情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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13話

 

 魔族襲来の危機はさった。

 

 とはいえ魔物の群れはまだ残してあるし、きっと町の中の住人にとってはこれからが本番、

 そうアレンの大活躍の!!

 

 こほん、襲撃の。

 まあ多少の怖い思いもしてしまうかもしれないが、かっこいいアレンを間近で見れるなら安い物だろう、いいな、町の人は。

 

 ああ、本当に、僕も普通の町娘の人間に生まれたかったのに。でも、そしたらアレンと出会えなかったかもか、じゃあしょうがないか。

 

 きっと子供達はキャーキャー言うぞー、女の子なんてアレンに結婚して〜なんて、は? 殺すぞ? いや、子供に人気なのはいいことだけど、

 

 それにアレンは子供なんかに興味ないし・・・・・・・・・・・・、いや、ちょっとくらい? 興味があっても? いいかな? 少なくともあの赤は女扱いされてたはずだし、コロス、僕もミリナノフェムトくらいは・・・・・・、

 

 ・・・・・・・・・・・・うん。

 

 ・・・・・・そうだ、変身魔法。

 それを探してるんだった、あの魔族共、いやもう単数系だけど、なんか知ってないか?

 

「電撃、飛翔、潜伏、対魔防壁・・・・・・。こいつ、ろくなもん覚えてない。いやでも、他の仲間なら、」

 

 もっと身近に使える友達もいるけれど、

 

「んー、炎が禁止だとするとー、我が使える魔法はー、いちにーさんしー、片手じゃ数え切れないのじゃー」

「・・・・・・・・・・・・ないな、」

 

 うん、ない。

 色んな意味で、

 

「もうこの際、今すぐに大っきくなれるなら、魔法でも魔術でもなんでもいいからなんなかないのか!」

 

 科学? 奴は死んだよ、なんだよ揉まれたら大っきくなるって、なんねーよ。好きな人に? それは、いけるかもしれないけど。そもそもその為の胸がまずねーよ!

 

「・・・・・・それ二つとも同じ意味じゃないのか?」

「ん、ああ、レコウ。数え終わったの? 僕の指使う?」

「両手を使ったら足りたのじゃ!!」

「そう、良かったね」

 

 くそう、服を買いに行く為の服がない状態だ、やはり裏の人間らしく他人から奪うしかないのか、ぐぬぬ。

 

「じゃなくて。魔法と魔術って、」

「ん、ああ? ・・・・・・明確な区別はないんだけどね、魔力を使用するのが魔法で、魔力を操作するのが魔術。まあ、僕も聞き齧っただけど」

 

 僕の場合、学ぶよりも前にまず使えだったからね。

 多分収納が魔法で整理が魔術でいいはず。

 空間魔法はその前に掌握する段階があるから、また複雑なんだけど。

 

「あと、魔法が得意だと火力が出せて、魔術が得意だと精密に使えて、防御するのも上手くなるらしいんだけど・・・・・・、」

「なるほどのー、初めて知ったわー」

「・・・・・・うん。まあ、そうだろうね」

 

 事前にあの魔族みたいに、防壁でも作っておけば、魔力だけでも・・・・・・、

 

 ——それで、制御ができなくなったら?

 

 ・・・・・・どっちにしろ、今の僕には空間魔法以外使えないんだから、考えるだけ無駄、

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・いや、できる。

 

「・・・・・・ねえ、レコウ。さっきの魔族みたいな防壁、使えるようになるとしたら、どうする?」

「防壁? そんなもん使っとったんか? 一撃で吹き飛んでしまったが」

「そっちじゃなくて上の方。いや、そっちも多分使ってたけど。ほしい?」

「えー、いや、存在すらわからんかったもんじゃしのー?」

 

 そうだ、僕は卑怯者で最低だけど、

 

「それ使えば、僕みたいな魔術を多少受けても、。・・・・・・いや、レコウの魔力なら、僕も一切何もできなくなるかもね」

 

 この子に、害を与える程にはなりたくない。

 

「・・・・・・ふむ。我がそれを使っても、セシィの邪魔にはならないのかの?」

「うん、邪魔になんて。・・・・・・それに、洗脳とかされる心配がなくなる分、むしろ助かる」

「・・・・・・そうか。なら、貰ってやってもいいかのー?」

 

 そうだ、これでいい。

 もしそれでこの子にいきなり殺されたとしても、アレンの方は問題ないから。

 

「それで、何をするんじゃ?」

「うん、この収納した魔族がいるでしょ。この頭の中から防壁の魔法を『放出』して、レコウの頭にぶち込む」

「ほー、そんなことまで、」

 

 魔法。それだけでなく、脳裏に刻み込まれるほど高められた技術や技能まで、僕は自由に観測して取り出せる。

 

「あ、でも、脳波を写すような物だから、ちょっと思考が混ざる可能性があるけど、大丈夫だよね、」

「いやっ、ダメにきまってるのじゃー!?!?!?」

 

 ・・・・・・別に、きちんと魔術の知識があれば、すぐに自分の思考に取り込まれるのに。

 

「・・・・・・あー、でも、確かにレコウだと、すごい時間かかりそうか」

「な、なんて恐ろしいことしようとするんじゃ、」

「いやだって、別に僕なら問題ないし」

 

 空間魔法で手一杯だから、わざわざ別の魔法を取り込んだままにしたことはないけど、

 

「・・・・・・ん、待てよ。てことはじゃ、」

「なに? 残念だけど、レコウが嫌ならこれは別に、」

「てことは我の変化! セシィに渡せば使えるんじゃないか?」

 

 ・・・・・・・・・・・・それはそう、

 は?

