さてとパーティ、
って、何すんの?
「食べるのじゃ!」
「(今日のは舞踏会、踊るのよ)」
「どっちも満足にできる気がしない」
ダンス、え、僕が?
縁が無さすぎる、しかも男性側。
もういいよ、一応軽食もあるみたいだし、そっち行って来なよレコウ。
「あ、貴様ら、邪魔じゃー」
「まっまってくれ。俺は、その、あなたに蹴られてから、何かに目覚めて、」
「えぇ?」
「よければ、俺と一曲、」
周囲、観測、模倣、完了。
よーしレコウー!?
おどろっかー!?!?
「(うふふ、いいわねぇ、これ。あ、レコウちゃん? 次はこうよ〜)」
「ほう、初めてやってみたが、こんな感じなんじゃの」
「ねー、」
何が楽しいんだろうね。
・・・・・・あ、でも、アレンに振り回されるのは、きっと楽しいだろうなー。
「・・・・・・楽しい?」
「(ええ、とっても)」
「うむ、悪くはないのじゃ」
「・・・・・・うん。なら、僕も、楽しいかな?」
るーらー、ぐるぐると、
周囲には言葉の絡まりが渦巻いて、学生主体だからまだマシなんだろうけど。
でもいいや、僕らには、関係ないことだもんね。
「んー、ふふー、おっと足、」
「邪魔じゃーー‼︎」
——ありがとうございまーす!!
・・・・・・マジでうるせえ。
あれ僕と同類? やだぁー、
ひと段落ついて、視線が自然と壇上中央に集まる。
王子と、ピンク、ちょうど踊っていたようだ。
そして、そのままそこで、いやなんでこっち見た。
ちょ、こっち近づいてくんな、良いだろそこで、巻き込まないでよ!?
「(・・・・・・一応、好機よ)」
まー、そうかなー?
正直、もう帰りたいんだけど、
「今日は、重大な発表がある」
何だよ王子、いや大体みんなわかってるだろうけど。
「本来なら、前回のパーティで告げるはずだったのだがな」
それは、散々に否定されたから、お流れになったらしいね。
そこ、中で得意気に胸張るなよ。まだサイズが戻ってないから痛々しいんだよ。
「異国の友人達も祝福してくれている」
え、勝手に!?
誰が友人だ誰が達だ誰が祝福しただ!?!?
「俺たちは、今日、ここに、」
パリーンッ、
把握、魔物、ダンジョン産。
上、ガラス、被害者無し。
示し合わせたタイミング、見ていたな。
誰だ、この場にいるか、いったい、
「(流石ね、完璧なシチュエーションよ!)」
「おお、マジでやったのかじゃ」
「え、違う、僕はやってない!?」
まだ!
いやこっそり魔物は回収しといたけどさ!?
「きゃ、なにー!?」
「な、くそ、メート! 後ろに!!」
うわっ、こいつら、真っ直ぐ王子とあの女の元に向かってる!
操られているのか、完全に計画的な犯行だ!!
「(いい気味ねー)」
「ちょ、流石にそれどころではじゃ!?」
「うん、一応止めないと!」
いくら何でも本当にこの件に関与しておらず、このまま死なれたらまずい。
それに、もしこれがあの女の力を示す自作自演なのだとしたら、先に倒すのはその邪魔にもなる。
「万象の杖! 『水刃』!!」
「(あ、嬉しいわー。それにしても、本当にあなたがやったんじゃないのね)」
くそう、こっそり隠れてる魔物もいるな。
全力出し過ぎると怪しまれるか!?
「ふむ、やはりいい魔法だな、参考になる」
あ、メガネ、何ちょっと嬉しそうにしてんだよ、
「くそっ、剣がねえ、」
「私はある、」
「何でだっ!?」
「護衛だからだ、」
「わたくしが許可しました」
じゃあ離れてんなよ、
あ、やば、伏兵。
間に合わない、いや僕は間に合うけど、
この軌道、メートに当たるな。
王子は、別の魔物の相手で手一杯だ。
僕が何とかするか、いやあの女、驚いてはいるが怯えてはない?
