「お、見えてきたね、村」
「くんくん、確かにこの辺は匂いが強いのじゃ」
「エ? いや、村? どこ??」
うん、無事に日が落ちるまでで着きそうだ。
・・・・・・っと、その前に、あれはー、
「レコウ、何か仲間がいるけど、知り合い?」
「んー? ・・・・・・いや、ただのでっかいトカゲじゃのー?」
「うん。知り合い??」
「いや、だから、トカゲじゃって、」
うん、だから、知り合いじゃないの???
「なー、さっきから、何見えてるんだー??」
・・・・・・まあいいや、とりあえず会って話してみよう。
「こんにちはー、」
「誰に話しとるんじゃ、」
ガルガル。
お? うんうんなるほど?
「この子は、喋らないね?」
「いや当たり前じゃ!?」
「ウワ、ホントにいた、どうなってんだ??」
喋る用の魔法使えないのかな?
ガルガル、
お、なんだろ、
『グルル』
「ッ、あぶねえ!!」
お、炎を吐く気だ、やっぱ親戚では?
うーん、普通の炎魔法? いやちょっと違うな、もっと純粋と言うか、単純なんだ。
効率はいい? 面白いね、再現できるか試してみよう。
「万象の杖、『反論』」
逆位相で、
おー、消えた消えた。魔物も人も、根底の魔法はやっぱ変わんないんだね。
「ナッ、イマのって、」
「うーん、元気な挨拶だったね、」
「・・・・・・そろそろ、我とはなんの関係もないと気づいてほしいのじゃ」
とは言っても、流石に気が引けるしね、
ほら、森へおかえり?
「『水弾(もりへ、)』『雷弾(おか)』『風弾(えり?)』」
がるー!!? ・・・・・・・・・・・・、
うん、無事に傷つけずに済んだよ。
「もの凄い力技だったのじゃ」
「スゲー、」
しかし、弱かった。
これ、もしかして本当にレコウとはなんの関係もないのか? まあいっか。
「な、なあ、今の、どうやったんだ!?」
「え? これは、万象の杖と言って・・・・・・、なんか凄いやつ!!」
「へーー? じゃあその前の、炎消した奴は!?」
「んー? あれはうまいことまったく逆の魔法をぶつけただけだよ」
正直、おとなしく障壁でも作った方が何倍も簡単な、ただの宴会芸だね。
まあ、今みたいな、森が燃えないようにする時は便利かもだけど。
というかあのトカゲ普通に炎を吹いてたけど、よく今までこの森無事だったな。
「魔族領って、みんなこうなのー?」
「どうだろうナー、そうそうこんな奴いるとは思わネーけど」
「というか魔物ってことは、レコウの知り合いじゃなくても、魔族の知り合いの可能性もあるか?」
君の可能性も、昔に生き別れた義兄弟とか、
うん。ありえないね。
「いや、野生だろ? 流石に、あんなんペットにする奴いるんかねえ?」
「魔物はみんな魔族のペットみたいなもんじゃないの?」
「なわけあるかよ??」
そうなん? いやでも君、別にそこら辺、詳しくなさそうだしなー。
「まいっか。もう村だね、」
「そうじゃのー、」
「・・・・・・あ、見え、やっぱまだ見えねえよ、」
そのデカいので視界塞がってるからでは?
くそう、
「・・・・・・・・・・・・うわ、ホントに村あった、」
「やっと見えたー?」
ふむ、門番とかはいないのか?
まあ、ただの村だしな、
しかし、魔族の村ってどんなとこなんだろ、
金銭の代わりに殴り合いで交渉するとか? ありそう、実際そんな場所もあったし、
とはいえ人が集団生活できてるなら、そこまで酷いってことは、フラグだこれ、
「・・・・・・今のうちに筋トレしといた方がいいかな?」
「何故じゃ!?」
冗談だよ、僕筋肉つけたくないし、
「魔族のことは、いざとなったらレコウに任せるよ、」
「ナー、オレはー??」
いや、多分君の運動能力、僕以下だし、
あ、膝をついて倒れ込んだ、本当に身体能力低いんだなー。
「・・・・・・筋トレ、するかの?」
「してもつかねえんだよこの体、」
食料不足では?
いや、栄養は確実に保ってやがるな、くそくそう、
「・・・・・・村、つくよ」
「オー・・・・・・、」
「・・・・・・はあ。なんか礼儀作法とかあるの、シファ?」
「あ? いや、そんなの、村次第だろ??」
使えな、
「グスグスン。どうせワタシは世間知らずの社会不適合者ですよー。アア、ニンゲンの礼儀作法は覚えさせられたのに、」
「ちょっとー、セシィ? 思っても言っちゃダメなのじゃー、」
「レコウさん???」
めんどくせ、ほら、村の中入るよー、
宿とかー、この規模じゃないのかなー?
まあ別に、いつも通り二人で収納空間の中でー・・・・・・、一人は野宿。
流石に、かわいそうかな??
「でも、あそこに男を入れたことなんて無いし、悪いけどやっぱ、」
「いやー、あんまりじゃよー?」
「グスグス、よくわかんないけど、男あつかいしてくれるならそれでもいいや、」
うぐぐ、ま、まあ、まずはこの村がどんな感じか、見るのが先だよね。
魔族の村、一体どんな場所なのか。
気を、引き締めなければな・・・・・・、
・・・・・・魔族の村、そこで僕たちは、今までで初めての体験をした。
うん、凄い変な感じ、慣れない、もはや怖い、
これは、いったい、何が起きた?
