路地裏、人が来てる。
どーでもいいよ、そんな事。
僕は、
「あ、まだ居たのか!! ほら、早く行くぞ、遅れちまう、」
腕を、引っ張られる、
乱暴に、
・・・・・・・・・・・・っ!!
「うわっ、なんだよ? ちゃんと走れって、」
・・・・・・何だ、子供? 男?
僕と同じくらい、いや年齢的な意味で。
僕ただでさえ発育が中途半端だから、同年代の男と並んだら普通に小さい。
・・・・・・いや、子供の頃は、女の方が身長伸びやすいんだっけ?
どうだったろう、夢。
相変わらず、君はなにも答えてくれないね。僕に話しかける人が、居なくなっちゃったよ。
「んーなんだ? まあ、不安なのはわかるけどよ。でもこれはチャンスでもあるんだぜ。ほら、勇気を出してな!!」
・・・・・・いや、いるな。誰なんだ君は?
・・・・・・・・・・・・ついてこいって?
嫌だよ、面倒臭い。
どうせ、僕は、なにもすることが、
なにか、そうだ、アレンの為。
君は、なにか、情報をくれるのかな。
まあいいよ、行ってやろうか?
・・・・・・どこだろう、ここ。
頭回ってない、なんでだろうね。
同じように、少年の魔族が多く集められてるな。
・・・・・・扇動してる、あれは、大人の男。
・・・・・・・・・・・・階級章、軍人?
そもそも魔族に軍があるかなんて知らないけど、多分似たようなもの。
それが、子供を集めて・・・・・・、
・・・・・・っ、これ、
「なー、それよりあれ、使わせてもらえるんだろ! もうあるのか? 見せてくれよ!」
「おい、貴様!」
「あ、やべ。見せて、くださりませんか?」
・・・・・・落ち着け、まずは情報を集めろ。
ここにいるのは、全体的にあまり身なりや健康状態の良くない少年。あとほんの僅かに少女。
ああ、そうか、やはりスラムはあったんだ。
人が足りなくて、遂にこの統率の取れなさそうな集団を使うまでになったと、
「まあ、いいだろう。お前らみたいなゴミムシでも、武勲を上げればいずれは俺と同じ軍人になれるかもしれないからな。特別だ、」
「うおーすげーー!!」
・・・・・・違う。
そこまで、町の中は限界じゃなかった。
あの男、読み取れるのは、侮蔑と、軽視と、清涼感??
ああそうか、これは、捨て駒だ。
肉の盾を補充するとともに、ゴミ掃除をするつもりだ。
くそ、なんてとこに紛れ込んでしまったんだ。
「これが、お前達に配備される予定の、六六式魔道銃だ。後で射撃訓練もさせる。ただし、一人六発までな、」
・・・・・・・・・・・・は?
銃? なんだそれは、
いや、僕は知っている、知っているからこそ異様だ。
何だこれ、おかしい、こんなもの、世界にはなかったはずだ。
「すげー、本物だー!!」
・・・・・・・・・・・・落ち着け、ここで狼狽えるのはまずい。
問題ない、僕はいつも通りのどこにでもある表情、無ですらない究極の普遍。
怪しまれる事はない。
・・・・・・確かに、僕は魔族のことなんて全然知らなかった。
なら、こういうこともあり得るだろう。
鞭や剣だって、世界を跨いでその形状で存在するんだ。
知識が命を害そうとする限り、似たようなものが存在してもおかしくない。
だが、それにしても、見覚えがありすぎる。
夢、君は実際にこれを持った事はないはずなのに、知識だけはあるね。何故だい?
答えてくれないや、今はいい。
機能美? シンプルな形? 確かに、それで説明がついてしまうのかもしれない。
・・・・・・金属と、木製。
当たり前だ、この世界にプラスチックは無い。
だから外見が似たって、おかしくない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当に?
