学園、授業、いや今日のは授業だろうか、
校外学習? いや校内だけど、
職業体験? いや貴族が将来、こんなのやるわけないけど、
校舎を出て、冒険者の真似事。
まあ、別にいいか。
僕らにとっては、待ちに待った、
「財宝じゃー!!」
「おー、」
ダンジョン探索。
今日は一日、お宝探しだ。
「さて、僕とレコウ、だけだと楽なんだけど」
「だめ、らしいのー、」
班は原則、四から六人だとか。
六、・・・・・・なんか嫌な予感がしたけど、
うん、ピンクがいるから、多分こっちには来ないだろ、多分。
「あと二人、どうするのじゃ」
「うーん。あ、でも、一人はあてがあるよ」
そう、いっつも二人組を作る時に、最後まであぶれてるそこの君!
いい加減、ほっといたら夢に出てきそうだから、誘ってやろう。
「・・・・・・え、ボク、ですか? 何で、」
「君が、気になったから、」
それに、彼は物凄く地味だから、目立たずこっそり財宝を持ち帰りたい僕らとしては、ちょうどいい人選だ。
「君じゃなきゃ、駄目なんだ」
「え、あ、はい? それなら、どうも?」
よし確保!
まあ、彼はこう見えて、意外と体幹整ってるし、足を引っ張ることはないだろう。
さて問題は、あともう一人。
なるべく目立たない、地味な子。
どこかにいないかなー、
あ、レコウ、女子の方は誰かいい人いた?
「えっとー、のじゃー・・・・・・」
「えへへ、わたしも、みんなと仲良くしたいなーって。入れてくれる〜?」
・・・・・・うん、ピンクちゃん?
何で君、こっち来てんの??
「・・・・・・あー、メートちゃん、だっけ」
「そう! 今日はよろしくねー」
・・・・・・結局、押し切られてしまった。
これ以上騒がしくしたら目立ってしまうし、あの五人組にでも見つかったら最悪だ、
全員まとめて一つの班で行こうとか、言い出しかねない。
王族だから否定もされないだろうし、はぁ、
「何で、僕達の班に?」
「だって、みんなとは仲良くなってるのに、わたしとはぜんぜん、話してくれないんだもん」
「まあ、うん、性別が違うし? そんなものでは?」
僕が、苦手意識を持って避けてたからだけど。
「そんなことないよー。だって性別が違くたって、みんなお友達になれたもん!」
「う、うん。そうだね?」
・・・・・・グギギギギ、
いやまあ、考えようによっては、調査対象が自ら近寄ってきてくれて、好機だとも言えるんだけど。
ウグギギギ、
やっぱ、何で僕がそんなことしなくちゃって気持ちが、
いや偽勇者、こいつが原因、それの排除はアレンのため。
なら、別に何をすることになっても僕は、
——キィキィッ!
「きゃっ! なにー?」
「んー、コウモリじゃの、」
「危険性はないねだから離れてくれル?」
胸を押し付けてくるなーーーーッ!?
くそ、これみよがしに、やっぱりこいつは敵だ!! 後ろ暗い部分見つけたら即それ抉ってやる、
「(・・・・・・どうするのじゃー、)」
「(うーん。流石に、大々的な採掘は、ちょっと厳しいかな? ごめんね、)」
「(いや、我は別にいいのじゃが)」
ひそひそと、僕ら互いに、殆ど声に出さなくてもいいから楽だ、
・・・・・・そういえば、レコウと話してる時はあんまりピンク女、寄ってこないな。
前に吹っ飛ばされてたし、苦手意識でもあるのか?
しかし、結果的に名もしらない彼を、巻き込んでしまうことになった。
今も、ピンクの相手を一人でさせてしまっているし・・・・・・、
ふむ? 会話していないな。
やはりあの女、人を選んでるのか?
でも、別に地味な彼の方は悪感情を持っていないようだし、男女の距離感としてはむしろ普通なのか?
それともやはり巨乳だからか? くそう、
「・・・・・・・・・・・・、あー、みんな、疲れてないかな、このまま進んでも大丈夫そうかい?」
やだなー話しかけるの、でもそういうわけにもいかないもんなー、
最低限、偽勇者の話は聞き出さないと。
「我は問題ないのじゃー、貴様らはどうじゃー?」
レコウ、話を繋いでくれて助かる。
でもやっぱ、二人称貴様はどうかと思うよ、
「メートはー、問題ないよー」
「・・・・・・あ、大丈夫、です」
・・・・・・いや心配になるんだが。
でもまあ、本当に元気そうだな。
この中で、一番体力がないのはあの女だけど、余計な荷物ぶら下げてるし、
ならばダンジョンを使って、話を聞く前に多少体力を使わせた方がいいか。
「じゃあ進もうか。・・・・・・レコウ、この角の先の角、落とし穴」
「了解! 進むのじゃー!!」
これは、下の階まで落ちるな。
この辺は王族も来てるだけあって、先に精査され尽くしてるだろうから、危険性はないだろうけど。
想定外の事態は、疲れさせるのにもってこいだ。
「あ、宝箱。行ってみようか、」
「おお! 早く来ないと、我が独り占めしちゃぞー!!」
さてピンクちゃん、どうするかな?
