情報過多の荷物持ちさん、追放される   作:エム・エタール⁂

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33話

 

 聖女の間に着く。

 音が、聞こえない。

 やっぱりこの中は、遮断されてる。

 

 でも、ここまで近づけば、

 

「っ、レリア!?」

 

 倒れている、女性が一人。貧乳、

 そして、立っているのは、巨乳。

 

「あ、きた〜」

 

 ドアの方から、勝手に開く。

 

 そこにいたのは、いつも通り人受けのいい笑顔の、ピンクの君。

 

「・・・・・・・・・・・・っ、」

「うん? あ、大丈夫、死んでないよー? だってメートのおんじんだもん、ころすわけないじゃん。だってメートのかたきだもん、殺すだけで済むわけないじゃん」

 

 ・・・・・・聞いてもないことをベラベラと、

 

 ・・・・・・ここの結界、前に屋敷に貼ってあったのと同じか。あれも君がやったんだね、メートちゃん。

 

「うん、そー♪ わたしのまほ〜。いちおーみんなでやったことにしたけど、他のなんていなくても変わんないし」

 

 聖女の結界ね、君は本当に聖女だったらしい。

 

「うん、メートはせいじょ。わたしは聖女は嫌いだけど、ゆーしゃ様のためだしねー」

 

 勇者、ね。

 その偽勇者は、今頃床に埋まって、剣も取られてるけど、

 

「えへへ、そんなのどうでもいいよー。それより、わたしとお話しましょう?」

 

 ・・・・・・とりあえず、レリアを安静な場所に置かせてくれるならね。

 

「そんなこと? もちろんいいよ〜。もうそのこなんて、どうでもいいからー♪」

 

 ・・・・・・・・・・・・本当に、何の抵抗もなくレリアを『収納』するのは許された。

 

 話、か。

 確かに、結局、彼女の目的は何だったんだ、

 

「わたしはねー、この国を壊したいの。殺して潰して嬲って消してグチャグチャにしたいの」

「なるほど?」

「あなたなら、きっとわかってくれるよねー、」

 

 ・・・・・・適当に、気にいる相槌打ってやろうか。

 

「あ、もー、それやめてよー。メートもなるべく、わたしとして話すからさー」

「・・・・・・心読むのやめてくれる?」

「んふふ、やめようと思ってできるものじゃないでしょ? でもがんばる! んーー、ぎゅーっと!!」

 

 うわぁ、きっつ。

 

「ひどい!?」

「おい?」

「あ、ごめーん☆」

 

 ・・・・・・・・・・・・はあ、まあ、読まれやすいようにしてる僕の方にも問題あるか、

 

 あいつらは、自分が見破ったと思ってるものは、疑わないんだ。

 

「あ、それ、」

「なんだい?」

「うん! やっぱりやっぱり! わたしと同じだ!!」

 

 ぴょんぴょん跳ねて、おいそれ揺らすな!?

 

「お? んふふー、いいでしょー? ご飯はいちおーもらえたんだよー? そのかわり、いっぱい使われそーになったけどー」

「別に、羨ましくないし、」

「んー? ・・・・・・あ、もしかして! すごーいすごーい!! そんなとこまでいっしょなんだー!!!」

 

 だから跳ねるな!?

 くそ、いや、別に、何とも思ってなんか、ないんだからね!?

 

「あなた、名前ってあるの? セレンくんって、呼ばれ慣れてないでしょ? かわいーなまえあるー? あ、あなたもメートにする〜?」

「何で??」

「そしたらあなたも家族、わたしの仲間、メートの一人!」

 

 やだね、僕の家族で仲間は、レコウとかレリアみたいなのって決めてるんだ。

 

「んー、でも、メートの中には、あなたみたいなのも・・・・・・。一応、まあ、いたよ?」

「そこはいたって言えよ!? はいはい、どうせ僕は特殊性癖ですよー」

「えへへー、」

 

 何だこいつ、初めて話した感じがしないな。

 いや実際、初めてではないんだが、この状態の彼女と会ったのは初めてのはずなんだけどね。

 

「それで、あなたは、どこの人? この国のじゃないよねー、人間だしー、」

「人じゃないよ、残念ながら、物。そっちこそ、人扱いでいいのかい?」

「んふふ、わたしは、人だよ」

 

 ありゃりゃ、そりゃ、羨ましいね。

 じゃあこれは、単純に僕の問題なのかねえ、

 

「女性奴隷の商品集、メートヒェンの最後の一人、それがわたし。あなたは?」

「・・・・・・いや、別に僕は、そういうのないただの物だけど、」

「そう? それにしては・・・・・・、」

「ま、君と競う気はないけれど、かなり運良く生きれた底の底ってだけだよ」

 

 はあ、不幸自慢なんて、何にもなりやしない。非生産的。

 今ここでやってみろ、お互い死にたくなるだけだ。

 というか、僕は別に、アレンと会えたから幸福だしね?