 

「ほら、前に使いたいって言っとったじゃろ〜。あ、前に言ってた裏技って、これのことじゃったのか!」

「・・・・・・・・・・・・確かに、言ったし、そうだけど」

「ならほれほれ〜、我もセシィが成長したらどうなるか、見てみたいぞ!」

 

 ・・・・・・・・・・・・魔法を取ると言うことは、それに関連する脳の機能を奪うのと同義だ。

 よしんば、綺麗に取れたとしても、それを戻すなんて、

 いや戻す前提ではなかったっけ?

 

「愛しのオスにアピール流するんじゃろ〜、どんな姿になるんじゃろうなー」

 

 そうだ、アレン、アレンのためにっ、

 それに、僕が綺麗に取れさえすれば、別にレコウだってキズを負うわけじゃ、

 

 いや、でも、そうしたら、もうこのレコウの姿と一緒には。

 一緒に町に入って、観光したりもできなくなるのか。

 

 ・・・・・・それは、嫌だな。

 

 

 

 ————じゃあ、それを、アレンのことより優先するのか?

 

 

 

 アレンのことは世界の全てより優先する。

 

 でも、そのために、何も関係ない友達を、

 

 何を迷っているんだ、今までだって散々アレン一人のために、僕は関係ない人を殺してきたじゃないか、

 

 っ、悪人だけだ、僕と同じ、ゴミクズだけ、

 

 本当に? 彼らにだって家族はいただろ、僕と違って、

 

 うるさいっ、

 

 アレンのためなんて言って、ただ僕の復讐をしたかっただけしゃないのか?

 

 うるさいうるさい!!

 

 そうだ、僕の本質は、どこまでいったって人になれない出来損ない、

 

 うるさいうるさいうるさい!!!

 

 なら、何を躊躇っているんだ僕は、

 

 うるさいうるさいうるさいうるさい黙れ! 止めろ、考えるな、思考に浮かべるな!!

 

 アレンとそれ以外、僕がどちらを取るかなんて明白だろ、

 

 止めろ、それ以外じゃない、レコウ、覚えられたんだ。名前、僕の、大事な、

 

 大事な、僕の、

 

 

 

 レコウっ、アレンっ、僕は、僕は!?

 

 何のために!?!?

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・巨乳になって、アレンにペットにしてもらいたい。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。

 これ。思いっきり僕の願望じゃん。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・あっぶなー」

「・・・・・・どうしたのじゃ、やらんのか?」

「・・・・・・うん、もう、いいよ」

 

 何をやっているんだろう。

 アレンとレコウで悩むんじゃなくて、友達と胸の大きさで悩むなんて、根っからの最低だ。

 

 魂レベルで貧乳だ。

 

「・・・・・・それに、・・・・・・うん。レコウの変身魔法を使っても、大っきくならなそうだし」

「おい待てこらどこ見ていったじゃ」

「しょうがないよ、卵生だもんね」

「そこはせめて子供だからにするのじゃ! この体型だからないだけなのじゃ!?」

「一緒に、巨乳の変身魔法使いのクズを探そうね」

「いや、別に我は蔑まれたから怒っただけで、気にしてないのじゃが、」

 

 うんうん、大丈夫、僕はわかってるよ。

 世界の全ての恵まれた物が敵に回っても、僕だけはずっと味方だよ。あと赤も。

 緑はシネ。

 

「その優しい目線は止めるのじゃー!? いつもの世界全てを呪ったような、濁った目に戻るのじゃー!?!?」

 

 ひどい言われようだ、でも大丈夫、僕達はずっと仲間で、家族だよ。あと赤。

 黄色は削れろ。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・考えるな、思考に浮かべるな、もし本当にどちらかを選ばなくてはいけなくなった時、僕がどうするかなんて・・・・・・。

 

 

 

 

 

 直近の記憶がない。

 

 直近の記憶に僕の胸がない。精神レベルで胸がない。根源レベルで胸がない。

 でも大丈夫、なぜなら僕には仲間がいるから。

 

「あー、アレン戦ってるー、かっこいいなー」

「おー、どんなもんじゃー?」

「小さい魔物を切り裂いた、すごーい! あ、お前、二体一は卑怯だろ『止まれ』。お、相手の隙を見逃さず、すかさず攻撃、さっすが〜! ちっ、そこ、いいところだろ、不意打ちしようとすんなよ『消えろ』」

「・・・・・・あー。多分、いっつもこうだったんじゃろうなー」

 

 不自然にならないよう足『止めて』〜、遠距離攻撃しそうな奴は思考『抜いて』〜、

 あ、黄色が攻撃受けた、どうでもいいな、足引っ張りやがって。

 緑が回復、いやそこでやんなよ敵が来てんだろうが。

 赤が守って、不意打ち気づいてないな、死ぬか?

 

 ・・・・・・まあ、同じ恵まれない仲間のよしみだ、今回だけ『ずらして』やろう。

 あれの近くでやりすぎると、バレかねないんだけど。

 

「さて、一通り済んだ。名残惜しいけど、そろそろ行こうか」

「お、もういいのか?」

「うん、アレンの方を見てる子供がいたから。これ以上見てると、嫉妬でやっちゃいそう」

 

 普通に生きれて、その上でアレンに会えるなんて、ズルいよね、

 

「そ、そうじゃの! 早く行くぞ!?」

「おー、目指すは巨乳のクズー!」

「それはもはや無差別テロなのじゃ、」

「つまり緑ー、このままここでー」

「わ、我のお宝を探すのじゃー!!」

 

 えー、まあ僕なんかのことより、レコウのことを優先しないとね。

 

 とりあえずは遠くでお宝、ついでに巨クズ。なんかいい場所あったかなー。





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