巧妙に隠れた落とし穴、魔術の気配もする、普通の女の子には気づけないけど、
「わーい、やったねー!」
お、釣れた。
こっち来たな、少なくともこのまま引っかかる気か、本当に気づいてないのか。
・・・・・・もう一人の彼は、少し距離がある。
ちょうどいい、彼には悪いが、一人で戻ってもらおう。
ここら辺はまだモンスターも出なくて危険性も低いし、これ以上巻き込むのも可哀想だし、
まあ、その結果また一人あぶれさせるのも、すまないとは思うけど。
「よし、じゃあ、」
「行くのじゃー!」
「お〜!」
「・・・・・・っ、あ、待って!」
ん、なに? まさか君、気づいたのか?
本当、見かけによらず意外と優秀だな、だけどもう遅い。
このまま、三人で落ちさせてもらうよ、君は先生に報告でもして来てくれたまえ。
大丈夫、ダンジョンになんて慣れてなさそうな子供三人、落ちたところで向こうも良くあることだ。
君に大事にはならないはずだよ。
「・・・・・・くっ、」
って、あ、なに、君。
何でこっちまで来てんの? 一緒に飛び込む気なの?
いや、やめときなよ。無理に自分まで巻き込まれず、報告しに行くのが正しい合理的な選択だよ。
どっちにしても、今から来ても間に合わ、いや速いな。
僕達より先に落ちていくじゃん、え、うっそ、下で全員受け止める気?
君、そんなに男気溢れる人だったのか・・・・・・、いや、無謀だと思うけど。
しょうがない、彼の漢に免じよう。
女三人、大人しく受け止められて、花を持たせてやるか。
・・・・・・いや、やっぱアレン以外に触られるの嫌だな、そもそも今の僕は男だし、僕だけは普通に着地しよ、
「おっとー、危ないのじゃー、!」
あ、レコウ、普通に壁を掴んで止まった。
「きゃー! 『ふわふわ』!」
え、ピンクちゃん? 何その魔法、毛玉、羊毛!?
というかいつもヒロインムーブしてるくせに、こういう時だけ一人で何とかできちゃうの??
「・・・・・・・・・・・・、」
えっとー、あ、彼と目が合った。
・・・・・・うーん、あー、う〜ん。
すまん、少年、
「ふう、五点着地、」
む、ちょっと服破けた。
うん、流石に、合理的じゃなかったかな?
いやでも、彼が無事に受け止められるかは不明だし、僕一人なら確実に無傷で行けたから、やっぱりこれが合理的か。
「おー、大丈夫かの、せー、キサマー!」
「くふっ、大丈夫だよ、このくらい。慣れてる」
「いや、凄まじい速度で服を縫い合わせたの。針も無しにどうやってるのじゃ?」
だって縫い糸増やしたら、アレンに服直したことバレちゃうじゃん。
この程度、必須技能だよ。
「きゅー。・・・・・・わたしたち、落ちちゃったのかな?」
「・・・・・・あ、そう、みたいだね」
・・・・・・めっちゃ少年こっち見てくる。
いやー、ほんと、申し訳ないことをした。
だって今の彼、ただなんか一人で自ら真っ先に、見えてる落とし穴に飛び込んだ人だもん。
「・・・・・・あー、危険を知らせてくれたよね? ありがとう、君が教えてくれたおかげで、助かったよ?」
すまん、これが今の僕にできる、精一杯のフォローだ。
「・・・・・・あー、まあ、助かったのじゃ?」
「えっとー、うん。たすかったよー?」
ほ、ほら、レコウまで、何も言わずとも自ずと空気を読んでるよ。
そしてピンク? 君はもっと、普段から男を振り回してるんじゃないの? こういう時こそもっと、もてはやせよ。
あー、僕は男だから大して効果もないし、言いたくもないし、うぐーん!
「・・・・・・はは。うん、みんな無事で、良かったよ」
遠い目をしてるー! しょうねーん!!