 

「・・・・・・いま、だれのことおもったの?」

「うん。まあ、わかるでしょ?」

「あはは、そんなところまでねー、」

 

 ・・・・・・さてと、存外悪くなかったが、これ以上はお互い傷が疼きそうだ。

 君の目的、なんだっけ?

 

「この国をね、コネコネってお団子にするの〜」

「うわぁ、あざとい、鏡見てるみたいだ」

「どう思うー?」

「どうでもいい、それが正直な感想だよ」

 

 僕、この国、好きじゃないし。

 部外者が、何とかする物でもないかなー、

 

「でも、一応支援してくれる可能性のある国を潰すのは、合理的じゃないか??」

「ごうりてきー? そんなの意味あるの? たのしーことしよーよー」

「自分が楽しいことに、何か意味あるの?」

「ないの?」

「あるの?」

 

 わからない、

 何でそんな不思議そうな顔してるんだ?

 お互いに、わかりきってることじゃないのか?

 

「あなたは、何のために生きてるの」

「んー? 強いて言うなら、役に立つため?」

「たのしいのー?」

「んー、まあ、うれしいのー、かな?」

 

 僕を生かしてくれた人のため、まあ主にはアレンのためにね。

 アレンのためのことが楽しいかと言われると・・・・・・、確かにそこにはこの世に存在する全ての良い感情が詰まってると思うけど、

 楽しいからやってるとは、やっぱちょっと違う気もする。

 

「あなたは、まだ、そこにいるんだね」

「君もだろ?」

「わたしはっ、どうだろー?」

「まあ僕は、そこまで届く光があるからいいけどね」

 

 おっと、言っちゃった。

 君に惚気るつもりはなかったんだけどね、

 だって、残酷じゃん。

 

「・・・・・・そうは見えないよ、」

 

 君にも、いつか、見せてあげたいけど、

 ああ、そうだ。

 そのためには、君が邪魔なんだった。

 

「一応。僕は合理的に、この国守ったほうがいいのかな」

「やだ、」

「上の部分と、裏の部分はあげるからさ。ならいいでしょ?」

「感情的に。それであなたは、納得できるの?」

「できるわけないじゃん。でも無差別なんて、効率的じゃないだろ?」

 

 君も、生き残るために・・・・・・、

 

 ああ、そっか、それで話が合わないんだ。

 

「自分の命を守るため全力だった、それが僕」

「メートは、わたしを守るためにいっぱいがんばった。あーあ、せっかくぜーんぶいっしょだとおもったのにな〜」

「ははは、まあ、君が人なら、そんな物だよ」

「えへへ〜、そっちのほうが、よく売れそうでしょー?」

「でも売れ残るかもしれないじゃん。こっちの方が、無難だったんだよ」

 

 さてと、楽しかった、かな?

 

「あー、まってよー。最後に教えてー? あなたは、何を見てるの??」

「んー、まあ、いいか、」

 

 君は、誰かに伝えることもしなさそうだし、

 

 

 

 勇者。

 

 

 

 あはは、やっぱり、おんなじだ、

 

 

 

 

 

  『整理』     『拒絶』

 

 

 

 

 

「あはは、すごいすごーい! 初めて、わたしの魔法がきかなかったよー」

「まあ、僕は、何度も見てきたしね。屋敷のも、学園のも、ここのも、全部君のだろ」

「えへへー、じゃーねー、あなたは初めて、」

 

 

 

『『『『『『『『『『『『『わたしと勝負ができるかも』』』』』』』』』』』』』

 

 

 

 ・・・・・・これは、魔術だ。『』『』『』『』

 

 ああ、そうか、レリア。『』『』『』『』

 君は、魔術の前の、魔法で止まってしまったんだね。『』『』『』『』『』『』『』

 

 これは、伝えない方がいいかな?