「あまりにも才能がない奴は、配備されないかもな? しっかり集中しろよ」
「お、は、はい!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕も、あれを、撃つのか。
・・・・・・どう。しよっかな。
流れに任せたうちに、ひらけた場所についた。
遠くに、的が見える。
なんか、魔法の授業を思い出すな。
違うのはあの的は、サークルこそ同じだが、人型な点か。
「ちっ、当たんねー!」
放たれた弾は、真っ直ぐと飛ぶ。
なかなか当たらないのは、そもそも銃身がズレていたり、しっかり的を見れていないから。
一応、重力で下がってるのも考慮すべきだね。あと風も。
音よりも少し速い、恐ろしいね。
・・・・・・でも、これ、君の世界のに比べればまだ遅いんだろ? どうだろ、考えたくもないかな、
気になる点としては、反動が思ったより少ない?
そうか、最初から少年兵用の装備、出力が小さいものを選んでいるのか。
ということは、もっと速いものも、この世界には既に・・・・・・、
「次、お前! 名前は何だ!!」
「っ、あ、はい! セレンです!!」
おっと、つい同じの使っちゃったよ。
まあ、流石に、この名前を知ってる人と会う事はないでしょう。
銃を渡される、重い。
だけど、武器として考えると、不気味なほどに軽い。
構える、風を読む、銃身を安定させる。
反動は、流せば何とかなるな。これボルトアクションか、助かる。
しかし夢。本当に何でこんなことまで知っているんだ、君は平和じゃなかったのか?
さて、もし、僕がイレギュラーのない真っ直ぐに進む魔法を使ったならどうなるだろう。
当然中心に当たる、だからこれも、
パンッ、
「・・・・・・っ、中心、まぐれか? 次!!」
パンッ、
パンッ、
おかしいほどに当たる、
パンッ、
パンッ、
パンッ、
当たってしまう、正確に。
中心、ズレることなく、悍ましいほどに、
「・・・・・・素晴らしいな、何故だ、」
これ、弾、回ってる、
真っ直ぐ、精密に、
何だこれ、おかしいだろ、こんなの世界にあっちゃいけない。
「お前、どこでこれを覚えた、」
・・・・・・疑われてる、まずいな
やりすぎた、あまりにも衝撃的すぎて、誤魔化してる余裕がなかった。
しょうがない。
・・・・・・近くに、薬莢が落ちてる。
こんなところまで同じなのかよ、怖い。
冷めたものを選んで、適当に二つ放り投げる。
一つは遠くにピタリと立って、一つは真っ直ぐ飛んで弾き飛ばす。
おかしい技術、でも生まれつき持ってる奴もいるだろ? 魔族だし、
こんな、銃なんて、前から撃ってたと思われるよりはマシだ。
「・・・・・・天才か。なるほど、お前とだけは、長い付き合いになるかもな、」
ボソリと、小声。僕には聞こえる。
疑いの目は、晴れていない。
だけど、他の浮浪児と同じように、いやそれ以上に痩せた僕を見て、警戒はそこまで強くない。
しまったな、このまま他の子供に紛れて、覚えられないようにしたかったのに。
でも本当に、もう、そんなことに気を配っている余力もないんだ。
だって、もしかして、これ、
僕の夢が、他にもいる?
軍が編成されていく。
捨て駒の少年兵も、一応組み込まれていく。
僕はなんと、班隊長。と言っても同年代を四、五人ほど面倒見させられるだけだけど。
上に常に別の大人もいるしね、ただただ面倒臭いだけだ。
「・・・・・・ここで活躍したら、魔王様にも会えるかもって?」
「そうだぜ、すげーだろ、班長!!」
なんかその呼ばれ方やだな、セレンでいい、というわけにも行かないのか、軍隊らしいし。
しかし、魔王。そうだ、それを見に来たんだった。
こんな回り道してないで、さっさと収納空間でも通って近くに・・・・・・、
いや、魔王なんていうからには、その手段は対策されてる可能性もあるな。危険か、
それに、もう、僕には、頼りになる友達もいないし。
「じゃあ、セレン班長! 俺たちの班で、ぜってー一番になりましょうね!」
「・・・・・・ま、そうだね」
いいや、どうせ暇つぶし。あの子は、きっと帰ってきてくれる。
せっかくなら、魔族の戦い方でも見ていくか・・・・・・、
銃を使った魔族の戦争において、最も重要な武器といえば、
「スコップだ、」
塹壕だ。
嘘、こんなものまで、
技術の収束? 戦場の帰結?
