情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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114話

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

 

 

 

 空が晴れる。

 偽りの夜闇は残らずしまって、また日眺める。

 まさかこんな日が来るかって、いや一度沈んですらいないのにね。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・セシィ?」

 

「・・・・・・あー、一応ただいま? レコウ、」

 

 でもまあ、しょうがないか、

 

「セシィ! 我は、、あ、いや、」

「——うん。よく覚えてないけど、まあ大体察しはつくよ」

 

 はは、短絡的すぎたな。

 よくよく考えたら元の体作るなり、こっちの体作り変えるなり、何とかすれば良かった。

 僕の体のまま渡されたって困るよね。

 

 にしても何だこの状況、

 マキナに、それよりエウスだなこれ。

 町中めちゃくちゃだし、いったい何がしたいんだか。やっぱ無理してでも全部消してから終わるべきだったかな。

 

 でも、もう言ってもしょうがないか。

 だって君は、

 

「・・・・・・セシィ。いや、大丈夫じゃ。約束したからの、我だけで何とかしちゃうのとどっちが早いか競争じゃ!」

「え? あーうん?? よくわかんないけど、」

 

 でも、何故だろう。

 そんなに悲観的な気分にならない。

 君のおかげか、それとも、

 

「ありがとうね、レコウ」

「おうじゃ!」

 

 

 

 さてと、ならこっちの問題さっさと片付けちゃおう。

 またいつこんな事になってもいいようにね、

 

「・・・・・・よっと、それじゃあまずはマキナ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

「何でそんな状態になってるのかは知らないけど、とりあえずずっとその中に入れとく訳にも、・・・・・・どうなのレコウ?」

「ん、あーー、そうじゃの。どうするか、」

 

 随分とボロボロになっちゃって、まあ中身に関しては元々か、

 正直この人がどうなろうが別に知らないけど、何故だか君は関心を持っていたね。

 なんだろう、昔の僕と似ていたから、なんてのは色々と自惚れすぎか。まいいや、

 

「頼まれた気がするからね、直してくらいはしてやるよ。後は好きにしなー、」

 

 『適当に』、元の完成図通りに、そこら辺の素材から壊れた部分修復してっと、

 さっき収納した空中要塞と同じ規格使ってるから楽だな、にしてもよくあんなもん作ったね。

 

 何のためにかは、まあ詳しく聞いちゃうと僕の邪魔になっちゃうし、今はいいよ。

 せっかく君が頼ってくれたんだ、一度は優先しよう。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あ、ごめんレコウ。勝手に放流しちゃったけど、これまだ使う予定だった?」

「いや別にいいけどじゃが、うーんそういやセシィはこんなノリじゃったの?」

「うん? あそうだ、彼のこと、レコウが面倒見てくれたんでしょ。ごめんね、そこまで頼むつもりは、いやそっちもありがとう」

「うむ! おやすいごよーじゃ!!」

 

 あはは、頼もしいね。

 なら次も、それがあるかはわからないけど、

 

 何となく、感じ取れていた残滓のようなものも、もう思い出せない。

 心にぽっかりと穴が空いたような、いや欠けたのは脳のほうかな、わからないや、

 

「・・・・・・じゃあ次は、エウスの方か。どうしよっかなー、。ね?」

「セシィ?」

 

 さっさとこの魔法、いや魔法というより現象?

 ともかく壊してもいいけど・・・・・・、なんで、なんであっちの方まで、君は気にしていたのか。

 

 うーん法則性、わからなくもないけど、聞こうにも君はやっぱり何も、

 もうこうして問いかけることすら、無意味になっちゃったな。

 

「・・・・・・・・・・・・ま、本人に聞くのが、一番早いか、」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、

 

「やあやあみんな、待たせたね。まさかワタシがまだあんなもの隠してたとは、しかし色々と間に合わなかったようで、」

 

 エウス、自然な動きで片手に死体を持ちながら、よくあれで町中やってこれたな。

 太り気味な成人男性の、新鮮、まあギリで消費期限今日な死肉と、一体何に使うのか、

 

 想像して、創造、ん? ああ、思い出はないけど知識はあるな、いつも通りだ。

 なるほどなるほど、物質の組み立てね。それで死体を、いや何のためにかはやっぱり想像するしかないけど、

 にしても、え? なに、エウス、マキナ、あの二人同一人物なの!? いやー、もしかして兄弟かとは思ってたけど、不思議な事もあるもんだねー、

 

「うん。久しぶり、って程でもないか、」

「はい。今日ぶりですね、セシィ様、」

「僕としては、色んな意味でもう顔合わせる事は無いと思ったんだけどね、」

 

 さてと、わざわざ闘技場から来てくれて悪いね、迎えに行っても良かったんだけど。

 なんか僕そっちに向けない、いや理由は、・・・・・・。

 今だけは、わかんない。

 

「・・・・・・聞いてあげる。この時くらいは、一度くらいは、彼の事を、優先したいから、」

「おや、何をでしょうか?」

「全部、何がしたいのか、」

 

 ———を巻き込んだ時点で、本来なら僕は、

 

 だから、最後のチャンスだ。僕が見て見ぬ振りをしているうちに、止まれなくなる前に、今ここで、

 

「ふむ。全てですか、それはまた随分と、長々と語ってしまう事になりそうですがー、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」

「ポップコーンとコーラのご用意は? いえそもそも冗長なお気持ち表明などつまらないですよね。なら、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田中、裕二、」

「そう、それ!」

 

 は?