 『』『』『』『』『』『』『』『』

 

「『すごいすごーい、ちょっとでも気を抜いたら、すぐにでもわたし死んじゃうかなー?』」

「『こっちは、即死はしないで済みそうかな?』」

「『あなたのことは殺したくないなー、でもしんで〜、』」

「『そっちこそ、』」

 

 ・・・・・・これは、千日手か?

 多少優位に進めようが、奥まで近づけば結局とりかえされる。

 僕の魔法は繊細なんだ、少しでも妨害されたら大変なことになる。

 精々、自分の周囲に攻撃こないようにするのにとどめておいた方がいいか。

 

「『チッ。空気の剣、持ってくればよかった』」

「『あれかっこよかったねー、』」

「『見てたのかい?』」

「『なんとなく〜、結界って便利だねー』」

 

 くそ、あれ作る隙もない。

 それに結界か、ここにあるのはそれ用の機材だったか、邪魔だな、

 

「『でもこれビミョーなんだよね、ただ集めて束ねるだけ。わたしには、いらないかな〜』」

「『はは、レリアと同じ思想だね』」

「『うん、それはー、なんかやだかもなー』」

 

 ・・・・・・埒が開かないか、なら、

 

「『つえー? どうするのー?』」

「『こうするんだよ!』」

 

 くらえつえパーンチ!!

 ナイフより硬いことは、実証済みだ!!

 

「『あぶなーい!』」

「『よく避けたね、』」

 

 このまま、眼球に突き刺してやろうとしたのに、

 

「『お返しー!!』」

「『危な!?』」

 

 慣れ親しんだ、風を切る音。

 

 鞭? いったいどこから取り出したんだ、

 

 先っぽがハート、あ、それアクセサリーで見たぞ。

 

「『かわいいかなー、カットされてるんだよー?』」

 

 君、普段から鞭、しかもSM用の持ち歩いてるの??

 

「『てーい!!』」

「『そりゃー!』」

 

 相手の動きは把握できる、だから当たらない、

 相手の動きを知覚できる、なのに当てられない、

 

「『どうなってるのー??』」

「『そっちこそ、』」

 

 お互いの攻撃が、面白いように空振る。

 相手の動きは把握してるはずなのに、いざ攻撃に移ろうとすると既に避けられた後なのだ。

 

 後出しで間に合わせるほどの身体能力があればいいが、残念ながら僕にそんな力はない。

 

「『僕は動きを感じれば、全部予測できるのに、』」

「『わたしは相手を感じれば、全部考えてることわかるのに、』」

 

「「『『っ、』』」」

 

 はは、やりにくいなあ、

 こんな相手、初めてだよ。

 

 こんなに違うのに、こんなに似たような表情して、君もそうなんだろ?

 

 予測できるよ。

 

 

 

「『・・・・・・あ、終わったねー』」

「『うん、終わったよ』」

「『・・・・・・じゃあ、わたし、ずるいことするよ?』」

「『じゃあ、僕も、ずるいことしよう』」

 

 

 

「『たすけて、ゆーしゃさま!』」

 

 

 

 黒い、鎧が現れる。

 剣も、本体も、今まで見た中で一番でかいな。

 やっぱそれ、中身必要なかったか、

 

 というかそれが本来の使い方だろ。

 

 真っ黒が迫る、嫌いだ。

 重さも、速さも、今までとは段違い。

 流せるかな? いや流したとしても、もはや人の動き無視して連撃してくるだろうな。

 魔法も全部使えないし、どうしようもないか。

 

 僕一人じゃ、捌けそうにない、

 

 

 

「『おねがい、レコウ‼︎』」

 

 

 

「まっかせとけーじゃー!!」

 

 

 

 竜と鎧が打ち合う、

 互角? いや、

 

「『レコウ、全力で!』」

「おーじゃー!!」

 

 鎧の中心が弾け飛ぶ。

 あれ、純粋な物理現象で効果あったんだ。

 

「『ゆーしゃさま! がんばれー!!』」

 

 だけど、すぐに再生して元通り、

 やっぱ、そう簡単には消せないか。

 

「・・・・・・いいのー、我も、のー、」

「『え、あれ、欲しいの??』」

「ちらっ、ちらっ、じゃ、」

「『もー、しょうがないなー。頑張ってね、レコウ』」

 

 ——おっけーじゃーー!!!

 

 あ、音速超えたな、声が遅れて聞こえるよ、

 

 さて、じゃあ、僕たちも再開しようか。

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