「・・・・・・じゃあ、どうしようか」
・・・・・・穴から落ちて、ようやく少しは落ち着いた。
はぁ、僕はわかって落ちたはずなのに、夢がなんかトラウマでも刺激されたのか、やけに感情的になって疲れてしまった。
「上は、いつの間にか塞がってるね、」
「どーしよう?」
ダンジョンの下に落ちた、マップもない、まあまあ焦るべき状況。
まあ僕は、上を通った時点で下の地形も把握してるし、それとなく正解の道を通ればいいだけなんだけど。
最悪、レコウなら壁壊しても、キャラ付けで何とかなりそうだし。
「・・・・・・えっと、こういう場合は、無理に慌てて出口を探すより、その場で待機していた方が」
「まあ、貴様が上にいるなら、それでも良かったがの、」
ちょ、レコウ!?
ナチュラル鬼畜ドラゴンちゃん!?!?
しーっ、思ってても言っちゃ駄目だよ?!
「・・・・・・あ、はい。すいませんでした」
「い、いやー! そんなことないよ、カッコよかったよ!? ね、メートちゃん!?」
「え、う、うん。ゆーしゃ様みたいだったよー!」
ほ、本当にごめんね!?
勇者みたいに、ん、あ?
「ゆーしゃ、みたい? 勇者って、勇者はもっとカッコいい人でしょ」
「えー?! だ、だめだよー!? 思ってもいまそれいったらー!!」
「は、しまった、条件反射で!!」
べ、別に、僕はアレンに勇者なんて求めてないのに! 偽勇者のせいで、カリカリしてたからって言い訳させて!!
・・・・・・あ、それでー、少年は。
ほっ、思ったよりショック受けてない。
良かった、セーフ、
「・・・・・・あ、じゃ、じゃあ。ボクらで出口を探して、進みますか?」
「う、うん、そうしようか。レコウ?」
「お、おう、ついやっちまったのじゃ。進むのじゃー!」
「お、おーだよー!?」
・・・・・・よし。
なんかものすごい疲れたが、それはみんなも同じはず。
謀らずとも、当初の目的を達成できたし、いい話題の流れもできた。
「・・・・・・レコウ、そっち頼んだよ。僕は彼女から勇者の情報を聞き出す」
「・・・・・・あー、うん。そうじゃの、」
どうしたんだろ、さっきの畜生人外ムーブは流石に反省してるのか?
まあ、レコウを信じて、僕は目的を果たそう。
「・・・・・・そういえば、メートちゃん」
「ん、なーに?」
「勇者みたいって言ってたけど、君は勇者を見たことあるの?」
それどころか、話によると、この女がどこからともかく見つけて来たらしいけど。
「そうだよー! 勇者様はー、全身真っ黒でカッコいいんだよー!」
「そ、そう、」
趣味が合わなそう。
「そう! メートのー、絵本から飛び出してくれてねー!」
「はあ、」
「ふふ、冗談だよー。でもねー、本当にそっくりだったんだ」
アググ、不思議ちゃんめ。
話しづらい、これ全部計算尽くか? だとしたら僕と同じくらい、外面がぐちゃぐちゃで整ってグロテスクだな。
「わたしが、困ってる時に、いつも助けてくれる勇者様。みんなに教えて、仲良くしたいのに、いつもすぐにいなくなっちゃう」
「・・・・・・でも、みんな勇者のことは知ってるんじゃないの?」
「うん。だってそんなの、ずるいから。わたしだけが、いいなんて。だからみんなに、言っちゃった」
・・・・・・つまり、偽勇者っていうのはこの女の目撃証言だけで、実物は誰も見ていないのか?
それだけで聖女扱いで、真の聖女だったレリアは追放された? いやこれは、婚約破棄だかの所為なのか?
「・・・・・・そういえば、クラスの噂で聞いたんだけど。メートが聖女なのって、本当なの?」
「え、うーん。ほんとー、かなぁ?」
「・・・・・・僕は、魔導国は、あんまり聖女について詳しく知らないんだけど。聖女って、何をしたらなれるの?」
「んー、なんかねー。勇者様のことをみんなに言ったら、神の予言と一致してるって、みんな褒めてくれたんだー。わたしは、そんなことより、勇者様を知ってほしかっただけなのに」
・・・・・・予言、知らない単語だ、情報が足りない。
何だ、何か、話がおかしい? これは僕のせいではない。
偽勇者、メート、聖女、追放、原因、婚約破棄。
そうだ、もっと重要なことがあった、聞かなくては、
「・・・・・・そういえば、君って。この国の王子と婚約してるだっけ? という事は、将来は聖女で、お姫様なの?」
「え、えー!? わ、わたしがケインくんと結婚なんて、そんなのしてないよー!!」
「・・・・・・そう、なんだ、」
・・・・・・そうだ、聞かなくては。
レリア、一度君と、話をしなおした方が良さそうだ。