「いやー、くるしゅうないじゃー!!」
きゃー、、
レコウがモテてる、主にご高齢の方に、
「あ、どうも、おかまいなく、」
「ア、ホントに、大丈夫なんで、」
そして、僕たちも、めちゃくちゃ配慮される。
主にご高齢の方に、すなわち町の住人ほぼ全員に、
僕たちは、今、体験したことがないほど、
はちゃめちゃに歓迎されていた。
「ナ、何が起きたんだ?! 魔族ってミンナこうなんか!?」
「君がそれ言っちゃうの??」
何故だろう、理由はいくつか推測できる。
まずこの村、やけに若い人間が少ない、本当に幼い子が一人二人いるくらいで、残りは全部老人。
少子高齢化の波が、こんなところにまで、
世界を跨ぐほどとは知らなかったよ、いや冗談。
次に、僕たちの外見。
中身は色々と詐欺もいいとこだけど、全員保護欲をそそる少女の外面。
つまり、僕たちは、ご老人たちのアイドルになったんだ。
最後に、何故かこの村、生活に余裕がある??
働いている姿が見えない、わからない、魔族も別に普通に食事するはずなんだけど。
なんだろう、この歪さは、
「ふははー、気分がいいのー!! それじゃあレコウ、歌います!!」
きゃーきゃー。
・・・・・・いやあの子、ノリノリすぎでしょ、
あと本当に歌うのは色々と面倒臭いからやめてくれ、
「どうすんだー、これ? 逆に休まんねえぞ」
「まあ、合理的に、この外見が役に立ったことを喜ぼう」
「よろこべねえよ、くそー、」
我先にと自分の家に泊めようと争ってるな、みんなそんなに部屋余ってるの?
「アー、もしかして、そーいうことかー??」
「知っているのかシファ!」
「ほらあれだよ、オレたちの目的の、な、」
そう、わかるだろって顔だ、
うん、知らねーよ?
でも、それを聞くのは、なんか癪だなー、
「みんなー、ありがとーなのじゃー!!」
あ、レコウのライブが終わった。
どうする? とりあえず、村長とか居る?
「おお、夕飯!? どうもなのじゃー!!」
え? うわ、そのままプチ宴会始まったよ、
あ、僕らも? あらこんなに、
どうも、でも別に水だけでいいです。
ちょ、なんで、なんでさらに増えるの??
「また山盛りだ、どう、シファ? これ食える??」
「アハハ、すっかり胃が縮んじまったよ」
やばい、まだくる、いや、ほんとに、もういいですって、
い、う、え、助けてー、レコウー、
——お礼にもう一曲歌うのじゃー!!
——きゃー!
「・・・・・・シファ。男の子なら、いっぱい食べなよ??」
「オ、おう。・・・・・・オマエこそ、いっぱい食った方がいいんじゃ??」
・・・・・・・・・・・・流石にこれ、アレンのにするわけにもいかないしなー、
うーん、変なものは別に入ってないけど、本当に普通のご飯だ、量が多いよ。
「ほら、レコウも見てるよ。シファのかっこいいとこ見て見たい〜」
「お? そ、そうか? じゃあ、しょうがねえなー!」
おお、いい食べっぷ、り?
うわ、飲み込むのおっそ、
一瞬でほっぺたパンパンになって、リスみたいだ。
ちくしょう、ちょっと可愛いな、
「ふ、ふう。どうだ!?」
「え、あー・・・・・・、もうお腹いっぱいなの?」
「いや、まだ、八分目だゼ!」
まじか、一皿すら片付いてねえ。
この子、下手すりゃ僕より容量少ないんじゃ、
・・・・・・そういや僕はなんやかんやで、馬鹿どもとかに食わされたせいで容量あがってたんだな、この積まれた皿くらいなら、
「・・・・・・うっぷ。やっぱ無理、」
この、僕の、猟犬スピリッツを持ってしても、いやこれ無茶だって、
なんなら減らすたびに追加が来たもん、何これ、・・・・・・ん、ワンコ、側?
なるほど、猟犬のための催しか、まさにそれだね!
「・・・・・・ア、オレよりいっぱい食ってた、」
「おかげでお腹がほら、イカだよ、よくわかんないけど、」
「ウェ!? いやこんなとこで見せんなよ、」
そう? 悪いね、確かにこのボディは不気味だ。
メスガキボディ、こう言うと何か悪くなさそう? 雑魚? 何が? ざーこ♡ うわなんかしっくりくる、なんだこれ??
「この程度も食べれないなんて、ざ〜こ♡」
「ウ、エ、うおー!?!?」
あ、頑張ってる、これは応援のセリフなのか。
また一つ賢くなれた、ありがとう夢、しかし何でこの記憶はこんなに思い出しづらいんだろう。
「ウ、コプ? オゥゥ、」
「うわ、顔が紫になってる!?」
元からか、いやまずーい!
「もー、なんでそんなに無理するのー、」
「ウ、オエー、キモチワルイ、」
「でも絶対に吐かない。わかるよ、その気持ち、」
だからとりあえず、横になって安静になってましょうねー、
じゃあ、とりあえず、今あるものを枕にと、
「・・・・・・エ? あ、柔らかい、なにこれ?」
「どう? 少しは楽になった?」
「ア、下から顔が見える、」
「悪かったな⁇」
君はこの体勢になると顔が見えなくなるのか!?!?
ちなみに、今君が枕にしてるのは、袋に入れた鶏肉だ。
僕毛布とか使わない派だから、ちょうどいいクッション無かったんだよねー、
ンー、スヤー、
あ、寝た。安らかな寝顔だ、
こうしてみると、完全に幼女だ。普段はちょっと表情怖いからね、気を張ってるんだ。
安心できるか、その鶏もも肉は。
うん、ま、僕の膝だと硬いし、首を痛めないなら何よりだよ。
昔よりは、ちょっとくらいマシになったかもだけどね、まだ君に使うには貧相だよ。
何せ君は、贅沢だから。