どうする、真の聖女? 魔法を使う気配は感じないが、どう防ぐ気だ、
「たすけてっ、ゆーしゃさま!」
・・・・・・は?
っ、速っ、何だ、外から!?
「————、」
・・・・・・そこには、漆黒の鎧に身を包み、大剣を構えた戦士がいた。
確かに、これは、勇者と言われて納得する人もいるだろう、僕は認めないが。
背丈は、鎧に隠れてわかりづらい。
それにこれは、認識阻害? どうりで、僕がギリギリまで気づかなかったわけだ。
よくレリアは、いやそれも聖女、というか彼女の技術ってところか。つまり学生、これが?
疾い、一切の抵抗無く、魔物を切り裂いている。一連の流れに無駄がない。
隠れている魔物も全て殺して、そのまま・・・・・・、消えた?
いや、高速で去っていっただけだ、僕には認識できた。
追うか、いや速すぎる、追いつこうと思ったら、僕らの正体もバレかねない。
せめて人の目が無ければ、ああ、もう把握できてる範囲外に出てしまう。
「(・・・・・・見たわね)」
「ああ、あれが、」
「なるほどの、」
あっという間の出来事だった。
目の前で助けられた王子でさえ、何が起きたのか把握できていない。
「な、んだ。今、何が起こった?」
誰も見たことが無い?
なんてことはない、誰も見られないんだ。
ただでさえ速すぎるのに、それに加えて認識阻害。他の人間には、黒い何かが通ったとしか、わからなかっただろう。
これは、いつもすぐに去っていくなんて次元じゃないよ。メートちゃん。
君は、よくあれを、知っていたね。
「(やばいわね。前にきちんと確認できたのは、怪我をさせないことが目的だったからかしら)」
「ふむ、なかなかの速度じゃの」
前の、雷速の魔族より速いか?
あれは直線しか見てないうちに、弾けちゃったから参考にしづらいけど、おそらく遜色無い。むしろ速いかも。
「(・・・・・・ちなみに、私の勇者様は。あれ、簡単に消せそうかしら?)」
その呼び方は本当にやめて。
・・・・・・まあ、タイマンなら、何とか。
結界に全力で阻害されたら、ちょっと厳しいかも。
「(・・・・・・深入りは、やめておきましょう。先に、情報を集めるわ)」
「いいの?」
「(ええ。幸いにも、流石にあのバカも、この状態で強引に宣言する気はなさそうだわ)」
・・・・・・そう、か。
今回の件、傍目にはどう映ったんだろう。
ピンクの聖女が叫んで、そして、
彼女が何とかしたように、見えるのだろうか。
パーティは終わった。
というわけで、部屋に戻って作戦会議。
「あれ、本当に学生なの?」
「うーん、聖女の勘。いえ、前に見た時は、確かにそう思ったのだけどねえ」
「・・・・・・ま、確かに体幹的に、そんなに大柄で筋肉質ってわけでも無さそうだったか」
魔力を帯び全身鎧は、僕でも中身が覗けなかった。
でも外側、情報は全て隠せていたわけではない。
「剣技、授業のと一致する部分があったか? 少なくともこの国の剣士の可能性」
「ああ、そういえば。あれ、少し前に改良されたらしいわ。何でも対人よりも、対魔物を想定した動きを取り入れたとか」
勇者が望まれるくらい、魔物が活性化してきてたからね。
まあ、僕にとっては都合が良かったんだけど。
「確かに、あの剣は確実にダンジョン産の魔物を殺していた。・・・・・・そもそもダンジョンがそのための授業か、それに実際に潜って戦ったことがある?」
「ちなみにあのダンジョン、高学年からしか入れないわ。それに基本的には学生しか、外の人間が入るのは厳しいわね」
ふむ、王子たちは高学年、つまり同じ学年の可能性が高い?
