「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」
空が晴れる。
偽りの夜闇は残らずしまって、また日眺める。
まさかこんな日が来るかって、いや一度沈んですらいないのにね。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・セシィ?」
「・・・・・・あー、一応ただいま? レコウ、」
でもまあ、しょうがないか、
「セシィ! 我は、、あ、いや、」
「——うん。よく覚えてないけど、まあ大体察しはつくよ」
はは、短絡的すぎたな。
よくよく考えたら元の体作るなり、こっちの体作り変えるなり、何とかすれば良かった。
僕の体のまま渡されたって困るよね。
にしても何だこの状況、
マキナに、それよりエウスだなこれ。
町中めちゃくちゃだし、いったい何がしたいんだか。やっぱ無理してでも全部消してから終わるべきだったかな。
でも、もう言ってもしょうがないか。
だって君は、
「・・・・・・セシィ。いや、大丈夫じゃ。約束したからの、我だけで何とかしちゃうのとどっちが早いか競争じゃ!」
「え? あーうん?? よくわかんないけど、」
でも、何故だろう。
そんなに悲観的な気分にならない。
君のおかげか、それとも、
「ありがとうね、レコウ」
「おうじゃ!」
さてと、ならこっちの問題さっさと片付けちゃおう。
またいつこんな事になってもいいようにね、
「・・・・・・よっと、それじゃあまずはマキナ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」
「何でそんな状態になってるのかは知らないけど、とりあえずずっとその中に入れとく訳にも、・・・・・・どうなのレコウ?」
「ん、あーー、そうじゃの。どうするか、」
随分とボロボロになっちゃって、まあ中身に関しては元々か、
正直この人がどうなろうが別に知らないけど、何故だか君は関心を持っていたね。
なんだろう、昔の僕と似ていたから、なんてのは色々と自惚れすぎか。まいいや、
「頼まれた気がするからね、直してくらいはしてやるよ。後は好きにしなー、」
『適当に』、元の完成図通りに、そこら辺の素材から壊れた部分修復してっと、
さっき収納した空中要塞と同じ規格使ってるから楽だな、にしてもよくあんなもん作ったね。
何のためにかは、まあ詳しく聞いちゃうと僕の邪魔になっちゃうし、今はいいよ。
せっかく君が頼ってくれたんだ、一度は優先しよう。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、ごめんレコウ。勝手に放流しちゃったけど、これまだ使う予定だった?」
「いや別にいいけどじゃが、うーんそういやセシィはこんなノリじゃったの?」
「うん? あそうだ、彼のこと、レコウが面倒見てくれたんでしょ。ごめんね、そこまで頼むつもりは、いやそっちもありがとう」
「うむ! おやすいごよーじゃ!!」
あはは、頼もしいね。
なら次も、それがあるかはわからないけど、
何となく、感じ取れていた残滓のようなものも、もう思い出せない。
心にぽっかりと穴が空いたような、いや欠けたのは脳のほうかな、わからないや、
「・・・・・・じゃあ次は、エウスの方か。どうしよっかなー、。ね?」
「セシィ?」
さっさとこの魔法、いや魔法というより現象?
ともかく壊してもいいけど・・・・・・、なんで、なんであっちの方まで、君は気にしていたのか。
うーん法則性、わからなくもないけど、聞こうにも君はやっぱり何も、
もうこうして問いかけることすら、無意味になっちゃったな。
「・・・・・・・・・・・・ま、本人に聞くのが、一番早いか、」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
「やあやあみんな、待たせたね。まさかワタシがまだあんなもの隠してたとは、しかし色々と間に合わなかったようで、」
エウス、自然な動きで片手に死体を持ちながら、よくあれで町中やってこれたな。
太り気味な成人男性の、新鮮、まあギリで消費期限今日な死肉と、一体何に使うのか、
想像して、創造、ん? ああ、思い出はないけど知識はあるな、いつも通りだ。
なるほどなるほど、物質の組み立てね。それで死体を、いや何のためにかはやっぱり想像するしかないけど、
にしても、え? なに、エウス、マキナ、あの二人同一人物なの!? いやー、もしかして兄弟かとは思ってたけど、不思議な事もあるもんだねー、
「うん。久しぶり、って程でもないか、」
「はい。今日ぶりですね、セシィ様、」
「僕としては、色んな意味でもう顔合わせる事は無いと思ったんだけどね、」
さてと、わざわざ闘技場から来てくれて悪いね、迎えに行っても良かったんだけど。
なんか僕そっちに向けない、いや理由は、・・・・・・。
今だけは、わかんない。
「・・・・・・聞いてあげる。この時くらいは、一度くらいは、彼の事を、優先したいから、」
「おや、何をでしょうか?」
「全部、何がしたいのか、」
———を巻き込んだ時点で、本来なら僕は、
だから、最後のチャンスだ。僕が見て見ぬ振りをしているうちに、止まれなくなる前に、今ここで、
「ふむ。全てですか、それはまた随分と、長々と語ってしまう事になりそうですがー、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、」
「ポップコーンとコーラのご用意は? いえそもそも冗長なお気持ち表明などつまらないですよね。なら、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田中、裕二、」
「そう、それ!」
は?