 

 横、マキナ、なんでそれ、

 いや彼が自分から名乗ったのか、だとしたら、でも、

 何故それを今、

 

「そうですそうです『創造』、そのために持ってきたんでした。ワタシも、手伝います?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・『創造』」

 

 魔法。

 別に止めるまでもない、単調な物質の操作。

 魔術を使うなら誰でもやってるような基礎の基礎、空間魔法ならもはや宣言するまでもない一動作。

 

 まあさっきしまった巨大飛翔物まで行くと感心するけど、

 それを持ち込んだ死体に使って、なにそれ人形遊び? とはいえ別人に改造するのはなかなかな精度だな。

 

 僕が同じ事するなら、一度見た全く同じ生物しか無理だね。なに作ってるのか知らないけど、ゼロから理想の人間でも作りあげてるとしたら大したものだ。

 ふむふむ、あの組み上げられていく、どこにでもいそうな成人男性は、

 

「は? ——なんで、いや、ありえない、」

「セシィ? えっと、あいつらは、何してるんじゃ?」

「僕の記憶? いや、だとしてもあんな精密な、」

 

「・・・・・・ふぅ、こんなものかな、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、悪くない、出来だ」

「さてと、それじゃあ後は肝心な部分だけど、いやーほんとうにまさかだねえ、」

「ああ、全く、だな。どうりで、懐かしく感じた訳だ、」

 

 田中優二。

 

 それは、確かに僕に宿った記憶だったはずだ。

 

 でも僕は、魂なんてものは観測していない。

 だとしたらあり得るのか? いやそれにしたって、こんな、

 

 作り上げられた出来立ての肉の塊、それに僕は、見覚えしかなかった。

 でも実際に同じ物を見た事はない、見れるわけが無い、

 だって僕が知れるのは、彼が死ぬまでの間だけなのだから。

 

 田中裕二、

 

 そこにあったのは、紛れもない、彼だった。

 

 

 

「え、つまり、どういう事じゃ?」

 

 

 

「こういう事、さ! 『想起!!』」

 

 幕が上がる。

 

 目が合う。二人、いや一人、

 

 その魔法はもう知っている、随分も複雑化されてはいるが、本質は、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当に、これで、いけるのか、」

「前はそうだったからねえ。これでもう一度、ワタシのユウジに会えるといいのだけど、」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボクの、いや。ちっ、今だけは、協力してやる、」

 

 

「っ、なんじゃ貴様ら! いきなり、、——セシィ!! 大丈夫か!?」

「・・・・・・・・・・・・ああ、うん、問題ないよ。二度目だし、それに、」

「二度目? な、まさか!」

 

 ああいいよ、その事は別に、いやそのせいで早急に準備する羽目にはなったけどさ、

 あっちの目的もわかった、なるほどなるほど、できる事なら協力してあげたいくらいだね。

 

「セシィ、」

「でもごめんね。それは、できないみたいだからさ、」

「セシィ!!」

「だから、ああ。どう納得してもらおうか、」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい、駄目だぞ、」

「ふむ、前は抵抗されなかったからかな? こういうのはやっぱり、弱らせてからとかがセオリーだけど、」

 

 

「ああ、いいね、それ採用。僕が彼の事を優先できるのは今だけだから。一体どうしてこんな事になったのかは知らないけど、それなら僕を倒してみせるといい、」

 

 果たして僕の頭を開けて脳みそを移し替えたら、彼が戻るのかは知らないけどさ、

 でも残念。僕は君たちに全面協力する気はないし、それに僕はその事だけに全力になれない。今だってそうだ、脳のほとんどを、

 

 まあともかく、それでも彼の事を思ってくれる人がいるのはいい事だ。ちょっと複雑な気分は、いや僕は別に拘りとか別になにも感じないし、

 というわけで、君たちが僕に勝てるほど凄いなら、任せてみるのもいいかもしれない。

 

「あ、だからレコウ。今からちょっとシアイするけど、観戦しててねー、」

「ちょ、セシィ!? なに言ってるんじゃ?!」

「うん、決勝戦だよ。・・・・・・いやこいつ負けてたっけ。まあいいや、」

 

 ごめんね、君。

 結局のところ僕が一番大切なのは——ンだからさ、

 

 それに、レコウの事も。

 

 

 でもそれで、君の事を諦めたいわけじゃないからさ。

 だから試してみようじゃないか、何故だかは知らないけど君の事を思っている力が、どれほどのものか。

 

 そして、僕はどれだけ、君の事を思っていたのか。

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