やっぱこれ、裏に誰かいるだろ。
・・・・・・でも、すでに掘られた後だ、助かった。
いくら力の流れを把握してようと、僕じゃそもそも体重的に仕事にならない。
女の子としては、悪いことじゃないもん。
そしてここはまだ後方、事前用意かな?
それとももしかして、ここまで攻め込まれた事ある??
いや、取り返した可能性もあるか、調べればわかるな、銃弾の後はっと、
さて、次の塹壕を作るまで付き合わされるか、ここにはどれくらいいることになるんだろうね。
「・・・・・・何で穴なんて掘ってあるんだ? あ、いや、掘ってあるんでしょうねセレン班長、」
ん、知らないの?
いや、普通知らないのか?
どうしよっか、下手に詳しくても怪しまれるけど、知識があれば予測もできるだろうし。
ま、使ってみたらわかるでしょ、
銃弾が飛び交う戦場のなにもない場所で、ただ突っ立ってるなんて、僕ですらやりたくないもん。
しかし、当たり前だけど、これやっぱり敵からも銃弾が来るってことだよね。
別に、僕の敵ってわけじゃないけど、ああこれは所属的な話で、
というか、今の僕は何なんだ。
人間側のスパイ? アレンのための行動って意味では間違ってないけど、別に人間のためってわけでもないし。
そもそも、話が確かなら、ここって人間とは共存路線目指してるんだよね? なら、一応は味方なの? わかんないや、
「せ、セレン班長。あの人って、」
ん、さっきからいた大人の男? ああ近づいてきたから他の子にも見えたんだ。
しかし顔怖いな、アレンとは大違いだ、カッコ良さでね。
うーん、体格が良い。筋肉、銃撃戦でそんなにいるの? いるのか、わからない。
怒鳴ってる。
ふむふむ隊長か、
ごめん今その声覚える気分じゃないんだよね、使えはするから安心してって、うわこっち来た?
「貴様! 班長だな、班員はどうした?」
貴様って呼ぶのやめてくれ、思っちゃうだろ。
しかし、班員? ほら、そこに一人、
あれ、一人? そっか、他にもいたはずだよね、えーっとー、
あ、なに、穴に落ちてんの??
塹壕見に行ったまま戻ってこれない奴に、なんか離れた場所にいる奴に、
うわ、トイレしてる奴いる、粗末なもん見せんじゃねえよ。
・・・・・・えー、これ、僕がまとめなきゃいけなかったやつか? しょうがないだろ、スラムにいた子供達なんだから、そんな規律が取れるわけないだろ。
・・・・・・怒ってるなー、
・・・・・・・・・・・・うん、これ、僕も怒られるやつだね。集団行動、連帯責任、中間管理、覚えがあるよ。最後だけ僕のじゃないけど。
しかし、嫌だなー、
「ほらー、みんなー、戻ってこーい!」
もー、そんなに睨まないでよ。
しょうがないでしょ、命令したって聞いてくれる子達じゃないんだ。
「あ、君? そっちの子、そこに足かけられる場所あるから教えてあげて、」
「え、あ、そこにいるんですか?」
「うん。でも、こんな壁も登れないなんて、大丈夫なのかな」
ダメだろうなー、どうせ使い捨てだから、気にしてないのかもだけど、
その割には、銃とか全員に支給されたよね、何でだろう。
・・・・・・数分経った。
やっと、全員集まった、
改めて怒鳴られてる、というか僕も。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
んで、その後は、罰と。
暴力? まあしょうがないけど、お互い痛めるだけで効率的じゃないと思うんだけどな。
最初は、あやっぱ僕なのね、というかむしろ、僕だけの可能性すら??
見せしめ、でも悪いけどこの子達とは会ったばかりで仲良くもないから、効果ないんだよねー、
つまり無駄、無駄に殴られる。
嫌だ
・・・・・・隊長、そこ足元、不安定ですよ?
おっと、危ない、良い位置に頭が、
キャー、隊長が一人でに芸術的な転び方をして、息をしてなーい!
大変だーーー、
やべ、ついやっちゃった☆