横、マキナ、なんでそれ、
いや彼が自分から名乗ったのか、だとしたら、でも、
何故それを今、
「そうですそうです『創造』、そのために持ってきたんでした。ワタシも、手伝います?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・『創造』」
魔法。
別に止めるまでもない、単調な物質の操作。
魔術を使うなら誰でもやってるような基礎の基礎、空間魔法ならもはや宣言するまでもない一動作。
まあさっきしまった巨大飛翔物まで行くと感心するけど、
それを持ち込んだ死体に使って、なにそれ人形遊び? とはいえ別人に改造するのはなかなかな精度だな。
僕が同じ事するなら、一度見た全く同じ生物しか無理だね。なに作ってるのか知らないけど、ゼロから理想の人間でも作りあげてるとしたら大したものだ。
ふむふむ、あの組み上げられていく、どこにでもいそうな成人男性は、
「は? ——なんで、いや、ありえない、」
「セシィ? えっと、あいつらは、何してるんじゃ?」
「僕の記憶? いや、だとしてもあんな精密な、」
「・・・・・・ふぅ、こんなものかな、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、悪くない、出来だ」
「さてと、それじゃあ後は肝心な部分だけど、いやーほんとうにまさかだねえ、」
「ああ、全く、だな。どうりで、懐かしく感じた訳だ、」
田中優二。
それは、確かに僕に宿った記憶だったはずだ。
でも僕は、魂なんてものは観測していない。
だとしたらあり得るのか? いやそれにしたって、こんな、
作り上げられた出来立ての肉の塊、それに僕は、見覚えしかなかった。
でも実際に同じ物を見た事はない、見れるわけが無い、
だって僕が知れるのは、彼が死ぬまでの間だけなのだから。
田中裕二、
そこにあったのは、紛れもない、彼だった。
「え、つまり、どういう事じゃ?」
「こういう事、さ! 『想起!!』」
幕が上がる。
目が合う。二人、いや一人、
その魔法はもう知っている、随分も複雑化されてはいるが、本質は、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当に、これで、いけるのか、」
「前はそうだったからねえ。これでもう一度、ワタシのユウジに会えるといいのだけど、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ボクの、いや。ちっ、今だけは、協力してやる、」
「っ、なんじゃ貴様ら! いきなり、、——セシィ!! 大丈夫か!?」
「・・・・・・・・・・・・ああ、うん、問題ないよ。二度目だし、それに、」
「二度目? な、まさか!」
ああいいよ、その事は別に、いやそのせいで早急に準備する羽目にはなったけどさ、
あっちの目的もわかった、なるほどなるほど、できる事なら協力してあげたいくらいだね。
「セシィ、」
「でもごめんね。それは、できないみたいだからさ、」
「セシィ!!」
「だから、ああ。どう納得してもらおうか、」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい、駄目だぞ、」
「ふむ、前は抵抗されなかったからかな? こういうのはやっぱり、弱らせてからとかがセオリーだけど、」
「ああ、いいね、それ採用。僕が彼の事を優先できるのは今だけだから。一体どうしてこんな事になったのかは知らないけど、それなら僕を倒してみせるといい、」
果たして僕の頭を開けて脳みそを移し替えたら、彼が戻るのかは知らないけどさ、
でも残念。僕は君たちに全面協力する気はないし、それに僕はその事だけに全力になれない。今だってそうだ、脳のほとんどを、
まあともかく、それでも彼の事を思ってくれる人がいるのはいい事だ。ちょっと複雑な気分は、いや僕は別に拘りとか別になにも感じないし、
というわけで、君たちが僕に勝てるほど凄いなら、任せてみるのもいいかもしれない。
「あ、だからレコウ。今からちょっとシアイするけど、観戦しててねー、」
「ちょ、セシィ!? なに言ってるんじゃ?!」
「うん、決勝戦だよ。・・・・・・いやこいつ負けてたっけ。まあいいや、」
ごめんね、君。
結局のところ僕が一番大切なのは——ンだからさ、
それに、レコウの事も。
でもそれで、君の事を諦めたいわけじゃないからさ。
だから試してみようじゃないか、何故だかは知らないけど君の事を思っている力が、どれほどのものか。
そして、僕はどれだけ、君の事を思っていたのか。