていいわけ、そうそんな暇、」

「・・・・・・まあ我が急かしすぎたのも悪かったかの。じゃあ我に付き合うと思って、何も考えず楽しめ!!」

 

 だが、しかし、だとしても、

 ・・・・・・でもそうだ、確かにたくさん迷惑をかけているし、嫌な思いもさせただろう。ならそうだ、せめて少しでも埋め合わせを、

 

「・・・・・・・・・・・・ぁ、えっと、あなた。ん、————そう。これは、ワタシが開催したお祭りなのですよ、。楽しんでいただかないと、その、」

「あ、ああいや、俺は、」

「悲しい、です?」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、

 

 何やっているんだろう。

 

 マイクを取る、虚空の、パントマイム。

 そうだ、俺は、少しでも、

 いいさアイドル、それでみんなが楽しい気持ちになれるのならば。

 

 今だけ、体を貸してくれ、セシィちゃん!!

 

「うぉーーーーー!!」

 

 これが俺の、初ライブだーーーー!!!

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・いやだから、自由にと。——やっぱ、ズレとるんじゃよなー・・・・・・、」

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