まあ最低限、この学園の関係者である可能性は高いか。
昨日のパーティは、学園内の人のみ呼ばれていた。
そんなところで、重大発表しようとすんなよ。
「説一、あれは中身なんてないハリボテで、誰かが外側から動かしていた」
「あら、いきなりそれ?」
「あれほどの動きをする人間が、目立たないとは思えない。でも、あのパーティには主要な学生は殆ど来ていた、」
それこそ、よくわかんないチンピラまで、
あれで、一応貴族らしいね、何だそれ。
「それに、示し合わせたような完璧なタイミング。近くで見ていたと思う」
「そうね。他の学年にも、それなりの剣技の使い手や、魔法の使い手はいたけれど、その推測だと魔法使い。でも、私以上はこの学園にはいないはずよ」
「うーん自信。じゃあ力を隠していたか。それにあの剣技、魔法が得意なだけで、再現できるものじゃないよ」
さて、その場合の容疑者は、
一、メガネ君。
近くで見てて魔法も得意。
でも多分、あんな剣技は再現できないと思うな、普段の体幹ボロボロだし。
二、剣バカ君。
魔法は殆ど使えないらしいけど、嘘の可能性。
あれが? みんなを騙して? それに、剣術の種類が違っていた。
こいつのはもっと、乱雑で我流でこの国っぽくない。
三、護衛君。
魔法も剣も使える、それに護衛のくせに離れてた。怪しい。
でも、多分、あんな強くないな。
実際打ち合って、真の実力隠してたなら、あの偽勇者はさらに強いはず。
それに立場的に、隠す意味あるのかな。
四、宰相君。
うーん雑魚、だからこそ可能性? うーん、
むしろこいつなら、パーティ邪魔する方に加担してても、おかしくないんだよな、
いや、流石にやってないと思うけど。
五、王子君。
剣も魔法も使えるらしい、でも全体的に、護衛君より下。
位置的にも動機的にもありだけど、そもそも王子なら隠す必要、あるのか?
というか、僕は違うと思う。だって弱いから、本当に色んな意味で弱いから。
頭も、あ、言っちゃった。
六、先生。
そういやあの場にいたな、まあ学生だって話だし、雑魚そうだし。
七、影の薄い君。
君・・・・・・、いたっけ、ごめん覚えてない。
八、チンピラ。
邪魔だー! 思考に入ってくんなー!!
九、ピンクの女、メートちゃん。
彼女が呼んだ瞬間現れて、彼女以外、そもそもその存在をほとんど知らない。
剣の腕は知らないが、意外と動けはするみたいだったし、魔法は普通に使えていた。
それに、多分本性を隠して生活している。
「やっぱり、この自作自演が一番可能性が高いか? でも、流石にあの瞬間に魔法を使ったとしたら、僕が見逃すかな、」
「私も、何も感じなかったわ。事前に唱えた魔法や、魔導具の可能性は?」
「うーん、操作しているようにも見えなかったからね。自動操作? そもそも普通に中身がいて、僕が知らない人って可能性の方が高いかも」
だとしたらお手上げだ、僕は大人数の顔と名前なんて、覚える気がしないし。
レリアが知らないとしたら、やっぱり学生でも無い?
「説二、誰かの護衛や付人。いるんでしょ? たくさん」
「可能性はあるわね。でも、その人たちはダンジョンにも、昨日のパーティにも入れてないわ」
「説三、あれは人間じゃない、魔族とかなんかそんなのが紛れ込んだ奴。それならあの動きも納得できる」
「それを勇者として崇めていたら、この国はもうお終いね。ワタクシの結界の中で、そんなものはいないって言いたいところだわ」
個人的にはこれだと、消しても何の問題もないから楽なんだけど。
正直、これで本当に聖なるパワーがーとか、神に選ばれたーとか、そんなのが出てきたら、
ちょっと本気で、自分を抑えられる自信がない。
「・・・・・・駄目ね、情報が少なすぎるわ」
「やっぱり、本人に聞きに行くしかないか」
「それができないから、いえ、誰のこと?」
まあこの場合の、渦中の本人と言ったら。
「メート。彼女から聞き出すのが、どう考えたって一番手っ取り早い」
さて、いろいろあったが、すぐにまた、いつも通りの授業が始まる。
それが、学園、学生というものだ。
話を聞く機会は、いくらでもある。
「うむー、一人部屋は寂しいのー。最近まったく寝れてないぞー。・・・・・・しょうがない、楽しかったが、そろそろじゃのー?」